最終更新: 2026-06-06
Indeedで「猟師 未経験」と検索すると、2026年6月時点で23件以上の求人がヒットする。農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理で得た金額は全国合計で約54億円に達しており、業界全体が拡大基調にある(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119974)。
「猟師に興味はあるけれど、未経験でも採用してもらえるのだろうか」「狩猟免許を持っていなくても応募できる求人はあるのか」――こうした不安を抱えている方は多いはずだ。
この記事では、未経験者が応募できる猟師関連の求人を5つのタイプに分類し、それぞれの仕事内容・待遇・求められるスキルを比較する。さらに、免許を持っていない状態から採用されるまでの具体的な手順を、ステップごとに解説していく。
未経験でも猟師の求人に応募できる理由|業界の構造的な人手不足
猟師の求人が未経験者にも門戸を開いている背景には、業界の構造的な問題がある。
まず、担い手の高齢化が深刻だ。大日本猟友会の統計では、狩猟免許所持者数はピーク時(1975年)の約52万人から現在は約21万人まで減少している。このうち実際に猟に出る実猟者は10万人を下回るとされ、60歳以上の割合が約6割を占める。
次に、国が獣害対策に投じる予算は年間約99億円規模で推移しており、自治体主導の捕獲事業は年々拡大している。環境省が掲げるシカの半減目標は当初の2023年度から2028年度に延長され、捕獲の担い手確保が急務となっている。
こうした状況を受けて、自治体や認定鳥獣捕獲等事業者(環境省の認定を受けた法人)が「未経験者でも育てる」方針で求人を出すケースが増えている。狩猟免許の取得費用を会社が負担する求人も珍しくない。
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 狩猟免許所持者数 | 約21万人(ピーク比60%減) | 大日本猟友会 |
| 実猟者数 | 10万人以下(推定) | 環境省 |
| 60歳以上の割合 | 約6割 | 環境省 鳥獣関連統計 |
| 鳥獣害対策予算 | 年間約99億円 | 農林水産省 |
| ジビエ食肉処理売上 | 約44億円(食肉のみ) | e-Stat 統計表ID: 0002119974、令和5年度 |
未経験者が応募できる猟師求人の5タイプ
猟師といっても、働き方は一つではない。未経験者が応募できる求人は、大きく5つのタイプに分けられる。それぞれの特徴を理解したうえで、自分の生活スタイルや将来のビジョンに合うものを選ぶことが大切だ。
タイプ1: 地域おこし協力隊(有害鳥獣対策枠)
自治体が募集する「地域おこし協力隊」のうち、有害鳥獣対策をミッションとする枠がある。総務省の制度を活用しており、最長3年間の任期が保証される。
報酬は月額16万6千円~26万7千円程度で、自治体ごとに異なる。総務省の令和6年度基準では、隊員1人あたりの経費上限は520万円/年(報償費等320万円+活動経費200万円)と設定されている。狩猟免許の取得費用や猟銃の所持許可にかかる費用を活動費から支出できるケースが多く、未経験者にとってはリスクを抑えて猟師の世界に入れる制度といえる。
任期終了後は、その地域で独立した猟師として活動を続ける人もいれば、認定捕獲事業者に就職する人もいる。
タイプ2: 認定鳥獣捕獲等事業者の社員
環境省が認定した法人で、自治体から委託を受けて有害鳥獣の捕獲を行う事業者だ。日本鳥獣捕獲協会に所属する事業者などが該当する。
正社員として雇用されるため、月給制で社会保険も完備されている場合が多い。年収の目安は300万~350万円程度で、経験を積むと管理職やチームリーダーとして昇給の道がある。
未経験者の場合、入社後に狩猟免許を取得させてもらえる企業が多く、取得費用を会社が全額負担するケースも見られる。実際にIndeedに掲載されている求人には「狩猟免許取得を希望される場合はご相談ください(費用会社負担)」と記載されているものが複数ある。
タイプ3: ジビエ食肉処理施設のスタッフ
捕獲された野生鳥獣を解体・加工する施設で働く職種だ。農林水産省の調査によると、全国のジビエ食肉処理施設は約770施設(令和5年度時点)あり、1施設あたりの平均処理金額は約701万円となっている(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119974)。
仕事内容は、搬入された鹿やイノシシの解体処理、食肉の部位分け、梱包・出荷作業が中心となる。直接猟に出るわけではないが、ジビエ業界の流通や品質管理を学べるため、将来的に猟師として独立する際にも役立つ経験が得られる。
