最終更新: 2026-10-27
クマなどへの「緊急銃猟」の実施件数で、新潟県は全国2位という実績を持っています。2026年10月16日には、新潟県上越市でこの制度を想定した訓練が初めて行われました。なぜ新潟県は緊急銃猟の実施・備えで先行しているのか、評価されている「連携の良さ」の内容と、上越市の訓練から見えてきた課題を一次報道から整理します。
新潟県は緊急銃猟「全国2位」という実績

緊急銃猟は2025年9月に施行された制度で、市町村長の判断により市街地でもクマなどを銃で駆除できる仕組みです。制度導入から1年が経過した2026年8月18日時点の実施件数は次の通りです。
| 都道府県 | 実施件数 | 順位 |
|---|---|---|
| 山形県 | 20件 | 全国1位 |
| 新潟県 | 16件 | 全国2位 |
| 全国合計 | 86件 | ー |
新潟県は、2025年11月の胎内市での事例(「緊急銃猟の体制はどう作る?新潟・胎内市と長野・大町市の備えを比較」で紹介)や、2026年10月の魚沼市での事例(「新潟県魚沼市でクマ緊急銃猟|目撃から駆除まで約4時間の経緯」)など、県内の複数の自治体で緊急銃猟の実施経験を積み重ねてきました。
評価される「連携の良さ」とは

クマの生態に詳しい新潟大学の名誉教授は、新潟県の対応について「自治体と猟友会の連携がうまく取れている」と評価しています。緊急銃猟は、発砲の判断主体である市町村長に加え、現場で実際に銃を構える猟友会のハンター、住民周知や交通規制を担う警察など、複数の関係者が同時に動く必要がある制度です。新潟県内で実施件数が積み重なってきたことで、この連携のノウハウが県内の自治体間でも共有されやすくなっている可能性があります。
上越市で初めて行われた訓練

2026年10月16日、上越市大豆の春日山城史跡広場で、県猟友会・警察・消防など関係機関から約40人が参加する訓練が行われました。これは上越市として初めて緊急銃猟を想定した訓練です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施日 | 2026年10月16日 |
| 場所 | 上越市大豆・春日山城史跡広場 |
| 参加人数 | 約40人(県猟友会・警察・消防など) |
| 想定シナリオ | 住宅街周辺にツキノワグマ1頭が出没し、建物内に居座っている状況 |
| 訓練の流れ | 現地本部の設置→住民避難の呼び掛け・通行規制→市長への電話連絡で実施判断→ハンターが模擬銃で「発砲」 |
訓練後、市の環境部長は「関係機関との連携を確認できたのは大きな成果」と評価し、マニュアルの改善を進める方針を示しています。
既出事例とどう違うのか

魚沼市や胎内市の事例は、実際にクマが出没・捕獲された際の現場対応の記録でした。一方で上越市の訓練は、実際の出没事案が発生する前に手順を確認しておく「予防的な備え」という位置づけです。新潟県内で緊急銃猟の実施件数が多い背景には、個々の自治体が出没事案ごとに対応した経験の蓄積だけでなく、上越市のように事案が発生していない自治体でも訓練を重ねて備えている点があるとみられます。
ただし、この訓練はあくまで模擬演習であり、実際の出没時に住民避難や交通規制がどこまで計画通りに進むかは別の課題です。長野県大町市が机上訓練で「市街地での実行には高いハードルがある」と痛感した例もあり、訓練を重ねることと実際の運用の間には距離がある点には留意が必要です。
まとめ:新潟県の緊急銃猟対応から見えること
- 緊急銃猟の実施件数で新潟県は全国2位(16件、2026年8月18日時点)。1位は山形県(20件)
- 新潟大学名誉教授は新潟県の自治体と猟友会の連携の良さを評価している
- 2026年10月16日、上越市で初めて緊急銃猟を想定した訓練が行われ、約40人が参加した
- 訓練は出没事案が発生する前の「予防的な備え」であり、実際の運用との間には距離がある点も留意が必要
緊急銃猟そのものの制度設計については「緊急銃猟とは?4つの要件・市町村長の権限・施行1年で81件の実態と課題を解説」で詳しく解説しています。狩猟・獣害対策の最新データは狩猟・ジビエ業界データまとめで定期更新しています。
参考情報
- [緊急銃猟導入1年]実施件数、新潟県は全国2番目の多さ…対象は熊・イノシシ、連携の良さ評価|新潟日報 — 実施件数・評価コメントについて参照(2026年9月2日掲載、9月3日更新)
- 上越市で初のクマ「緊急銃猟」訓練 住宅街での居座り想定し手順確認|上越タウンジャーナル — 訓練の日時・場所・参加人数・想定シナリオについて参照(2026年10月18日掲載)

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