猟師は稼げる?6つの収入源と年収の現実を徹底解説【2026年版】

猟師は稼げる?6つの収入源と年収の現実を徹底解説【2026年版】 狩猟入門

最終更新: 2026-06-02

農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設で得られた販売金額は合計約54億円にのぼる。この数字は年々拡大しており、ジビエ市場は今、明確な成長産業となっている。

「猟師になりたいけれど、本当に稼げるの?」「狩猟だけで食べていけるのか不安」という声は多い。実際、狩猟で得られる収入はゼロから年収500万円超まで幅が広く、やり方次第で大きく変わるのが現実だ。

この記事では、猟師の6つの収入源を具体的な金額とともに解説し、副業猟師と専業猟師それぞれの収入モデルを示す。さらに、2026年に注目されている「ガバメントハンター」制度についても取り上げる。記事を読み終えるころには、自分がどのルートで収入を得られるのかが見えてくるはずだ。

猟師の収入事情|「稼げる人」と「稼げない人」の違い

猟師が稼げるかどうかは、一言でいえば「収入源をいくつ持てるか」で決まる。

狩猟だけを趣味で行う場合、猟期(11月15日〜2月15日)の3か月間に限られるため、収入はほぼ期待できない。一方、有害鳥獣駆除の許可を得て通年で活動し、捕獲した獲物の肉や皮を販売する猟師は、年間200〜500万円の収入を得ているケースもある。

稼げる猟師と稼げない猟師の違いを整理すると、以下の通りだ。

項目 稼げる猟師 稼げない猟師
活動期間 通年(有害鳥獣駆除含む) 猟期のみ(3か月)
収入源の数 3〜5つを組み合わせ 報奨金のみ
販路 食肉処理施設と連携 自家消費のみ
地域との関係 猟友会・自治体と密接 個人で活動
スキル 解体・加工・販売まで一貫 捕獲のみ

ポイントは「捕獲して終わり」ではなく、獲物を収入に変える仕組みを持っているかどうかだ。次の章から、具体的な6つの収入源を見ていこう。

収入源1|有害鳥獣駆除の報奨金

猟師の収入源として最もイメージしやすいのが、有害鳥獣駆除に対する報奨金だ。

国の鳥獣被害防止総合対策交付金と地方自治体の独自制度を合わせると、1頭あたりの報奨金は以下の水準になる(2025年度時点)。

鳥獣種 国の交付金 自治体上乗せ(目安) 合計(目安)
シカ 8,000円 5,000〜14,000円 13,000〜22,000円
イノシシ 8,000円 5,000〜12,000円 13,000〜20,000円
クマ なし(自治体独自) 10,000〜30,000円 10,000〜30,000円
アライグマ なし(自治体独自) 3,000〜5,000円 3,000〜5,000円

自治体によって金額に大きな差がある点に注意が必要だ。北海道ではエゾシカ1頭あたり最大22,000円を支給する地域がある一方、報奨金制度自体がない自治体もある。

仮にシカを月7頭捕獲した場合、報奨金だけで月10〜15万円程度の収入になる。ただし、安定して毎月捕獲できるかは地域や技術に左右される。

報奨金制度の詳細は「有害鳥獣駆除の報奨金|金額の目安と申請手続き」で解説している。

収入源2|ジビエ肉の販売

捕獲した獲物を食肉として販売するのが、猟師にとって最も大きな収入源になりうる。

農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設が野生鳥獣を処理して得た金額は合計約54億円だ(e-Stat 統計表ID: 0002119974、2024年時点)。内訳は以下の通りとなっている。

販売区分 金額(百万円) 構成割合
食肉(シカ) 2,571 47.6%
食肉(イノシシ) 1,644 30.4%
食肉(その他鳥獣) 189 3.5%
ペットフード 888 16.4%
皮革・角製品等 107 2.0%
解体処理請負料金 6 0.1%

1施設あたりの平均は約701万円。猟師個人の取り分は処理施設との契約内容によるが、搬入した肉の重量に応じて買い取り価格が決まる仕組みが一般的だ。

シカ肉の買い取り価格は1kgあたり500〜1,500円、イノシシ肉は800〜2,000円が相場となっている。シカ1頭の可食部を約20kgとすると、1頭あたり10,000〜30,000円の収入になる計算だ。

