「わな猟免許って、どれくらい難しいんだろう」「合格率は高いって聞くけど、自分でも受かるのか不安」——狩猟に興味を持ち始めた人が、最初にぶつかる疑問です。
結論から言えば、わな猟免許の難易度は数ある国家資格のなかでは低めに分類されます。合格率は全国平均で80〜90%台と高く、正しく準備すれば未経験からでも十分に1回で合格できる試験です。一方で「楽勝だろう」と油断したまま本番に臨み、技能試験の猟具架設で手が止まり不合格となるケースも毎回一定数発生しています。狩猟免許そのものの全体像や他の種類との違いを先に押さえたい方は、狩猟免許の取り方ガイドも参考になります。
この記事では、わな猟免許の難易度を合格率データと試験構成から客観的に整理し、さらに現場で見てきた「落ちる人の共通点」を猟師視点でまとめます。知識・適性・技能の3試験それぞれの対策と、合格率を確実に引き上げる事前講習会の使い方まで、受験前に知っておきたい情報を一気通貫で解説します。読み終わるころには、自分がどのルートで準備すべきかの道筋が見えているはずです。
わな猟免許の難易度は「低め」|合格率80〜90%台の実態
わな猟免許の難易度を一言でまとめると、「正しく準備すれば高確率で合格できる、比較的易しい国家資格」です。ただし、何の準備もなしに挑むと技能試験で落ちるリスクがある、という二面性を持っています。
合格率から見る難易度の位置づけ
各都道府県で実施される狩猟免許試験の合格率は、例年80〜90%台で推移しています。国家資格全体のなかで見ると、宅建士(合格率15〜17%)や行政書士(10%前後)といった難関資格とは明らかに別枠で、運転免許に近い感覚の「準備すれば通る試験」に位置します。
| 免許の種類 | 目安となる合格率 | 主な難所 |
|---|---|---|
| わな猟免許 | 80〜90%台 | 猟具の組み立て実技 |
| 網猟免許 | 80〜90%台 | 使用可能網具の架設 |
| 第一種銃猟免許 | 80〜90%台 | 散弾銃の分解結合・距離目測 |
| 第二種銃猟免許 | 80〜90%台 | 空気銃の取り扱い |
合格率の幅があるのは、都道府県ごとに受験者層や試験運用が少し異なるためです。事前講習会を主催する猟友会が積極的な地域ほど、全体の合格率は高くなる傾向があります。
難易度を押し上げる唯一のポイントは「技能試験」
知識試験と適性試験の通過率は高く、難易度の体感を左右するのはほぼ技能試験です。特にわな猟では、くくり罠や箱罠といった実物猟具を組み立てる実技が課されます。試験官の目の前で部品を触りながら組み上げる作業は、紙の勉強だけでは再現できません。編集部のメンバーが受験した際も、合格者全員が「一度でも実物に触れておいたか」で難易度の感じ方がまったく違ったと振り返っています。
わな猟免許の試験内容|3つの試験で問われること
わな猟免許の試験は、知識試験、適性試験、技能試験の3段構えです。知識試験を突破した受験者のみ適性試験に進み、適性試験に合格した受験者のみ技能試験を受ける流れで、1日で全試験を終えるのが一般的です。
知識試験(三肢択一・90分・30問)
筆記試験は三肢択一式で、問題数は30問、試験時間は90分、合格基準は70%以上の正答率です。出題範囲は法令を中心に4分野へ配分されており、出題バランスを知らないと学習時間の配分を誤ります。
| 出題分野 | 問題数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟に関する法令 | 13問 | 鳥獣保護管理法、狩猟免許制度、狩猟期間 |
| 猟具に関する知識(わな) | 6問 | くくり罠、箱罠、囲い罠の構造と使用禁止猟具 |
| 鳥獣に関する知識 | 9問 | 狩猟鳥獣・非狩猟鳥獣の生態、誤認しやすい鳥獣 |
| 鳥獣の保護及び管理に関する知識 | 2問 | 個体数管理、錯誤捕獲の防止 |
