最終更新: 2026-10-04
10月第1週(2026年9月28日〜10月4日)は、自治体による「担い手確保」の動きが目立った一週間だった。新潟県新発田市が狩猟免許を持つ「ガバメントハンター」を県内で初めて採用し、群馬県では山本一太知事自らが猟銃所持への第一関門をクリアした。獣害対策の現場では専門家による被害増加の背景解説や対馬での資源化の取り組みが報じられ、ジビエ普及の裾野では高校生の活動も話題になった。今週も注目ニュースをカテゴリー別にお届けする。
狩猟行政・法改正ニュース
新発田市、県内初の「ガバメントハンター」採用 クマ出没増に備える
新潟県新発田市は、狩猟免許を持ち有害鳥獣対策を担う会計年度任用職員「ガバメントハンター」として、県猟友会北蒲原支部に所属する坂上龍夫さん(74)を採用したと新潟日報が報じた。任期は12月末までの4カ月間で、市農林水産課に常駐し、クマの出没が増える秋場の緊急対応に備える。新潟県内では新発田市のほか村上市・三条市・妙高市でも同様の職員導入の動きが報じられており、クマ被害の深刻化を受けて自治体が捕獲の担い手を直接雇用する動きが広がりつつある。本サイトで解説している有害鳥獣駆除の報奨金はいくら?都道府県別の金額と申請方法で紹介している従来の「駆除報奨金」に加え、常勤に近い形で猟師を雇用する枠組みが広がるかが今後の焦点になりそうだ(情報元:新潟日報)。
群馬県知事も参加、「クマ撃退チーム」が猟銃所持への第一関門を突破
群馬県の山本一太知事を含む県職員有志「クマゲキ」のメンバー8人全員が、県公安委員会が実施した猟銃等取扱初心者講習の考査に合格したと日本農業新聞が報じた。この考査は猟銃の所持許可を得るために必要な法令・取り扱い知識を問うもので、今後は所持許可の申請や実技教習など次の段階に進むことになる。背景には県内で相次ぐクマ被害への対策として、捕獲を担う「ガバメントハンター」の確保・育成を急ぐ狙いがある。所持許可までの具体的な流れは本サイトの猟銃の所持許可を取る流れ|申請手続き・費用・期間を完全解説で解説している(情報元:日本農業新聞/Yahoo!ニュース)。
獣害対策ニュース
クマ・イノシシ被害はなぜ増えているのか、専門家が指摘する4つの背景
獣害対策を専門とする長岡技術科学大学の山本麻希准教授が、クマやイノシシによる被害が近年急増している背景を解説した記事がUnisba Mediaで取り上げられた。要因として挙げられているのは、長年の保護により野生動物の絶対数自体が増えていること、中山間地域の過疎・高齢化で里山が荒廃し奥山と集落を結ぶ「通り道」ができたこと、ドングリ類の凶作で山中のエサが不足していること、そして人の生活圏に日常的に出入りする「アーバンベア」が増えていることの4点だ。個体数管理と生息地管理の両方が必要になるという指摘は、本サイトで紹介しているイノシシ被害の農業対策完全ガイド|補助金から駆除までの内容とも重なる(情報元:Unisba Media)。
苫小牧の狩猟家・黒田未来雄さんが語る「クマとの向き合い方」
元NHKディレクターで苫小牧在住の狩猟家・黒田未来雄さんが、道新苫小牧政経文化懇話会で講演し、「クマが出ない地域はない」としたうえで、人間との距離感をクマに教え込む環境づくりの重要性を語ったと47NEWSと北海道新聞デジタルが報じた。黒田さんはカナダ先住民族の狩猟観に影響を受け、ヒグマと向き合う猟師や研究者を取材したノンフィクション作品も発表している人物で、単なる駆除論ではなく人とクマの関係性そのものを捉え直す視点を示した点が注目される(情報元:47NEWS/北海道新聞デジタル)。
対馬、深刻化する猪鹿被害に「獣害から獣財へ」で挑む
長崎県対馬市で獣害対策に取り組む一般社団法人daidaiが、イノシシ・シカによる深刻な被害を食い止めるための活動資金をクラウドファンディング(READYFOR)で募っていることが報じられた。daidaiは2016年に設立された団体で、駆除対象となる個体を単なる「害獣」として処理するのではなく、食肉や皮革など地域の資源として活用する「獣害から獣財へ」という考え方で活動している。捕獲後の資源化ルートを地域で確保する取り組みは、本サイトのイノシシ被害の農業対策完全ガイド|補助金から駆除まででも触れている課題と共通する(情報元:READYFOR)。
ジビエ市場・新店ニュース
高知商業高校「ジビエ部」、狩猟フェスタに参戦 鹿カレーパンで鳥獣対策PR