個人でジビエ肉を販売するには食肉処理業の許可が必要になる。詳しくは「ジビエの販売許可|個人で肉を売るために必要な手続き」を参照してほしい。

なお、販売先は外食産業(27.7%)と卸売業者(31.4%)が中心だが、消費者への直接販売(13.1%)やインターネット経由(7.7%)も伸びている。ネット通販を活用すれば、個人猟師でも販路を広げられる時代になっている。

詳しいデータは狩猟・ジビエ業界の統計まとめページをご覧いただきたい。

収入源3|皮革・角・骨の加工販売

食肉以外にも、シカの角や皮革は商材になる。

鹿角は漢方薬の原料「鹿茸(ろくじょう)」として需要があるほか、ナイフの柄やアクセサリー素材としてハンドメイド市場で人気がある。立派なスカル(頭骨標本)は5万円以上で取引されることもある。

シカやイノシシの皮革はなめし加工を施すことで、財布やバッグの素材として販売できる。農林水産省の統計では皮革製品の販売金額は全体の0.3%にとどまるが、これは食肉処理施設を経由した数字であり、個人で加工・販売しているケースは含まれていない。

加工販売のメリットは、食肉と異なり保存が効くため在庫管理の負担が少ない点だ。副業として取り組みやすく、メルカリやminneなどのプラットフォームで販売する猟師も増えている。

収入源4|ガバメントハンター・認定捕獲事業者

2026年に入り、猟師の新しい働き方として注目されているのが「ガバメントハンター」制度だ。

2026年6月には北海道が初めてガバメントハンターを正式採用したことが報じられた。狩猟歴42年のベテランハンターが非常勤職員としてヒグマ駆除や人材育成を担当する。山形県新庄市では鳥獣ハンターが地域おこし協力隊として採用され、自治体と猟友会をつなぐ役割を担っている。

こうした公的ポジションの報酬は以下の通りだ。

働き方 年収目安 雇用形態
ガバメントハンター(非常勤) 200〜350万円 自治体非常勤職員
認定鳥獣捕獲等事業者(法人) 300〜500万円 法人所属
地域おこし協力隊(猟師枠) 200〜280万円 任期付(最長3年)
有害鳥獣対策実施隊 日当5,000〜10,000円 出動ベース

認定鳥獣捕獲等事業者は、鳥獣保護管理法に基づき都道府県知事から認定を受けた法人だ。環境省の委託事業でシカやイノシシの個体数管理を行い、年間契約で安定した収入を得られる点が特徴となっている。

猟師としての求人情報は「猟師の求人|ハンターとして働ける仕事と探し方」でまとめている。

収入源5|狩猟関連の情報発信・講師

近年は狩猟の知識や経験を発信すること自体が収入源になっている。

具体的な方法としては、以下が挙げられる。

  • YouTubeチャンネル運営: 狩猟系YouTuberの中には月10〜50万円の広告収入を得ている人もいる
  • ブログ・SNS運営: 狩猟用品のアフィリエイトや記事広告
  • 猟師体験ツアーのガイド: 1回あたり5,000〜20,000円の参加費
  • 狩猟免許取得講座の講師: 予備講習会の講師として日当10,000〜20,000円
  • 書籍・電子書籍の出版: 狩猟入門書は根強い需要がある

情報発信は狩猟のオフシーズン(3〜10月)にも収入が得られる点で、収入の安定化に大きく貢献する。狩猟の現場経験があるからこそ発信できるリアルな情報は、読者にとって価値が高い。

収入源6|農林業との兼業

実は、日本の猟師の多くは農業や林業と兼業している。狩猟だけで生計を立てている専業猟師は全体のごく一部にすぎない。

兼業パターンとして多いのは以下の組み合わせだ。

本業 狩猟との相性 合計年収の目安
農業 自分の農地を獣害から守りつつ報奨金を得る 250〜450万円
林業 山の動物の動きを把握しやすく猟場選びに有利 300〜500万円
会社員(副業猟師) 週末や休日に猟を行い、報奨金と肉で副収入 本業+50〜150万円
自治体職員 有害鳥獣対策の担当として従事 公務員給与+報奨金

