スマート捕獲とは?ICT・ドローンで変わる鳥獣対策

スマート捕獲とは?ICT・ドローンで変わる鳥獣対策 獣害対策

最終更新: 2026-10-14

スマート捕獲とは、ICT(情報通信技術)・IoT・ドローンなどの技術を鳥獣害対策に取り入れ、捕獲・追い払い・集落点検といった従来人手に頼っていた作業を効率化する取り組みの総称です。農林水産省は「スマート捕獲等普及加速化事業」としてモデル地区を全国に指定し、技術の横展開を進めています。本記事では、スマート捕獲の基本的な仕組みと、導入のメリット・課題を整理します。

スマート捕獲とは?基本をわかりやすく解説

2026 10 14 smart hokaku towa ict guide h2 00

項目 内容
定義 ICT・IoT・ドローン等の技術を使い、鳥獣害対策の捕獲・追い払い・集落点検を効率化する取り組み
推進元 農林水産省(スマート捕獲等普及加速化事業)
対象獣種 イノシシ・シカ・クマなど地域の被害状況に応じて異なる
取組内容の分類 捕獲、追い払い、集落点検の3分野に大別される

農林水産省は、わなにICT機器を組み合わせた「ICTフル活用型」のモデル地区を全国に設け、令和8年(2026年)3月時点で北海道津別町・別海町、岩手県奥州市、茨城県鉾田市、埼玉県飯能市、山梨県甲斐市、長野県大町市、新潟県新発田市、石川県、福井県越前市、兵庫県、広島県、香川県東かがわ市、愛媛県鬼北町、高知県香美市・大豊町、佐賀県佐賀市、熊本県人吉市、宮崎県延岡市、鹿児島県いちき串木野市・南種子町の22地区を指定しています。このほかに、特に農業被害の大きい個体を優先的に捕獲する「加害個体重点捕獲型」のモデル地区も令和8年(2026年)9月時点で別途指定されています。

スマート捕獲の主な技術・仕組み

2026 10 14 smart hokaku towa ict guide h2 01

ICTを使った捕獲わなの遠隔監視

従来のわな猟は、設置後に猟師が定期的に見回って捕獲の有無を確認する必要がありました。ICTを使った捕獲わなでは、わなにセンサーを取り付け、対象動物がかかると猟師のスマートフォン等に通知が届く仕組みが使われています。業界団体の資料によると、この仕組みには次のようなメリットがあります。

メリット 内容
迅速対応 捕獲を検知した時点で通知が来るため、定期巡回を待たずに対応できる
安全性向上 くくりわなにかかった個体が草陰などに隠れて急に襲いかかってくる従来のリスクを、事前の状況把握で軽減できる
コスト削減 乾電池等で稼働する低電力設計のため、電源工事が不要でランニングコストを抑えられる

ドローンによる捕獲地点の特定

森林でのシカ捕獲では、生息状況や移動経路を人が歩いて調査するのに時間がかかります。農林水産省の事業では、ドローンを使って捕獲に適したポイントを特定する調査を支援しており、効率的な捕獲計画の立案につなげています。

スマート捕獲のメリット

2026 10 14 smart hokaku towa ict guide h2 02

  • 見回りにかかる時間・人員を減らせる
  • わなにかかった個体への接近時の危険を事前に把握できる
  • 担い手が減少している地域でも、少ない人数で対策を継続しやすくなる

猟師・ハンターの担い手不足は全国的な課題であり、「クマ対応の狩猟者が20年で6割に減少|福井の事例と広域連携策」でも触れていますが、スマート捕獲はこうした人手不足を技術で補う取り組みの一つです。

導入の課題・注意点

2026 10 14 smart hokaku towa ict guide h2 03

  • 通信機器やセンサーの初期導入費用がかかるため、自治体の補助事業を活用するケースが多い
  • 山間部では通信環境が不安定な場所もあり、設置場所によって通知の確実性に差が出る
  • ICT機器はあくまで「検知・通知」を担うものであり、最終的な捕獲・止め刺しの作業自体は従来どおり猟師が行う必要がある

スマート捕獲は見回り負担を軽減する技術であって、わな猟・銃猟そのものを代替するものではない点を押さえておくと、過度な期待とのギャップを避けられます。

関連記事: 麻酔銃がクマに効かない理由|福島市工場侵入事案の映像公開から考える

まとめ:スマート捕獲のポイント

  • スマート捕獲は、ICT・IoT・ドローン等を使って捕獲・追い払い・集落点検を効率化する取り組みの総称
  • 農林水産省はモデル地区を全国に指定し横展開を進めており、ICTフル活用型は令和8年3月時点で22地区に広がっている
  • わなへのセンサー設置による遠隔監視は、見回り負担の軽減と、わなにかかった個体に接近する際の安全性向上に役立つ
  • ドローンは森林でのシカ捕獲地点の特定調査などに活用されている
  • 導入コストや通信環境の制約があり、最終的な捕獲作業自体は従来どおり人の手が必要

鳥獣被害対策の基本的な手法(電気柵・箱わな等)については「イノシシ・シカ被害はなぜ減らない?」もあわせてご覧ください。狩猟・獣害対策の統計は狩猟・ジビエ業界データまとめで定期更新しています。

参考情報

  • 農林水産省「鳥獣被害対策コーナー」(確認日: 2026年10月14日)https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/index.html
  • 農林水産省「スマート捕獲等普及加速化事業(ICTフル活用型)モデル地区概要」(令和8年3月時点、確認日: 2026年10月14日)https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hyousyou_zirei/smart.html
  • 鳥獣被害対策.com「ICT・IoTを活用した獣害対策」(確認日: 2026年10月14日)https://www.choujuhigai.com/c/products/ICT


コメント

タイトルとURLをコピーしました