最終更新: 2026-11-05
自治体の判断でクマなどへの発砲を可能にする「緊急銃猟」の実施件数が、2025年9月の制度開始から全国で101件に達したことが、2026年11月4日に環境省のまとめ(共同通信配信)で分かりました。実施場所の7割以上が市街地だったこと、そして当初は東北・北陸中心だった実施が近畿や東京都、広島市にも広がっていることが、今回の集計の特徴です。
緊急銃猟とは

緊急銃猟は、人身被害の危険が迫っている場合に市町村長の判断でクマなどへの発砲を認める制度で、2025年9月に施行されました。4つの要件や市町村長の権限の詳細は緊急銃猟とは?4つの要件・市町村長の権限・施行1年で81件の実態と課題を解説で解説しています。今回はその後の最新集計を基に、全国的な実施状況を整理します。
全国101件、10月1日時点の91件を分析した内訳

環境省は2026年10月1日までに実施された91件を分析し、対象動物・実施場所・使用した銃器の内訳を公表しています(2026年11月4日公表分、共同通信配信記事による)。
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| ツキノワグマ | 83件 |
| ヒグマ | 3件 |
| イノシシ | 5件 |
| 実施場所 | 件数 |
|---|---|
| 市街地(屋外) | 59件 |
| 市街地(建物内など屋内) | 13件 |
| 農地 | 8件 |
| 河川付近 | 6件 |
市街地での実施が合計72件と、91件のうち8割近くを占めています。使用された銃器はライフル・散弾銃が64件、麻酔銃が16件でした。
都道府県別では山形県が最多

地域別では、東北・北陸での実施が目立ちます。
| 都道府県 | 件数 |
|---|---|
| 山形県 | 21件 |
| 新潟県 | 16件 |
| 岩手県 | 8件 |
| 秋田県 | 8件 |
| 富山県 | 8件 |
| 宮城県 | 5件 |
| 福島県 | 5件 |
出典: 共同通信配信「緊急銃猟、100件超える 東北で半数、近畿でも拡大」(2026年11月4日、環境省のまとめ)
令和7年度の確定記録では発砲まで至った事例が60件

環境省が公表している令和7年度(2025年9月〜2026年3月)の実施事例リストでは、実際に発砲まで至った事例が60件と記録されています(令和8年3月27日時点更新、環境省公式サイト)。この時点では山形県・新潟県・岩手県・秋田県・富山県での実施が中心でした。2026年度に入ってからも実施が続き、11月4日時点で制度開始からの累計が101件に達したことが今回分かった形です。実施の定義(「緊急銃猟の実施」と「発砲まで至った事例」)が報道と環境省リストで厳密に一致するかは文面からは確認できないため、2つの数字を単純に差し引きして「今年度だけで何件増えた」と断定することは避けますが、いずれの資料でも東北・北陸での実施が継続して多いことは共通しています。
東北・北陸中心から近畿・都市部へ拡大

昨年度は東北や北陸での実施が中心でしたが、2026年度は7月の奈良県での実施以降、近畿地域にも広がりました。9月には東京都八王子市、10月には広島市でも緊急銃猟が運用されています。八王子市の事例は通報から実施までの初動対応に焦点を当てた緊急銃猟はなぜ時間がかかる?八王子市の事例と課題、広島市の事例は箱わなで捕獲した個体への対応を扱った記事でそれぞれ詳しく解説しています。都市部での実施が増えたことは、クマの生息域拡大だけでなく、各自治体が制度の運用に慣れてきたことの裏返しとも考えられます。
よくある質問
Q1: 緊急銃猟は誰が発令するのですか?
市町村長が、人身被害の危険が切迫していると判断した場合に発令します。発令の要件は緊急銃猟とはで解説しています。
Q2: 麻酔銃ではなく実弾を使うケースが多いのはなぜですか?
今回の集計では麻酔銃の使用は16件に留まり、ライフル・散弾銃の使用が64件と多数でした。麻酔銃は効果が出るまで時間がかかり、市街地など人身被害のリスクが高い状況では即効性のある実弾での対応が優先される傾向があります。福島市の事例を分析した記事もあわせて参考にしてください。
まとめ:緊急銃猟101件が示すもの
- 緊急銃猟の実施は2025年9月の制度開始から全国で101件に達した(2026年11月4日、環境省のまとめ)
- 10月1日時点の91件の分析では、対象の9割超がクマ(ツキノワグマ83件・ヒグマ3件)、実施場所の8割近くが市街地だった
- 都道府県別では山形県21件が最多で、東北・北陸が中心
- 2026年度は近畿(奈良)・東京都(八王子市)・広島市へと実施地域が拡大している
個別の事例について知りたい方は、新潟県はなぜ緊急銃猟で全国2位?上越市の訓練から見る備えや北海道初の緊急銃猟から1年|出没減少で始まった次世代育成も参考になります。業界全体の統計データは狩猟・ジビエ業界の統計まとめページでも定期更新しています。
参考情報
- 共同通信配信「緊急銃猟、100件超える 東北で半数、近畿でも拡大」山陰中央新報(https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/1109764、確認日: 2026年11月5日)
- デイリースポーツ「緊急銃猟、100件超える」(https://www.daily.co.jp/society/main/2026/11/04/0020999558.shtml、確認日: 2026年11月5日)
- 環境省「緊急銃猟の実施状況」令和7年度実施事例リスト(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/r07kinkyu-jishi.pdf、令和8年3月27日更新、確認日: 2026年11月5日)

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