なお、公務員の場合は副業規制との関係に注意が必要だ。有害鳥獣駆除は「社会貢献活動」として認められるケースが多いが、ジビエ肉の販売で継続的に利益を得る場合は別途許可が求められる場合がある。公務員と猟師の兼業については「公務員でも猟師になれる?副業規制と3つのルートを徹底解説」で詳しく解説している。

副業猟師と専業猟師の年収シミュレーション

ここまで紹介した6つの収入源を組み合わせると、実際にどれくらいの年収になるのか。2つのパターンでシミュレーションしてみよう。

パターン1: 副業猟師(会社員+週末猟師)

収入源 月あたり 年間
報奨金(月4頭×15,000円) 60,000円 720,000円
ジビエ肉搬入(月4頭×15,000円) 60,000円 720,000円
角・皮の販売 10,000円 120,000円
合計 130,000円 1,560,000円

副業猟師の場合、年間150万円前後が現実的なラインだ。本業の年収400万円と合わせれば550万円となり、十分な収入を確保できる。

パターン2: 専業猟師(通年活動)

収入源 月あたり 年間
報奨金(月10頭×15,000円) 150,000円 1,800,000円
ジビエ肉搬入(月10頭×20,000円) 200,000円 2,400,000円
角・皮・加工品販売 30,000円 360,000円
情報発信(YouTube・ブログ) 50,000円 600,000円
講師・ガイド(月2回) 30,000円 360,000円
合計 460,000円 5,520,000円

専業で複数の収入源を確立すれば年収500万円超も視野に入る。ただし、これは安定して月10頭以上を捕獲できる技術と地域的な条件が揃った場合の数字であり、1〜2年目からこの水準に達するのは難しい。

猟師の年収について、さらに詳しいデータは「猟師の年収リアル事情|収入源・働き方別の具体的な金額」を参照してほしい。

猟師として稼ぐために必要な初期投資

稼げるかどうかを考える上で、初期投資の額も押さえておく必要がある。

費目 銃猟の場合 わな猟の場合
狩猟免許取得費用 約5,400円 約5,400円
予備講習会費 無料〜12,000円 無料〜12,000円
猟銃所持許可関連費用 約50,000円 不要
銃本体 100,000〜300,000円 不要
罠(くくり罠×10基) 不要 50,000〜100,000円
狩猟者登録 約20,000円 約20,000円
猟友会費 約10,000円 約10,000円
保険料 約5,000円 約5,000円
装備(服・靴・ナイフ等) 50,000〜100,000円 30,000〜50,000円
合計目安 240,000〜500,000円 120,000〜200,000円

わな猟は初期投資が12〜20万円と比較的低く、副業から始める場合に向いている。銃猟は初期費用が高いが、大型獣の捕獲効率が良く、長期的には高い収入を得やすい。

狩猟免許の費用について詳しくは「狩猟免許の費用は合計いくら?わな猟7万〜銃猟39万円の全内訳」で解説している。

猟師で稼ぐための5つの実践ステップ

猟師として収入を得るまでの具体的な手順を5ステップで示す。

ステップ1: 狩猟免許を取得する

まずはわな猟免許または第一種銃猟免許を取得する。都道府県が実施する試験は年2〜3回で、合格率は約80%だ。初心者にはわな猟免許から取得して、実践経験を積んでから銃猟に進むルートをおすすめする。

ステップ2: 猟友会に入会し地域とのつながりを作る

猟友会は単なる親睦団体ではなく、有害鳥獣駆除の要請が自治体から猟友会を通じて届く仕組みになっている。入会しないと報奨金を得るための駆除活動に参加しにくい。

ステップ3: 有害鳥獣駆除の許可を取得する

猟期外(3〜10月)にも狩猟を行うには、市区町村からの有害鳥獣捕獲許可が必要だ。この許可を得ることで、通年での収入確保が可能になる。

ステップ4: 食肉処理施設との関係を構築する

捕獲した獲物を収入に変えるには、近隣のジビエ食肉処理施設と連携することが不可欠だ。搬入先を確保しておけば、捕獲するたびに安定した買い取り収入が得られる。

ステップ5: 複数の収入源を育てる

報奨金とジビエ販売を軸にしつつ、加工品販売や情報発信など、自分の強みを活かせる収入源を徐々に増やしていく。最初から全てを手がける必要はない。1年目は報奨金と肉の搬入に集中し、2年目以降に広げていくのが現実的だ。

猟師になるまでの全体像は「猟師になるには?免許取得から収入源まで7ステップで徹底解説」で確認できる。

よくある質問

Q1: 猟師だけで生活できますか?

