最終更新: 2026-10-12
結論から言うと、クロスボウ(ボーガン)を使って狩猟鳥獣を捕獲することは、日本国内では法律上できません。鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)の施行規則第10条第3項第12号で、「矢を使用する方法」が狩猟鳥獣の捕獲等を禁止する猟法として明記されているためです。
一方で、クロスボウの所持許可申請書類には「狩猟」という用途欄が存在し、これを見て「クロスボウで狩猟ができる」と誤解する人が少なくありません。この記事では、所持許可の仕組みと、狩猟で実際に使える猟具との違いを整理します。
クロスボウによる狩猟が禁止されている根拠

環境省は2017年、鳥獣保護管理法施行規則の禁止猟法の表記を「弓矢を使用する方法」から「矢を使用する方法」に改正しました。改正前は「弓矢」という表記のため、クロスボウ(ボーガン)が該当するかどうかが取締り上の論点になっていましたが、表記変更によってクロスボウや吹き矢も明確に禁止猟法に含まれることになりました。東京都環境局が公開している「捕獲を禁止する猟法」の一覧にも、「矢を使用する方法」が明記されています。
つまり、クロスボウによる狩猟は近年新しく禁止されたものではなく、2017年の規則改正によって「禁止されていることが明確になった」という経緯です。狩猟免許の種類(第一種銃猟・第二種銃猟・わな猟・網猟)のいずれを持っていても、矢を使う猟法である以上、クロスボウで狩猟鳥獣を捕獲することはできません。
所持許可の「狩猟」用途欄は何を指すのか

警視庁などが公開しているクロスボウ所持許可申請の案内では、許可される用途として「標的射撃」「有害鳥獣駆除」「狩猟」などの区分が示されています。これだけを見ると矢を使った狩猟が可能に思えますが、この「狩猟」「有害鳥獣駆除」の用途欄が指すのは、麻酔薬を注入した特殊な矢を使い、鳥獣保護管理法第9条に基づく捕獲許可(学術研究や個体管理のための麻酔捕獲など)を受けて行う、特定の捕獲作業のことです。警察庁の有識者検討会の報告書によれば、こうした麻酔捕獲での利用許可は令和元年度で5件程度にとどまります。
一般の狩猟者が狩猟免許・狩猟者登録だけで行う通常の狩猟において、殺傷目的でクロスボウを使うことは、用途欄の有無にかかわらず認められていません。
| 制度 | 根拠法令 | 内容 |
|---|---|---|
| クロスボウの所持許可 | 銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法) | 標的射撃・麻酔捕獲等の目的でクロスボウそのものを所持するための許可。2022年3月15日施行の改正で許可制になった |
| 狩猟での使用禁止 | 鳥獣保護管理法施行規則第10条第3項第12号 | 「矢を使用する方法」による狩猟鳥獣の捕獲等を禁止。2017年の規則改正でクロスボウ・吹き矢も対象と明確化 |
所持許可はクロスボウという「物」を持つための許可であり、狩猟での使用可否は別の法律(鳥獣保護管理法)が規定しています。この二つの制度を混同しないことが、インターネット上の誤解を避けるポイントです。
狩猟で実際に使える猟具は何か

