狩猟は副業でできる?5つの収入モデルと始め方を徹底解説

狩猟は副業でできる?5つの収入モデルと始め方を徹底解説 猟師の暮らし

最終更新: 2026-04-24

農林水産省の令和5年度調査によると、ジビエの食肉処理で得られた販売金額は全国で約54億円にのぼり、前年度からさらに拡大しています(e-Stat 統計表ID: 0002119974)。「狩猟って副業としてできるの?」「会社員をしながら週末だけ猟に出るスタイルは現実的?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、狩猟は副業として取り組むことが可能です。この記事では、副業としての狩猟の全体像を押さえたうえで、5つの収入モデル、始めるための手順、そして確定申告のルールまで網羅的に解説します。

狩猟は副業でできる?結論と基本の仕組み

狩猟を副業にすることは、法律上も実態としても可能です。狩猟免許を取得し、都道府県知事に狩猟者登録を行えば、猟期(多くの地域で11月15日~2月15日)に狩猟活動ができます。さらに有害鳥獣捕獲の許可を受ければ、猟期以外の時期でも捕獲活動に参加できます。

実際に副業として狩猟に取り組んでいる人の多くは、平日は会社員や自営業者として本業を持ち、週末や休日に猟に出るスタイルです。こうした「週末猟師」は年々増加しており、環境省のデータでは狩猟免許の新規取得者のうち30歳未満の割合が近年倍増しています。

項目 内容
法的な可否 狩猟免許取得+狩猟者登録で合法的に活動可能
猟期 11月15日~2月15日(北海道は10月1日~1月31日)
猟期外の活動 有害鳥獣捕獲許可で年間通じて可能
必要な免許 わな猟・第一種銃猟・第二種銃猟・網猟のいずれか
初期費用の目安 約5万~30万円(免許種別による)

特に注目すべきは、有害鳥獣捕獲制度の存在です。シカやイノシシによる農林業被害は全国で年間約155億円(農林水産省 2023年度調査)にのぼり、国や自治体は捕獲の担い手を積極的に求めています。このため、副業で狩猟に取り組む人に対しても門戸が広く開かれているのが現状です。狩猟免許の取得方法については、別記事で費用や試験内容を含めて詳しく解説しています。

副業としての5つの収入モデル

「狩猟で副業」と一口に言っても、収入を得る方法は複数あります。ここでは代表的な5つのモデルを紹介します。

モデル1: 有害鳥獣駆除の報奨金

最もポピュラーな副業モデルが、有害鳥獣捕獲の報奨金です。国の「鳥獣被害防止総合対策交付金」では、イノシシ・シカの成獣1頭あたり8,000円が支給されます。これに自治体独自の上乗せが加わるため、地域によっては1頭あたり2万~3万円程度の報奨金を受け取れるケースがあります。

対象鳥獣 国の交付金 自治体上乗せ例 合計目安
シカ(成獣) 8,000円/頭 7,000~28,000円 15,000~36,000円
イノシシ(成獣) 8,000円/頭 5,000~22,000円 13,000~30,000円
シカ(幼獣) 1,000円/頭 3,000~10,000円 4,000~11,000円
サル 8,000円/頭 5,000~15,000円 13,000~23,000円

報奨金の金額は自治体によって大きな差があります。被害が深刻な地域ほど高額に設定される傾向があり、九州南部や関西の一部地域で高い水準が見られます。報奨金の詳細な仕組みについては、都道府県別の比較とともに別記事で解説しています。

モデル2: ジビエ肉の販売

捕獲した野生鳥獣を食肉として販売するモデルです。農林水産省の令和5年度調査では、ジビエの販売金額のうち食肉が約44億円を占め、消費者への直接販売(インターネット含む)が全体の約13.1%を占めています(e-Stat 統計表ID: 0002119996)。

ただし、個人でジビエ肉を販売するには食品衛生法に基づく営業許可が必要です。自分で処理施設を持つか、許可を持つ施設に持ち込んで加工してもらう形になります。ジビエ販売に必要な許可と手続きについては、個人向けの申請方法を別記事でまとめています。

モデル3: 皮革・角の加工販売

食肉以外にも、鹿の皮革や角を加工して販売するモデルがあります。農林水産省の調査によると、鹿角製品(鹿茸等)の販売金額は約9,000万円、皮革が約1,400万円となっています(令和5年度、e-Stat 統計表ID: 0002119974)。ニッチな市場ではありますが、ハンドメイドのアクセサリーやペットの噛み玩具として人気が高まっています。