出題の半数近くを法令が占めるため、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」の頻出条文を押さえるのが最短ルートです。猟友会が編集した公式テキスト「狩猟読本」と「図解 狩猟免許試験例題集」からの出題が中心になるため、この2冊を軸に学習すれば独学でも十分に到達できます(出典: 一般社団法人 大日本猟友会、2025年時点)。
適性試験(視力・聴力・運動能力)
適性試験は難易度を気にする必要のない短時間の検査ですが、基準を満たさないとその先の技能試験に進めないため確認が必要です。
- 視力: 両眼で0.5以上(矯正可)
- 聴力: 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること
- 運動能力: 狩猟を安全に行ううえで支障のある四肢・体幹の障害がないこと
めがね・コンタクトは使用可能です。聴力に不安がある人は、申し込み前に耳鼻科で確認しておくと安心して本番に臨めます。
技能試験(猟具判別+架設・減点方式)
わな猟の技能試験は、狩猟鳥獣と非狩猟鳥獣を含む16種類を判別する課題と、使用可能猟具と禁止猟具を判別する課題、最後に使用可能猟具1種類を捕獲可能な状態に組み立てる架設課題の3本立てです。合格基準は減点方式で、100点満点から30点を失うと不合格になります。
| 課題 | 内容 | 合格のコツ |
|---|---|---|
| 鳥獣判別 | 16種の図版・模型を見て狩猟鳥獣か否かを回答 | ノウサギやタヌキなど似た種のペアを重点復習 |
| 猟具判別 | 複数のわなから「使用可」「使用禁止」を判別 | とらばさみ、鳥かご類の禁止理由を理解 |
| 猟具架設 | くくり罠・箱罠のうち1種を組み立て | 事前に実物で3回以上手を動かす |
減点方式のため「時間内に完成させる」ことが最優先です。部品を落としてもあわてず拾い、試験官に声をかけながら作業を続けることで大きな失点を防げます。くくり罠は本番でも出題頻度が高く、設置手順の全体像はくくり罠の設置方法で写真付きで確認できます。
難易度が「楽勝」に見えても落ちる人の4つの共通点
合格率が80〜90%台でも、毎年数パーセントは不合格になります。編集部が複数県の事前講習会と受験者コミュニティを追跡してまとめた範囲では、落ちる人には共通の傾向があります。独学を選ぶ人ほど、以下のパターンに注意が必要です。
パターン1:法令問題を甘く見て知識試験で脚切り
知識試験の13問を占める法令は、暗記量こそ多くないものの「鳥獣保護管理法」「銃刀法」「火薬類取締法」の基本条文が頻出します。法令だけで9問前後落とすと、他分野で満点でも合計が合格ラインに届きません。1週間程度は法令学習に重点配分するのが安全です。
パターン2:鳥獣判別で似た種を混同
16種の鳥獣判別では、タヌキとアナグマ、ノウサギとユキウサギ、ヒヨドリとムクドリなど、形態や色合いが近い種の組み合わせが出題されます。図鑑を眺めるだけでは判別しきれないため、猟友会が配布する判別シートや「狩猟鳥獣ハンドブック」で見比べ学習を行いましょう。
パターン3:技能試験の猟具架設で手が止まる
くくり罠や箱罠は、写真を見るのと実物を触るのとでは別物です。部品点数が20点を超えることもあり、慣れないと順序がわからなくなります。試験官の前で長く手が止まると減点が積み上がり、30点の減点ラインを超えて失格になります。事前講習会で一度でも手を動かしておくことが、最大の予防策です。
パターン4:試験日程の確認ミスで受験できない
都道府県単位で試験日が限られ、受験回数は年に2〜6回程度です。申し込み締切日が試験本番の1〜2か月前に設定されているため、「気づいたら次の試験まで半年待ち」という事態も起こります。各都道府県の自然環境課、鳥獣保護担当窓口で最新の日程を確認してから勉強計画を立てる必要があります。
合格率を引き上げる事前講習会の使い方
合格率80%台の土台を支えているのが、各都道府県の猟友会が主催する事前講習会(予備講習会)です。知識試験の出題傾向と技能試験の減点ポイントを、試験前に1日かけて実地で教えてもらえる機会です。
