最終更新: 2026-06-28
2026年6月第4週は、自民党がクマの狩猟期間延長を柱とする鳥獣被害対策の提言案をまとめ、各メディアで大きく報じられた。富山県は具体的にツキノワグマの猟期を6週間延長する新計画を了承し、全国的に「保護から抑制」への転換が加速している。一方、奈良県では30年以上の狩猟禁止により経験者がゼロとなった現実が浮き彫りになり、制度と人材のギャップという根本的な課題が改めて突きつけられた1週間だった。
狩猟行政・法改正
自民党がクマ狩猟期間の延長を柱とする提言案を取りまとめ
自民党の鳥獣被害対策特別委員会は、クマによる人的被害の防止に向けた提言案を取りまとめた。提言の柱は狩猟期間の延長を柔軟に運用できる仕組みの構築で、冬眠明けのクマ捕獲に有効な春季の猟期設定を念頭に置いている。あわせて、ジビエ処理施設の整備支援やシカ・イノシシ・キョンへの対策強化も盛り込まれた。NHK、TBS、時事通信、日本農業新聞など複数のメディアが一斉に報じており、今後の制度設計に大きな影響を及ぼす動きとして注目される。(情報元:TBS NEWS DIG、NHKニュース、時事通信、日本農業新聞、jimin.jp)
富山県がツキノワグマの狩猟期間を6週間延長へ
富山県の環境審議会は、ツキノワグマの狩猟期間を6週間延長する新たな管理計画案を了承した。冬眠明けの時期にあたる春季の捕獲を可能にすることで、被害の未然防止につなげる狙いがある。自民党の提言と軌を一にする動きであり、他の自治体にも波及する可能性がある。クマとの遭遇時の安全対策は引き続き確認しておきたい。(情報元:富山テレビ、日テレNEWS NNN)
八王子市長が狩猟免許取得を宣言、東京のクマ対策を推進
東京都のクマ狩猟解禁方針を受け、八王子市長が自ら狩猟免許を取得する意向を表明した。テレビ番組の対談で「東京のクマ対策」をテーマに喫緊の課題として議論し、首長自らが率先して行動する姿勢を示した形だ。東京都が20年ぶりにクマ猟の解禁を検討する中、基礎自治体の首長が狩猟に向き合うこと自体が異例であり、社会的なメッセージ効果は大きい。狩猟免許の費用と取得手順を事前に把握しておくことが第一歩となる。(情報元:千葉テレビ、TOKYO MX)
奈良県がクマ緊急銃猟に備え研修を実施、30年以上の禁猟で経験者ゼロ
奈良県議会で、ツキノワグマの緊急銃猟に備えた研修を県が実施していることが明らかになった。注目すべきは、奈良県ではクマの狩猟が30年以上禁止されてきたため、県内にクマ猟の経験者が事実上ゼロであるという点だ。制度を整えても実行できるハンターがいないという深刻な人材不足の実態が浮き彫りになった。猟師の後継者をどう確保するかは全国共通の課題だ。(情報元:dメニューニュース)
北海道教育委員会が教職員の狩猟免許保持者を調査へ
北海道教育委員会は、教職員の中で狩猟免許を保持する人がどれだけいるか、今夏に実態調査を行う方針を示した。野生鳥獣対策の観点から、教育現場と狩猟の接点を探る初めての取り組みとなる。(情報元:北海道新聞デジタル)
郡山市が新規狩猟者の初期費用支援を拡充、上限10万円に
福島県郡山市は市議会一般質問の中で、新規狩猟者の初期費用支援について年齢制限を撤廃し、銃やわなの購入費用を上限10万円まで補助する方針を明らかにした。従来の支援制度を大幅に拡充する動きであり、狩猟の担い手確保に向けた自治体の本気度がうかがえる。(情報元:福島民報デジタル)
獣害対策
山形・長井で地域一丸の鳥獣対策、狩猟免許取得から電気柵設置まで
山形県長井市に、住民が一丸となって鳥獣被害対策に取り組む地区が存在する。住民自らが狩猟免許を取得し、田畑を囲む電気柵を設置するなど、行政任せにしない自主的な防除体制を構築している。高齢化が進む農山村において、地域コミュニティが主体となる鳥獣対策のモデルケースとして参考になる事例だ。(情報元:河北新報オンライン)
福知山市「ガバメントハンター」の実態に密着
京都府福知山市が全国に先駆けて導入した行政職員による捕獲制度「ガバメントハンター」の実態が、京都新聞の密着取材で報じられた。先駆け的に活動する市職員は、新たな名称に対する現場の戸惑いも率直に語っている。クマの目撃数が増加する中、行政が自前の捕獲要員を抱える制度は各地で注目されており、秋田県のガバメントハンター採用と合わせ、全国的な潮流となりつつある。(情報元:京都新聞デジタル)
