猟師の1日のスケジュールを公開|罠猟・銃猟・駆除の3パターンで解説

猟師の1日のスケジュールを公開|罠猟・銃猟・駆除の3パターンで解説 猟師の暮らし

最終更新: 2026-05-20

「猟師って、毎日何をしているんだろう?」と疑問に思ったことはないだろうか。環境省のデータによると、全国の狩猟免許所持者は約18.6万人(2024年時点)。1975年の約52万人から65%も減少しており、実際に猟に出ているアクティブハンターは10万人を下回るとされている。担い手が急速に減るなかで、現役の猟師たちは日々どんな生活を送っているのか。

「猟師になりたいけれど、毎日の暮らしがイメージできない」「銃猟と罠猟で1日の流れはどう違うのか知りたい」という声は多い。この記事では、罠猟・銃猟・有害鳥獣駆除という3つの代表的なスタイル別に、猟師の1日のスケジュールを詳しく紹介する。さらに猟期と非猟期で変わる生活リズムや、収入源との関係についても解説するので、猟師を目指す方はぜひ最後まで読んでほしい。

猟師の1日は「猟のスタイル」で大きく変わる

猟師のスケジュールは一律ではない。使う猟法・季節・地域によって1日の流れは大きく異なる。まずは猟師の主な3つのスタイルを整理しよう。

猟のスタイル 主な獲物 活動時間帯 年間を通じた活動
罠猟(くくり罠・箱罠) シカ、イノシシ 早朝~午前中心 猟期+有害鳥獣駆除の通年活動あり
銃猟(散弾銃・ライフル) シカ、イノシシ、カモ 日の出~日没 猟期(11月15日~2月15日)中心
有害鳥獣駆除(委託事業) シカ、イノシシ、サルなど 早朝~夕方 自治体の委託で通年活動

罠猟は毎朝の見回りが中心で、銃猟は猟期に集中する。有害鳥獣駆除は自治体からの依頼に応じて通年で活動できるため、収入面では最も安定しやすい。それぞれの1日を時系列で見ていこう。

【パターン1】罠猟の1日のスケジュール

罠猟は、くくり罠や箱罠を山中に仕掛けておき、毎日見回りに行くスタイルだ。鳥獣保護管理法の規定により、罠を設置した場合は原則として1日1回以上の見回りが必要とされている。体力的な負担は銃猟より少ないものの、毎朝欠かさず山に入る継続力が求められる。

罠猟の1日タイムテーブル

時間帯 活動内容 ポイント
5:00~5:30 起床・天候確認 気温・風向きで獣の動きが変わる
5:30~6:00 装備準備・出発 ナイフ、手袋、ロープ、運搬用ソリなど
6:00~8:00 罠の見回り(5~15基) 獣道の足跡やフンも同時にチェック
8:00~9:00 捕獲時:止め刺し・血抜き 肉質を保つため迅速な処理が重要
9:00~11:00 獲物の搬出・解体 処理施設への搬入または自宅での解体
11:00~12:00 罠のメンテナンス・再設置 ワイヤー交換、設置場所の微調整
12:00~13:00 昼食・休憩
13:00~15:00 捕獲報告書の作成・事務作業 自治体への報告は義務
15:00~17:00 新規設置場所の下見・痕跡調査 フィールドサインの観察
17:00以降 翌日の準備・自由時間 装備の手入れ、情報収集

罠猟の特徴は、捕獲の有無にかかわらず毎朝の見回りが義務づけられている点だ。仕掛けた罠が5基なら30分~1時間、15基以上あれば2~3時間かかることもある。「何もかかっていない日」が続くことも珍しくないが、獣道の変化や痕跡をチェックすることで次の捕獲につなげる。

捕獲があった場合は、止め刺し(とどめを刺す作業)、血抜き、内臓処理を迅速に行う必要がある。ジビエ肉として流通させるなら、止め刺しから2時間以内に処理施設へ搬入するのが理想とされている。この迅速な処理が肉の品質を左右するため、猟師にとって解体の技術は猟そのものと同じくらい重要なスキルだ。くくり罠の正しい設置方法を事前に習得しておくことで、見回りの効率も大きく変わる。

【パターン2】銃猟の1日のスケジュール

銃猟は散弾銃やライフルを使って獲物を狩るスタイルだ。日本では猟期が原則として11月15日~2月15日(北海道は10月1日~1月31日)と定められており、活動できる期間が限られている。その分、猟期中は早朝から集中的に活動する猟師が多い。

銃猟の1日タイムテーブル(単独猟の場合)

時間帯 活動内容 ポイント
4:00~4:30 起床・装備確認 銃・弾薬・許可証・無線機
4:30~5:00 猟場へ移動 日の出の30分前には現地到着が理想
5:00~5:30 待ち場の選定・準備 風下に位置取り、射界を確認
5:30~9:00 忍び猟または待ち猟 シカ・イノシシの朝の活動時間帯
9:00~10:00 捕獲時:止め刺し・血抜き・搬出 山からの搬出が最も重労働
10:00~12:00 解体作業 自宅または処理施設で実施
12:00~13:00 昼食・休憩 午後の猟に備える
13:00~15:00 午後の猟(夕マズメ狙い) 日没まで猟が可能
15:00~16:30 猟場の見回り・痕跡調査 翌日の猟場選定のための情報収集
16:30~17:00 下山・装備収納 銃の保管は法定の基準に従う

