猟師の後継者募集はどこで探す?5つの制度と応募手順を徹底解説

猟師の後継者募集はどこで探す?5つの制度と応募手順を徹底解説 狩猟入門

最終更新: 2026-06-28

農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエの食肉販売金額は約44億円、ペットフードを含めた総額では約54億円に達しています(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119974)。市場が拡大する一方で、狩猟免許所持者の約65%が60歳以上という高齢化が進み、各地の自治体や団体が猟師の後継者募集に力を入れています。

「猟師に興味はあるけど、後継者募集ってどこで探せばいいの?」「地域おこし協力隊で猟師になれるって本当?」そんな疑問を抱えている方は少なくないでしょう。

この記事では、猟師の後継者を募集している5つの主要な制度と、それぞれの応募手順を徹底解説します。まず後継者募集の全体像を整理し、次に5つの制度を比較、最後に応募から採用までの具体的なステップをお伝えします。

猟師の後継者募集とは?背景と全体像を整理

猟師の後継者募集とは、狩猟者の高齢化や担い手不足を背景に、自治体・団体・猟友会などが新たな狩猟者を育成するために行っている人材募集のことです。

なぜ今、後継者が必要なのか

狩猟免許の所持者数は、1975年(昭和50年)の約51.8万人をピークに減少を続けてきました。2020年代に入りわずかに回復傾向にありますが、60歳以上が全体の約65%を占める構造は変わっていません。一方で、シカやイノシシによる農作物被害は年間約156億円(令和4年度、農林水産省調べ)に上り、捕獲の担い手確保は全国的な課題となっています。

項目 数値 出典
狩猟免許所持者のピーク 約51.8万人(1975年) 大日本猟友会
60歳以上の割合 約65% 環境省
野生鳥獣による農作物被害額 約156億円/年(令和4年度) 農林水産省
ジビエ食肉販売金額 約44億円(令和5年度) e-Stat 統計表ID: 0002119974
鳥獣被害対策の国家予算 年間約99億円 農林水産省

こうした背景から、国や自治体は狩猟の担い手育成を重要施策と位置づけ、研修制度や地域おこし協力隊の枠を活用した後継者募集を拡充しています。2026年6月には愛媛県でも「鳥獣被害防止へハンター養成塾」が開講されるなど、全国的に育成の動きが加速しています。

猟師の高齢化問題については、別記事で詳しく解説しています。

猟師の後継者を募集している5つの制度

猟師の後継者募集は、大きく分けて5つのルートがあります。それぞれの特徴・給料・対象者を比較表でまとめました。

制度 運営主体 報酬の目安 期間 主な対象者
地域おこし協力隊 市町村 月額16.6万〜23.3万円 1〜3年(最長5年) 都市部在住者
狩猟マイスター育成スクール 都道府県 無料〜低額(受講料) 数日〜数か月 狩猟免許取得者
自治体の担い手育成研修 都道府県・市町村 無料(一部補助あり) 1日〜数週間 免許取得者・取得希望者
猟友会の師弟制度 猟友会支部 なし(自主的な活動) 猟期中心 猟友会加入者
認定鳥獣捕獲等事業者 民間法人 正社員:月額18万〜30万円 通年雇用 狩猟免許・経験者

制度1:地域おこし協力隊(有害鳥獣駆除枠)

地域おこし協力隊は、総務省の制度を活用して市町村が独自に募集するポジションです。有害鳥獣駆除を主なミッションとする枠では、猟師の後継者として地域に定着することが期待されます。

報酬は自治体によって異なりますが、2024年度の制度改正により報償費等の上限は年間280万円(月額換算で約23.3万円)に引き上げられました。さらに活動費として年間最大200万円が別途支給されるため、実質的な支援額は手厚いといえます。

応募の条件は「条件不利地域以外の都市部に在住していること」が基本です。三重県尾鷲市や岡山県矢掛町のように即戦力のハンターを求める募集もあれば、未経験者歓迎の募集もあります。

