最終更新: 2026-07-15
農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、全国のジビエ食肉処理施設が野生鳥獣を処理して得た販売金額は約54億円に達し、そのうち外食産業への販売数量は全体の27.7%(約40万6千kg)を占めています(e-Stat 統計表ID: 0002119996)。ジビエはもはや一握りの狩猟愛好家だけの食文化ではなく、都市部のレストランで気軽に楽しめる存在になりました。その波をいち早く吸収したのが、東京・杉並区の「中央線カルチャー」を牽引する高円寺エリアです。
「高円寺でジビエを食べたいけど、どの店が本当においしいのか」「初心者でも入りやすい店はどこ?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。同じ「ジビエ」でも、現役猟師が自ら仕留めた野生動物を出す”猟師バー”と、パリ帰りシェフが提供するフランスビストロでは、料理のスタイルも予算もまったく異なります。
この記事では、高円寺・東高円寺・新高円寺の厳選ジビエ5店を、エリア・予算・特徴付きで徹底比較します。各店の名物メニュー・アクセス・こんな方におすすめの情報もあわせて解説するので、目的に合ったお店選びの参考にしてください。
高円寺のジビエ事情|なぜ中央線沿線にジビエが根付いたのか

高円寺といえば、サブカルチャー・ヴィンテージファッション・インディーズ音楽が交差する「中央線カルチャーの聖地」として知られています。東京23区のなかでは比較的家賃が落ち着いており、個性的な料理人が自分の感性で店を開きやすい土壌があります。そのため、大手チェーンでは絶対に食べられない「素材と向き合った料理」を強みにする飲食店が集まりやすいのが特徴です。ジビエ料理もその文脈で育まれてきた食文化のひとつです。
杉並区は東京都内で面積34.06km²の内陸区。商業地と住宅地が混在し、JR中央線(高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪)と東京メトロ丸ノ内線(東高円寺・新高円寺・南阿佐ヶ谷)が南北を走ります。高円寺駅の1日平均乗降者数は約10万人(JR東日本)で、夜の回転率が高く、小規模な隠れ家レストランが成立しやすい環境があります。
ジビエ(野生鳥獣の食肉)の特性上、猟師や生産者との直接ルートを持つ料理人が強みを発揮しやすく、「誰が、どこで獲った肉か」を語れる店が高円寺エリアに特に目立ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 杉並区高円寺南・高円寺北・東高円寺・新高円寺 |
| 主なジビエ食材 | 北海道産エゾシカ、国産イノシシ、ヒグマ、野鳥 |
| 最寄り駅 | JR高円寺駅(中央線)、東京メトロ東高円寺駅・新高円寺駅(丸ノ内線) |
| ベストシーズン | 10月〜3月(猟期。特に12月〜2月が最盛期) |
| 価格帯 | 3,000円〜15,000円(店舗により大きく差異あり) |
高円寺のジビエ料理おすすめ5店を比較

高円寺エリアでジビエ料理を提供する厳選5店を、エリア・ジャンル・予算・名物メニューで比較しました。訪問前に最新の営業情報(公式SNS・電話・予約サイト)を必ずご確認ください。
| 店名 | エリア | ジャンル | 予算目安 | 名物メニュー |
|---|---|---|---|---|
| ジビエ猪鹿鳥 | 高円寺南(JR高円寺駅4分) | ジビエ専門バー | 3,000〜6,000円 | 鹿刺し、猪鍋、熊モツ |
| iiiio(イオ) | 新高円寺(メトロ新高円寺駅5分) | フレンチビストロ | 7,000〜12,000円 | 蝦夷鹿とフォアグラのメンチカツ、ヒグマの赤ワイン煮込み |
| ブラッスリールル | 東高円寺(メトロ東高円寺駅付近) | フレンチブラッスリー | 10,000〜15,000円 | シャルキュトリー&ジビエコース |
| グラン・パ 東高円寺店 | 東高円寺(メトロ東高円寺駅1分) | イタリアン | 3,000〜6,000円 | 肉プレート、熟成肉、季節のジビエ |