狩猟免許ごとに使える猟具は、大きく「銃」「わな」「網」の3系統に分かれます。矢(クロスボウ・弓・吹き矢を含む)はこのいずれにも含まれません。
| 猟具 | 必要な免許 | 対応する記事 |
|---|---|---|
| 散弾銃・ライフル銃 | 第一種銃猟免許 | [猟師が使える銃の種類|散弾銃・ライフル・空気銃を解説](https://kariudo.jp/uncategorized/hunter-usable-gun-types-guide/) |
| 空気銃 | 第二種銃猟免許 | 同上 |
| くくり罠・箱罠 | わな猟免許 | [くくり罠の設置方法](https://kariudo.jp/%e7%8c%9f%e3%81%ae%e5%ae%9f%e8%b7%b5/kukuri-trap-setup-method/)・[箱罠の作り方(DIY)](https://kariudo.jp/hunting-practice/box-trap-diy-guide/) |
| むそう網・はり網 | 網猟免許 | [網猟免許とは|むそう網・はり網の仕組みと対象鳥獣を解説](https://kariudo.jp/hunting/ami-ryo-menkyo-towa-guide/) |
「射撃」そのものに関心があり、矢を使った射撃を狩猟以外の場面で楽しみたい場合は、クロスボウ射撃は国内で約100人規模の競技として行われている標的射撃の枠組みを利用することになります。狙う対象が生きた鳥獣であれば、使える猟具は上の表の範囲に限られます。
よくある質問
Q1: 海外ではクロスボウ狩猟が認められているのに、日本ではなぜ禁止なのですか?
アメリカの一部の州などではクロスボウやコンパウンドボウによる狩猟(ボウハンティング)が認められていますが、これは各国・地域が独自に定める狩猟規則の違いによるものです。日本の鳥獣保護管理法は矢を使用する方法を一律で禁止猟法に指定しているため、海外での可否とは関係なく国内では行えません。
Q2: クマのような大型獣をクロスボウで仕留めることは可能ですか?
威力の問題ではなく、そもそも矢を使用する方法自体が狩猟鳥獣の捕獲等を禁止する猟法に指定されているため、対象がクマであっても他の鳥獣であっても、クロスボウによる狩猟はできません。
Q3: クロスボウの所持許可を持っていれば、有害鳥獣駆除の現場で使えますか?
一般的な有害鳥獣駆除(猟友会による捕獲活動など)は、わな猟免許・銃猟免許に基づく猟具(わな・銃)を使って行われます。クロスボウの所持許可にある「有害鳥獣駆除」の用途欄は、麻酔捕獲など鳥獣保護管理法第9条の捕獲許可に基づく特定の作業を指すものであり、一般的な駆除活動での使用を意味するものではありません。
まとめ:クロスボウ狩猟に関する誤解を整理する
- クロスボウでの狩猟は、鳥獣保護管理法施行規則第10条第3項第12号の「矢を使用する方法」の禁止規定により、日本国内ではできない
- この禁止は2017年の規則改正で「弓矢」から「矢を使用する方法」に表記が変わり、クロスボウ・吹き矢が明確に対象となった
- 銃刀法上のクロスボウ所持許可にある「狩猟」「有害鳥獣駆除」の用途欄は、麻酔捕獲など特定の許可事業を指し、一般の狩猟とは別の話
- 狩猟で使える猟具は、免許の種類に応じて「銃」「わな」「網」のいずれかに限られる
狩猟を始めたい場合は、まず第一種・第二種銃猟免許、わな猟免許、網猟免許のうちどれが自分の目的に合うかを確認するところから始めるとよいでしょう。免許の種類と取得手順は「狩猟免許の取り方|初心者向け5ステップ・費用・合格率」で解説しています。
参考情報
- 東京都環境局「捕獲を禁止する猟法|鳥獣保護管理対策」(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/prohibition_hunting/)— 禁止猟法一覧(「矢を使用する方法」を含む)について参照(確認日: 2026年10月12日)
- 警察庁「クロスボウについて(クロスボウの所持等の在り方に関する有識者検討会 第1回資料)」(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/shiryou02.pdf)— クロスボウの所持許可用途・麻酔捕獲での利用許可件数(令和元年度5件)について参照(確認日: 2026年10月12日)
- 警視庁「クロスボウの所持許可申請」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/application/crossbow_shoji.html)— 所持許可の用途区分・必要書類について参照(確認日: 2026年10月12日)
- 高知県警察「銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正(クロスボウの所持禁止)」(https://www.police.pref.kochi.lg.jp/docs/2023103000294/)— クロスボウ所持の許可制化(2022年3月15日施行)について参照(確認日: 2026年10月12日)

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