注目すべき変更点として、総務省は2026年度から地域おこし協力隊の任期を最長5年間に延長できる制度を導入しました。地場産業に携わり、活動終了後に同じ分野で起業や事業承継を行うことが要件ですが、猟師として定住する場合はまさにこの対象です。従来の3年では技術習得から独立準備まで駆け足になりがちでしたが、5年の猶予があれば腰を据えて技術を磨けます。

募集情報は以下のサイトで探せます:

  • SMOUT(スマウト):地域移住マッチングサイト
  • JOIN(ニッポン移住・交流ナビ):総務省所管の移住情報サイト
  • 各自治体の公式サイト

制度2:狩猟マイスター育成スクール

兵庫県が先駆的に実施している「狩猟マイスター育成スクール」は、すでに狩猟免許を持つ人を対象に実践的なスキルを教える研修プログラムです。座学と実技を組み合わせたカリキュラムで、わな猟・銃猟の両方を学べます。

兵庫県以外にも、長野県や北海道など複数の自治体で類似の育成スクールが運営されています。受講料は無料〜数千円と低コストで参加できるのが魅力です。

東京都でも2026年度から「狩猟者講習会」を拡充し、狩猟経験が少ない免許所持者向けにスキルアップの機会を提供しています。

制度3:自治体の担い手育成研修

都道府県や市町村が独自に開催する短期研修です。狩猟免許の取得前講習会と連動している場合が多く、免許取得からサポートしてもらえるケースもあります。

新潟県では、銃猟による有害鳥獣捕獲に協力する新規免許取得者に対して、市町村を通じた補助金制度を設けています。具体的な補助額は市町村によって異なりますが、免許取得費用や銃の購入費の一部を助成する内容です。

狩猟免許の取り方を先に確認しておくと、研修への参加がスムーズです。

制度4:猟友会の師弟制度

大日本猟友会の各都道府県支部では、ベテラン猟師と新人をマッチングする「師弟制度」や「メンター制度」を設けているところがあります。公式な募集というよりも、猟友会に加入した上で紹介を受ける形が一般的です。

給料は発生しませんが、実猟の現場で直接技術を学べる点が大きなメリットです。猟期(11月15日〜2月15日)を中心に活動し、先輩猟師の猟に同行しながら経験を積みます。

制度5:認定鳥獣捕獲等事業者(民間法人)

2015年の鳥獣保護管理法改正で創設された「認定鳥獣捕獲等事業者」制度により、民間法人として鳥獣捕獲を行う事業者が増えています。日本鳥獣捕獲協会をはじめ、各地で正社員・契約社員としてハンターを雇用する法人が出てきました。

安定した給与体系で働ける反面、狩猟免許の保有が必須条件であることが多く、実務経験を求められるケースもあります。求人情報は、Indeed・求人ボックス・ハローワークなどの一般的な求人サイトで「鳥獣捕獲」「害獣駆除」などのキーワードで検索すると見つかります。

猟師の求人情報の探し方では、求人サイトごとの特徴を詳しく紹介しています。

後継者募集への応募手順|5ステップで解説

猟師の後継者募集に応募するまでの流れを、5つのステップに分けて解説します。

Step 1:自分に合った制度を選ぶ

まずは前述の5つの制度の中から、自分の状況に合ったルートを選びましょう。

あなたの状況 おすすめの制度 理由
都市部在住で移住も検討中 地域おこし協力隊 給料をもらいながら移住できる
免許は持っているが実践経験がない マイスタースクール 実技中心のカリキュラム
まだ免許を持っていない 自治体の担い手育成研修 免許取得からサポート
すでに猟友会に入っている 師弟制度 即座に実猟に参加できる
安定収入を求めている 認定事業者の正社員 月給制で社会保険完備

Step 2:狩猟免許を取得する

多くの後継者募集では、応募時点で狩猟免許を持っているか、取得予定であることが条件です。地域おこし協力隊の場合は着任後に取得できるケースもありますが、事前に取得しておくと選考で有利になります。