| 高円寺エリアの中央線ビストロ群 | 高円寺〜阿佐ヶ谷 | イタリアン・フレンチ | 4,000〜9,000円 | 蝦夷鹿のグリル、季節のジビエコース |
予算の幅が広いのが杉並ジビエの特徴です。カウンター8席の猟師バーから、フルコース1万円超のビストロまで、目的と予算に合わせて選ぶことができます。
各店詳細ガイド
ジビエ猪鹿鳥|現役猟師が仕切る”猟師バー”スタイルの専門店
高円寺南3丁目の路地裏、好川ビル1階に構えるジビエ猪鹿鳥は、現役猟師(マタギ)である店主が自ら山に入って仕留めた野生動物を、その日のうちに料理に仕立てる超レアな専門店です。外観は昔のスナック風の白い看板に「GIBIER」の文字が目印で、知る人ぞ知る隠れ家感があります。
店内はカウンター8席のみの小空間。こぢんまりとしているからこそ、猟師の店主と話しながらジビエの背景を直接聞けるのが最大の魅力です。
メニューは猪・鹿・野鳥を中心に、日によって熊や馬も登場します。なかでも看板は「鹿刺し」。凍った状態で提供され、自分でじっくり溶けるのを待ってからニンニク醤油で食べるスタイルが特徴で、常連からは「日本でここだけ食べられる」と評価されるほどのクオリティです。ロース・バラ肉のほか、タンやモツ(ホルモン)など通好みの部位も揃います。
猪鍋をじっくり楽しみたい方には猪鍋レシピと煮込みのコツの記事も参考にしてください。ジビエが猟師の手で食卓に届くまでの流れを体感したい方や、素材そのものと向き合いたい方には理想的な選択肢です。
こんな方におすすめ: ジビエマニア・猟師文化を体感したい方・珍しい部位を食べたい方
注意: 訪問前に公式SNSや電話で最新の営業状況をご確認ください。小規模店のため、急な休業の可能性があります。住所: 東京都杉並区高円寺南3-58-2 好川ビル1F
iiiio(イオ)|世界を食べ歩いたシェフが届けるジビエの最前線
新高円寺駅から徒歩5分ほどの住宅街に佇むiiiio(イオ)は、世界30ヶ国205都市を食べ歩いたシェフが、シャルキュトリー(自家製加工肉)とジビエを軸に据えたフランスビストロです。
最大の特徴は、北海道のジビエ専門業者・ELEZO社から仕入れる高品質なエゾシカ肉です。ELEZO社は北海道・足寄町を拠点に、個体管理から食肉加工まで一貫して行う国内随一のジビエサプライヤーで、そのエゾシカもも肉を約40分かけてゆっくり火入れした炭火焼は「ジビエ特有の獣臭さがない」と評判です。ジビエ初心者でも抵抗なく食べられる一皿として高い評価を得ています。
特に人気なのが「蝦夷鹿とフォアグラのメンチカツ」。エゾシカの赤身肉とフォアグラの脂を組み合わせることで、リッチで複雑な旨みを実現しています。もうひとつの名物「ヒグマの赤ワイン煮込み」は、熊肉のコラーゲンが溶け出した深みのあるソースが印象的で、ハレの日ディナーにふさわしい一皿です。
料理に合わせて厳選されたナチュラルワインも高評価。店内は1階にカウンター(ジャパニーズモダン)、2階に半個室のほりごたつ席(ヨーロッパヴィンテージ)と、フロアごとに異なる雰囲気を演出しています。東京全域のジビエ料理が気になる方はジビエ 料理 東京の完全ガイドもあわせてご参照ください。
こんな方におすすめ: ジビエビギナー・食材の来歴にこだわりたい方・記念日ディナー
ブラッスリールル|山形産食材×ジビエの本格フレンチコース
東高円寺に位置するブラッスリールルは、フランスのブラッスリー(カジュアルな食堂・ビアレストラン)スタイルで、地産地消の食材と季節のジビエを組み合わせたコース料理を提供しています。
シェフが重視するのは素材の産地と季節感です。山形産の肉・野菜をはじめ、季節によっては国産のシカやイノシシも登場します。自慢のシャルキュトリー(テリーヌ・パテ・腸詰め)はすべて自家製で、食前からコースの世界観に引き込む演出として機能しています。
ディナーコースは乾杯スパークリング付きのシェフおまかせフルコース(12,000円)が主力です。「外食産業でジビエを食べる」という行為がもっともフォーマルに完成するのがこのスタイルで、ジビエとワインのペアリングを学ぶ絶好の機会でもあります。週末はすぐ予約が埋まるため、訪問2週間前には予約を入れることをおすすめします。
