猟銃の所持許可を取る流れ|申請手続き・費用・期間を完全解説

猟銃の所持許可を取る流れ|申請手続き・費用・期間を完全解説 狩猟入門

「猟銃を持ちたいけれど、何から始めればいいかわからない」——これは、狩猟に興味を持った多くの方が最初にぶつかる壁です。実は、猟銃の所持許可申請は全7ステップに整理でき、最短で約3〜4ヶ月あれば取得可能です。ただし、手続きの順番を間違えると申請がやり直しになるケースもあるため、正しい流れを知っておくことが極めて重要です。

この記事では、猟銃の所持許可を取得するまでの全体像から、各ステップの具体的な手続き内容、費用の内訳、そして実際に取得した方のリアルな体験談までを網羅的に解説します。まず全体の流れを確認し、次に各ステップを詳しく見ていき、最後に費用と期間の目安をお伝えします。

猟銃の所持許可とは?始める前に知っておくべき全体像

猟銃を日本国内で所持するためには、「銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)」に基づき、都道府県公安委員会から所持許可を受ける必要があります。これは狩猟免許とは別の手続きであり、両方を取得して初めて銃を使った猟が可能になります。

項目 内容
根拠法令 銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)
申請先 住所地を管轄する警察署(生活安全課)
所要期間 約3〜6ヶ月(地域・時期により変動)
費用総額 約7万〜12万円(銃の購入費用を除く)
有効期間 許可日から3回目の誕生日まで(約3年)
更新 3年ごとに更新手続きが必要

猟銃の所持許可には大きく分けて「散弾銃」と「ライフル銃」の2種類があります。初めて銃を所持する場合、原則として散弾銃(またはエアライフルなどの空気銃)からスタートすることになります。ライフル銃は、散弾銃を10年以上所持した実績がある方や、獣類捕獲を職業とする方に限定されています(2026年3月時点、銃刀法第5条の2)。

狩猟免許との違い

混同されがちですが、猟銃の所持許可と狩猟免許の取得はまったく別の手続きです。

比較項目 猟銃所持許可 狩猟免許
管轄 公安委員会(警察) 都道府県知事
目的 銃の所持を許可する 猟の種類ごとの免許を交付する
取得順序 どちらが先でもOK どちらが先でもOK
有効期間 約3年(誕生日基準) 3年(9月14日が期限)
必要書類 身辺調査・診断書等 知識・適性・技能試験

猟銃所持許可を取る7つのステップ【完全手順】

Step 1: 初心者講習会を受講する

最初のステップは、警察署に「猟銃等講習会(初心者講習)」の受講を申し込むことです。住所地を管轄する警察署の生活安全課窓口で申請します。

講習会では、銃刀法の概要、猟銃の安全な取り扱い方法、保管の義務などについて1日かけて学びます。講習の最後に筆記試験(考査)があり、50問中45問正解(正答率90%以上)で合格です。合格者には「講習修了証明書」が交付されます。

項目 詳細
申請手数料 6,900円(2026年3月時点)
講習時間 約6時間(午前9時〜午後4時が一般的)
試験形式 ○×式50問・正答率90%以上で合格
合格率 全国平均で約50〜70%(会場・時期により変動)
有効期間 交付日から3年間

受講のコツ: 事前に「猟銃等取扱読本」(各都道府県猟友会で販売、約1,500円)を読み込んでおくと合格率が大幅に上がります。大日本猟友会が発行する模擬問題集も活用しましょう。

Step 2: 教習資格認定を申請する(散弾銃の場合)

散弾銃の所持許可を目指す場合、射撃教習を受ける前に「教習資格認定」の申請が必要です。空気銃の場合はこのステップは不要で、Step 4に進みます。

申請先は住所地の警察署で、以下の書類が必要です。

必要書類 備考
教習資格認定申請書 警察署で入手
講習修了証明書のコピー Step 1で取得したもの
医師の診断書 精神科医または指定医の診断(約3,000〜5,000円)
身分証明書 本籍地の市区町村で取得(約300〜400円)
住民票の写し マイナンバー記載なし(約300円)
経歴書 過去10年分の職歴・住所歴
証明写真 2枚(3.0cm×2.4cm)
費用項目 金額
教習資格認定申請手数料 8,900円
診断書 約3,000〜5,000円
住民票・身分証明書 約600〜800円

