最終更新: 2026-11-01
秋田県・岩手県では、ツキノワグマに限り例年11月1日に狩猟が解禁されます。これは全国の基本猟期(北海道以外は11月15日開始)より2週間早い前倒し措置で、都道府県が対象鳥獣・地域を指定して個別に設定できる特例です。2026年も秋田県内のクマ猟が11月1日に解禁され、集落や市街地への出没が続くなかで「人を避けるようになる」抑制効果への期待が報じられています。本記事では、この前倒しの仕組みと、クマの捕獲に関わる3つの別制度(狩猟・有害鳥獣駆除・緊急銃猟)の違いを整理します。
全国の基本猟期とクマの前倒し猟期

猟期の全国的な基本ルールは猟期はいつまで?基本ルールと都道府県の延長事例を解説で解説したとおり、本州など北海道以外では11月15日〜翌年2月15日です。この記事ではイノシシ・ニホンジカの延長事例を紹介しましたが、クマについても同様に都道府県が開始日・終了日を調整できます。
| 項目 | 基本猟期 | 秋田県・岩手県のクマ猟期 |
|---|---|---|
| 開始日 | 11月15日 | 11月1日(2週間前倒し) |
| 終了日 | 翌年2月15日 | 翌年2月15日(基本と同じ) |
| 対象 | 全狩猟鳥獣 | ツキノワグマのみ |
| 設定主体 | 環境省の全国基準 | 各都道府県が個別に指定 |
出典: 秋田魁新報「秋田県内のクマ猟、1日解禁 人里への出没、抑制なるか」(2026年10月31日配信)、岩手県公式サイト「ツキノワグマの狩猟期間の延長」(2026年11月1日確認)
岩手県はこの前倒しを2022年11月1日から2027年3月31日まで継続する方針としており、単年の措置ではなく複数年にわたる制度として運用されています。
なぜ2週間早く解禁するのか

秋田魁新報の報道によると、狩猟には個体数の抑制に加えて、クマに恐怖感を与えて人を避けるようになる効果が期待されており、集落・市街地を含む人里への出没が連日発生している状況を踏まえた前倒しとされています。ただし同記事は、担い手である猟友会員が有害鳥獣駆除の対応で疲弊し会員数も減少していることから、期待される効果が実際に出るかは不透明だとも指摘しています。前倒しは「出没してから対応する」有害鳥獣駆除とは異なり、猟期そのものを早めることで平時の狩猟圧を先取りして高める狙いだと理解できます。
捕獲上限はどう決まるのか

秋田県はツキノワグマについて「第二種特定鳥獣管理計画(第6次ツキノワグマ、令和7年3月策定)」に基づき、地域個体群の存続と生物多様性の確保の観点から、推定生息数・繁殖数のシミュレーションに基づいて捕獲上限の目安を設定する仕組みを取っています。捕獲上限の具体的な数値や「上限を設けるかどうか」自体は年度の出没状況・個体数推定によって見直されており、過去には上限到達による自粛要請や、翌年の上限撤廃・引き上げが行われた年もありました。2026年度(今シーズン)の具体的な上限数値は本記事作成時点で確認できていないため、最新の数値は秋田県の公式発表を確認してください。
「狩猟」「有害鳥獣駆除」「緊急銃猟」の違い

クマの捕獲には、今回のテーマである「狩猟」のほかに2つの別制度があり、それぞれ目的と実施者が異なります。
| 制度 | 実施時期 | 実施者 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 狩猟 | 猟期中のみ(秋田・岩手は11月1日〜翌年2月15日) | 狩猟免許を持つ人が自由に捕獲 | 個体数管理・出没抑制 |
| 有害鳥獣駆除(許可捕獲) | 年間を通じて自治体の許可があれば実施可 | 自治体が許可し、多くは猟友会等に委託 | 個別の被害発生への対応 |
| 緊急銃猟 | 市街地等への侵入時に限り、市町村長の判断で実施 | 認定鳥獣捕獲等事業者等、指定を受けた者 | 住宅地等での緊急対応 |
緊急銃猟の4つの要件・市町村長の権限については緊急銃猟とは?4つの要件・市町村長の権限・施行1年で81件の実態と課題を解説で詳しく解説しています。実際の捕獲数の規模感として、秋田県は2023年に有害鳥獣駆除で2,153頭、狩猟で150頭を捕獲したと発表しており、年間を通じた有害鳥獣駆除の方が狩猟よりもはるかに多くを占めていることが分かります。
まとめ:クマ猟の11月1日解禁が意味すること
- 秋田県・岩手県のクマ猟は、全国の基本猟期(11月15日開始)より2週間早い11月1日に解禁される都道府県独自の前倒し措置
- 前倒しの狙いは、クマに人を避ける行動を学習させることによる人里への出没抑制効果への期待
- 捕獲上限は都道府県の管理計画に基づき年度ごとに見直され、最新の数値は都道府県の公式発表を確認する必要がある
- クマの捕獲には「狩猟」「有害鳥獣駆除」「緊急銃猟」の3制度があり、目的・実施者が異なる
- 全国的な猟期の基本ルールやイノシシ・シカの延長事例は猟期はいつまで?基本ルールと都道府県の延長事例を解説を参照
参考情報
- 秋田県内のクマ猟、1日解禁 人里への出没、抑制なるか|秋田魁新報電子版 — 解禁日・前倒しの背景・担い手不足への懸念について参照(2026年11月1日確認)
- ツキノワグマの狩猟期間の延長|岩手県 — 岩手県の前倒し措置の期間について参照(2026年11月1日確認)
- 秋田県第二種特定鳥獣管理計画(第6次ツキノワグマ)|秋田県(令和7年3月策定) — 捕獲上限の設定方法について参照(2026年11月1日確認)


コメント