可能だが、簡単ではない。専業猟師で年収300〜500万円を得ている人はいるが、捕獲技術・地域の獣害状況・販路確保など複数の条件が揃う必要がある。最初は副業から始めて、収入基盤を固めてから専業に移行するのが堅実なルートだ。

Q2: 狩猟の報奨金だけで月いくら稼げますか?

自治体や捕獲数によるが、シカやイノシシを月5〜10頭捕獲できれば月5〜20万円程度が目安。報奨金だけに頼るのではなく、ジビエ肉の販売と組み合わせることで収入は倍増する。

Q3: 猟師として稼ぐのに有利な地域はどこですか?

シカやイノシシの生息密度が高く、報奨金が手厚い地域が有利だ。北海道・長野県・岡山県・島根県・鹿児島県などは報奨金水準が比較的高い。自治体の移住支援制度を活用すれば、引っ越し費用の補助を受けられることもある。詳しくは「[猟師になるために移住したい!自治体の支援制度と手順](https://kariudo.jp/hunter-life/hunter-relocation-municipal-support/)」を参照してほしい。

Q4: 女性でも猟師として稼げますか?

性別による収入差はない。近年は女性猟師が増えており、特にジビエ料理の商品開発やSNSを活用した情報発信で強みを発揮している人が多い。

Q5: ガバメントハンターになるにはどうすればいい?

ガバメントハンターは自治体が公募する非常勤職員のポジションだ。2026年時点では北海道が先行しているが、今後は全国の自治体に広がる見込みだ。応募には一定年数の狩猟経験と実績が求められる。自治体の公募情報をこまめにチェックすることが重要となる。

Q6: 初期投資を回収するまでどれくらいかかりますか?

わな猟で始めた場合、初期投資12〜20万円は月3〜5頭ペースで捕獲すれば3〜6か月で回収可能だ。銃猟の場合は24〜50万円の投資となり、回収まで6か月〜1年が目安になる。

Q7: 猟師の収入に税金はかかりますか?

報奨金やジビエ肉の販売収入は課税対象だ。副業の場合は年間所得が20万円を超えると確定申告が必要になる。経費(弾代、罠の購入費、車両費、猟犬の飼育費など)を適切に計上すれば、税負担を抑えられる。

まとめ|猟師は「稼ぎ方次第」で十分に稼げる

猟師は稼げるのか。答えは「収入源を複数持てば、十分に稼げる」だ。

報奨金、ジビエ肉販売、加工品販売、ガバメントハンター、情報発信、兼業の6つの収入源を組み合わせることが、安定した収入を得るための鍵になる。副業猟師で年間150万円、専業で年収500万円超というのが、2026年時点での現実的な目標ラインだ。

狩猟者の高齢化が進む中、自治体の支援制度は充実の一途をたどっている。ガバメントハンター制度の創設に象徴されるように、「猟師を職業として成立させる」社会的な流れは確実に強まっている。

まずは狩猟免許の取得から始めてみよう。「狩猟の始め方ガイド|初心者が最初にやるべきこと」も参考にしてほしい。一歩を踏み出すことで、猟師として稼ぐ未来が開けるはずだ。

参考情報

  • 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974)
  • 環境省「[認定鳥獣捕獲等事業者制度](https://www.env.go.jp/nature/choju/capture/capture5.html)」
  • 環境省「[狩猟免許を取得する](https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html)」
  • 北海道新聞「[北海道、ガバメントハンター初採用 クマ対策で26年度](https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1273804/)」(2026年6月1日)
  • 農林水産省「鳥獣被害防止総合対策交付金」制度概要



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