公務員でも猟師になれる?副業規制と3つのルートを徹底解説【2026年最新】

公務員でも猟師になれる?副業規制と3つのルートを徹底解説【2026年最新】 狩猟入門

最終更新: 2026-05-31

2026年4月、秋田県内で5人の「ガバメントハンター」が新たに誕生した。クマの出没が相次ぐなか、狩猟免許を持つ公務員が正職員として捕獲業務にあたる制度が全国に広がりつつある。一方で、人事院は同月から国家公務員の兼業規制を緩和し、趣味や特技を生かした自営業を容認する方針を打ち出した。

「公務員だから猟師にはなれない」と思い込んでいないだろうか。実は、地方公務員法の副業規制をクリアして狩猟に携わるルートは複数存在する。しかし、制度をよく理解せずに始めると懲戒処分のリスクもゼロではない。

この記事では、公務員が合法的に猟師として活動するための3つのルート、副業規制の具体的な条文解釈、ガバメントハンターの最新採用事例、そして報奨金を含む収入の実態までを網羅的に解説する。「公務員だけど狩猟を始めたい」と考えている方は、まずこの記事で全体像をつかんでほしい。

公務員が猟師として活動できるのか?結論から解説

結論として、公務員でも猟師として活動することは可能だ。ただし、活動の形態によって法的な扱いが大きく異なるため、自分がどのルートで関わるかを明確にしておく必要がある。

公務員が狩猟に関わるパターンは、大きく分けて以下の3つだ。

ルート 概要 副業規制との関係
ガバメントハンター 狩猟を本務とする公務員として採用される 本業そのものなので副業に該当しない
鳥獣被害対策実施隊員 非常勤の公務員として有害鳥獣駆除に参加 公務の一環であり副業規制の対象外
趣味・個人としての狩猟 猟期に個人で狩猟を行い、捕獲物を自家消費または販売 営利目的の場合は任命権者の許可が必要

ポイントは「狩猟」と「営利活動」を分けて考えることだ。趣味として猟期に山に入り、自家消費する分には副業規制に抵触しない。一方、捕獲した獲物を継続的に販売する場合は営利活動と見なされる可能性があるため、事前に所属部署への確認が不可欠となる。

公務員の副業規制と狩猟の関係|地方公務員法38条を読み解く

公務員が副業を行う際に最も重要な法的根拠は、地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)と国家公務員法第103条・第104条だ。ここでは、これらの条文と狩猟の関係を整理する。

地方公務員法38条の内容

地方公務員法第38条では、職員が任命権者の許可を受けずに営利企業を営むこと、または報酬を得て事業に従事することを制限している。ここで重要なのは「営利を目的とする私企業」と「報酬を得ての事業従事」という2つの要件だ。

狩猟免許を取得して猟期に個人で狩猟を行うこと自体は、営利企業の経営にも事業従事にも該当しない。あくまで個人の趣味・余暇活動の範囲であれば、法38条の規制対象にはならない。

有害鳥獣駆除は「公務」扱い

鳥獣被害防止特別措置法に基づき、市町村が設置する「鳥獣被害対策実施隊」の隊員として活動する場合、これは公務の一環として位置づけられる。農林水産省の通知でも、実施隊の民間隊員は「非常勤の公務員」と明記されており、副業規制の対象外だ。

つまり、現職の公務員が実施隊に参加して有害鳥獣駆除を行い、報奨金を受け取ることは、法的に問題がない。

2026年4月の兼業規制緩和

2025年12月、人事院は国家公務員の兼業規制を2026年4月から緩和すると発表した。これまで認められていた不動産賃貸、家業継承、太陽光発電の3分野に加え、趣味や特技を生かした自営業が新たに容認されることになった。

具体的には、手芸品の販売、スポーツ・芸術関係の教室開業、地域振興イベントの主催などが想定されている。狩猟で得たジビエ肉の加工販売や、狩猟体験ツアーの開催なども、この枠組みで承認される可能性がある。

ただし、開業届の提出と事業計画の作成が求められ、通常の職務に支障がないこと、国民からの信頼を損なわないことが承認条件となっている。

規制の種類 2026年3月以前 2026年4月以降
国家公務員の兼業 不動産賃貸・家業継承・太陽光の3分野のみ 趣味・特技を生かした自営業も容認
地方公務員の兼業 任命権者の許可が必要 総務省通知で積極容認のスタンスに転換
有害鳥獣駆除 公務扱い(副業に非該当) 変更なし(引き続き公務扱い)
趣味としての狩猟 自家消費であれば制限なし 変更なし