猟師の資格ガイドで、免許の種類や取得費用を確認しておきましょう。

Step 3:募集情報を収集する

主な募集情報の掲載先を以下にまとめます。

掲載先 特徴 更新頻度
SMOUT(スマウト) 地域おこし協力隊・移住情報が充実 随時
JOIN(ニッポン移住・交流ナビ) 総務省所管で信頼性が高い 随時
各自治体の公式サイト 正式な募集要項を掲載 募集期間のみ
ハローワーク 認定事業者の求人 随時
Indeed・求人ボックス 民間求人が幅広い 随時
大日本猟友会 猟友会関連の情報 不定期

Step 4:応募書類を準備する

地域おこし協力隊の場合、一般的に必要な書類は以下のとおりです。

  • 履歴書(顔写真付き)
  • 志望動機書(なぜ猟師になりたいのか、地域への思い)
  • 住民票の写し(都市部在住であることの証明)
  • 狩猟免許証のコピー(取得済みの場合)
  • 健康診断書(自治体によって必要)

志望動機では「なぜ狩猟なのか」「任期後も定住する意思があるか」の2点を明確に伝えることがポイントです。自治体は地域への定着を重視しているため、任期後のビジョンまで書けると評価が高まります。

Step 5:面接・選考を受ける

書類選考を通過したら、面接に進みます。オンライン面接を実施する自治体も増えていますが、現地訪問を求められることもあります。面接では以下のような質問が多く見られます。

  • 狩猟に関心を持ったきっかけ
  • 山間地域での生活に対する覚悟
  • 体力面の自信
  • 任期終了後のキャリアプラン

「漠然と猟師になりたい」ではなく、「この地域で有害鳥獣駆除に貢献しながら、ジビエ加工の事業化も視野に入れたい」のように具体的な展望を語れると説得力が増します。

応募前に知っておきたい注意点

猟師の後継者募集に応募する前に、押さえておくべきポイントを整理します。

よくある想定外 実態 対策
地域おこし協力隊の任期が3〜5年で終了 任期後の収入源を自分で確立する必要がある 任期中にジビエ加工や獣害対策の独立準備を進める
猟期以外は仕事がない 有害鳥獣駆除は通年だが、狩猟そのものは猟期限定 獣害対策・ジビエ加工・農業など複数の収入源を確保
田舎暮らしのギャップ 買い物・医療・通信環境が限られる場合がある 事前に現地を訪問して生活環境を確認する
銃の取り扱いへの抵抗 わな猟から始める選択肢もある まずはわな猟免許で経験を積み、銃猟は後から検討

特に重要なのは、任期後のキャリアプランを早い段階で描いておくことです。猟師は稼げるのかで収入源の全体像を把握しておくと、現実的な計画を立てやすくなります。

実際に後継者として活動する猟師の声

猟師の後継者として地域に入った方の体験談を紹介します。

地域おこし協力隊として中山間地域に赴任した30代男性のケースでは、着任1年目にわな猟免許を取得し、地元のベテラン猟師に師事しながらくくり罠の設置を学んだそうです。「最初は獣道の見分け方すらわからなかったが、半年もすると山の地形を読めるようになった」と語っています。

任期2年目には第一種銃猟免許も取得し、有害鳥獣駆除の実施隊員として活動を本格化。年間の捕獲頭数はシカ約30頭、イノシシ約10頭に達しました。3年目には任期終了後を見据えてジビエの解体処理施設の研修にも参加し、卒隊後は獣害対策とジビエ加工を組み合わせた個人事業を立ち上げています。

こうした成功事例に共通するのは、「猟だけに頼らない」という姿勢です。農林水産省の統計でもジビエの販売先は外食産業が27.7%、卸売業者が31.4%と多岐にわたっており(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119996)、加工・販売まで手がけることで収入の安定化が見込めます。

猟師になるにはでは、免許取得から収入源の構築まで7ステップで解説しています。

猟師の後継者募集に関するよくある質問

Q1:未経験でも猟師の後継者募集に応募できますか?