クマ緊急銃猟が12道県で72件に
下野新聞の報道によると、クマの緊急銃猟が全国12道県で計72件実施されたことが判明した。緊急銃猟は市街地や住宅地付近に出没したクマに対し、通常の狩猟期間外でも銃による捕獲を行う措置だ。件数の多さは、クマの生息域拡大と人間の生活圏への接近が全国規模で進んでいることを示している。(情報元:下野新聞社)
市街地での緊急銃猟、試行錯誤が続く発砲判断
静岡新聞は、市街地でのクマ緊急銃猟における発砲判断の難しさを特集した。人が暮らすエリアでの銃の使用は、安全確保と迅速な対応を同時に求められる極めて難しい判断を伴う。試行錯誤を続ける市町村の現場の声を伝えており、緊急銃猟制度の運用面での課題が浮き彫りになっている。(情報元:静岡新聞DIGITAL)
ジビエ市場・新店
大槌町のハンターがジビエ加工販売に挑戦
岩手県大槌町で、自ら獲ったシカをジビエとして加工・販売するハンターの取り組みが日テレNEWSで報じられた。山林火災の際には消防団員として活動するなど、地域に根ざした多面的な活動を展開している。「獲って終わり」ではなく加工・販売まで一貫して手がけることで、猟師の収入源を多角化し、地域経済にも貢献するモデルとして注目に値する。(情報元:日テレNEWS NNN)
業界トレンド
秋田県で狩猟免許受験者が増加、若者や女性の姿も
読売新聞は、秋田県で狩猟免許の受験者が増加傾向にあり、特に若者や女性の受験が目立つようになったと報じた。クマ被害の深刻化を受けた関心の高まりが背景にある。女性猟師が増えている理由を知ることで、狩猟の世界がより身近に感じられるだろう。(情報元:読売新聞)
長野県松本地方で狩猟免許取得への関心が高まる
長野県松本地方では、クマの出没や鳥獣被害の増加を背景に、狩猟免許の取得に対する住民の関心が高まっている。市民タイムスが報じたもので、日常的に野生動物と遭遇する地域ならではの切実な動機が受験者を増やしている実態が見えてくる。(情報元:市民タイムスWEB)
狩猟文化にアートの視点、芸工大生がプロジェクト「梓」始動
芸術工科大学の学生有志が、狩猟文化をアートの視点から再解釈するプロジェクト「梓」を始動させた。「梓」は弓に使われる木材の名称に由来しており、狩猟を文化的・芸術的な文脈で捉え直す試みだ。狩猟の社会的イメージの転換にもつながりうる意欲的な取り組みといえる。(情報元:dメニューニュース)
野生動物とのすみ分けが必要、仙台で専門家が提言
仙台市で開催されたクマの生態をテーマにした講演会で、狩猟文化研究所の代表が野生動物とのすみ分けの必要性を提言した。捕獲一辺倒ではなく、生態系のバランスを考慮した共存策を模索すべきだという主張は、制度面で「抑制」に舵を切る行政の動きと好対照をなしている。(情報元:河北新報オンライン)
愛媛県がハンター養成塾を開講
愛媛県松山市で、県主催のハンター養成塾が開講した。鳥獣被害防止を目的に、新たな狩猟人材の育成を図る取り組みだ。全国各地で同様のハンター養成講座が相次いでおり、自治体が主導する人材育成の流れが定着しつつある。(情報元:愛媛新聞)
今週の主要ニュース一覧
| 日付 | 地域 | 内容 | 情報元 |
|---|---|---|---|
| 6/21 | 山形県 | 長井市で地域一丸の鳥獣対策 | 河北新報 |
| 6/21 | 東京都 | 八王子市長が狩猟免許取得を宣言 | 千葉テレビ |
| 6/22 | 秋田県 | 狩猟免許受験者が増加、若者・女性も | 読売新聞 |
| 6/22 | 京都府 | 福知山市「ガバメントハンター」の実態 | 京都新聞 |
| 6/22 | 全国 | クマ緊急銃猟が12道県で72件 | 下野新聞 |
| 6/23 | 国政 | 自民党がクマ狩猟期間延長を提言 | NHK・TBS・時事 |
| 6/23 | 岩手県 | 大槌町ハンターがジビエ加工販売に挑戦 | 日テレNEWS |
| 6/23 | 静岡県 | 市街地での緊急銃猟、発砲判断に課題 | 静岡新聞 |
