散弾銃は国内で約10万丁以上が所持許可を受けている、日本の狩猟で最もポピュラーな猟銃です。しかし、上下二連・自動銃・ポンプ式と種類が多く、メーカーもベレッタ、レミントン、ミロクと選択肢が幅広いため、「最初の1丁をどう選べばいいかわからない」という初心者の声が絶えません。
この記事では、狩猟初心者が最初に手にすべき散弾銃を5モデル厳選して比較します。まず選び方の3つの基準を解説し、次にタイプ別の徹底比較、最後に猟のスタイル別のおすすめをお伝えします。
散弾銃の選び方:失敗しない3つの基準
初めての散弾銃選びで後悔しないために、以下の3つの基準を押さえましょう。
| 選ぶ基準 | チェックポイント |
|---|---|
| **①用途を明確にする** | 大物猟(シカ・イノシシ)か、鳥猟(カモ・キジ)か。クレー射撃もやるか。用途で最適な銃のタイプが変わる |
| **②予算を決める** | 新品15〜50万円、中古5〜15万円が相場。維持費(装弾・保管設備・整備費)も含めて考える |
| **③フィッティングを重視する** | 体格に合わない銃は命中率が落ち、肩への負担も大きい。必ず銃砲店で構えてみること |
初心者が見落としがちなポイント: 銃の価格だけでなく、ランニングコストを事前に把握しておくことが重要です。装弾は1箱(25発)で3,000〜5,000円、年1回の銃検査手数料が約7,000円、ガンロッカーの設置費が2〜5万円かかります。
散弾銃3タイプ徹底比較表
散弾銃は大きく3つのタイプに分かれます。それぞれの特性を理解した上で選びましょう。
| 比較項目 | 上下二連 | 自動銃(セミオート) | ポンプ式(スライド) |
|---|---|---|---|
| 装弾数 | 2発 | 3発 | 3〜5発 |
| 連射速度 | 速い(引き金2回) | 最速(自動排莢) | やや遅い(手動排莢) |
| 信頼性 | ★★★★★(故障極少) | ★★★☆☆(ジャム可能性あり) | ★★★★☆(手動で確実) |
| 安全確認 | ★★★★★(折るだけ) | ★★★☆☆(排莢操作必要) | ★★★★☆(排莢操作必要) |
| 重量 | 3.0〜3.5kg | 3.0〜3.5kg | 3.0〜3.5kg |
| 新品価格帯 | 15〜80万円 | 15〜40万円 | 5〜15万円 |
| クレー射撃 | ◎(公式競技可) | ○(トラップ不可の大会あり) | △(公式競技不可) |
| 大物猟 | ○ | ◎(3発撃てる) | ◎(3発以上可) |
| 鳥猟 | ◎ | ◎ | ○ |
| メンテナンス | 容易 | やや手間 | 容易 |
結論: 銃砲店の多くが初心者に上下二連を推奨しています。理由は「安全確認が容易」「故障が極めて少ない」「クレー射撃にも使える汎用性」の3点です。一方、大物猟メインなら自動銃の3発という弾数が有利です。
【1位】ミロク MS-2000D:国産品質と安心のアフターサポート
日本唯一の猟銃メーカー「ミロク」が製造する上下二連散弾銃です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイプ | 上下二連 |
| 口径 | 12番 |
| 銃身長 | 26インチ / 28インチ |
| 新品価格帯 | 約20〜30万円(2026年3月時点) |
| 重量 | 約3.2kg |
メリット:
- 国内メーカーのため**修理・メンテナンスが迅速**(海外メーカーは部品取り寄せに数か月かかることも)
- 日本人の体格に合わせた設計で、フィッティングが良好
- 耐久性が高く、中古市場でもリセールバリューが安定
デメリット:
- 海外メーカーに比べてデザインの選択肢が少ない
- 一部上位モデルは50万円以上と高額
こんな人におすすめ: 長く使える1丁を確実に選びたい初心者。クレー射撃も並行して楽しみたい方。
【2位】ベレッタ A300 Outlander:世界シェアNo.1の信頼性
イタリアの老舗銃器メーカー・ベレッタの自動銃エントリーモデルです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイプ | 自動銃(ガスオペレーション) |
| 口径 | 12番 |
| 銃身長 | 28インチ |
| 新品価格帯 | 約15〜20万円(2026年3月時点) |
| 重量 | 約3.2kg |
メリット:
- 自動銃の中では**価格が手頃**で、初心者の最初の1丁に最適
- ベレッタ独自のガスオペレーションシステムで反動が柔らかい
- 3発装填可能で、大物猟でも余裕を持った射撃が可能
デメリット:
- 自動銃のため、定期的なクリーニングが必要(特にガスポート周辺)
- 上下二連に比べて安全確認に一手間かかる
こんな人におすすめ: シカ・イノシシの大物猟をメインに考えている初心者。反動に不安がある方。
【3位】レミントン M870 Express:世界で最も売れたポンプ式
アメリカ・レミントン社のポンプアクション散弾銃。世界累計生産数1,200万丁以上を誇る名銃です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイプ | ポンプ式(スライドアクション) |
| 口径 | 12番 |
| 銃身長 | 26インチ / 28インチ |
| 新品価格帯 | 約8〜12万円(2026年3月時点) |
| 重量 | 約3.3kg |
メリット:
- **圧倒的な低価格**。初心者の予算に優しい
- 構造がシンプルで故障が極めて少ない
- 手動排莢のため、弾種の混合使用が可能(スラッグとバックショットの使い分け等)
デメリット:
- 手動ポンプのため連射速度が劣る