公務員が猟師になる3つのルートを詳しく解説

ここからは、公務員が狩猟に関わる3つのルートについて、具体的な手順と注意点を解説する。

ルート1: ガバメントハンターとして採用される

ガバメントハンターとは、狩猟免許を持ち、野生鳥獣の捕獲・管理を本務とする公務員のことだ。2025年9月に施行された「緊急銃猟制度」を背景に、自治体の判断で猟銃を使った捕獲が可能になったことで、専門職としての需要が急増している。

2026年時点での主な採用事例を以下にまとめた。

自治体 採用人数 雇用形態 特記事項
秋田市 3人 任期付き正職員 30代〜50代、わな設置・クマ対策を通年実施
鹿角市(秋田県) 2人 任期付き正職員 秋田市と合わせて県内5人体制
小諸市(長野県) 3人(うち新規1人) 正職員 2011年から全国に先駆けて導入
新発田市(新潟県) 検討中 会計年度任用職員 実現すれば県内初

ガバメントハンターは「副業として狩猟をする」のではなく、「狩猟そのものが本業」になる。そのため副業規制は関係しないが、現職の公務員からの転職という形になる点に注意が必要だ。猟師の求人情報もあわせて確認しておこう。

応募に必要な条件は自治体によって異なるが、一般的には以下の要件が求められる。

  • 第一種銃猟免許またはわな猟免許を保有していること
  • 猟銃所持許可を取得済みであること(銃猟の場合)
  • 実猟経験があること(自治体によっては経験年数の指定あり)
  • 普通自動車免許を持っていること

ルート2: 鳥獣被害対策実施隊員になる

現職の公務員のまま狩猟に関わりたいなら、最も現実的なのがこのルートだ。

鳥獣被害防止特別措置法に基づき、市町村は被害防止計画を策定し、「鳥獣被害対策実施隊」を設置できる。隊員には市町村職員のほか、猟友会員などの民間人も含まれる。民間の隊員は非常勤の公務員として位置づけられ、活動中の災害補償も適用される。

実施隊の活動内容は以下のとおりだ。

  • 有害鳥獣の捕獲(わな・銃猟による駆除)
  • 侵入防止柵の設置・点検
  • 被害状況の調査・記録
  • 地域住民への啓発活動

このルートのメリットは、現在の公務員としてのポジションを維持しながら狩猟技術を磨ける点にある。ただし、自治体によって実施隊の運用状況は大きく異なるため、まずは所属する自治体の農政課や鳥獣被害対策担当部署に問い合わせることが第一歩だ。

ルート3: 趣味として狩猟を楽しむ

公務員が個人の趣味として猟期に狩猟を行うことは、法的に問題がない。狩猟免許を取得し、狩猟者登録を行えば、猟期(原則11月15日〜2月15日、北海道は10月1日〜1月31日)に指定された区域で猟ができる。

趣味としての狩猟で注意すべきポイントは以下の3点だ。なお、狩猟は副業でできるのかについては別記事でも詳しく解説している。

第一に、捕獲した獲物の取り扱いだ。自家消費する分には何の制限もない。しかし、捕獲物を継続的に販売して収入を得る場合は営利活動と見なされる可能性がある。少額であっても、念のため任命権者に確認しておくことを推奨する。

第二に、勤務時間との調整だ。猟期は冬季に限られるため、年次有給休暇を利用して猟に出るケースが多い。週末だけの活動であれば職務への支障は生じにくいが、平日に頻繁に休暇を取る場合は上司への説明が必要になることもある。

第三に、報奨金の取り扱いだ。自治体によっては、猟期中の捕獲であっても報奨金が支給される場合がある。この報奨金は「報酬」ではなく「捕獲活動に対する対価」として扱われることが多いが、自治体ごとに取り扱いが異なるため、事前確認が重要だ。

ガバメントハンター制度の背景と今後の展望

ガバメントハンターが注目される背景には、深刻化する野生鳥獣被害と猟師の高齢化がある。

農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設で処理された鳥獣の総重量は7,072トンに達し、そのうちシカが79.3%(5,605トン)、イノシシが20.7%(1,467トン)を占めている(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119971)。