狩猟免許は必須ではなく、食品衛生に関する知識や体力があれば未経験から始められる。パート・アルバイトの求人も多く、時給1,000円~1,500円が相場だ。
タイプ4: 自治体嘱託の鳥獣対策員
市町村が直接雇用する非正規の鳥獣対策専門員だ。有害鳥獣の出没情報を受けて現場に急行し、罠の設置や見回り、捕獲した個体の処理を行う。
年収は200万~300万円程度で、勤務時間は不規則になることがある。自治体によっては正職員登用の道が用意されている場合もある。
この職種は狩猟免許が採用条件となっていることが多いが、「採用後の取得可」としている自治体もある。応募前に募集要項を確認することが重要だ。
タイプ5: 猟師見習い・研修生
ベテラン猟師のもとで見習いとして働くスタイルだ。制度化されたものではなく、個人的なつながりや猟友会を通じた紹介で実現することが多い。
報酬はほとんどない場合もあるが、猟の技術を直接学べるという大きなメリットがある。週末だけ参加するなど柔軟な形態も可能で、会社員として働きながら猟師を目指す人に適している。
猟友会に入会すると、先輩猟師から声をかけてもらえる機会が増える。猟友会の入り方やメリットについては別の記事で詳しく解説している。
| 求人タイプ | 年収目安 | 雇用形態 | 免許の要否 | 未経験者へのおすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| 地域おこし協力隊 | 200万~320万円+活動費 | 非正規(最長3年) | 不要(任期中に取得可) | 高い |
| 認定捕獲事業者 | 300万~350万円 | 正社員 | 入社後取得可 | 高い |
| ジビエ処理施設 | 180万~300万円 | 正社員・パート | 不要 | 高い |
| 自治体嘱託対策員 | 200万~300万円 | 嘱託・非常勤 | 原則必要 | やや高い |
| 猟師見習い | 0~少額 | なし(個人契約) | 不要 | 中程度 |
未経験から猟師の求人に採用されるまでの5ステップ
ここからは、狩猟免許を持っていない完全未経験の状態から、猟師関連の求人に採用されるまでの具体的な手順を解説する。
Step 1: 自分に合う職種タイプを決める
まずは前章の5つのタイプから、自分の状況に合うものを絞り込む。判断のポイントは次の3つだ。
1つ目は「移住の可否」だ。地域おこし協力隊や自治体嘱託は、地方への移住が前提となることが多い。都市部で暮らしながら始めたい場合は、ジビエ処理施設のスタッフや週末の見習いが現実的な選択肢になる。猟師の移住支援制度を確認しておくとよい。
2つ目は「安定収入の必要性」だ。家族がいる場合や生活費の確保が必要な場合は、正社員雇用のある認定捕獲事業者か、報酬が保証される地域おこし協力隊が安心だ。
3つ目は「将来のビジョン」だ。独立した猟師を目指すのか、ジビエビジネスの業界で働きたいのかによって、選ぶべき入口は変わる。
Step 2: 狩猟免許の取得準備を始める
求人への応募と並行して、狩猟免許の取得準備を進めておくと採用の可能性が高まる。面接時に「免許取得の予定があります」と伝えるだけでも、採用担当者の印象は大きく変わる。
狩猟免許は4種類あり、未経験者にはわな猟免許から始めることが多い。狩猟免許の取り方の記事で、試験の流れや合格率を詳しく解説している。
| 免許の種類 | 試験の難易度 | 費用目安 | 未経験者向け |
|---|---|---|---|
| わな猟免許 | 比較的やさしい | 約2万~3万円 | 最もおすすめ |
| 網猟免許 | やさしい | 約2万~3万円 | 対象地域が限られる |
| 第一種銃猟免許 | やや難しい | 約5万~8万円 | 猟銃所持許可も別途必要 |
| 第二種銃猟免許 | 普通 | 約3万~5万円 | 空気銃のみ使用可 |
なお、狩猟免許にかかる費用の全体像を事前に把握しておくと、予算の計画が立てやすい。
Step 3: 求人を探して応募する
猟師関連の求人は、一般的な求人サイトでは見つけにくい。効率的に探すためのルートを知っておくことが大切だ。
主な探し方は5つある。
1つ目はIndeed・求人ボックスなどの求人検索エンジンだ。「猟師」「有害鳥獣」「ジビエ」などのキーワードで検索すると、2026年6月時点でIndeedには23件以上の未経験歓迎求人が見つかる。
2つ目は地域おこし協力隊の専用サイト「ニッポン移住・交流ナビ(JOIN)」だ。「有害鳥獣」で検索すると、随時募集している自治体が表示される。
3つ目はハローワーク(ハローワークインターネットサービス)だ。自治体嘱託や地域の事業者の求人はハローワーク経由が多い。
4つ目は日本鳥獣捕獲協会の公式サイトだ。認定捕獲事業者の求人情報が掲載されることがある。
5つ目は各都道府県の猟友会だ。直接の求人は少ないが、地域の猟師との人脈を通じて仕事の紹介につながることがある。