- クレー射撃の公式大会では使用不可
こんな人におすすめ: 予算を抑えたい初心者。大物猟に特化したい方。北海道でのエゾシカ猟を予定している方。
【4位】ベレッタ 686 Silver Pigeon I:上下二連のスタンダード
ベレッタの上下二連モデルで、世界中のハンターとクレー射撃選手に支持されています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイプ | 上下二連 |
| 口径 | 12番 |
| 銃身長 | 26インチ / 28インチ / 30インチ |
| 新品価格帯 | 約25〜35万円(2026年3月時点) |
| 重量 | 約3.3kg |
メリット:
- 洗練されたイタリアンデザインと高い仕上げ品質
- バランスが良く、スイングが滑らかで鳥猟に最適
- チョーク交換式で用途に応じた絞りが可能
デメリット:
- ミロクに比べて修理の際に部品取り寄せに時間がかかる場合がある
- 価格がやや高め
こんな人におすすめ: クレー射撃と狩猟を両立したい方。デザインや所有感も重視する初心者。
【5位】ブローニング A5:伝統と革新の自動銃
ジョン・ブローニングが設計した名銃A5の現代版。独自のキネマティックドライブシステムを搭載しています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| タイプ | 自動銃(反動利用式) |
| 口径 | 12番 |
| 銃身長 | 26インチ / 28インチ |
| 新品価格帯 | 約20〜30万円(2026年3月時点) |
| 重量 | 約3.2kg |
メリット:
- 独自の反動利用システムにより、軽量ながら反動が少ない
- デザイン性が高く、所有する喜びがある
- 大物猟・鳥猟の両方に対応
デメリット:
- 国内の取扱店がベレッタやミロクに比べて少ない
- 部品供給に時間がかかることがある
こんな人におすすめ: 自動銃を希望するが、ベレッタ以外の選択肢も検討したい方。
タイプ別おすすめ早見表
| あなたのタイプ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| コスパ最重視 | レミントン M870 Express | 新品10万円以下で購入可能 |
| オールラウンドに使いたい | ミロク MS-2000D | クレー射撃も狩猟もこなせる万能機 |
| 大物猟メイン | ベレッタ A300 Outlander | 3発装填+柔らかい反動 |
| クレー射撃も楽しみたい | ベレッタ 686 Silver Pigeon I | 公式競技対応の上下二連 |
| 所有感・デザイン重視 | ブローニング A5 | 伝統と革新を兼ね備えた逸品 |
| 予算が厳しい初心者 | 中古の上下二連(ミロク・SKB) | 5〜10万円で良質な中古が見つかる |
初心者が見落とす「維持費」の全貌——年間ランニングコスト比較
散弾銃は買って終わりではありません。年間の維持費を知らずに購入して後悔する初心者が少なくありません。
| 費用項目 | 年間コスト目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 装弾(散弾実包) | 3〜10万円 | 射撃練習量による。1箱25発で3,000〜5,000円 |
| 銃検査手数料 | 約7,000円 | 年1回の法定検査(所持許可更新時) |
| ガンオイル・クリーニング用品 | 3,000〜5,000円 | ボア用クリーナー、オイル等 |
| 射撃場利用料 | 2〜5万円 | 1回2,000〜3,000円 × 月1〜2回 |
| 狩猟者登録・狩猟税 | 約1.8〜2.5万円 | 毎年更新が必要 |
| 損害賠償保険 | 約4,000〜8,000円 | 猟友会経由が一般的 |
| **年間合計** | **約8〜20万円** | 射撃頻度による |
節約のコツ:
- 装弾は**射撃場のハウスロード**(射撃場独自の割安弾)を活用する
- クリーニングは毎回の射撃後に丁寧に行うことで、修理費を大幅に抑えられる
- 中古銃であれば初期投資を5〜15万円に抑え、浮いた分を装弾や射撃練習に回せる
猟銃所持許可の取得手順については「猟銃所持許可の流れ|申請から交付までを完全解説」で詳しく解説しています。
中古銃という選択肢——賢く最初の1丁を手に入れる
初心者にとって、中古銃は非常に合理的な選択肢です。散弾銃は適切にメンテナンスされていれば数十年使える耐久品であり、中古市場も活発です。
中古銃を選ぶ際のチェックポイント:
1. 銃身の状態: ボア(銃身内部)に錆や傷がないか。銃砲店でボアスコープ確認を依頼する
2. 機関部の動作: 開閉がスムーズか、引き金の感触は正常か
3. 木部の状態: ストック(台座部分)にヒビや欠けがないか
4. 発射弾数: 何発くらい撃たれたか(銃砲店に確認)
5. 付属品の有無: チョーク、ケース、説明書が揃っているか
中古銃の相場(2026年3月時点):
| メーカー・タイプ | 中古相場 | 状態の目安 |
|---|---|---|
| ミロク 上下二連 | 5〜15万円 | 使用感あるが機能良好 |
| ベレッタ 上下二連 | 10〜20万円 | ブランド人気で相場やや高め |
| レミントン M870 | 3〜8万円 | タマ数豊富で探しやすい |
| SKB 上下二連 | 5〜12万円 | 国産で品質安定 |
注意: 中古銃の購入も必ず許可を受けた銃砲店を通じて行います。個人間取引は銃刀法違反となります。
よくある質問
Q1: 初心者の最初の1丁は上下二連と自動銃のどちらがいいですか?