一方で、ジビエの販売金額は合計54億500万円に上り、うち食肉販売が44億400万円(81.5%)を占める(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119974)。市場は拡大傾向にあるが、それを支える猟師の数は減少の一途をたどっている。環境省のデータでは狩猟免許保有者数は約20万人だが、実際に猟に出る実猟者は10万人以下とされている。

このギャップを埋めるために生まれたのがガバメントハンター制度だ。2025年9月に施行された改正鳥獣保護管理法では「緊急銃猟制度」が導入され、市町村長の判断・指示のもと、委託を受けたハンターが緊急に猟銃を使った捕獲を行える。これにより、ガバメントハンターの活動範囲と権限が大幅に広がった。

長野県小諸市は2011年からガバメントハンターを採用しており、全国の先進事例として知られる。小諸市では現在3人体制で活動しており、2026年度には新たに1名が加入した。市の担当者は「ハンターの活動を広めたい」と語っており、今後も採用を継続する方針だ。

公務員猟師の報奨金と収入の実態

公務員が狩猟に関わった場合、どの程度の収入が見込めるのか。ここでは報奨金制度と実際の収入例を紹介する。

有害鳥獣駆除の報奨金相場

報奨金の金額は自治体によって大きく異なる。有害鳥獣駆除の報奨金制度も参考にしてほしい。全国的な相場は以下のとおりだ。

対象鳥獣 報奨金の相場(1頭あたり) 備考
シカ(成獣) 7,000〜20,000円 国の交付金+自治体独自の上乗せ
イノシシ(成獣) 7,000〜20,000円 地域による差が大きい
クマ 10,000〜30,000円 緊急捕獲の場合は加算あり
サル 10,000〜20,000円 群れ管理の場合は別途計画が必要
アライグマ・ハクビシン 3,000〜5,000円 特定外来生物として駆除推進

シカの捕獲報奨金が高い自治体では1頭あたり2万円を超えるケースもある。年間30頭捕獲すれば60万円以上になるため、「副収入」としては決して小さくない金額だ。

ただし、報奨金を受け取るためには捕獲報告書の提出、現場写真の撮影、自治体への個体の引き渡しなどの手続きが必要だ。また、報奨金には所得税がかかるため、年間20万円を超える場合は確定申告が求められる。

ガバメントハンターの年収

ガバメントハンターの年収は、雇用形態によって異なる。任期付き正職員の場合は一般的な地方公務員と同程度の給与体系(年収300万〜450万円程度)が適用されることが多い。会計年度任用職員の場合は月額15万〜25万円程度が相場だ。

これに加え、ガバメントハンターは捕獲実績に応じた手当や、危険手当が支給されるケースもある。

公務員が狩猟免許を取得する手順

公務員が狩猟免許を取得するまでの流れは、一般の方と基本的に同じだ。ただし、いくつか注意すべきポイントがある。

取得までの5ステップ

1. 都道府県の猟友会が実施する予備講習(初心者講習)を受講する

2. 都道府県が実施する狩猟免許試験に申し込む(年2〜3回開催)

3. 狩猟免許試験を受験する(知識試験・適性検査・技能試験)

4. 合格後、猟をする都道府県に狩猟者登録を行う

5. 銃猟の場合は、並行して猟銃所持許可の取得手続きを進める

費用は、わな猟免許であれば予備講習料・受験料・狩猟税・保険料を合わせて約7万円。第一種銃猟免許の場合は猟銃の購入費や銃砲保管庫の設置費を含めると約30〜40万円が目安だ。

公務員特有の注意点

狩猟免許の取得自体は「資格の取得」であり、副業には該当しない。運転免許やダイビングライセンスの取得と同じ扱いだ。したがって、任命権者への事前届出は法的には不要だ。

ただし、実際の職場環境を考慮すると、上司や人事担当者に一言伝えておくことをおすすめする。理由は2つある。1つは、狩猟免許試験の受験日が平日にあたる場合に休暇を取得する際の説明がスムーズになること。もう1つは、将来的に有害鳥獣駆除隊への参加や報奨金の受領を検討する際に、事前に話を通しておくことで手続きが円滑になることだ。

また、狩猟免許の予備講習や猟友会の活動は土日に行われることが多いため、勤務時間との調整はそれほど難しくない。

よくある質問(FAQ)

Q1. 公務員が狩猟免許を取ることに法的な問題はありますか?