高知商業高校の「ジビエ商品開発・販売促進部」が、高知市で開催される狩猟フェスタに参戦し、シカ肉と県産の牛・豚・鶏肉をミックスした「鹿カレーパン」の販売や、来場者向けの「ジビエと狩猟の○×クイズ」を企画していると高知さんさんテレビが報じた。狩猟フェスタはハンターの確保やジビエを含む地域資源の有効活用を目的に高知市で継続開催されているイベントで、高校生が商品開発を通じて鳥獣対策とジビエの魅力を発信する動きは、担い手不足が指摘される業界にとって次世代への裾野拡大の一例といえる。ジビエそのものの基礎知識は本サイトのジビエとは何か?【完全解説】語源・種類・栄養・安全な食べ方まででも解説している(情報元:高知さんさんテレビ)。
業界トレンドニュース
ボツワナ、独立記念日でゾウ23頭の狩猟を許可 保護団体は批判
アフリカ南部ボツワナ政府が、独立記念日の祝賀行事で使う伝統的な食事のために国内各地でゾウ計23頭の狩猟を許可していたことが共同通信の報道で明らかになった。ボツワナには13万頭以上のゾウが生息し観光資源になっている一方、人の生活圏に出没し農作物を荒らす被害も問題となっており、政府は個体数管理の一環だと説明している。これに対し地元の動物保護団体は「ゾウの殺害が許されるという印象を与え、密猟を助長しかねない」と批判しており、野生動物の個体数管理と保護の間でのバランスの難しさを示す事例だ(情報元:共同通信/Yahoo!ニュース)。
ボルネオ島、”写真を撮れば報酬”で密猟者を保護活動へ転換
インドネシア・ボルネオ島の西カリマンタン州にある9つの村で、住民がスマートフォンで野生動物の写真・動画・鳴き声を記録すると報酬を受け取れる仕組み「ケハティク」が成果を上げていると日刊ゲンダイDIGITALが報じた。環境保全コンサルタント会社「ボルネオ・フューチャーズ」が2024年に試験運用を始め、現在800人以上の住民が参加。対象は鳥類やサル、野生ネコ科動物、シカなど73種におよび、希少性や観察の難しさに応じて報酬が支払われる仕組みで、参加者の中には月数万円の副収入を得る人もいるという。狩猟者を「獲る」から「観察し記録する」役割に転換させる発想は、日本の副業猟師のあり方を考えるうえでも参考になりそうだ。日本国内の猟師の収入事情は本サイトの猟師の年収リアル事情|収入源・働き方別の具体的な金額でも紹介している(情報元:日刊ゲンダイDIGITAL)。
今週のニュースまとめ
| カテゴリー | トピック | 地域 | 注目度 |
|---|---|---|---|
| 狩猟行政・法改正 | 「ガバメントハンター」を県内初採用、クマ出没増に備える | 新潟県新発田市 | 高 |
| 狩猟行政・法改正 | 知事含む職員有志が猟銃所持への第一関門を突破 | 群馬県 | 高 |
| 獣害対策 | 専門家が指摘する獣害増加の4つの背景 | 全国 | 高 |
| 獣害対策 | 狩猟家・黒田未来雄さんが語る「クマとの向き合い方」 | 北海道苫小牧市 | 中 |
| 獣害対策 | 「獣害から獣財へ」、猪鹿被害対策の資金を募る | 長崎県対馬市 | 中 |
| ジビエ市場・新店 | 高校生「ジビエ部」が狩猟フェスタで鹿カレーパン販売 | 高知県 | 中 |
| 業界トレンド | 独立記念日でゾウ23頭の狩猟許可、保護団体は批判 | ボツワナ | 低 |
| 業界トレンド | “写真を撮れば報酬”で密猟者を保護活動へ転換 | インドネシア | 低 |
まとめ
今週は、新発田市の「ガバメントハンター」初採用や群馬県知事自らの猟銃所持への挑戦など、自治体がクマ被害対策の担い手を自ら確保しようとする動きが際立った一週間だった。背景には、専門家が指摘する個体数増加・里山荒廃・エサ不足・アーバンベア化という構造的な獣害増加要因があり、対馬の「獣害から獣財へ」の取り組みのように、捕獲後の資源化まで含めた地域ぐるみの対策も各地で続いている。
一方、高知商業高校「ジビエ部」の活動は、ジビエの魅力を次世代に伝える裾野拡大の好例であり、海外のボツワナやボルネオ島の事例は、狩猟と野生動物保護のバランスをどう取るかという世界共通の課題を映し出している。来週も自治体主導の担い手確保策と、現場での獣害対策の実効性の両面を追いかけていきたい。
参考記事
- 新発田市が「ガバメントハンター」初採用(新潟日報)
- 群馬・山本一太知事「ハンター」へ一歩(日本農業新聞)
- クマやイノシシ被害はなぜ増えた?(Unisba Media)
- 「クマが出ない地域はない」黒田未来雄さん講演(47NEWS)
- クマに人間との距離教育を、黒田さん講演(北海道新聞デジタル)
- 対馬の自然と共にある暮らしを次世代へ(READYFOR)
- 高知商業「ジビエ部」が狩猟フェスタ参戦(高知さんさんテレビ)
- 独立記念日でゾウ狩猟許可(共同通信/Yahoo!ニュース)
- 動物の写真を撮ったら現金の報酬(日刊ゲンダイDIGITAL)

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