多くの銃砲店が**上下二連**を推奨しています。理由は、安全確認が容易で故障が少なく、クレー射撃にも使える汎用性の高さです。ただし、大物猟に特化するなら自動銃の3発という弾数は大きな利点です。まずは「何を撃ちたいか」を明確にしてから選びましょう。
Q2: 散弾銃の口径(ゲージ)はどれを選ぶべきですか?
初心者は**12番ゲージ**一択です。日本で最も流通量が多く、装弾の種類も豊富。鳥猟から大物猟まで幅広く対応できます。20番ゲージは反動が軽く小柄な方に向いていますが、装弾の選択肢が12番より限られます。
Q3: 新品と中古、初心者はどちらを選ぶべきですか?
予算に余裕があれば新品を推奨しますが、**中古でも十分**です。散弾銃は丈夫な道具であり、銃砲店できちんと整備された中古銃なら安心して使えます。浮いた予算を射撃練習(装弾代・射撃場利用料)に回す方が上達は早いでしょう。
Q4: 散弾銃の保管にはどんな設備が必要ですか?
銃刀法により、**ガンロッカー**(鍵付きの鉄製保管庫)と**装弾ロッカー**(銃とは別の場所に設置)が必要です。ガンロッカーは2〜5万円、装弾ロッカーは1〜3万円が相場です。設置場所は所轄警察署の検査を受ける必要があります。
Q5: 散弾銃を購入するまでにどれくらい時間がかかりますか?
猟銃所持許可の取得に**最短3か月、平均4〜6か月**かかります。その後、銃砲店で銃を選び、所持許可申請を行い、許可証交付後に購入・引き取りとなります。狩猟シーズン(11月〜)に間に合わせるなら、遅くとも**6月頃**には手続きを開始しましょう。猟銃所持許可の具体的な流れは「[猟銃所持許可の流れ|申請から交付までを完全解説](https://kariudo.jp/hunting/gun-possession-permit-process/)」をご覧ください。
Q6: 散弾銃で使える弾の種類を教えてください。
散弾銃で使える弾は大きく3種類です。**散弾(ショットシェル)**は小さな粒が広がる弾で鳥猟に使用。**スラッグ弾**は単体弾で大物猟(シカ・イノシシ)に使用。**バックショット**は大粒の散弾で、巻き狩りでのイノシシ猟等に使用されます。
まとめ:散弾銃選びで迷ったら
初心者が最初の散弾銃を選ぶ際の指針をまとめます。
- **迷ったら上下二連**(ミロクまたはベレッタ)が最も無難な選択
- 大物猟メインなら**自動銃(ベレッタ A300)**が3発撃てる利点あり
- 予算最優先なら**中古の上下二連**か**レミントン M870**
- 銃の価格だけでなく**年間維持費(8〜20万円)**も事前に計算しておく
- 必ず**銃砲店で実際に構えて**フィッティングを確認する
- 購入後は**射撃場で月1〜2回の練習**が上達への最短ルート
狩猟を始める全体の流れについては「狩猟の始め方ガイド|初心者が最短で猟師になる全手順」もあわせてご覧ください。また、罠猟に興味がある方は「くくり罠の設置方法|基本のやり方とコツ」も参考になります。
参考情報
- シューティングサプライ「猟銃の値段はどれくらいが一般的?価格帯別のオススメ」(http://www.s-supply.net/contents/?p=7226)
- シューティングサプライ「初心者必見:最初の散弾銃は上下二連が最適」(http://www.s-supply.net/contents/?p=10095)
- シューティングサプライ「散弾銃メーカーの人気ランキング」(http://www.s-supply.net/contents/?p=7220)
- 環境省「ハンターになるには」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/)
- 大日本猟友会「狩猟免許の取得」(http://j-hunters.com/tobecome/license.php)

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