最終更新: 2026-10-15
密猟とは、狩猟者登録や捕獲許可を受けずに野生鳥獣を捕獲する行為のことで、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)違反にあたります。2026年10月、愛知県春日井市でベトナム国籍の男がニホンジカの密猟容疑などで逮捕される事件が報じられました。本記事では、この事件を基に密猟と合法な狩猟の違い、該当する罰則、合法に狩猟・ジビエ処理を行うために必要な手続きを整理します。
密猟とは?定義と鳥獣保護管理法上の位置づけ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 狩猟者登録や捕獲許可を受けずに野生鳥獣を捕獲すること |
| 根拠法 | 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法) |
| 原則 | 野生鳥獣の捕獲は原則禁止で、狩猟免許・狩猟者登録、または都道府県知事等の許可を受けた場合に限り捕獲できる |
| 対象 | わな猟・銃猟・網猟など捕獲方法を問わず、無許可であれば密猟に該当する |
狩猟免許を持っていても、都道府県への狩猟者登録を行わずに捕獲すれば違法です。免許と登録の両方がそろって初めて合法な狩猟者となります(詳しくは「狩猟者登録の手続き」で解説しています)。
実際に起きた密猟事件(愛知県春日井市)

静岡県公式サイトなど自治体の注意喚起でも「野生鳥獣の密猟は犯罪です」と明記されていますが、2026年10月に報じられた具体的な事例を見てみます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生場所 | 愛知県春日井市 |
| 容疑者 | ベトナム国籍の男性(28歳) |
| 発覚のきっかけ | 2026年6月以降、同地域でニホンジカの頭部が3件相次いで発見され、7月には霊園裏山のわなにかかった状態のシカが見つかった |
| 捜査の着眼点 | 駐在所勤務の警察官が、シカの切断面が刃物による鋭利な切り口で自然死ではないと気づき、周辺アパートで見つかった大量の酒の空き缶などの情報から容疑者を特定 |
| 逮捕容疑(1回目・9月) | ニホンジカの無許可捕獲(鳥獣保護管理法違反) |
| 逮捕容疑(2回目・10月14日) | イノシシ2頭の無許可解体・無許可での食肉処理業営業(食品衛生法違反) |
| 容疑者の主張 | 「許可がいるとは知らなかった」と容疑を否認 |
この事件では、無許可で野生鳥獣を捕獲した疑い(密猟)と、捕獲した個体を無許可で解体・販売目的で処理した疑いの2つの容疑が関わっています。捕獲と解体・販売は別々の許可が必要な行為であり、どちらか一方だけ合法でも、もう一方が無許可であれば違法となる点がこの事件からわかります。
密猟と合法な狩猟の違い

| 比較項目 | 合法な狩猟 | 密猟 |
|---|---|---|
| 狩猟免許 | 取得済み | 無免許、または免許の種類と異なる猟法を使用 |
| 狩猟者登録 | 都道府県に毎年登録済み | 未登録 |
| 捕獲時期・場所 | 猟期・猟区のルールに従う | 禁猟期・禁猟区でも捕獲 |
| 捕獲後の処理・販売 | 食品衛生法に基づく許可施設で処理、または個人消費 | 無許可で解体し販売目的で処理 |
猟期や登録手続きの基本については「猟期はいつまで?」や「狩猟免許の取り方」も参考にしてください。
密猟・無許可解体にはどんな罰則があるのか

静岡県公式サイトの案内によると、鳥獣保護管理法上の罰則は次のとおりです(2026年10月確認時点)。
| 違反行為 | 根拠条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 無許可での野生鳥獣の捕獲(密猟) | 鳥獣保護管理法第83条 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
| 違法に捕獲した鳥獣の飼養・譲渡・販売等 | 鳥獣保護管理法第84条 | 6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
また、捕獲した鳥獣を解体して販売する場合は、食品衛生法第55条に基づき都道府県知事の営業許可(食肉処理業等)が必要です。無許可で営業すれば同法違反として別途罰則の対象となります(違反の態様により懲役・罰金の上限は異なるため、個別の事案については管轄の保健所・警察に確認してください)。
「許可が必要とは知らなかった」という言い分は、法律上の違法性を免れる理由にはなりません。狩猟を始める前に、自分が行う捕獲方法・場所・時期・その後の利用方法それぞれに、どの許可が必要かを確認しておくことが重要です。
合法に狩猟・ジビエ処理を行うために必要な手続き

- 狩猟免許の取得:わな猟・網猟・第一種銃猟・第二種銃猟のいずれかを取得する。詳しくは「狩猟免許の取り方」
- 狩猟者登録:免許取得後、捕獲を行う都道府県ごとに毎年登録が必要。詳しくは「狩猟者登録の手続き」
- 捕獲した個体を食肉として販売する場合:食品衛生法に基づく食肉処理業等の許可を得た施設で処理する。衛生管理の基準は「ジビエ衛生管理ガイドライン」で解説
- 有害鳥獣駆除として捕獲する場合:自治体の許可に基づく個体でも、上記の食肉処理・販売の許可は別途必要になる点に注意
まとめ:密猟のポイント
- 密猟とは、狩猟者登録や許可を受けずに野生鳥獣を捕獲する行為で、鳥獣保護管理法違反にあたる
- 2026年10月に愛知県春日井市で報じられた事件では、無許可捕獲(密猟)と無許可解体・販売の2つの容疑が関わっていた
- 無許可捕獲は鳥獣保護管理法第83条で1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、違法捕獲物の譲渡等は第84条で6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金の対象となる
- 捕獲した個体を解体・販売するには、食品衛生法に基づく別の営業許可が必要
- 「知らなかった」は違法性を免れる理由にならないため、狩猟を始める前に必要な免許・登録・許可を確認することが大切
狩猟免許の取得から狩猟者登録までの具体的な流れは「狩猟免許の取り方|初心者向け5ステップ・費用・合格率」で解説しています。狩猟・ジビエ業界の統計は狩猟・ジビエ業界データまとめで定期更新しています。
参考情報
- 静岡県「野生鳥獣の密猟は犯罪です!!」(確認日: 2026年10月15日)https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/shizenkankyo/wild/1017694.html
- Yahoo!ニュース「シカの切断面と大量の酒の空き缶…『大宴会したんだろうと』”駐在さん”が見抜いた密猟 ベトナム国籍の男を”違法ジビエ”で逮捕」(CBCテレビ、2026年10月14日配信、確認日: 2026年10月15日)https://news.yahoo.co.jp/articles/bdc41e358357e28b2cd4020bdb6b3b8249a23caa


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