こんな方におすすめ: 特別な日のディナー・シェフへの信頼を置いたコース体験・ペアリングを楽しみたい方
グラン・パ 東高円寺店|気軽に楽しめる肉料理×ジビエイタリアン
東高円寺駅から徒歩1分の好立地にあるグラン・パ 東高円寺店は、イタリア料理をベースに国産牛の熟成肉や豚・羊の炭火焼を中心に据えたレストランです。季節や仕入れ状況によって、ジビエ(エゾシカのロースト等)がメニューに加わることがあります。
ディナーコースが3,300円〜と、ジビエレストランのなかでは比較的手が届きやすい価格帯のため、「とりあえずエリアで食事をしたい」「ジビエのコースはまだ少しハードルが高い」という方の入り口としても機能します。ランチ営業もあり、週末は地元ファミリーや中央線ユーザーで賑わいます。ジビエ提供の有無は季節によって異なるため、予約時に確認するのがおすすめです。
こんな方におすすめ: 予算を抑えたい方・ランチも使いたい方・イタリアンベースで肉料理を試したい方
高円寺〜阿佐ヶ谷エリアの中央線ビストロ群|エゾシカ料理で差別化するビストロ
高円寺から阿佐ヶ谷、荻窪にかけての中央線沿線には、「肉料理の得意なビストロ・イタリアン」として北海道産エゾシカのグリルをレギュラーまたは季節メニューに組み込む小規模ビストロが複数存在します。共通する特徴は「シェフが直接ジビエ業者と契約している」ことで、エゾシカもも肉のグリル(赤ワインベースの「ヴァン・ルージュソース」添え)が定番化しているケースが多いです。
余分な脂身がない鹿肉と、コクと甘みのある赤ワインソースの組み合わせは、「イタリアンのなかでジビエを食べたい」という需要に応えています。これらの店舗はInstagramで「エゾシカ」「高円寺ジビエ」で検索すると複数ヒットします。メニューが季節ごとに変わるため、訪問前に公式SNSで確認するのが確実です。
ジビエの旬の時期と種類別の特徴も参考にして、一番ジビエがおいしい季節を狙って訪問することをおすすめします。
こんな方におすすめ: ジビエを軽いコースで試したい方・Instagram映えを重視したい方・イタリアンが好きな方
高円寺ジビエをもっと楽しむ|シーズン・ペアリング・心構え
ベストシーズンは冬|10月〜3月が最旬期
ジビエは猟期(一般鳥獣: 11月15日〜2月15日)に重なる秋冬が旬です。寒さに備えて皮下脂肪を蓄えた個体の肉は、旨みが凝縮されて格別においしくなります。夏場でも提供しているレストランはありますが、それは冷凍または農家のエゾシカ(通年解禁)を使ったものです。「新鮮な猟期ジビエを食べたい」なら、12月〜2月が狙い目です。
ナチュラルワインとのペアリング
高円寺のジビエ店は、フランスやイタリアの自然派ワイン(ナチュラルワイン)を推奨しているケースが多いです。ジビエは鉄分豊富な赤身肉が多く、タンニンを含む赤ワインとの相性が抜群。鹿肉には繊細なピノ・ノワール系、イノシシには力強いシラーやグルナッシュが合います。ペアリングに迷ったらソムリエやスタッフに素直に相談するのが最善策です。
初心者向けのジビエ入門
ジビエが初めての方は「臭みが気になる」という先入観を持ちがちですが、衛生管理の行き届いた専門店では適切な血抜き・熟成処理が施されており、臭みはほぼありません。ジビエの臭み取り方法で詳しく解説していますが、最初の一口は「鹿肉のロースト」が最もおすすめです。牛肉に似た上品な赤身の旨みが、ジビエの入り口として最も受け入れられやすいです。
ジビエを食べることの意味
ジビエは単なる「珍しい食材」ではありません。農山村でシカやイノシシによる農業被害(2022年度全国で約155億円: 農水省調べ)を軽減するための有害鳥獣捕獲が行われており、その個体を余すことなく食卓へ届けることが大きな社会的意義を持っています。「食べること=生産者と猟師を応援すること」という視点で楽しむと、ジビエの旨みがさらに深く感じられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 高円寺でジビエを初めて食べるなら、どの店がおすすめですか?