モデル4: 狩猟体験ガイド・講師

狩猟の経験を活かして、初心者向けの狩猟体験ツアーや罠猟の講習会を開催するモデルです。1回あたりの参加費は5,000~20,000円程度が相場で、週末に月2回開催するだけでも副収入として成立します。このモデルは猟期以外の時期にも収入を得られる点がメリットです。

モデル5: ペットフード原材料の供給

近年急成長しているのが、ジビエをペットフードの原材料として販売するモデルです。農林水産省の調査では、ペットフード向けのシカ肉販売が約8億3,100万円に達しており(令和5年度、e-Stat 統計表ID: 0002119974)、食肉以外の販売チャネルとして最大の規模を持っています。食肉としての品質基準に達しない部位も活用できるため、歩留まりの面でも有利です。

副業猟師の年間収入シミュレーション

副業として狩猟に取り組んだ場合、実際にどの程度の収入が見込めるのでしょうか。ここでは「週末猟師」の3つの活動レベルでシミュレーションを行います。

レベル 活動頻度 年間捕獲数 報奨金収入 その他収入 年間合計
ライト 月1~2回 シカ5頭・イノシシ3頭 約15万円 約15万円
ミドル 月3~4回 シカ15頭・イノシシ8頭 約45万円 ジビエ販売10万円 約55万円
ヘビー 週1回以上 シカ30頭・イノシシ15頭 約90万円 ジビエ・皮革30万円 約120万円

上記はあくまで目安です。捕獲頭数は地域の生息密度や猟法(わな猟か銃猟か)で大きく変わります。わな猟であれば平日は罠の見回りだけで済むため、会社員との両立がしやすい傾向にあります。猟師のリアルな年収事情では、専業猟師も含めた収入の実態を紹介しています。

現場の声としては、「最初の1年は赤字覚悟」という猟師が少なくありません。罠の設置場所を覚え、獣道を見極められるようになるまでには時間がかかります。2年目以降に捕獲効率が上がり始め、3年目で年間30~50頭を安定して捕獲できるようになる方が多いと言われています。

副業猟師を始めるためのステップ

副業として狩猟を始めるには、以下の手順を踏みます。

Step 1: 狩猟免許を取得する

まず狩猟免許の取得が必要です。免許は4種類(わな猟・第一種銃猟・第二種銃猟・網猟)があり、副業猟師に最も人気があるのは「わな猟免許」です。理由は、銃猟と比べて初期費用が低く、罠を仕掛けた後は見回りだけで済むため本業との両立がしやすいからです。

取得にかかる期間は予備講習から試験まで約1~2か月、費用は受験料5,200円に加え予備講習費や狩猟税などを合わせて総額約3万~5万円程度です。銃猟免許の場合はさらに猟銃所持許可の取得が必要で、教習射撃や銃の購入を含めると20万~30万円程度かかります。

Step 2: 猟友会に加入する

狩猟者登録の手続きや、地域の猟場の情報を得るために猟友会への加入を強くおすすめします。猟友会を通じて有害鳥獣捕獲の依頼が回ってくるケースがほとんどのため、報奨金収入を得るうえでも重要なステップです。年会費は地域によりますが、1万~2万円程度が一般的です。

Step 3: 狩猟者登録を行う

狩猟を行う都道府県で狩猟者登録を行います。登録には狩猟税(わな猟で8,200円、第一種銃猟で16,500円)と狩猟者登録手数料1,800円がかかります。登録は毎年度更新が必要です。

Step 4: フィールドで経験を積む

最初はベテラン猟師に同行して学ぶのが最も効率的です。猟友会の先輩からフィールドワークの基本、獣道の見つけ方、罠の設置ポイントなどを実地で教わりましょう。初心者が揃えるべき装備一式については別記事で詳しく解説しています。

副業猟師の確定申告と税金のルール

狩猟で得た収入には税金がかかります。副業として行う場合のポイントを整理します。

所得区分は「雑所得」が基本

会社員が副業として報奨金やジビエの販売収入を得た場合、基本的に「雑所得」として扱われます。ただし、継続的・反復的に行い、帳簿を備え付けている場合は「事業所得」として認められる可能性もあります。

確定申告が必要なライン

給与所得以外の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。報奨金やジビエ販売の合計収入から経費を差し引いた金額が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です(ただし住民税の申告は必要)。