はい、応募できます。特に地域おこし協力隊の有害鳥獣駆除枠では「未経験者歓迎」の募集が増えています。着任後に狩猟免許を取得し、地元の猟友会や先輩猟師のもとで技術を学ぶカリキュラムが用意されている自治体もあります。ただし、体力と山間地での生活への適応力は求められます。

Q2:後継者として活動する場合、年収はどのくらいですか?

地域おこし協力隊の場合、報償費は年間200万〜280万円です。これに加えて有害鳥獣駆除の報奨金(シカ1頭あたり7,000〜15,000円程度、自治体により異なる)や、ジビエ販売による収入が加わります。認定事業者の正社員であれば月額18万〜30万円の給与に加え、各種手当が支給されるケースもあります。[猟師の移住支援制度](https://kariudo.jp/hunter-life/hunter-relocation-municipal-support/)も併せて確認すると、総合的な生活費のイメージがつかみやすくなります。

Q3:女性でも後継者募集に応募できますか?

もちろん応募できます。近年は女性猟師が増加しており、わな猟を中心に活躍する方も多くいます。地域おこし協力隊でも性別による制限はありません。体力面が心配な場合は、銃猟よりも体力負担の少ないわな猟から始めるのが一般的です。

Q4:地域おこし協力隊の任期終了後はどうなりますか?

任期は原則最長3年です(2026年度からは地場産業従事者に限り最長5年に延長可能)。任期終了後は、定住して独立する方、認定事業者に転職する方、別の地域の協力隊に応募する方など、進路はさまざまです。総務省の調査によると、地域おこし協力隊の任期終了後の定住率は約65〜70%(同一自治体への定住が55.7%、近隣自治体への定住が13.2%)とされています(2024年度調査)。狩猟分野では、獣害対策コンサルタントやジビエ加工事業者として独立するケースが増えています。

Q5:狩猟免許の取得費用はどのくらいかかりますか?

わな猟免許の場合、受験料(5,200円)、予備講習会費(約10,000円)、狩猟者登録料(約18,000円前後)などを合わせて、合計で約3万〜5万円程度です。第一種銃猟免許の場合は銃の購入費(中古で10万〜30万円程度)も必要になります。自治体によっては免許取得費用の補助制度があるため、事前に確認しましょう。

Q6:後継者募集はいつ頃が多いですか?

地域おこし協力隊の募集は年間を通じてありますが、4月着任に向けた1月〜3月の募集が最も多い傾向です。狩猟マイスタースクールは猟期前の9月〜10月に開講するケースが多く見られます。こまめに情報サイトをチェックし、気になる募集が出たら早めに応募することをおすすめします。

まとめ:猟師の後継者募集は今がチャンス

猟師の後継者募集について、要点を整理します。

  • 狩猟者の高齢化(60歳以上が約65%)により、全国の自治体が後継者の育成に本腰を入れている
  • 主な募集ルートは地域おこし協力隊、マイスタースクール、自治体研修、猟友会、認定事業者の5つ
  • 地域おこし協力隊なら月額最大23.3万円の報酬を受けながら技術を習得できる
  • ジビエ市場の拡大(食肉販売約44億円)を背景に、捕獲だけでなく加工・販売まで手がける猟師が求められている
  • 未経験からでも応募可能な制度が増えており、特に20代〜40代の参入が歓迎されている

まずは猟師になるまでの全体像を確認し、自分に合ったルートを見つけるところから始めてみましょう。一次産業のキャリアに関心がある方は、水産ナビの漁師求人ガイドも参考になります。

参考情報

  • 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974, 0002119996)
  • 大日本猟友会「狩猟者数の推移」(http://j-hunters.com/info/suii.php)
  • 環境省「野生鳥獣の保護及び管理」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/index.html)
  • 総務省「地域おこし協力隊」制度概要
  • 愛媛新聞「鳥獣被害防止へハンター養成 松山で県が塾開講」(2026年6月27日)
  • 総務省「地域おこし協力隊の任期、最長5年に延長」(2026年3月、時事通信)
  • 兵庫県「令和5年度有害鳥獣捕獲入門講座〜狩猟マイスター育成スクール〜」



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