最終更新: 2026-06-21
2026年6月第3週は、東京都がツキノワグマの狩猟を約20年ぶりに解禁する方針を打ち出し、全国的に大きな注目を集めた。秋田県ではガバメントハンター6人の採用が決まり、狩猟免許試験の拡充も検討されている。また小田急電鉄が展開する「ハンターバンク」事業の拡大や、各地でのハンター育成講座の開催など、狩猟の担い手確保に向けた官民の動きが加速した1週間だった。今週の主要ニュースをカテゴリ別に整理してお届けする。
狩猟行政・法改正
東京都がツキノワグマの狩猟を約20年ぶりに解禁へ
東京都は2027年度から、ツキノワグマの狩猟を限定的に解禁する方針を明らかにした。都議会での答弁で表明されたもので、実現すれば約20年ぶりの解禁となる。
背景にあるのは、都内でのクマ目撃件数の急増だ。2026年春以降、奥多摩エリアを中心にクマの出没が相次いでおり、襲われた可能性のある遺体も発見されている。都はこれまで「保護」を基本方針としてきたが、人的被害の発生を受けて「抑制」へと政策を転換した形だ。
注目すべきは、従来の狩猟手法だけでなく、クマ検知AIなど民間の先端技術を活用する方針も同時に示された点である。行政とテクノロジーの連携による新たな鳥獣管理のモデルケースとなる可能性がある。クマとの遭遇時の安全対策を改めて確認しておきたい時期でもある。(情報元:朝日新聞、日本経済新聞、NHKニュース、TBS NEWS DIG、読売新聞)
秋田県がガバメントハンター6人を採用、免許試験の拡充も検討
秋田県はクマ対策の強化に向け、行政機関に所属する専門の捕獲従事者「ガバメントハンター」を6人採用する方針を発表した。あわせて狩猟免許試験の実施回数や定員の増加についても検討を進めている。
秋田県はクマによる人的被害が全国でも突出して多い地域だ。猟友会頼みの従来型の捕獲体制では対応しきれないケースが増えており、行政が自ら捕獲の実動部隊を持つことで、迅速かつ安定的な対応を可能にする狙いがある。免許試験の拡充は、ガバメントハンターに限らず、民間のハンター増加にもつながる施策だ。狩猟免許の取り方に関心がある方にとって、受験機会が増えるのは追い風となるだろう。(情報元:秋田テレビ)
岐阜県の識者が指摘「狩猟者減少で捕獲に限界」
岐阜新聞のインタビューシリーズ「クマを知る」では、専門家が鳥獣管理の構造的な課題を指摘した。個体数抑制へのシフトが各地で進む一方、肝心の狩猟者数が減少し続けており、このままでは将来的に捕獲そのものが成り立たなくなる可能性があるという。
現在、全国の実猟者は実質10万人を下回る水準にまで落ち込んでいる。制度面でいくら猟期を延長しても、現場で銃を構えるハンターがいなければ効果は限定的だ。猟師の高齢化問題は業界全体が直面する最重要課題であり、東京都のクマ狩猟解禁や秋田県のガバメントハンター制度も、この構造的課題への対応策として位置づけられる。(情報元:岐阜新聞デジタル)
獣害対策
秋田県で2026年度最初の狩猟免許試験、58人が受験
秋田県は2026年度最初の狩猟免許試験を秋田市で実施し、20代から70代までの58人が受験した。受験者のなかには、相次ぐクマ被害を受けて狩猟への関心を高めた人も少なくないという。
「クマに遭遇したことがきっかけで受験を決めた」という声もあり、身近な脅威として野生鳥獣の存在を感じた経験が受験動機に直結している実態がうかがえる。マタギ文化の継承を意識して受験した人もおり、実用面と文化面の両方から狩猟への関心が広がっている。(情報元:Yahoo!ニュース、NHKニュース、FNNプライムオンライン、秋田魁新報)
首都圏ハンターがクマ対応の勉強会・訓練を実施
東京都のクマ狩猟解禁方針を受け、首都圏のハンターたちがクマ対応に向けた勉強会や訓練を急ピッチで進めている。「クマはシカとは違い反撃してくる」という特性を踏まえ、銃猟の経験が浅いハンターを中心に実践的なスキル習得に取り組んでいる。