申請後、警察による身辺調査が行われます。同居家族や近隣住民、職場への聞き込みが実施されることもあります。認定までの期間は地域によって異なりますが、おおむね3〜5週間が目安です。

Step 3: 射撃教習を受講する

教習資格認定が下りたら、指定射撃場で「射撃教習」を受けます。教習では実弾を使って散弾銃の基本操作を学びます。

教習当日は、火薬類譲受許可を事前に取得しておく必要があります(警察署で申請、手数料2,400円)。これは教習用の実包(弾)を購入するための許可です。

項目 詳細
教習時間 約半日〜1日
内容 座学+実技(実弾射撃)
使用弾数 約25〜75発(射撃場により異なる)
教習料 約25,000〜35,000円(射撃場による)
弾代 約3,000〜5,000円
火薬類譲受許可申請 2,400円
合格基準 トラップ射撃で25発中2発以上命中(合格率は高い)
有効期間 教習修了証明書は1年間有効

射撃教習の合格率は非常に高く、真面目に講習を受けていれば多くの方が合格できます。ただし、銃の操作に関する安全確認を怠ると不合格になることがありますので、安全管理の手順を確実に覚えておきましょう。

Step 4: 銃を選んで譲渡等承認を受ける

射撃教習に合格したら(空気銃の場合は講習修了後)、実際に所持する銃を決めます。銃砲店に足を運び、用途(狩猟・標的射撃)や予算に合った銃を選びましょう。

銃の種類 価格帯(中古) 価格帯(新品) 特徴
上下二連式散弾銃 5万〜20万円 15万〜50万円以上 狩猟・射撃両用、初心者向けの定番
自動式散弾銃 5万〜15万円 10万〜30万円 連射可能、巻き狩り向き
エアライフル 5万〜15万円 10万〜30万円 火薬不要、カモ・小動物猟向け
ハーフライフル 8万〜20万円 15万〜40万円 大物猟向け、スラッグ弾使用

購入する銃が決まったら、銃砲店から「譲渡等承認書」を受け取ります。この書類は所持許可申請に必要です。

Step 5: ガンロッカー・装弾ロッカーを設置する

所持許可申請の前に、自宅に保管設備を設置する必要があります。猟銃の場合、ガンロッカーと装弾ロッカーの2つが必須です(空気銃の場合はガンロッカーのみ)。

保管設備 価格帯 設置基準
ガンロッカー 約15,000〜40,000円 壁または床にボルト固定、施錠可能な鋼板製
装弾ロッカー 約8,000〜20,000円 ガンロッカーとは別に設置、施錠可能

設置場所は、家族を含む同居人が容易にアクセスできない場所が望ましく、警察の確認(検査)を受ける場合があります。

Step 6: 所持許可を申請する

いよいよ本申請です。住所地の警察署に以下の書類を提出します。

必要書類 備考
銃砲所持許可申請書 警察署で入手
講習修了証明書 Step 1で取得
教習修了証明書 Step 3で取得(散弾銃の場合)
譲渡等承認書 銃砲店から取得
医師の診断書 教習資格認定時から一定期間経過していれば再取得
身分証明書・住民票 各市区町村で取得
経歴書 過去10年分
同居親族書 同居家族の情報
保管設備の写真 ロッカー設置状況を撮影
証明写真 2枚
費用項目 金額
所持許可申請手数料 10,500円
診断書(再取得の場合) 約3,000〜5,000円

申請後、再度身辺調査が行われます。ここでも同居家族や近隣への聞き取りが行われることがあります。審査期間は約1〜2ヶ月です。

Step 7: 許可証の交付と銃の引き取り

審査が通れば、警察署から「銃砲所持許可証」が交付されます。許可証を持って銃砲店に行き、購入した銃を引き取ります。

重要: 銃を引き取ったら、14日以内に管轄の警察署で「確認」手続きを受ける必要があります。許可証に記載された銃と実物が一致するかを警察が確認します。この手続きを怠ると許可が取り消される可能性があるため、必ず期限内に行いましょう。