銃猟は「待ちの時間」が圧倒的に長い。山中でじっと獲物を待つ忍耐力と、一瞬のチャンスで確実に仕留める射撃技術の両方が求められる。冬場の山中で数時間動かずに待つのは、想像以上に過酷な体験だ。

巻き狩り(グループ猟)の場合

巻き狩りでは、勢子(せこ:獲物を追い立てる役)と待ち(射手:獲物を待ち構える役)に分かれてチームで猟を行う。メンバーの集合は通常6:00~7:00。無線でやりとりしながら山を囲い、シカやイノシシを追い立てる。1回の巻き狩りは2~3時間かかり、午前と午後で2ラウンド行うこともある。

巻き狩りでは1日の流れがリーダーの判断に委ねられるため、個人のスケジュールの自由度は低い。その分、単独猟では難しい大型獣の捕獲が可能になる。初心者は巻き狩りから経験を積むケースが多い。狩猟を始めたい初心者向けの完全ガイドも参考にしてほしい。

【パターン3】有害鳥獣駆除の1日のスケジュール

有害鳥獣駆除は、自治体や農協からの委託を受けてシカ、イノシシ、サルなどの被害防止のために捕獲活動を行うものだ。猟期以外にも通年で活動でき、報酬も支払われるため、猟師の収入源として大きな柱になっている。

有害鳥獣駆除の1日タイムテーブル

時間帯 活動内容 ポイント
5:00~5:30 起床・連絡確認 自治体や班長からの指示を確認
5:30~6:00 装備準備・集合場所へ移動 チームで活動する場合が多い
6:00~6:30 打ち合わせ・配置決め 当日の活動エリア・役割分担
6:30~11:00 捕獲活動(銃猟・罠の見回り) 被害が多い農地周辺を重点巡回
11:00~12:00 午前の活動報告・獲物処理 捕獲実績の記録が必須
12:00~13:00 昼食・休憩
13:00~15:00 午後の捕獲活動 サルの追い払い、罠の追加設置など
15:00~16:00 捕獲個体の計測・証拠撮影 尾や耳の切除(報奨金申請用)
16:00~17:00 日報作成・翌日の準備 捕獲報告書、活動実績表の提出

有害鳥獣駆除の特徴は、事務作業の多さだ。捕獲した個体ごとに写真撮影、体長・体重の計測、捕獲場所のGPS記録、報告書の作成が求められる。これらの書類が報奨金の申請に必要なため、「山の仕事」と「デスクの仕事」を両立する能力が問われる。

報酬面では、活動日当が5,000~10,000円、加えて捕獲報奨金がシカ1頭あたり5,000~36,000円、イノシシ成獣で8,000円前後(自治体により異なる)支払われる。有害鳥獣駆除の報奨金の仕組みと相場の記事で、都道府県別の金額差を詳しくまとめている。

猟期と非猟期で変わる猟師の生活リズム

猟師のスケジュールは季節によって大きく変動する。猟期と非猟期では、まるで別の職業かと思うほど生活リズムが異なる。

比較項目 猟期(11月~2月) 非猟期(3月~10月)
起床時間 4:00~5:00 6:00~7:00
主な活動 銃猟・罠猟・巻き狩り 罠の修繕、猟場整備、有害鳥獣駆除
活動時間 1日8~10時間 1日3~5時間
収入源 ジビエ販売+報奨金 有害駆除報酬+兼業収入
体力的負担 非常に高い 中程度
社会的活動 猟友会の共同猟、地域行事 講習会、免許更新、射撃練習

猟期中は早朝から山に入り、日没近くまで活動する体力勝負の日々が続く。一方、非猟期は罠の修繕や猟場の整備、射撃場での練習といった準備作業が中心になる。多くの猟師は非猟期に農業、林業、建設業などの兼業で収入を補っている。猟師の年収のリアルな実態については、別記事で詳しく解説している。

非猟期も完全に休みというわけではない。有害鳥獣駆除の従事者許可を持っていれば通年で活動できる。実際、農作物被害が深刻な地域では、春から秋にかけてのイノシシ駆除が最も忙しい時期になることもある。

専業猟師と副業猟師のスケジュール比較

猟師のスケジュールは、専業か副業かでも大きく異なる。現実には、狩猟だけで生計を立てている猟師は少数派だ。多くが農業や林業と組み合わせた兼業スタイルで活動している。

比較項目 専業猟師 副業猟師(週末ハンター)
猟に出る頻度 猟期中はほぼ毎日 週1~2回(土日中心)
罠の設置数 10~30基 3~5基
年間捕獲数目安 シカ50~100頭 シカ5~15頭
収入の割合 猟関連が主収入 本業の補助的収入
1日の拘束時間 8~12時間 4~6時間
解体・販売 自前で処理・販路を持つ 処理施設に委託が多い

副業猟師の場合、平日は本業に従事し、週末に罠の見回りや銃猟に出るケースが一般的だ。ただし、罠猟では毎日の見回り義務があるため、平日朝に出勤前の1~2時間で見回りを済ませる猟師もいる。早朝5:00に起きて6:30まで山を回り、そのまま職場に向かうというハードなスケジュールを実践している人もいる。

副業で始めて徐々に猟のスキルと収入を積み上げ、最終的に専業に転じるというキャリアパスも珍しくない。狩猟を副業で始める方法の記事で、副業猟師のリアルな働き方を紹介している。

猟師のスケジュールにまつわるよくある質問(FAQ)

Q1. 猟師は毎日山に入るのですか?

