狩猟で得た収入(報奨金・ジビエ販売代金など)は、会社員の副業としてなら年間所得20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。一方、狩猟を本業にしていたり、帳簿をつけて継続的に行っている場合は、金額にかかわらず事業所得として申告が必要になるケースがあります。この記事では、個人事業主として開業届を出すべきかどうかの判断材料と、狩猟にまつわる経費・狩猟税の扱いを整理します。
税金の最終判断は収入の内容や金額によって変わるため、具体的な申告作業の前には税務署や税理士に確認してください。
結論:狩猟の所得は「事業所得」か「雑所得」かで対応が変わる
国税庁の所得区分の考え方では、所得は10種類に分かれ、事業所得・不動産所得など特定の区分に当たらないものは「雑所得」になります。狩猟による収入がどちらに当たるかは、継続性・規模・帳簿の有無によって判断されます。
| 区分 | 当てはまりやすいケース |
|---|---|
| 事業所得 | 狩猟・ジビエ販売を本業として継続的に行っている。帳簿をつけて収支を記録している |
| 雑所得 | 会社員などが副業として不定期に報奨金やジビエ販売の収入を得ている |
帳簿書類の記帳・保存があれば、収入金額が300万円以下でも原則として事業所得に区分されるという考え方が、令和4年の所得税基本通達35-2改正に基づき税理士法人の解説記事でも示されています(税理士法人小山・ミカタパートナーズ「副業の税金は『20万円』がカギ」、2026年10月時点の掲載内容で確認)。つまり「本業かどうか」だけでなく、「帳簿をつけているかどうか」も区分に影響します。
確定申告が必要になる収入の目安
| 立場 | 確定申告が必要になる目安 |
|---|---|
| 会社員など(副業として狩猟をする場合) | 給与以外の所得(収入 − 必要経費)が年間20万円を超える場合 |
| 個人事業主・フリーランス(本業がすでに狩猟と無関係でも事業をしている場合) | 金額にかかわらず、事業全体の所得として申告が必要 |
| 専業で狩猟・ジビエ販売を行う場合 | 金額にかかわらず申告が必要 |
副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になる点に注意してください(弥生株式会社「副業所得20万以下なら確定申告と住民税の申告は不要?」、2026年10月時点の掲載内容で確認)。鳥獣の捕獲に対する報奨金についても、課税対象になる収入として扱われます(専門家向けメディア「moneyizm」の解説、2026年10月時点の掲載内容で確認)。
個人事業主として開業届を出すメリット・デメリット
狩猟・ジビエ販売を続けていくなら、税務署に「個人事業の開業届出書」を提出して個人事業主になる選択肢があります。
| メリット | デメリット・注意点 | |
|---|---|---|
| 開業届を出す | 青色申告が選べるようになり、最大65万円の青色申告特別控除や赤字の3年間繰越が可能になる。屋号での銀行口座開設や、取引先からの信用力向上にもつながる | 開業届を出した時点で「事業」として扱われるため、雑所得より帳簿作成の手間が増える。失業保険(基本手当)の受給中は個人事業主になると受給資格に影響する場合がある |
| 出さない(雑所得のまま) | 帳簿作成の手間が少ない | 青色申告の特典が使えず、赤字が出ても翌年以降に繰り越せない |
狩猟を生活の柱にしていきたい方や、ジビエ販売・加工品製造まで手がける予定がある方は、早い段階で開業届・青色申告を検討する価値があります。将来的に処理施設の開業まで考えている場合は、ジビエを個人で販売するには?必要な許可と手続きもあわせて確認してください。
狩猟に関わる経費にできるもの
事業所得・雑所得のいずれでも、収入を得るためにかかった費用は必要経費として収入から差し引けます。狩猟関連で経費になりやすい代表的な項目は次の通りです。
- 狩猟免許の取得費用・更新費用、狩猟者登録料
- わな・くくり罠・箱罠などの猟具
- 止め刺し用のナイフ・電気止め刺し機
- 作業着・安全ベストなどの装備品
- 誘引用の餌代
- 猟銃の弾代・保管設備費(所持許可を受けている場合)
- 狩猟税(後述)
経費として認められるかどうかは、狩猟による収入を得るために直接必要だったかという観点で判断されます。私的な利用との区別がつきにくいものは、使用割合に応じて計上する必要がある点に注意してください。
狩猟税は所得税と別にかかる地方税
狩猟者登録の際には、所得税とは別に「狩猟税」という都道府県税がかかります。免許の種類によって税額が異なり、宮城県・大阪府の例では次のような金額になっています(2026年10月時点の各都道府県公式サイトの掲載内容で確認。税額は都道府県ごとに定められるため、実際の登録先の都道府県の最新情報を確認してください)。
| 免許の種類 | 狩猟税の目安 |
|---|---|
| 第一種銃猟免許 | 11,000円〜16,500円程度 |
| 第二種銃猟免許 | 5,500円程度 |
| わな猟・網猟免許 | 5,500円〜8,200円程度 |
狩猟税は狩猟者登録の手続きの中で支払うもので、確定申告とは別の手続きです。事業の必要経費として収入から差し引くことができます。
まとめ:まずは自分の狩猟収入がどちらの所得区分かを確認する
- 会社員の副業なら、所得が年20万円を超えたら確定申告が必要(20万円以下でも住民税の申告は必要)
- 本業として帳簿をつけて継続的に行っている場合は、金額にかかわらず事業所得として申告が必要になりやすい
- 青色申告の特典を活かしたい、取引先からの信用力を高めたいなら個人事業主としての開業届を検討する
- わな・ナイフ・作業着・誘引餌代・狩猟税などは必要経費にできる
自分のケースがどちらに当たるか判断がつかない場合は、税務署の相談窓口や税理士に一度確認するのが確実です。狩猟そのものの収入規模をイメージしたい方は、猟師の副業年収はいくら?も参考にしてください。
参考情報
- 税理士法人小山・ミカタパートナーズ「副業の税金は『20万円』がカギ|確定申告・住民税・事業所得と雑所得を税理士が解説」(https://kmp.or.jp/fukugyo-zeikin-20man/)— 所得区分・20万円ルールの考え方(確認日: 2026年10月1日)
- 弥生株式会社「副業所得20万以下なら確定申告と住民税の申告は不要?20万円ルールを解説」(https://www.yayoi-kk.co.jp/fukugyo/oyakudachi/fukugyo_20manika/)— 住民税申告の必要性(確認日: 2026年10月1日)
- moneyizm「イノシシなどの『害獣駆除』に報償金受け取ったお金は課税対象になる?」(https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/money/77087/)— 捕獲報奨金の課税区分(確認日: 2026年10月1日)
- 宮城県「狩猟税」(https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/zeimu/syuryou.html)— 狩猟税の税額(確認日: 2026年10月1日)
- 大阪府「狩猟税」(https://www.pref.osaka.lg.jp/o050040/zei/alacarte/shuryou.html)— 狩猟税の税額(確認日: 2026年10月1日)

コメント