事前講習会の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 都道府県の猟友会 |
| 期間 | 1日(6〜8時間) |
| 費用 | 無料〜12,000円程度(テキスト代込みの県が多い) |
| 使用テキスト | 狩猟読本、図解 狩猟免許試験例題集 |
| 参加形態 | 座学+猟具の実物演習 |
費用が地域により大きく異なるのが特徴で、群馬県のように無料で実施される県もあれば、東京都・兵庫県のように12,000円程度かかる県もあります(出典: 各都道府県猟友会、2025年度案内、2026年4月時点)。
独学 vs 事前講習会の比較
「費用を抑えたいので独学で受けたい」という相談をよく受けますが、総費用で比べると差は大きくありません。むしろ講習会のほうが合格率の差で元が取れます。
| 比較項目 | 独学コース | 事前講習会活用コース |
|---|---|---|
| 勉強期間 | 1〜3か月 | 2週間〜1か月 |
| 参考書代 | 約5,000〜8,000円 | 講習費に含まれることが多い |
| 猟具に触れる機会 | なし(自作は困難) | 講習会で全種を実演 |
| 想定合格率 | 70〜80%台 | 90%台 |
| 総コスト | 約1万円前後 | 1〜2万円前後 |
講習会を受けるかどうかで合格率に10ポイント以上の差が出るケースが各地で報告されています(出典: 大日本猟友会 狩猟免許関連情報、2025年度時点)。仕事や育児の合間に受験する人ほど、時間効率の観点で講習会のメリットが大きくなります。
講習会の申し込みタイミング
事前講習会は試験日の1〜2週間前に開催されるのが通常で、定員制のため早い県では2〜3か月前に受付を締め切ります。試験申し込みと同時期に講習会もエントリーしておくのが基本です。なお、講習会の案内や試験情報は地域の猟友会経由で届くケースが多いため、猟友会の入り方とメリットを先に確認しておくと、入会を含めた全体設計がしやすくなります。
合格後の流れ|狩猟者登録から実猟開始まで
わな猟免許に合格したら、次に必要なのが狩猟者登録です。免許は資格そのものを証明するだけで、これだけでは狩猟できません。実際に野山に出るには、狩猟を行う都道府県ごとに狩猟者登録を済ませる必要があります。
狩猟者登録の流れ
1. 狩猟を行いたい都道府県の自然環境課に登録申請
2. 狩猟税の納付(わな猟は原則8,200円、地域により減免あり)
3. ハンター保険への加入(年額3,000〜10,000円程度)
4. 登録証と狩猟者記章の受け取り
5. 猟期開始日から実猟開始
わな猟は主に11月15日から翌2月15日(北海道は10月1日から翌1月31日)の狩猟期間内に、登録した都道府県の区域で行えます。有害鳥獣捕獲の許可を得れば猟期外でも従事可能で、地域の鳥獣被害対策員として活動する道も開けます。
ジビエ業界としての将来性
わな猟で捕獲した個体は、適切な処理を経てジビエ流通に乗ります。農林水産省の令和5年度調査によると、全国の食肉処理施設に搬入された野生鳥獣の重量は計7,072トンで、そのうちイノシシが1,467トン(20.7%)、シカが5,605トン(79.3%)を占めました(出典: e-Stat 統計表ID 0002119971、野生鳥獣資源利用実態調査、令和5年度)。販売金額ベースでも食肉部門が全体の81.5%にあたる44億円規模に達し、わな猟で捕獲したイノシシ・シカの流通が産業としての厚みを増しています(出典: e-Stat 統計表ID 0002119974、令和5年度時点)。わな猟免許は、単なる趣味の資格にとどまらず、地方の担い手としてのキャリアにも直結する入口になっています。
猟師の働き方や収入の実態を先に知っておきたい方は、猟師の年収リアル事情の記事で働き方別の金額を詳しく解説しています。
わな猟免許の難易度に関するFAQ
Q1. わな猟免許は独学だけでも合格できますか?