経費として認められるもの

経費項目 具体例
装備・消耗品 罠、弾薬、ナイフ、迷彩服、長靴
交通費 猟場への燃料代、高速道路料金
登録・加入費 狩猟者登録料、猟友会費、狩猟税
車両維持費 猟に使用する車両の按分費用
通信費 猟仲間との連絡に使う通信費の按分
保険料 狩猟者共済、ハンター保険

ここで注目すべきは、初年度は装備の購入費が大きいため、報奨金収入があっても経費を差し引くと所得が20万円以下になるケースが多い点です。2年目以降は装備費が減るため、捕獲頭数が増えた段階で確定申告が必要になるパターンが一般的です。

副業で狩猟を始める際の注意点

会社の就業規則を確認する

副業を禁止している企業もあるため、必ず就業規則を確認してください。近年は副業を容認する企業が増えていますが、「猟銃の所持」が社内規定に触れないかどうかは事前に確認しておくべきポイントです。わな猟であれば銃を持たないため、この点のハードルは下がります。

安全管理は絶対に怠らない

狩猟は命にかかわる活動です。特に銃猟では射撃の安全ルールを徹底し、単独猟は経験を積むまで避けるべきです。また、山中での活動には遭難のリスクもあるため、GPSの携帯や入山届の提出を習慣にしてください。

猟期外の活動ルール

有害鳥獣捕獲は猟期外にも活動できますが、必ず市町村からの許可(捕獲許可証)が必要です。無許可での捕獲は鳥獣保護管理法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

よくある質問

Q1: 会社員でも本当に狩猟を副業にできますか?

できます。狩猟免許を取得し、狩猟者登録を行えば法的に問題ありません。特にわな猟は平日の見回りを早朝や退勤後に行えるため、会社員との両立がしやすいスタイルです。ただし、会社の就業規則で副業が認められているかどうかは事前に確認してください。

Q2: 副業猟師の初期費用はどのくらいですか?

わな猟の場合は免許取得費用・狩猟者登録・装備一式を合わせて約5万~10万円程度です。第一種銃猟の場合は猟銃の購入費を含めて20万~30万円が目安です。自治体によっては狩猟免許取得に補助金が出る場合もあるため、お住まいの地域で確認してみてください。

Q3: 年間どのくらいの収入が見込めますか?

活動頻度と地域によって大きく異なります。月1~2回の活動で年間約15万円、週1回以上の活動で年間100万円以上を得ている方もいます。わな猟の場合、設置した罠の数と見回り頻度が収入に直結します。

Q4: 報奨金は誰からもらえますか?

有害鳥獣捕獲の報奨金は、捕獲を依頼した市町村から支払われます。多くの場合、猟友会を通じて依頼が回り、捕獲実績に応じて報奨金が個人に配分されます。国の交付金と自治体の独自予算の合計が支給額となります。

Q5: 確定申告はいつから必要ですか?

給与所得以外の所得(報奨金+販売収入-経費)が年間20万円を超えた年度から確定申告が必要です。初年度は装備の購入費が経費として計上できるため、実質的には2年目以降に確定申告が必要になるケースが多く見られます。なお、所得が20万円以下でも住民税の申告は必要です。

Q6: 女性でも副業猟師はできますか?

もちろんできます。近年は女性の狩猟免許取得者が増加しており、わな猟を中心に活動する女性猟師も珍しくありません。体力面で不安がある場合は、わな猟から始めるのがおすすめです。

まとめ:狩猟を副業にするためのポイント

  • 狩猟は副業として合法的に取り組める。わな猟なら会社員との両立も十分に可能
  • 収入モデルは報奨金・ジビエ販売・皮革加工・ガイド・ペットフード原材料の5つ
  • 初期費用はわな猟で5万~10万円、銃猟で20万~30万円が目安
  • 確定申告は所得が年間20万円を超えた場合に必要(経費を差し引いた額)
  • 安全管理と法令遵守を最優先に。無許可捕獲は法律違反

まずは狩猟免許の取得から始めてみましょう。副業としてスタートし、経験を積みながら収入を拡大していくのが現実的なアプローチです。狩猟に興味がある方は、狩猟の始め方ガイドもぜひ参考にしてください。

参考情報

  • 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974、0002119996)
  • 農林水産省「鳥獣被害防止総合対策交付金実施要領」
  • 環境省「捕獲数及び被害等の状況 ― 野生鳥獣の保護及び管理」
  • 国税庁「確定申告が必要な方」
  • 大日本猟友会「狩猟者数の推移」



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