最終更新: 2026-09-15
大日本猟友会の公表データによると、全国の狩猟免許交付数は約21万件にのぼりますが、猟師を目指す人の多くが最初につまずくのが「銃を使って狩猟をするには、結局どの免許が必要なのか」という疑問です。「狩猟免許を取れば銃も持てるようになるのでは」と誤解したまま準備を始めてしまい、後から手続きのやり直しに時間を取られる人も少なくありません。この記事では、猟師が銃で狩猟をするために必要な2つの許可制度の違いと、それぞれの取得順序・費用の目安を徹底解説します。まず制度の全体像を整理し、次に免許・許可ごとの特徴を比較し、最後に取得のロードマップと注意点をお伝えします。
猟師に必要な銃の免許とは?基本をわかりやすく解説

猟師が銃猟をおこなうために必要な資格は、実は1つの免許で完結するものではありません。「狩猟免許」と「猟銃の所持許可」という、管轄も根拠法もまったく異なる2つの制度をクリアする必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 狩猟免許=野生鳥獣を捕獲する行為そのものの許可/所持許可=銃という物を所有・使用するための許可 |
| 根拠法 | 狩猟免許は鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)/所持許可は銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法) |
| 発行元 | 狩猟免許は都道府県(知事)/所持許可は住所地を管轄する警察(公安委員会) |
| 特徴 | どちらか片方だけでは合法的に銃猟ができない。両方をセットで取得する必要がある |
ここで押さえておきたいのは、狩猟免許のうち銃猟に対応するのは「第一種銃猟免許(散弾銃・ライフル銃)」と「第二種銃猟免許(空気銃)」の2種類のみという点です。わな猟免許や網猟免許を取得しても、それだけで銃を所持・使用できるわけではありません。
猟師が取得すべき銃の免許・許可の種類