猟師の求人全般の探し方については別の記事でさらに詳しく解説している。
Step 4: 応募書類を準備する
未経験者が猟師関連の求人に応募する際、履歴書や職務経歴書で重視されるポイントは一般的な転職とは異なる。
採用担当者が見ているのは「狩猟への本気度」「体力面の適性」「地域への定着意思」の3点だ。具体的には以下の要素をアピールすると効果的だ。
| アピールポイント | 具体的な書き方の例 |
|---|---|
| 狩猟への関心・動機 | 「獣害問題に関心を持ち、地域の農業を守る仕事に携わりたい」 |
| 体力・アウトドア経験 | 「登山歴5年、年間20回以上の山行経験あり」 |
| 地域定着の意思 | 「家族と相談のうえ、移住を前提に応募しています」 |
| 免許取得への意欲 | 「応募と並行して、わな猟免許の取得準備を進めています」 |
| 関連スキル | 「前職で車両(4WD)の運転経験あり」「DIYで工具を日常的に使用」 |
Step 5: 採用後の流れを把握しておく
採用が決まったら、実際に猟に出るまでにはいくつかのプロセスがある。焦らず一つずつクリアしていくことが大切だ。
採用後の一般的な流れは次のとおりだ。まず座学研修として、鳥獣保護管理法や安全管理に関する講習を受ける。次に狩猟免許を未取得の場合は試験を受けて取得する。その後、ベテラン猟師に同行して現場研修を行い、罠の設置方法や獣道の見方を学ぶ。最後に、一定の研修期間を経て独力での活動を開始する。
地域おこし協力隊の場合、着任から初猟までの目安は3~6か月程度だ。認定捕獲事業者では、入社後1~3か月の研修期間を設けている企業が多い。
未経験者が知っておくべき猟師求人の待遇と実態
求人票に書かれている情報だけでは、実際の働き方はわかりにくい。ここでは、未経験者が事前に知っておくべき待遇面のリアルな情報をまとめる。
年収は「猟だけ」で生活できるのか
結論から言うと、専業猟師として猟だけで十分な年収を得ている人は限られる。猟師の年収のリアルな事情でも解説しているが、猟師の収入源は大きく分けて3つある。
1つ目は有害鳥獣駆除の報奨金だ。シカ1頭あたり7,000円~15,000円、イノシシは8,000円~20,000円が相場で、自治体によって金額が異なる。
2つ目はジビエ肉の販売収入だ。農林水産省の調査によると、ジビエ食肉の販売金額は全国で約44億円(令和5年度)にのぼり、シカ肉が約25.7億円(構成比47.6%)、イノシシ肉が約16.4億円(構成比30.4%)を占める(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119974)。
3つ目は自治体や事業者からの給与・業務委託料だ。認定捕獲事業者の社員として働く場合は、安定した月給を受け取ることができる。
勤務時間・休日の実態
猟師の仕事は、野生動物の行動に合わせる必要があるため、早朝出勤や不規則な勤務になることがある。特に有害鳥獣が出没した際には、緊急の出動を求められることもある。
一方で、認定捕獲事業者の正社員であれば、週休2日制を採用している企業もある。自治体嘱託の場合は、月の出勤日数が決まっていることが多い。
福利厚生と安全面
猟師の仕事にはケガのリスクが伴う。罠の設置中の事故や、獲物の反撃による負傷の可能性がゼロではない。そのため、狩猟保険(猟友会共済やハンター保険)への加入は必須だ。
認定捕獲事業者や自治体の求人であれば、労災保険が適用される。個人で活動する場合は、ハンター保険(猟友会の共済)や民間の傷害保険に自分で加入する必要がある。
未経験からの転職で成功する人の共通点|現場から見た3つの特徴
猟師の求人に未経験で応募し、採用後に活躍している人にはいくつかの共通点がある。現場の声をもとに、成功する人の特徴を3つ紹介する。
1つ目は「体力よりも継続力」だ。猟師の仕事は体力勝負のイメージがあるが、実際には山中での長時間の待機や、毎日の罠の見回りといった地道な作業の積み重ねだ。特別な体力がなくても、コツコツと続けられる人が成果を出している。
2つ目は「地域コミュニティへの溶け込み」だ。猟師の仕事は地域との連携が欠かせない。農家からの被害情報、他の猟師との猟場の調整、自治体との連絡など、人間関係が仕事の土台になる。移住者であっても、地域の行事に参加したり、近隣の農家と積極的に交流したりする人は早く信頼を得ている。
3つ目は「学ぶ姿勢を持ち続けること」だ。猟師の世界には、教科書に書いていない知識が数多くある。獣道の読み方、天候と動物の行動パターンの関係、地域ごとの猟法の違いなど、ベテランから学ぶべきことは尽きない。「自分のやり方」に固執せず、謙虚に吸収する姿勢が成長を加速させる。
よくある質問
Q1: 狩猟免許を持っていなくても猟師の求人に応募できますか?