失敗しないためのコツ・注意点

よくある失敗 原因 対策
初心者講習の考査に落ちる 事前学習不足 「猟銃等取扱読本」を最低2回は通読する
教習資格認定が下りない 身辺調査で問題が判明 同居家族の同意を事前に得ておく
書類の不備で差し戻し 書式間違い・写真サイズ違い 申請前に警察署で事前相談する
医師の診断書が取れない 精神科医の予約が取りにくい 早めに予約(1ヶ月前がベスト)
許可証交付後の確認忘れ 14日以内の手続き知らず カレンダーにリマインダー設定

費用・コストの完全内訳

猟銃所持許可を取得するまでにかかる費用は、銃本体を除いて約7万〜12万円が目安です(2026年3月時点)。

項目 費用 備考
初心者講習受講料 6,900円 全国一律
猟銃等取扱読本 約1,500円 任意だが強く推奨
教習資格認定申請 8,900円 散弾銃の場合のみ
医師の診断書(1回目) 3,000〜5,000円 地域・医療機関により差あり
火薬類譲受許可申請 2,400円 射撃教習用
射撃教習受講料 25,000〜35,000円 射撃場により大きく異なる
教習用弾代 3,000〜5,000円 使用弾数による
所持許可申請手数料 10,500円 全国一律
医師の診断書(2回目) 3,000〜5,000円 期間により再取得必要
住民票・身分証明書 600〜1,600円 複数回取得が必要な場合あり
証明写真 800〜1,600円 複数枚必要
ガンロッカー 15,000〜40,000円 設備投資
装弾ロッカー 8,000〜20,000円 散弾銃の場合必須
**合計(ロッカー除く)** **約66,000〜110,000円**
**合計(ロッカー込み)** **約89,000〜170,000円**

これに銃の購入費用(中古で5万円〜、新品で10万円〜)を加えると、初期投資の総額は約15万〜35万円程度となります。狩猟免許の費用も含めると、猟を始めるまでの初期費用はさらに上乗せになります。

都道府県別のコスト差に注意

射撃教習の費用は射撃場によって大きく異なります。例えば、都市部の射撃場は3万円台、地方では2万円台というケースもあります。また、医師の診断書も精神科のクリニックなら3,000円程度ですが、総合病院では5,000円以上かかる場合があります。事前に最寄りの施設に問い合わせて確認しましょう。

所持許可の取得期間:リアルなタイムライン

全体の所要期間は地域や時期によって大きく異なりますが、スムーズに進んだ場合で約3〜4ヶ月、混み合う時期(猟期前の7〜9月)では6ヶ月以上かかることもあります。

ステップ 所要期間 累計期間(目安)
Step 1: 初心者講習 申込から1〜2ヶ月後に受講 1〜2ヶ月
Step 2: 教習資格認定 申請から3〜5週間 2〜3ヶ月
Step 3: 射撃教習 認定後1〜2週間で受講 2.5〜3.5ヶ月
Step 4-5: 銃選び・ロッカー設置 1〜2週間 3〜4ヶ月
Step 6: 所持許可申請 審査に1〜2ヶ月 4〜6ヶ月
Step 7: 許可証交付・銃引取り 1週間以内 4〜6ヶ月

現場のリアルな声: 実際に猟銃所持許可を取得した方の多くが「初心者講習の日程がなかなか合わず、最初の1歩が一番時間がかかった」と語ります。特に地方では講習会の開催頻度が年に数回しかないこともあるため、思い立ったらすぐに最寄りの警察署に開催スケジュールを確認することが重要です。また、「警察署の窓口で事前相談すると、必要書類を丁寧に教えてもらえて安心した」という声も多く聞かれます。猟銃所持は法律で厳しく管理されている分、窓口対応は手厚い傾向にあります。

