今週の狩猟・ジビエニュースまとめ【8/31–9/6】

今週の狩猟・ジビエニュースまとめ【8/31--9/6】 未分類

最終更新: 2026-09-06

9月第1週(2026年8月31日〜9月6日)は、ツキノワグマをめぐる行政の動きが相次いだ。東京都と兵庫県がそれぞれ狩猟解禁を検討・決定する方針を示し、全国的にクマ対策が新たなフェーズに入りつつある。一方、岩手県では緊急銃猟の担い手不足という現実の壁が浮き彫りになった。ジビエ市場では、鹿と熊のセット料理を手頃な価格で提供する新興店が札幌で注目を集め、ラオス料理とジビエを掛け合わせた個性的なレストランが京都に誕生。担い手育成の面では、静岡・岩手・福岡で研修会や講習会が相次いで開催されており、次世代ハンターの育成を加速させようとする動きが続いている。今週も注目ニュースを4つのカテゴリーに分けてお届けする。

狩猟行政・法改正ニュース

東京都でツキノワグマ狩猟が約20年ぶりに解禁へ

東京都の多摩地域を中心にツキノワグマの出没が増加するなか、都が2027年度から狩猟を解禁する見通しであることが明らかになった。解禁が実現すれば約20年ぶりとなる。都内の推定生息数は235頭(120〜378頭)とされており、年間34頭程度を捕獲する計画が検討されている。対象は多摩地域で、猟期は11月から2月を想定。専門家からは「生息数を一定水準にコントロールするための現実的な選択」と評価する声がある一方、市民団体からは慎重な対応を求める意見も出ている。この話題については、本サイトでも詳細な解説記事を公開している(→東京都クマ狩猟解禁2027年の全貌)。

兵庫県がツキノワグマの狩猟解禁を決定

兵庫県環境審議会は8月24日、ツキノワグマの狩猟解禁を承認した。推定個体数が837頭と解禁基準の800頭を超えたことが主な理由。対象エリアは円山川・市川より東側で、解禁期間は2026年11月15日から約1か月間。2026年の目撃件数はすでに前年同期比で過去最多ペースを更新しており、農業被害や人身被害を防ぐために判断を前倒しした形だ。NHKが9月3日に報道した。なお、兵庫の動きはすでに解説記事として掲載済みである(→兵庫クマ狩猟解禁2026の詳細はこちら)。

岩手県・緊急銃猟1年で見えてきた「ハンター不足」の現実

2025年9月に施行された緊急銃猟制度の運用状況を読売新聞が取材し、岩手県内の課題が浮き彫りになった。緊急時に出動できるハンターが「10人未満」にとどまる市町村が10か所に上り、制度が絵に描いた餅になりかねない実情が明らかになった。専任ハンターの確保、装備費用の公的補助、農地付近での安全な発砲ルールの整備など、課題は山積みだ。この問題は担い手不足という構造的な問題と深く結びついており、法整備だけでは解決できない現実を示している。担い手不足の全国的な状況については猟師の担い手不足と鳥獣捕獲対策ガイドでも詳しく解説しているので参照してほしい。

獣害対策ニュース

農作物鳥獣対策に市民参加の輪が広がる

鳥獣による農業被害を地域全体で防ぐ取り組みが各地で進んでいる。dメニューニュースによると、農地への箱わな設置や草刈りによる緩衝帯整備に一般市民が参加するモデルが注目されつつある。行政・農家・猟師・市民が連携する体制を構築することで、ハンター単独では手が届かなかった農地周辺の管理が行き届くようになる事例が報告されている。猟師の絶対数が不足するなか、市民との協働は現実的な選択肢として広がりを見せている。

静岡・農林環境専門職大でわな設置演習を実施

静岡新聞が報じたところによると、農林環境専門職大学(静岡県)の学生が、鳥獣被害を専門とする「時ノ寿の森クラブ」のメンバーから実際にわなを設置する技術を学ぶ演習を実施した。演習は掛川市内で行われ、くくりわなや箱わなの仕組み、設置場所の選び方、見回りの頻度など、実践的な内容が盛り込まれた。大学教育でのわな猟研修は全国でも少なく、専門人材の育成という観点から注目を集めている。

岩手・矢巾町で「捕獲の担い手研修会」を開催

岩手県矢巾町がクマやシカなどの鳥獣対策のため、「捕獲の担い手研修会」を開いた。参加者は模擬銃やわなに実際に触れ、狩猟の現場を体感。IBC岩手放送・岩手めんこいテレビ・FNNが相次いで報道し、地域メディアの注目度の高さがうかがえる。矢巾町は人口約3万人の農業地帯であり、シカ・クマによる農業被害が近年増加しているとされる。捕獲担い手の確保を課題と位置づけ、行政が主導してハンター育成に取り組む姿勢は、全国の地方自治体にとっても参考になる事例だ。