ジビエ初心者には「iiiio(イオ)」が最もおすすめです。ELEZO社の高品質なエゾシカを使い、臭みを抑えた炭火焼から始められるので、ジビエ特有のクセが苦手な方でも楽しめます。コース料理で丁寧に提供されるため、食材の説明も受けやすい雰囲気です。
Q2. ジビエが食べられる旬の時期はいつですか?
ジビエは冬(11月〜2月)が最旬期です。猟期に入った山の獲物は脂がのり旨みが増します。夏はエゾシカ(通年解禁)や冷凍ジビエが中心になりますが、専門店であれば年間を通じて提供されています。
Q3. 高円寺のジビエレストランの予算はどのくらいですか?
店舗によって大きく異なります。「ジビエ猪鹿鳥」なら3,000〜6,000円、「グラン・パ」なら3,300円〜、「iiiio」は7,000〜12,000円、「ブラッスリールル」は10,000〜15,000円が目安です。初回はiiiioで8,000円前後を想定しておくと安心です。
Q4. ジビエはどんな味ですか?牛肉や豚肉と何が違いますか?
鹿肉は牛肉よりも鉄分が豊富で、脂肪分が少ない赤身肉です。食べてみると「赤身の牛肉に近いが、よりスッキリとしている」印象です。イノシシは豚肉に近いですが、野性味があり甘みが強い傾向があります。[ジビエの種類別の特徴](https://kariudo.jp/gibier/gibier-types-guide/)で詳しく解説しています。
Q5. 高円寺以外の東京でジビエを楽しめる場所はありますか?
はい。渋谷・恵比寿・代々木上原など都内各所にジビエレストランがあります。東京全域のジビエ料理おすすめ店は[ジビエ 料理 東京ガイド](https://kariudo.jp/gibier/gibier-cuisine-tokyo-guide/)でまとめています。高円寺の次のステップとして、渋谷・代官山エリアの本格フレンチジビエも合わせてチェックしてみてください。
関連記事: ジビエはフランス語?語源・意味・分類をわかりやすく解説【gibier完全ガイド】
関連記事: 宮崎のジビエ完全ガイド|消費者直販41%の秘密と猟師直送の名所【2026年版】
関連記事: 岐阜のジビエ完全ガイド|シカが87%を占める理由と飛騨高山の名店【2026年版】
まとめ|高円寺ジビエの多様性を楽しもう
高円寺エリアのジビエシーンは、「猟師直営の超本格バー」から「フランスで腕を磨いたシェフのビストロ」まで、スタイルも予算も実に多彩です。まずは自分の予算とジビエへの慣れに合った一軒から始めて、食べ比べるうちに「どこで誰が獲った肉か」を気にするようになれば、あなたはもう立派なジビエ通です。
中央線カルチャーが育てた高円寺の食の個性は、ジビエという食材との相性が抜群です。猟師と料理人と食べ手が同じカウンターで向き合うこの街のジビエを、ぜひ体験してみてください。
参考情報
- 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)e-Stat 統計表ID: 0002119996(販売先別販売数量)
- 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)e-Stat 統計表ID: 0002119974(処理金額)
- 農林水産省 令和4年度 鳥獣による農作物被害状況(2022年度)
- 食べログ「高円寺のジビエ料理」https://tabelog.com/keywords/ジビエ/tokyo/A1319/A131904/kwdLst/RC980505/
- ヒトサラ「iiiio(イオ)」https://hitosara.com/0020003495/
- ヒトサラ「ジビエ猪鹿鳥」https://hitosara.com/tlog_13128486/


コメント