クマ猟はシカやイノシシの猟とは根本的に異なる。体格が大きく攻撃性も高いため、射撃の精度だけでなく、遭遇時の判断力や撤退の判断も求められる。首都圏にはわな猟や小型獣を対象とした猟の経験者が多い一方で、大型獣の銃猟経験を持つハンターは限られている。今後の解禁に向けて、実戦的な訓練体制の構築が急務となっている。(情報元:dメニューニュース)
宮城県村田町でハンター養成講座を開催
宮城県村田町では、クマなどの捕獲を担うハンターの養成講座が開催された。地域の鳥獣被害対策の一環として、猟銃の取り扱いや捕獲技術の基礎を学ぶプログラムが実施された。
全国各地でハンター養成講座の開催が相次いでおり、自治体主導の人材育成が本格化しつつある。こうした講座は狩猟を始めたい方にとって、実践的な知識を得る貴重な機会だ。(情報元:NHKニュース)
今週の獣害・狩猟行政関連ニュース一覧
| 日付 | 地域 | 内容 | 情報元 |
|---|---|---|---|
| 6/14 | 秋田県 | 2026年度最初の狩猟免許試験、58人受験 | NHK・FNN・秋田魁新報 |
| 6/16 | 東京都 | ツキノワグマ狩猟を約20年ぶりに限定解禁へ | 朝日・日経・NHK・読売 |
| 6/17 | 秋田県 | ガバメントハンター6人採用、免許試験拡充を検討 | 秋田テレビ |
| 6/17 | 長野県 | 林業大学校でハンター育成特別講座を実施 | SBC信越放送 |
| 6/18 | 首都圏 | クマ対応に向けハンターが勉強会・訓練を実施 | dメニューニュース |
| 6/20 | 宮城県 | 村田町でハンター養成講座を開催 | NHKニュース |
ジビエ市場・新店
福島・喜多方で「ふくしま狩猟ワールド」が開催
福島県喜多方市で、狩猟の奥深さを一般の人にも伝えるイベント「ふくしま狩猟ワールド」が開催された。専門家による講演のほか、ジビエ料理の試食コーナーが設けられ、来場者が実際にジビエの味を体験できる構成となっていた。
こうした体験型イベントは、狩猟やジビエに対する心理的なハードルを下げる効果が大きい。「食べてみたら意外においしかった」という体験が、ジビエ消費の拡大や、ひいては狩猟への関心の入り口となることも少なくない。福島県は放射性物質の検査体制を整えたうえでジビエの活用を推進しており、安全性の担保と消費拡大を両立させる取り組みとして注目される。(情報元:福島民友新聞)
業界トレンド
小田急電鉄「ハンターバンク」事業が拡大中
小田急電鉄が展開する「ハンターバンク」が事業を拡大している。ハンターバンクとは、獣害に悩む農山村と、狩猟に興味を持つ都市部の人々をマッチングするサービスだ。日本経済新聞によると、参加者の裾野が着実に広がっているという。
鉄道会社が狩猟関連事業を手がけるという異業種参入は、業界に新たな風を吹き込んでいる。沿線地域の活性化と獣害対策を同時に実現できるビジネスモデルとして、他の鉄道事業者や企業からの注目度も高い。狩猟の担い手確保が全国的な課題となるなか、民間企業による参入は解決策の一つとして期待される。(情報元:日本経済新聞)
京都の銃砲店5代目、28歳が語る狩猟文化の未来
京都新聞は、銃砲店を受け継いだ28歳の5代目店主を取り上げた。「狩猟文化に触れる人を増やしたい」と語る若き店主は、従来の銃砲店の枠にとらわれず、狩猟の裾野を広げる活動に取り組んでいるという。
銃砲店は狩猟インフラの要であり、その後継者不足もまた業界の課題だ。28歳という若い世代が家業を継ぎ、さらに狩猟文化の普及まで視野に入れている点は、業界にとって明るいニュースといえる。猟友会と個人ハンターの違いを理解したうえで、自分に合った狩猟との関わり方を見つけることが大切だ。(情報元:京都新聞)
猟友会の高齢化、長野・林業大学校でハンター育成講座を実施
長野県の林業大学校で、狩猟の担い手確保を目的とした特別講座が実施された。SBC信越放送の報道によると、猟友会では「50代が若手」と言われるほど高齢化が進んでおり、新たなハンターの育成が急務となっている。
