クマ対応の狩猟者が20年で6割に減少|福井の事例と広域連携策

クマ対応の狩猟者が20年で6割に減少|福井の事例と広域連携策 獣害対策

最終更新: 2026-10-09

クマに銃で対応できる狩猟者は、この20年で大きく減っています。福井県の事例では、第一種銃猟免許の狩猟者登録数が20年前の610人から昨年(2025年)は381人まで落ち込みました。約6割の水準です。一方でクマの出没は後を絶たず、2024年4月から9月の半年間だけで499件(人身被害は確認されていません)。この記事では、福井県で2026年10月6日に開かれた検討委員会の内容を基に、何が起きているのか、どんな対策が検討されているのかを整理します。

クマ対策の担い手はなぜ減っているのか

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第一種銃猟免許の狩猟者登録数:20年前610人→昨年381人

読売新聞オンライン(2026年10月7日配信)によると、福井県における第一種銃猟免許の狩猟者登録数は、20年前の610人から昨年は381人に減少しました。約6割への減少です。クマを銃で駆除できるのは、この第一種銃猟免許を持つ狩猟者に限られます。わな猟や網猟の免許保持者が増えていても、クマ対応の担い手不足は解消されません。

銃猟免許全体の高齢化・担い手不足については、既存記事「狩猟の担い手不足を解決する8つの対策」で全国的な構造を解説しています。本記事では、その中でも特に対応が難しい「クマ」という大型獣に絞って、地域の現場で何が起きているかを見ていきます。

「小さい市町は応援を呼ばないと対応しきれない」

同記事では、検討委員会の委員から「クマ銃猟は小さい市町だと応援を呼ばないと対応しきれない」という指摘が報告されています。クマの出没は市町村単位で発生しますが、対応できる狩猟者の数は市町村ごとに偏りがあり、人口の少ない自治体ほど自前の人員だけでは対応が難しいという構造的な問題です。

福井県の検討委員会が示した2つの課題

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2026年10月6日、福井県はツキノワグマの個体数管理・捕獲目標を定める県管理計画の改定に向けた検討委員会の初会合を県庁で開きました(福井新聞、2026年10月7日配信)。この会合で共有された内容は、クマ対策の難しさを別の角度からも裏付けています。

課題1:錯誤捕獲が有害捕獲の7割を占める

中日新聞Web(2026年10月7日配信)によると、福井県の2025年度のクマ捕獲実績は183頭。そのうち、人身被害の危険がある場合に実施する「有害捕獲」142頭の約7割が、本来イノシシやシカを対象とした罠にクマがかかってしまう「錯誤捕獲」でした。くくり罠はクマが暴れて逃げる危険性が高く、法律でも使用が制限されています。狩猟者が減る一方で、クマを狙わない罠にまでクマ対応の負荷がかかっている状況です。

課題2:個体数の把握・捕獲目標を県境をまたいで広域化

従来、クマの個体数や捕獲目標は県単位など小規模な範囲で把握されてきました。しかし、国が2026年4月に改定したガイドラインを踏まえ、福井県は2027〜2031年度の第2期計画から、県境をまたぐ広域の個体群単位で生息数を把握し、捕獲目標を設定する方針に変わります。対象となるのは、嶺北地域の「白山・奥美濃地域個体群」(石川県・富山県・岐阜県・滋賀県の一部を含む)と、嶺南地域の「北近畿東部地域個体群」(京都府・滋賀県の一部を含む)です。クマは市町村境や県境を気にせず移動するため、人員不足を補うには自治体単独の対策から、個体群単位での広域連携への転換が必要だという判断です。

国レベルでも広域連携の動きが始まっている

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この広域連携の方向性は、福井県だけの話ではありません。環境省は2026年7月22日、市街地でのクマ出没対策を強化するため「アーバンベア対策チーム」の初会合を開催しました(リスク対策.com、2026年7月配信)。この場で福井県は、ドローンを使って建物内のクマの位置を把握した上で緊急銃猟を実施した事例を報告しています。平時の訓練や警察など関係機関との連携の重要性が強調される一方、周辺住民の避難誘導に時間がかかったという課題も共有されました。

緊急銃猟そのものの制度(市町村長の判断で市街地でも銃猟ができる仕組み)については、既存記事「緊急銃猟とは?」で4つの要件や施行1年間の実績を解説しています。福井県の事例が示すのは、制度があっても「人手」と「連携」が整っていなければ現場は動けないという現実です。

狩猟者を増やす以外にできること

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人員不足を一気に解消するのは簡単ではありません。現実的な対応として、以下のような方向性が検討・実施されています。

対策 内容 期待される効果
広域個体群管理への転換 県境をまたいで個体数・捕獲目標を把握(福井県、2027年度〜) 自治体単独では見えなかった移動パターンを踏まえた対策
近隣市町村との応援体制 小規模自治体が単独対応できない場合に近隣から狩猟者を派遣 人員の偏りをエリア単位で緩和
専用捕獲器材への切り替え クマ専用の箱罠の導入(錯誤捕獲対策) イノシシ・シカ用の罠への錯誤捕獲を減らし、既存の狩猟者の負荷を軽減
認定事業者・指定管理の活用 法人単位での捕獲体制整備 個人の狩猟者任せにしない体制づくり

認定事業者制度・指定管理鳥獣捕獲等事業については、既存記事「指定管理鳥獣捕獲等事業とは」「認定鳥獣捕獲等事業者とは」で詳しく解説しています。

まとめ:クマ対策の人手不足は「地域の広域連携」で補う方向へ

  • 福井県では第一種銃猟免許の狩猟者登録数が20年前の610人から昨年381人まで減少(約6割)
  • クマの出没は2024年4〜9月の半年間で499件、委員からは「小さい市町は応援を呼ばないと対応しきれない」との指摘
  • 2025年度の有害捕獲142頭のうち約7割が錯誤捕獲。専用器材の導入も課題
  • 福井県は2027年度からの第2期計画で、県境をまたぐ広域個体群単位での管理に転換する方針
  • 環境省のアーバンベア対策チームでも福井の事例を踏まえた広域連携の重要性が議論されている

クマ対策における人手不足は、狩猟者を増やすことだけでは解決しません。地域をまたいだ応援体制や専用器材の整備など、複数の対策を組み合わせる方向に進んでいます。獣害対策全体の制度を知りたい方は「狩猟の担い手不足を解決する8つの対策」も参考にしてください。

データで業界全体の捕獲実績・市場規模を確認したい方は、狩猟・ジビエ業界の統計まとめページもご覧ください。

参考情報


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