問題はない。狩猟免許の取得は個人の資格取得であり、地方公務員法38条や国家公務員法103条・104条で制限される「営利企業への従事」には該当しない。免許を持っているだけで副業とは見なされない。

Q2. 有害鳥獣駆除の報奨金を受け取ると副業になりますか?

有害鳥獣駆除は鳥獣被害防止特別措置法に基づく公務として位置づけられている。報奨金は捕獲活動に対する対価であり、営利企業従事には当たらない。ただし、自治体によって報奨金の性質や支給条件が異なるため、所属自治体の人事部門に事前確認することを推奨する。

Q3. ガバメントハンターに応募するには現職を退職する必要がありますか?

基本的にはそうだ。ガバメントハンターは自治体の正職員または会計年度任用職員として採用されるため、現職の公務員が兼務する形は一般的ではない。ただし、同じ自治体内での異動や配置転換として対応する事例もあるため、所属自治体に相談してみる価値はある。

Q4. 教員や自衛官でも狩猟はできますか?

教員(公立学校教員)は地方公務員法が適用されるため、一般の地方公務員と同じルールが適用される。趣味としての狩猟は問題ない。自衛官は自衛隊法に基づく特別職の国家公務員であり、兼業規制は一般の国家公務員よりも厳格だが、趣味としての狩猟自体は禁止されていない。ただし、銃猟の場合は銃器の管理に関して部隊への届出が必要となるケースがある。

Q5. 定年退職後にガバメントハンターとして再就職できますか?

可能だ。実際に、ガバメントハンターの採用では30代〜50代の幅広い年齢層が対象となっており、公務員としての経験(特に農林部門や防災部門)が評価されるケースも多い。定年退職後のセカンドキャリアとしてガバメントハンターを目指す場合は、現役中に狩猟免許を取得しておくことが大きなアドバンテージになる。

Q6. 猟友会の会費は副業にあたりますか?

猟友会への加入と会費の支払いは、団体への加入行為であり副業には該当しない。地域のスポーツクラブや文化団体に加入するのと同じ扱いだ。

Q7. 2026年4月の兼業規制緩和で狩猟ビジネスは始められますか?

国家公務員については、趣味や特技を生かした自営業が2026年4月から容認された。ジビエ肉の加工販売や狩猟体験ツアーの企画などは、この枠組みで承認される可能性がある。ただし、開業届の提出、事業計画の作成、職務への支障がないことなどの要件を満たす必要がある。地方公務員については自治体ごとの判断となるため、個別に確認が必要だ。

まとめ|公務員こそ狩猟の担い手になれる時代

公務員が猟師として活動する道は、かつてないほど広がっている。ガバメントハンター制度の拡大、鳥獣被害対策実施隊の充実、そして2026年4月の兼業規制緩和。これらの制度変更が重なり、「公務員だから狩猟はできない」という時代は終わりつつある。

まずは以下の3つのアクションから始めてみてほしい。

1. 所属する自治体に鳥獣被害対策実施隊があるかを確認する

2. 狩猟免許の取り方を参考に、免許取得の準備を始める

3. 職場の人事担当者に、狩猟免許取得と有害鳥獣駆除への参加について相談する

猟師の高齢化が深刻化するなか、公務員という安定した立場を持ちながら狩猟の担い手になることは、地域社会にとっても大きな貢献だ。猟師の年収や収入源を把握したうえで、自分に合った関わり方を見つけてほしい。猟師になるにはの全体ロードマップもあわせて参考にしてほしい。

参考情報

  • 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119971, 0002119974)
  • 農林水産省「鳥獣被害対策実施隊の設置等について」(平成28年3月)
  • 環境省「緊急銃猟ガイドラインの公表について」(2025年)
  • 人事院「国家公務員の兼業規制緩和について」(2025年12月発表、2026年4月施行)
  • 総務省「地方公務員の兼業について」(令和6年9月 地方公務員の働き方に関する分科会資料)
  • NBS長野放送「緊急銃猟制度で注目の公務員ハンター 全国で先駆けの長野・小諸市」(2026年)
  • 秋田魁新報「秋田に5人のガバメントハンター誕生」(2026年4月3日)



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