罠猟をしている場合は、罠を設置している間は原則として毎日見回りに行く必要がある。鳥獣保護管理法により、わなを使用する場合は1日1回以上の見回りが求められているためだ。銃猟のみの場合は猟期中の天候や体調に合わせて出猟日を選べるため、毎日とは限らない。有害鳥獣駆除の委託を受けている場合は、自治体との契約内容に応じた活動日数が決まっている。

Q2. 猟師の活動時間帯はいつが多いですか?

基本的に早朝が中心だ。シカやイノシシは薄明薄暮(早朝と夕方)に活発に活動するため、猟師の行動もそれに合わせて日の出前後がゴールデンタイムとなる。銃猟は法律上、日の出から日没までしか行えない。罠猟の見回りも早朝に行うのが一般的で、4:00~6:00に起床する猟師が多い。

Q3. 雨の日や台風の日も猟に出ますか?

銃猟は雨天時の視界不良や滑落リスクから、悪天候時は中止するのが安全の基本だ。ただし罠の見回りは天候に関係なく毎日行う必要がある。大雨や台風で山に入れない場合は、安全を優先して翌日にまとめて確認することもあるが、捕獲個体が長時間放置されると肉質が劣化するため、可能な限り毎日の見回りが推奨される。

Q4. 猟師になるにはまず何をすればいいですか?

最初のステップは狩猟免許の取得だ。狩猟免許には第一種銃猟、第二種銃猟、わな猟、網猟の4種類がある。初心者にはわな猟免許がおすすめで、銃の所持許可が不要なため取得のハードルが比較的低い。免許取得後は地域の猟友会に加入し、先輩猟師のもとで実地経験を積むのが一般的なルートだ。

Q5. 女性でも猟師のスケジュールをこなせますか?

近年は女性猟師の数が増加傾向にある。罠猟は銃猟に比べて体力的な負担が少なく、女性が参入しやすいスタイルとされている。止め刺しや解体に抵抗がある場合は、先輩猟師と同行して徐々に慣れていく方法もある。スケジュール面では男女の違いはほとんどなく、早朝の活動がメインとなる点は同じだ。

Q6. 猟師の休日はいつですか?

専業猟師に「決まった休日」はない。罠を仕掛けている限りは毎日見回りが必要だが、罠を回収すればその間は自由になる。銃猟のみの猟師は天候や体調に合わせて休養日を設定できる。副業猟師は本業のスケジュールに合わせて猟の日程を調整するため、平日の本業+週末の猟活動というサイクルが多い。

Q7. 猟師の仕事で最も大変なことは何ですか?

多くの猟師が「搬出」を最も大変な作業として挙げる。山中で仕留めた60~80kgのシカやイノシシを、車が入れない山道から運び出す作業は重労働だ。ウインチや運搬用ソリ、場合によっては林道まで引きずるなど、体力と工夫が求められる。加えて、早朝起きの継続や、冬山での寒さへの耐性も、長く続けるうえで重要な要素となる。

まとめ|猟師の1日を知ることが第一歩

猟師の1日は、猟法・季節・専業か副業かによって大きく異なる。罠猟なら毎朝の見回りを軸にした規則的なスケジュール、銃猟なら猟期に集中した早朝からの長時間活動、有害鳥獣駆除なら自治体との連携を軸にした通年の計画的な活動が基本となる。

農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設で得られた販売金額は全国合計で約54億円、1施設あたり約701万円に達している(e-Stat 統計表ID: 0002119974)。ジビエ市場の拡大に伴い、猟師としてのキャリアの可能性は広がりつつある。詳しいデータは狩猟・ジビエ業界の統計まとめページで確認できる。

猟師の暮らしに興味が出てきたら、まずは以下のアクションから始めてみてほしい。

1. 地域の狩猟免許試験の日程を調べる

2. 最寄りの猟友会に問い合わせて見学を申し込む

3. 狩猟体験イベント(ハンターバンクなど)に参加してみる

「猟師になりたい」と思った瞬間が、第一歩を踏み出すベストなタイミングだ。

参考情報

  • 環境省「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(2024年時点)
  • 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」e-Stat 統計表ID: 0002119974
  • 大日本猟友会「狩猟者数の推移」(2024年時点)
  • 農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル 捕獲編」(2023年改訂版)
  • 環境省「認定鳥獣捕獲等事業者 講習テキスト」第12版(2024年2月発行)



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