最終更新: 2026-08-02
2026年7月第5週は、地域主導のジビエ活用と獣害処理の技術革新が注目を集めた週だった。神奈川県秦野市が駆除獣をまちおこしの財源に変える取り組みをABEMAが特集し、島根県松江市では有害鳥獣を土壌に還す発酵処理の実証実験が始まった。一方、7000年前の狩猟採集民が木製のわなと魚の放流を組み合わせていたという研究も報じられ、人類と「捕獲技術」の長い歴史が改めて浮き彫りになった。世界の釣り・狩猟用具市場は2032年に向けて堅調な成長が続くとの予測も示されており、産業としての広がりを確認できる1週間だった。
ジビエ市場・新店
神奈川・秦野市が「ジビエで町おこし」——駆除した個体を地域の財産として活かす
神奈川県秦野市の取り組みをABEMAが特集した。市内で有害鳥獣として駆除されたシカとイノシシを、廃棄するのではなく地域の「財産」として捉え直し、ジビエとして流通・消費につなげることで地域経済の活性化を図っている。
秦野市は丹沢山地の麓に位置し、野生動物との距離が近い地形的特性を持つ。従来、農業被害防止を目的として捕獲された個体の多くは埋設処分されてきた。しかし近年、処分コストの負担増加と、ジビエ需要の拡大という2つの変化が重なり、流通活用へ舵を切る自治体が増加している。農水省の調査によれば、国産ジビエの販売金額は2023年度に約54億円(前年比横ばい)に達しており、7年前の約1.8倍に成長している。
秦野市の事例が注目される背景には、大都市圏のすぐそばにジビエの産地が成立しうるという点がある。都心から電車で1時間圏内に位置することから、「産地から消費地まで近距離」という流通上のアドバンテージが生かしやすい。飲食店との直接連携や、観光資源としてのジビエ体験メニューへの展開も視野に入る。
ジビエでの地域活性化事例をより詳しく知りたい方はこちら(情報元:ABEMA)
獣害対策
松江市が有害鳥獣の「発酵処理」実証実験を開始——狩猟者の埋設負担を解消へ
島根県松江市が、捕獲した有害鳥獣の死体を発酵処理によって土壌還元する実証実験を始めたと山陰中央新報デジタルが報じた。これまで捕獲個体の処理は、猟師が山中に埋設するか、焼却施設に持ち込むかという2択に限られていた。どちらの手段も肉体的・経済的な負担が大きく、捕獲意欲の低下要因になっているという指摘が現場から長年上がっていた。
今回の発酵処理は、専用の容器や資材を使って死体を短期間で分解し、農業用堆肥として再利用することを目指す。実証段階ではあるが、成立すれば処分のコストと労力が大幅に圧縮される可能性がある。特に、山中での埋設作業には時間と体力を要するため、高齢化が進む猟師の実態に即した解決策として期待が高い。
一方で、課題も残る。衛生管理の基準を満たした施設や専用資材の確保、処理完了までの保管場所の確保など、実用化に向けては複数のハードルを越える必要がある。松江市の実験結果が蓄積されることで、他の自治体が追随する際の参考データとなることが期待される。
捕獲した個体の適切な処理は、獣害対策の継続性を左右する重要な課題だ。(情報元:山陰中央新報デジタル)
業界トレンド
7000年前の人類がすでに「わな猟+魚の放流」を組み合わせていた——GIGAZINEが報道
GIGAZINEが、学術論文をもとに7000年前(新石器時代)の狩猟採集民に関する研究を紹介した。スウェーデンの湖底から発見された遺構の分析によると、当時の人々は意図的に魚を山の湖に放流し、木製のわなを使って効率的に捕獲していたことが判明したという。
これは単純な採集行動ではなく、資源管理を前提とした「計画的な漁猟」として評価されており、人類が食料源を管理するための道具体系を早くから発達させていたことを示している。木製のわなは、現代のくくり罠や箱罠の祖先にあたる構造を持つとされており、「罠で獲る」という発想の歴史的根深さが改めて確認された。
日本においても、縄文時代の遺跡からは多様な落とし穴や罠の痕跡が出土しており、狩猟の歴史は農耕以前から連綿と続く人間の本質的な営みだ。現代の狩猟免許制度や罠猟技術は、こうした数千年の知恵の積み重ねの上に成り立っている。(情報元:GIGAZINE)
釣り・狩猟用具市場、2026〜2032年の世界予測レポートが公表——産業の裾野は広い
Newscast.jpが、釣り・狩猟用具の世界市場に関する調査レポートの要旨を紹介した。製品タイプ、使用素材、対象環境、流通チャネルなどを横断的に分析した内容で、2026年から2032年にかけての市場拡大が予測されている。
国内においても、アウトドア人気の高まりとともにハンティングギアへの注目が集まりつつある。登山やキャンプとのコーディネートが可能なウェア、軽量化された罠、IoTを活用した見回りシステムなど、道具の多様化・高機能化が進んでいる。初心者が狩猟を始める際のコストも以前より選択肢が広がっており、アクセスのハードルは徐々に下がりつつある。(情報元:Newscast.jp)
今週の主要ニュース一覧
| 日付 | 地域 | 内容 | カテゴリ | 情報元 |
|---|---|---|---|---|
| 7/27 | 神奈川県 | 秦野市がジビエで町おこし、駆除獣を「財産」に | ジビエ市場 | ABEMA |
| 7/29 | 世界 | 釣り・狩猟用具市場の2026〜2032年世界予測 | 業界トレンド | Newscast.jp |
| 7/30 | 国際研究 | 7000年前の人類が木製わな+魚放流で計画的捕獲 | 業界トレンド | GIGAZINE |
| 7/31 | 島根県 | 松江市が有害鳥獣の発酵処理実証実験を開始 | 獣害対策 | 山陰中央新報デジタル |
まとめ
今週は、捕獲した獣をいかに「活かすか」「処理するか」という実務的な課題に注目が集まった週だった。秦野市のジビエまちおこしは「活かす」側の好例であり、松江市の発酵処理実験は「処理する」側の革新への挑戦だ。どちらも、狩猟者の負担を軽減しながら地域社会に価値を還元しようとするアプローチという点で共通している。
ジビエの流通活用が広まるほど、捕獲個体を無駄なく使いきる仕組みへの需要は高まる。一方で、流通に乗らない個体の処理コスト問題は依然として現場の大きな課題だ。松江市の実証実験が「第三の選択肢」として定着するかどうか、今後の進捗を注視したい。
また、7000年前の人類がすでにわなと放流を組み合わせた計画的な資源管理を行っていたという事実は、現代の狩猟・捕獲技術が人類の本質的な知恵の延長線上にあることを示す。狩猟の価値を社会に問い直す文脈で活用できる知見だ。
来週は、学校給食へのジビエ活用の広がりや自治体の秋のジビエフェア準備に向けた動きも注目されるタイミングに入る。引き続き業界の最新情報をお届けする。
参考記事
- ABEMA「ジビエで町おこし 駆除したシカ、イノシシは『財産』 神奈川・秦野市」(2026年7月27日)
- Newscast.jp「釣り・狩猟用具市場:製品タイプ、使用素材、対象環境、種類、パッケージ構成、流通チャネル、エンドユーザー別―2026年~2032年の世界市場予測」(2026年7月29日)
- GIGAZINE「7000年前の狩猟採集民が食糧源として山の湖に魚を放流して木製のわなで捕獲していたことが判明」(2026年7月30日)
- 山陰中央新報デジタル「有害鳥獣の発酵処理 松江市が実証実験 狩猟者の埋設負担減へ」(2026年7月31日)

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