合格は可能です。狩猟読本と図解 狩猟免許試験例題集を中心に、法令・鳥獣判別・猟具知識を網羅すれば知識試験は突破できます。ただし技能試験の猟具架設だけは実物での練習が必須で、独学の場合は猟具メーカーの展示会や現役猟師の見学で補う必要があります。
Q2. 勉強期間はどれくらい必要ですか?
事前講習会を受ける場合で2週間〜1か月、独学の場合で1〜3か月が目安です。平日1時間、休日3時間の学習ペースでも、過去問題集を3周すれば知識試験の得点は安定します。直前1週間は技能試験の動作確認に集中する配分がおすすめです。
Q3. 視力が弱くても受験できますか?
矯正視力で両眼0.5以上あれば問題ありません。運転免許よりゆるやかな基準のため、めがね・コンタクトで普段生活できている人はほぼクリアできます。不安な場合は事前に眼科で確認しておくと安心です。
Q4. 受験できる回数に制限はありますか?
制限はありません。不合格になった場合も、次回試験に再挑戦できます。ただし受験手数料5,200円と事前講習会費は都度必要になるため、1回で確実に合格したほうが総コストは抑えられます。
Q5. わな猟免許と第一種銃猟免許はどちらを先に取るべきですか?
初心者にはわな猟免許の先取りを推奨します。銃の所持許可申請と並行させる場合、わな猟免許を先に取得して狩猟者登録を済ませれば、先に実猟のフィールドに出られます。銃所持許可には6か月前後かかるため、その間にわな猟で現場経験を積めるのがメリットです。手続きの流れは[猟銃の所持許可を取る流れ](https://kariudo.jp/hunting/gun-possession-permit-process/)で整理しています。
Q6. 女性や未経験者でも合格できますか?
十分に合格できます。わな猟の架設作業に必要な握力・体力は一般的な成人であれば問題ない水準で、近年は20代女性の合格者も増えています。事前講習会では女性講師や女性受講者のグループも珍しくなくなっており、ハードルは年々下がっています。
まとめ|わな猟免許は「準備量」で難易度が決まる
わな猟免許の難易度は、合格率80〜90%台という数字が示す通り決して高くありません。しかし、楽勝と油断して法令の暗記を怠ったり、猟具に一度も触れないまま本番に臨むと、残り10〜20%の不合格側に回ってしまいます。難易度を下げるのも上げるのも、最終的には受験者自身の準備量です。
次のアクションは3つです。まず受験予定の都道府県で試験日程と事前講習会の開催予定を確認すること、次に狩猟読本と例題集を購入して法令・鳥獣判別の学習を始めること、最後に可能であれば講習会で実物の猟具に触れることです。この3つを押さえれば、合格は限りなく確実になります。
合格後のリアルな生活や収入の見通しを知りたい方は、狩猟の始め方ガイドで免許取得から実猟までの全体ロードマップを、狩猟免許の費用は合計いくら?で総コストの内訳を確認しておくと、計画が一気に具体化します。わな猟免許は、あなたが山と向き合う人生の入り口になる資格です。
参考情報
- 環境省 狩猟の魅力まるわかりフォーラム「狩猟免許を取得する」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html、2026年4月時点)
- 高知県 狩猟免許試験の試験内容について(https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/sikennaiyo/、2026年4月時点)
- 東京都環境局 狩猟免許試験について(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/hunting_license/test、2026年4月時点)
- 大日本猟友会 狩猟者へのみち 狩猟免許の取得(http://j-hunters.com/tobecome/license.php、2026年4月時点)
- 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査 令和5年度(e-Stat 統計表ID 0002119971、0002119974、2026年4月時点)

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