| 6/24 | 長野県 | 松本地方で狩猟免許の関心高まる | 市民タイムス |
| 6/24 | 北海道 | 道教委が教職員の狩猟免許保持者を調査へ | 北海道新聞 |
| 6/24 | 福島県 | 郡山市が新規狩猟者の初期費用支援を拡充 | 福島民報 |
| 6/25 | 富山県 | ツキノワグマ猟期を6週間延長する新計画了承 | 富山テレビ |
| 6/25 | 東北 | 芸工大生が狩猟文化プロジェクト「梓」始動 | dメニューニュース |
| 6/26 | 奈良県 | クマ緊急銃猟に備え研修、経験者ゼロ | dメニューニュース |
| 6/26 | 京都府 | ガバメントハンター密着取材の続報 | 京都新聞 |
| 6/27 | 愛媛県 | 県主催のハンター養成塾が開講 | 愛媛新聞 |
まとめ
今週は、自民党によるクマ狩猟期間延長の提言と、富山県の6週間延長計画の了承が最大のトピックとなった。先週の東京都の解禁方針に続き、「保護から抑制」への政策転換が全国規模で進行していることを印象づけた。
一方で、奈良県の「30年以上の禁猟で経験者ゼロ」という現実は、制度だけを整えても担い手がいなければ機能しないという根本的な矛盾を突きつけている。福知山市のガバメントハンター制度や、郡山市の初期費用支援拡充は、この人材ギャップを埋めるための各自治体の具体策として注目される。
来週は、自民党の提言を受けた政府の具体的な対応や、各自治体の狩猟期間延長に関する動きに引き続き注目していきたい。
参考記事
- 河北新報オンライン「狩猟免許の取得、田畑を囲う電気柵… 山形・長井に地域が一丸で鳥獣対策に取り組む地区があった」(2026年6月21日)
- Yahoo!ニュース「東京都がツキノワグマ猟を20年ぶり解禁へ」(2026年6月21日)
- 千葉テレビ「八王子市長が狩猟免許の取得を宣言」(2026年6月21日)
- 河北新報オンライン「野生動物とすみ分け必要 狩猟文化研代表が提言」(2026年6月21日)
- 読売新聞「秋田:狩猟免許 受験者増 若者、女性も」(2026年6月22日)
- 京都新聞デジタル「獣害対策を担う福知山市職員 新たな名称『ガバメントハンター』って?」(2026年6月22日)
- 下野新聞社「クマ緊急銃猟、12道県で72件」(2026年6月22日)
- TBS NEWS DIG「鳥獣被害への対応で自民が提言案 クマ捕獲・狩猟期間の延長の柔軟運用」(2026年6月23日)
- NHKニュース「クマ被害対策 狩猟期間の延長など提言へ 自民特別委員会」(2026年6月23日)
- 日テレNEWS NNN「ジビエで大槌町を盛り上げたい シカを狩り加工販売するハンターの挑戦」(2026年6月23日)
- 静岡新聞DIGITAL「市街地、難しい発砲判断 試行錯誤続く市町村」(2026年6月23日)
- Yahoo!ニュース「狩猟免許取得に関心高まる 熊の出没や鳥獣被害の増加が背景か 長野県松本地方」(2026年6月24日)
- 北海道新聞デジタル「教職員の狩猟免許保持者、北海道教育委員会が今夏調査へ」(2026年6月24日)
- 福島民報デジタル「新規狩猟者の初期費用支援 年齢制限撤廃で強化 銃やわな購入など上限10万円に拡充」(2026年6月24日)
- Yahoo!ニュース「ツキノワグマの狩猟期間を6週間延長へ 富山県が新計画を了承」(2026年6月25日)
- dメニューニュース「狩猟文化にアートの視点 芸工大生有志、プロジェクト『梓』始動」(2026年6月25日)
- dメニューニュース「奈良県 クマの緊急銃猟に備え研修 30年以上狩猟禁止で経験者ゼロに」(2026年6月26日)
- 京都新聞デジタル「増えるクマ目撃数 獣害防ぐ『ガバメントハンター』の定義は?待遇は?」(2026年6月26日)
- jimin.jp「国民の命と安全を守る対策推進を クマ等の鳥獣被害対策で提言」(2026年6月26日)
- 愛媛新聞「鳥獣被害防止へハンター養成 松山で県が塾開講」(2026年6月27日)

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