ジビエ市場・新店情報

札幌・中心部に鹿と熊のセット1,958円が話題のジビエ店

SASARUが伝えた注目情報。札幌中心部に登場したジビエ料理店が、鹿と熊のセットを1,958円という手頃な価格で提供し話題を呼んでいる。「クマの脂がサラッとうまい」という評判で、ジビエ初心者でも敷居なく楽しめる価格帯と内容が支持を集めているようだ。道産ジビエの消費促進という観点からも、こうした大衆価格帯の店舗の存在は重要。エゾシカの搬入量が全国シェア80%近くを占める北海道において、地元での消費拡大は食肉廃棄率の削減にも直結する。

ラオスジビエ料理店が京都五条に誕生

Yahoo!ニュースが報じたユニークな新店情報。ラオス料理とジビエを組み合わせた個性的なレストランが京都・五条エリアにオープンした。東南アジアの料理文化とジビエを掛け合わせた業態は国内でも珍しく、インバウンド需要や食のトレンドを意識した新しいアプローチとして注目に値する。ジビエの多様な調理法が広がることは、食肉の利用率向上にも貢献すると期待される。

業界トレンド・イベント

群馬・安中市で「狩猟マッチング相談会」を開催

上毛新聞が報じた。群馬県安中市が、狩猟に興味のある市民と地元猟師をつなぐ「狩猟マッチング相談会」を開催した。狩猟免許の取り方から実際の猟の様子、必要な道具・費用まで、現役ハンターが直接相談に応じる形式で、新規参入のハードルを下げることが狙い。安中市は群馬県西部の山間部に位置し、シカやイノシシによる農業被害が深刻な地域として知られる。マッチング型の相談会は、ハンター育成の効果的な入口として今後も各地で広がることが予想される。

罠ブラザーズがフルリニューアル

わな猟の普及活動で知られるユニット「罠ブラザーズ」が、コンテンツ・活動内容をフルリニューアルしたとニコニコ動画などで発表した。ジビエ・わな猟を身近に伝えるエンターテインメント性の高いコンテンツで人気を集めてきた同ユニットの新体制での展開に、ファンや業界関係者の期待が高まっている。

狩猟初心者向け実猟デビューセミナー(福岡・9月26日)

西日本新聞meが告知した情報。狩猟初心者が実際の猟に参加する形式の「実猟デビューセミナー」が2026年9月26日(土)に福岡で開催される。免許を取ったものの実猟経験がない新人ハンターが抱える「最初の一歩」の壁を解消するための取り組みで、現役ハンターが伴走するスタイルが特徴。参加希望者は各自で詳細を確認されたい。

静岡県が令和8年度の学生向け狩猟免許試験予備講習会を告知

静岡県が令和8年度(2026年度)の学生向け狩猟免許試験予備講習会と、初級者向け狩猟技術スキルアップ講習会の開催を公式サイト(pref.shizuoka.jp)で案内した。学生時代からの参入を促す動きは全国でも注目されており、若い世代を取り込む動きとして評価できる。詳細や申し込みは静岡県公式ページで確認を。

今週のニュースまとめ

カテゴリー トピック 地域 注目度
狩猟行政・法改正 東京都ツキノワグマ狩猟約20年ぶり解禁見通し 東京都
狩猟行政・法改正 兵庫県ツキノワグマ狩猟解禁(11月15日〜) 兵庫県
狩猟行政・法改正 緊急銃猟1年・出動できるハンター10人未満が10市町村 岩手県
獣害対策 農作物鳥獣対策に市民参加の体制整備 全国
獣害対策 農林環境専門職大でわな設置演習 静岡県
獣害対策 矢巾町・捕獲担い手研修会(模擬銃・わな体験) 岩手県
ジビエ市場・新店 鹿と熊セット1,958円のジビエ店が話題 北海道
ジビエ市場・新店 ラオスジビエ料理店が京都五条にオープン 京都府
業界トレンド 群馬・安中市で狩猟マッチング相談会 群馬県
業界トレンド 罠ブラザーズがフルリニューアル 全国
業界トレンド 狩猟初心者実猟デビューセミナー(9/26・福岡) 福岡県
業界トレンド 静岡県が学生向け狩猟免許予備講習会を告知 静岡県

まとめ

今週は東京・兵庫という二大都市圏でのツキノワグマ狩猟解禁という大きな政策的転換が相次いだ。クマの生息数が増加し、人里への出没や農業被害が深刻化するなか、「捕獲によるコントロール」という方針が行政の主流になりつつある。一方で、岩手の事例が示すように、制度があっても担い手となれるハンターの絶対数が足りないという現実は変わっていない。

ハンター人口の減少と高齢化が続くなか、解決策として浮上しているのが市民との協働、学生・若年層の早期取り込み、そして今週の群馬・矢巾の事例のような地域密着型の育成プログラムだ。ジビエ市場の活性化も、狩猟を「稼げる仕事」として魅力的に見せるうえで重要な要素となっている。札幌の1,958円セットやラオスジビエ料理店のような新しい食の切り口が、ジビエ文化の普及を後押しする。

来週以降も引き続き、全国の狩猟・ジビエ関連ニュースをお届けする。

参考記事


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