猟師が銃猟を目的として揃えるべき資格を一覧にすると、次のようになります。
| 資格名 | 発行元 | 対象となる猟具 | 主な取得要件 |
|---|---|---|---|
| 第一種銃猟免許 | 都道府県 | 散弾銃・ライフル銃 | 知識・適性・技能試験に合格 |
| 第二種銃猟免許 | 都道府県 | 空気銃(エアライフル) | 知識・適性・技能試験に合格(第一種より出題範囲が限定的) |
| 猟銃・空気銃所持許可 | 警察(公安委員会) | 実際に所持する銃器そのもの | 猟銃等講習会の受講、教習資格認定、射撃教習、身辺調査 |
| 狩猟者登録 | 都道府県(猟友会経由が一般的) | 実際の狩猟行為 | 狩猟免許取得後、狩猟税の納付と登録手続き |
つまり「銃を使って狩猟をする」ためには、①狩猟免許(第一種または第二種銃猟)②猟銃・空気銃所持許可③狩猟者登録という3段階をすべて満たす必要があります。第一種銃猟免許の試験内容については「第一種銃猟免許の試験内容を徹底解説」、所持許可の申請フローは「猟銃の所持許可を取る流れ」で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。
なお、わな猟に興味がある場合は銃の免許自体が不要になります。「わな猟免許の難易度」で比較しているとおり、わな猟は銃猟に比べて取得までのハードルが低い傾向があります。
猟師が銃の免許を取得するメリット
銃の免許・所持許可を取得することで得られるメリットは、単に「猟具の選択肢が増える」という以上に大きなものがあります。
まず、シカ・イノシシのような中大型獣を確実に仕留められる猟具は基本的に銃であり、わな猟だけでは対応が難しい状況(緊急銃猟のように市町村長の要請で出動する場面など)にも対応できるようになります。銃猟免許保有者は、こうした行政からの要請に応えられる担い手として重宝される場面が増えています。
また、捕獲した個体をジビエとして流通させる際にも、銃猟には利点があります。農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設に搬入された野生鳥獣のうちシカが79.3%、イノシシが20.7%を占めており、これらの多くは銃猟またはわな猟で捕獲されたものです。銃猟で仕留めた個体は止め刺しの工程が単純になりやすく、肉質の劣化を抑えやすいとされる点も、ジビエ販売を視野に入れる猟師にとってはメリットの一つです。詳しいデータは狩猟・ジビエ業界の統計まとめページをご覧ください。
猟師が銃の免許取得で注意すべき点・デメリット
一方で、銃の免許・所持許可には見過ごせない負担もあります。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 費用がかさむ | 講習会・教習・試験・診断書・銃本体・保管設備まで含めると総額30万円前後になることが多い |
| 更新の手間 | 所持許可の有効期間は3回目の誕生日までで、更新のたびに講習と身辺調査が必要 |
| 保管義務が厳しい | 自宅にガンロッカーの設置が法律で義務付けられており、設置基準を満たさないと許可が下りない |
| 身辺調査がある | 本人だけでなく同居家族の状況(精神疾患の既往歴やDVの有無など)も確認される場合がある |
猟銃の保管方法とガンロッカーの設置基準については「猟銃の保管方法【完全ガイド】」で具体的な基準を解説しています。所持許可の取得を検討する段階で、事前に保管場所の確保にめどをつけておくと手続きがスムーズです。
猟師の銃の免許取得ロードマップ(体験ベース)
所持許可の審査は教習資格認定の申請から数週間〜1カ月以上かかるケースがあり、狩猟免許の勉強にばかり気を取られていると、この期間の長さで出遅れてしまいがちです。狩猟免許の勉強と並行して所持許可の手続きを進めるのが、無理のないスケジュールにつながります。
一般的な取得の流れは次のとおりです。
1. 都道府県が実施する狩猟免許試験(第一種または第二種銃猟)に申し込み、合格する
2. 警察署で猟銃等講習会(初心者講習)を受講し、考査に合格する
3. 教習資格認定を申請し、指定射撃場での射撃教習を受ける
4. 銃砲店で購入予定の銃を決め、譲渡等承諾書を発行してもらう
5. 猟銃・空気銃所持許可を本申請し、身辺調査を経て許可を取得する
6. 狩猟者登録をおこない、実際の狩猟シーズンに備える
猟銃等講習会の内容や考査対策は「猟銃等講習会(初心者講習)の内容と考査対策」、狩猟免許そのものの取り方は「狩猟免許の取り方ガイド」で詳しく解説しています。免許取得後のキャリア全体の流れは「猟師になるには?免許取得から収入源まで7ステップ」も参考にしてください。
よくある質問
Q1. 狩猟免許を取れば銃も持てるようになりますか?
いいえ、狩猟免許と銃の所持許可はまったく別の制度です。狩猟免許は「狩猟行為」を許可するものであり、銃という「物」を所持する許可は警察が別途審査します。両方を取得して初めて、合法的に銃猟ができるようになります。
Q2. わな猟だけをするなら銃の免許は不要ですか?
はい、不要です。わな猟免許と狩猟者登録さえあれば、くくり罠や箱罠を使った狩猟が可能です。銃を扱う予定がなければ、所持許可のような煩雑な手続きを踏む必要はありません。
Q3. 猟銃の所持許可の有効期間はどのくらいですか?
所持許可を受けた日から3回目の誕生日を迎えるまでです(2026年9月時点)。更新申請は有効期間満了の2カ月前から1カ月前までのあいだにおこなう必要があり、更新のたびに講習修了証明書(有効期間3年)の取得も求められます。
Q4. 銃の免許・所持許可の取得にかかる費用はどれくらいですか?
狩猟免許試験の受験料・講習料に加え、猟銃等講習会、教習資格認定、射撃教習、診断書取得、銃本体、保管設備の費用まで含めると、初年度は総額で25万円〜35万円程度になるケースが多いです。内訳の詳細は「[狩猟免許の費用は合計いくら?](https://kariudo.jp/hunting/hunting-license-total-cost/)」で解説しています。
Q5. 未成年でも銃の免許は取得できますか?
第一種・第二種銃猟免許は原則20歳以上(网猟・わな猟免許は18歳以上)が対象です。銃刀法上の所持許可についても年齢要件が定められているため、未成年のうちは銃猟の準備を進めることはできません。
Q6. 過去に病歴があると銃の免許は取れませんか?
統合失調症、そううつ病、てんかんなど銃刀法で定められた一定の病歴がある場合、許可が下りないことがあります。持病がある場合は、事前に医師の診断書を用意し、警察の担当窓口に相談しておくことをおすすめします。
Q7. 銃の免許取得と狩猟免許、どちらを先に取るべきですか?
順序に厳密な決まりはありませんが、狩猟免許試験の勉強を先に始めつつ、並行して猟銃等講習会の予約を取るのが効率的です。所持許可の審査には時間がかかるため、早めに動き出すことで狩猟シーズンに間に合わせやすくなります。
まとめ:猟師に必要な銃の免許のポイント
- 猟師が銃猟をするには「狩猟免許(第一種・第二種銃猟)」と「銃刀法に基づく所持許可」の2つが必要
- 発行元・根拠法がまったく異なるため、片方だけでは合法的に銃猟はできない
- 費用は総額25万円〜35万円程度、期間は数カ月かかることを見込んでおく
- 所持許可の審査には時間がかかるため、狩猟免許の勉強と並行して手続きを進めるのが実情に即している
- わな猟だけを目指すなら、銃の免許・所持許可は不要
まずは自分が目指す猟のスタイル(銃猟かわな猟か)を明確にし、必要な資格を洗い出すところから始めてみましょう。銃猟を選ぶ場合は、狩猟免許試験の申込と並行して、最寄りの警察署で猟銃等講習会の開催日程を確認することをおすすめします。免許取得後のキャリアの広げ方は「猟師に必要な資格6種|費用・難易度・取得順を一覧表で徹底比較」もあわせてご覧ください。
この記事は猟人編集部が執筆しました。猟人 -KARIUDO- は狩猟・ジビエ業界に特化した専門メディアです。
参考情報
- 環境省「猟具(猟銃、わな、網)を所持する」 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/tool.html
- 環境省「狩猟免許を取得する」 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html
- 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)— e-Stat 統計表ID: 0002119971
- 警視庁「更新申請(猟銃・空気銃所持許可)」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/application/update.html
- 大日本猟友会「狩猟者数の推移」 https://j-hunters.com/info/suii.php


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