鉛弾の規制はどこまで進む?狩猟者が知っておくべき現状

鉛弾の規制はどこまで進む?狩猟者が知っておくべき現状 未分類

最終更新: 2026-10-04

猟銃用の鉛弾(鉛散弾・鉛ライフル弾)は、北海道ではすでに全面的に使用・所持が禁止されている。本州でも2025年度から、環境省の方針に基づく段階的な規制拡大が始まった。背景にあるのは、鉛弾を飲み込んだ猛禽類の鉛中毒死だ。

散弾銃・ライフル銃を使う狩猟者にとって、使用できる弾の種類が変わることは装備選びに直結する問題になる。本記事では、規制の背景・現状・今後の見通しと、非鉛弾へ切り替える際の価格・入手性の課題を一次資料に基づいて整理する。

なぜ鉛弾が問題になっているのか

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猛禽類が、ハンターが残したエゾシカなどの死骸や内臓を食べる際、体内に残った鉛弾の破片を一緒に飲み込み、鉛中毒を起こして死亡するケースが確認されている。環境省の資料によると、2000年から2023年までの間に、オジロワシ86羽・オオワシ41羽から高濃度の鉛が検出されており、鉛中毒の発生がゼロだった年は一度もない。

この問題を受け、環境省は令和3年(2021年)9月、当時の小泉進次郎環境大臣が「2030年度までに鉛製銃弾による鳥類の鉛中毒発生をゼロにする」ことを目指し、2025年度から全国的な段階的規制制度を導入していく方針を表明した。

出典: 環境省「鳥類の鉛汚染対策の経緯と現状について」。

規制の現状|地域ごとの状況

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地域・時期 規制の内容
北海道(1999年度猟期〜) エゾシカ猟での鉛ライフル弾の使用を禁止
北海道(2001年11月〜) エゾシカ猟での鉛製散弾の使用を禁止
北海道(2014年10月〜) 「北海道エゾシカ対策推進条例」により、エゾシカ捕獲目的での鉛弾の所持自体を禁止
全国方針(2021年9月表明) 2030年度までの鉛中毒ゼロを目標に、2025年度から段階的な規制導入を進める方針
茨城県 霞ヶ浦・北浦周辺(2025年度猟期〜) 鳥獣保護管理法の「指定猟法禁止区域」として指定し、3年間鉛製散弾の使用を規制。規制なし地域との比較で効果を検証するモデル地域

北海道の規制は猛禽類(オオワシ・オジロワシ)の飛来地であることと、エゾシカ猟の規模の大きさが背景にある。一方、茨城県のケースは水鳥の飛来地としての鉛汚染リスクの高さと、サンプリング(鉛濃度調査)のしやすさからモデル地域に選ばれた。この2地域の規制はいずれも鳥獣保護管理法に基づく「指定猟法禁止区域」の指定という同じ法的枠組みを使っているが、対象(エゾシカ猟 / 水鳥猟)と経緯は異なる。

全国的に見れば、2026年時点でも鉛弾の使用自体が直ちに全面禁止されているのは北海道のみで、本州は茨城県の一部地域から効果検証を伴う段階的な拡大が始まった段階にある。今後、検証結果を踏まえて対象地域が広がる可能性があるため、自分の猟場が指定猟法禁止区域に該当するかどうかは、各都道府県の発表を定期的に確認しておきたい。

出典: 環境省「エゾシカ猟における鉛散弾の使用禁止について」、環境省「鳥類の鉛汚染対策の経緯と現状について」、茨城県自然環境保全審議会資料(令和7年度 指定猟法禁止区域(鉛製散弾)の指定について)。

非鉛弾への切り替えで生じる課題

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規制対象地域で狩猟を続けるには、鉛以外の素材(スチール・銅・ビスマス等)を使った非鉛弾への切り替えが必要になる。ただし、非鉛弾には鉛弾と比べていくつかの課題がある。

価格が上がる

ある狩猟者が実際に購入して比較した例では、鉛弾(レミントンRXP-S 33.0g・25発入り)が約4,125円に対し、同じシリーズのソフトスチール散弾(RXP 32.0g・25発入り)は約5,363円だった。1発あたりで見ると鉛弾が約165円、ソフトスチール弾が約215円程度にあたり、3割前後の価格上昇になる。

入手できる銃砲店が限られる

非鉛弾は取扱店舗が少なく、在庫が常備されていないケースも多い。上記の購入者の例では、取り寄せに約1週間を要したという。シーズン直前の注文では間に合わない可能性があるため、早めの確保が必要になる。

弾の硬度・飛び方が鉛と異なる

スチール弾は鉛より硬いため跳弾しやすく、フルチョークでの使用が推奨されない、水面を狙う撃ち方(着水個体への発射)は避けるべきとされるなど、使用上の制約がある。また、捕獲した個体の体内に弾が残った場合、鉛より硬いスチール弾は食肉として調理する際に注意が必要になる。

出典: 狩猟者の個人ブログ「ソフトスチール散弾の購入と使用について」(2026年時点の記載内容。価格は購入時点の実売価格であり、店舗・時期により変動する)。

狩猟者が今からできる準備

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  • 自分の猟場の指定状況を確認する: 指定猟法禁止区域の指定は都道府県単位で公表される。猟場にしている地域が対象かどうかは、都道府県の鳥獣保護管理関連ページで確認できる。
  • 非鉛弾を早めに確保する: 入手性が限られるため、規制対象地域で猟をする場合はシーズン開始前の注文を検討したい。
  • 自分の銃との適合を確認する: チョークの種類によって非鉛弾の使用に制約があるため、銃砲店に相談して自分の銃に適した弾を選ぶ必要がある。「猟銃の手入れ方法」で解説した日常の手入れも、使用する弾の種類が変わる際に見直すきっかけになる。
  • 号数選びと合わせて検討する: 「散弾銃の号数選び方」で触れたように、獲物・距離に応じた号数選定は鉛弾を前提にした情報が中心のため、非鉛弾に切り替える際は改めて確認するとよい。

まとめ

鉛弾規制は、猛禽類の鉛中毒を防ぐという明確な目的のもと、北海道での全面禁止から、2025年度の茨城県霞ヶ浦地域での段階的規制へと対象が広がり始めている。環境省は2030年度までの鉛中毒ゼロを目標に掲げており、今後もモデル地域での検証を経て対象が拡大していく可能性がある。非鉛弾は価格・入手性・使用上の制約という課題があるため、規制の動向を注視しながら、早めに情報収集と準備を進めておくことが実践的な対応になる。

この記事は猟人編集部が執筆しました。猟人 -KARIUDO- は猟師・ジビエ業界に特化した専門メディアです。

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