講座では座学と実習を組み合わせ、林業を学ぶ学生たちが狩猟の基礎知識に触れる機会が提供された。林業と狩猟は山という共通のフィールドを持つ仕事であり、林業従事者がハンターを兼ねることは地域の鳥獣管理において大きな意義がある。長野県のほか、市民タイムスも林業大学生が狩猟に触れる講座を報じており、教育機関を通じた人材育成の流れが広がりつつある。(情報元:SBC信越放送、市民タイムス)
東出昌大が語る狩猟生活、「正常な残酷さ」が教える本来の幸せ
番組『野営デトックス』第6話について、リアルサウンドが俳優・東出昌大氏の狩猟生活に焦点を当てた記事を配信した。東出氏は自ら獲物を捕り、解体し、食べるという生活を通じて「正常な残酷さ」と向き合い、そこに本来の幸せがあると語っている。
著名人が狩猟生活を発信することは、狩猟という行為に対する社会的な認知や理解を広げる効果がある。「残酷」と思われがちな狩猟を、命と食の本質に向き合う営みとして伝えるメッセージは、狩猟文化の理解促進に寄与するものだ。(情報元:リアルサウンド)
まとめ
今週は、東京都のクマ狩猟解禁方針が最大のニュースとなった。約20年にわたる「保護」路線からの転換は、クマの生息数増加と人的被害の深刻化という現実を反映したものだ。秋田県のガバメントハンター採用と合わせ、行政が自ら捕獲の実行力を高める動きが全国に広がりつつある。
一方で、岐阜新聞の識者インタビューが指摘するように、制度を整えても現場のハンターが不足していれば効果は限定的だ。小田急電鉄のハンターバンクや、各地のハンター養成講座、そして京都の若き銃砲店主の挑戦は、この構造的課題に対する多様なアプローチとして注目に値する。
来週は、東京都のクマ狩猟解禁に関する具体的な制度設計の続報や、各地のハンター育成施策の動向に引き続き注目していきたい。
参考記事
- Yahoo!ニュース「クマに遭遇し決めた 秋田県で今年度最初の狩猟免許試験、58人受験」(2026年6月14日)
- NHKニュース「クマの出没など相次ぐなか 今年度最初の狩猟免許試験 秋田」(2026年6月14日)
- 岐阜新聞デジタル「個体数抑制へシフト 狩猟者減少、将来は捕獲に限界」(2026年6月14日)
- 市民タイムス「林大生 狩猟に触れる 担い手確保へ座学・実習」(2026年6月15日)
- 朝日新聞「クマ狩猟、東京都が20年ぶり解禁検討」(2026年6月16日)
- 日本経済新聞「東京都、クマ狩猟解禁を検討 人的被害受け保護から捕獲に」(2026年6月16日)
- NHKニュース「東京都 ツキノワグマの狩猟 解禁の方向で検討」(2026年6月16日)
- TBS NEWS DIG「東京都がツキノワグマの狩猟解禁を検討」(2026年6月16日)
- 読売新聞「東京都がツキノワグマ猟を20年ぶり解禁へ」(2026年6月16日)
- 福島民友新聞「狩猟の奥深さを紹介 喜多方でふくしま狩猟ワールド」(2026年6月16日)
- Yahoo!ニュース「50代が若手 猟友会の高齢化 長野県林業大学校で特別講座」(2026年6月17日)
- Yahoo!ニュース「東出昌大が狩猟生活を選んだ理由」(2026年6月17日)
- Yahoo!ニュース「銃砲店を受け継ぐ5代目の28歳男性 狩猟文化に触れる人を増やしたい」(2026年6月18日)
- 日本経済新聞「狩猟学ぶハンターバンク拡大中 小田急電鉄が展開」(2026年6月18日)
- dメニューニュース「クマはシカとは違い反撃してくる 首都圏ハンター勉強会や訓練実施」(2026年6月18日)
- 秋田テレビ「秋田県、ガバメントハンター6人採用へ 狩猟免許試験拡充を検討」(2026年6月19日)
- NHKニュース「クマなどの捕獲担うハンター養成講座 村田町で開催」(2026年6月20日)

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