応募できる求人はある。地域おこし協力隊(有害鳥獣対策枠)やジビエ食肉処理施設のスタッフは、採用時に狩猟免許が不要なケースが多い。認定捕獲事業者でも「入社後に取得支援あり」とする求人がある。ただし、自治体嘱託の鳥獣対策員は免許を採用条件としていることが多いため、募集要項を確認することが重要だ。
Q2: 猟師の求人は都市部にもありますか?
少数だがある。東京都や大阪府でも、郊外エリアでの有害鳥獣対策に関する求人が出ることがある。ただし、求人の大半は中山間地域に集中しているため、移住を視野に入れると選択肢が大幅に広がる。
Q3: 年齢制限はありますか?
法律上の年齢上限はなく、60歳以上を歓迎する求人もある。一方で、地域おこし協力隊には「おおむね20歳以上」などの年齢条件を設けている自治体が多い。実務上は、山中での活動に耐えられる体力があれば年齢はそこまで問われない。
Q4: 女性でも猟師の求人に応募できますか?
もちろん応募可能だ。近年は女性猟師の数が増加傾向にあり、環境省の統計でも女性の狩猟免許取得者は増えている。ジビエ処理施設や有害鳥獣対策の現場でも女性が活躍している事例がある。
Q5: 猟師の仕事と他の仕事を兼業することは可能ですか?
可能だ。実際に、農業や林業と兼業している猟師は多い。副業として週末のみ猟に出る「週末猟師」というスタイルもある。
Q6: 未経験者の採用面接ではどんなことを聞かれますか?
「なぜ猟師を志望するのか」「移住(または通勤)は問題ないか」「体力面で不安はないか」「免許取得の意思はあるか」といった質問が多い。特に動機の部分では、獣害問題への関心や地域貢献への思いを具体的に語れると評価が高い。
Q7: 採用されてから独り立ちするまでどのくらいかかりますか?
職種や個人差によるが、地域おこし協力隊の場合は着任から3~6か月で初猟を経験し、1年程度で基本的な猟ができるようになる人が多い。認定捕獲事業者では1~3か月の研修後に先輩と同行しながら徐々に独力での業務に移行するのが一般的だ。
まとめ:猟師の求人に未経験で挑戦するためのポイント
- 猟師業界は高齢化による担い手不足が深刻で、未経験者を歓迎する求人が増えている
- 未経験者が応募できる求人は「地域おこし協力隊」「認定捕獲事業者」「ジビエ処理施設」「自治体嘱託」「猟師見習い」の5タイプに大別される
- 狩猟免許がなくても応募できる求人はあるが、取得準備を並行して進めると採用率が上がる
- 求人はIndeed、JOIN(地域おこし協力隊)、ハローワーク、猟友会経由で見つかる
- 採用後は座学研修→免許取得→現場同行→独力活動の流れで進むのが一般的
まずは自分に合った職種タイプを見極めることから始めてみよう。猟師になるための全体的な流れを把握したうえで、求人サイトやJOINで実際の募集を確認してみることをおすすめする。
一次産業のキャリアに関心がある方は、同じく人手不足が課題となっている水産養殖業の年収事情も参考になるだろう。
参考情報
- 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974)
- 環境省・農林水産省「シカ・イノシシの捕獲強化対策と捕獲目標について」(令和5年9月)
- 大日本猟友会「狩猟者数の推移」
- 総務省「令和6年度 地域力創造グループの新規・拡充施策等」(地域おこし協力隊の経費上限)
- Indeed「猟師 未経験 求人検索結果」(2026年6月時点)

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