猟銃所持許可の欠格事由:申請前に必ず確認

銃刀法では、以下に該当する方は猟銃の所持許可を受けることができません(2026年3月時点、銃刀法第5条)。

欠格事由 具体的な内容
年齢制限 猟銃は20歳未満、空気銃は18歳未満
精神疾患 統合失調症、躁うつ病など
アルコール・薬物依存 医師の診断で認められた場合
住所不定 住民登録がない方
犯罪歴 禁固以上の刑を受けて5年未満など
DV関連 配偶者暴力防止法の保護命令を受けている方
ストーカー行為 ストーカー規制法の禁止命令を受けている方
過去の許可取消し 所持許可を取り消されて5年未満

不安な点がある場合は、申請前に管轄の警察署に相談することをお勧めします。相談は匿名でも可能なケースが多いです。

よくある質問

Q1: 猟銃所持許可と狩猟免許はどちらを先に取るべきですか?

法律上はどちらが先でも構いません。ただし、多くの方は狩猟免許を先に取得してから猟銃所持許可を申請しています。狩猟免許の試験の方が開催頻度が高く、短期間で取れるためです。両方を同時並行で進めることも可能です。

Q2: 空気銃(エアライフル)の場合は手続きが異なりますか?

はい、空気銃の場合は「射撃教習」のステップ(Step 2〜3)が不要です。初心者講習に合格した後、直接所持許可の申請に進めるため、費用・期間ともに大幅に短縮できます。

Q3: 家族が反対している場合、許可は下りますか?

同居家族の同意は法的な要件ではありませんが、身辺調査の際に同居家族への聞き取りが行われます。明確に反対の意思表示があった場合、許可が下りない可能性があります。事前に家族と十分に話し合い、理解を得ておくことが重要です。

Q4: マンション住まいでもガンロッカーを設置できますか?

設置可能です。ガンロッカーは壁や床にボルトで固定する必要がありますが、賃貸の場合は管理組合や大家への確認が必要です。実際にはマンションで猟銃を保管している方も少なくありません。固定方法について工夫している事例もありますので、銃砲店やロッカーメーカーに相談しましょう。

Q5: 所持許可の更新手続きはどうすればいいですか?

所持許可の有効期間は許可日から3回目の誕生日までです。更新は有効期間が満了する2ヶ月前から申請できます。更新時にも経験者講習の受講、医師の診断書、銃検査などが必要です。更新手数料は7,200円(2026年3月時点)です。期限切れになると無許可所持となり厳しい罰則がありますので、余裕を持って手続きしましょう。

Q6: 猟銃所持許可を取った後、実際に狩猟に行くまでに必要な手続きは?

猟銃所持許可に加えて、①狩猟免許の取得、②狩猟者登録(猟期ごとに都道府県に登録)、③ハンター保険への加入が必要です。また、猟友会への入会は任意ですが、情報交換や保険加入の面でメリットが大きいため、多くの方が入会しています。

まとめ:猟銃所持許可取得のポイント

猟銃の所持許可取得は、正しい手順を踏めば誰でも挑戦できる制度です。最後に、押さえておくべきポイントをまとめます。

  • **全7ステップ**: 初心者講習→教習資格認定→射撃教習→銃選び→ロッカー設置→所持許可申請→許可証交付
  • **費用の目安**: 銃本体を除いて約7万〜12万円。ロッカーを含めると約9万〜17万円
  • **期間の目安**: 最短3〜4ヶ月、繁忙期は6ヶ月以上かかることもある
  • **最初の1歩**: 管轄の警察署に初心者講習の日程を問い合わせるところから始める
  • **事前相談を活用**: 警察署の生活安全課では書類の事前確認や相談に応じてもらえる

まずは最寄りの警察署に初心者講習の開催日程を問い合わせることから始めてみましょう。猟銃の世界は手続きこそ多いですが、一つひとつは決して難しくありません。

参考情報

  • 大日本猟友会「銃砲所持許可の取得」(http://j-hunters.com/tobecome/permit.php)
  • 警察庁「猟銃・空気銃所持許可の申請手続き」(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/ryoujyu.sinnsei.tetuduki_r6.pdf)
  • 警視庁「手数料一覧」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/commission.html)
  • 環境省「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/)
  • 東京都猟友会「猟銃の所持について」(https://www.toryo.org/)

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