最終更新: 2026-04-20
環境省の統計によると、全国の狩猟免許所持者は約19万人。そのうち第一種銃猟免許は散弾銃・ライフル銃・空気銃のすべてを使用できる最も汎用性の高い免許です。「第一種銃猟の試験って何が出るの?」「実技では何をするの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、第一種銃猟免許試験の知識試験・適性試験・技能試験の内容を出題範囲から合格基準まで徹底解説します。まず試験の全体像を把握し、次に各試験の詳細、最後に合格するための具体的な対策をお伝えします。
第一種銃猟免許とは?4種の狩猟免許との違い
第一種銃猟免許は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)に基づく4種類の狩猟免許のうちの1つです。装薬銃(散弾銃・ライフル銃)と空気銃を使って狩猟を行うための資格で、銃猟免許の中では最も使用できる猟具の範囲が広い免許となっています。
| 免許の種類 | 使用できる猟具 | 受験年齢 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 第一種銃猟免許 | 散弾銃・ライフル銃・空気銃 | 20歳以上 | 銃猟全般が可能。最も汎用性が高い |
| 第二種銃猟免許 | 空気銃のみ | 20歳以上 | 空気銃に限定。手続きが比較的簡易 |
| わな猟免許 | くくり罠・箱罠・囲い罠 | 18歳以上 | 罠を使った捕獲。近年取得者が増加 |
| 網猟免許 | むそう網・はり網・つき網 | 18歳以上 | 網を使った捕獲。取得者は少ない |
注目すべきは、第一種銃猟免許を持っていれば第二種で使える空気銃も使用可能という点です。「将来的に散弾銃を使いたい」「猟の選択肢を広げたい」と考える方にとって、第一種を選ぶメリットは大きいと言えます。
なお、狩猟免許の取り方については別記事で全体の流れを解説していますので、まだ読んでいない方はあわせてご確認ください。
第一種銃猟免許試験の全体像|3つの試験と合格基準
第一種銃猟免許試験は、1日で「知識試験」「適性試験」「技能試験」の3つを行います。すべてに合格しなければ免許は交付されません。
| 試験の種類 | 試験時間 | 合格基準 | 不合格条件 |
|---|---|---|---|
| 知識試験 | 90分 | 70%以上の正答率 | 30問中9問以上不正解 |
| 適性試験 | 個別実施 | 全項目の基準を満たす | 1項目でも基準未満 |
| 技能試験 | 順番待ち含め数時間 | 減点方式で70%以上維持 | 累積減点が30点超 |
試験は午前に知識試験と適性試験、午後に技能試験という流れで進むのが一般的です。知識試験に不合格の場合、その時点で適性試験・技能試験を受けることはできません。
受験手数料は1免許あたり5,200円(2026年4月時点)です。すでに他の種類の狩猟免許を持っている場合や再受験の場合は3,900円に減額されます。
知識試験の出題範囲と問題形式|30問の内訳を公開
知識試験は三肢択一式(3つの選択肢から正解を選ぶ方式)で、全30問を90分で解答します。出題範囲は大きく4分野に分かれており、分野ごとの出題数も決まっています。
出題分野と問題数の内訳
| 出題分野 | 問題数 | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| 鳥獣保護管理に関する法令 | 13問 | 狩猟免許制度・猟期・猟区・禁止事項・捕獲許可制度 |
| 猟具に関する知識 | 6問 | 散弾銃・ライフル銃・空気銃の構造と取扱い、弾薬の種類 |
| 鳥獣に関する知識 | 9問 | 狩猟鳥獣の判別・生態・習性、非狩猟鳥獣との見分け方 |
| 鳥獣の保護及び管理 | 2問 | 個体数管理の考え方・生態系保全の基本 |
最も配点が大きいのは「法令」分野の13問です。猟期(北海道は10月1日~翌1月31日、その他の区域は11月15日~翌2月15日)、使用禁止猟法、捕獲が禁止される場所など、数値を伴う規定が頻出します。
第一種銃猟ならではの出題ポイント
第一種銃猟の知識試験では、「猟具に関する知識」の6問が他の免許種とは異なる内容になります。具体的には以下のテーマが出題されます。
- 散弾銃の構造(元折単身・元折二連・自動式の違い)
- ライフル銃とスラッグ弾の特性
- 空気銃の種類(スプリング式・ポンプ式・プリチャージ式)
- 装弾の種類と用途(散弾・スラッグ弾・ライフル弾)
- 銃の安全装置と暴発防止の基本
- 射程距離と有効射程の違い
ここで重要なのは、第一種は第二種の範囲(空気銃)も含むという点です。空気銃に関する問題も出題対象となるため、散弾銃だけでなく空気銃の知識もしっかり押さえておく必要があります。
鳥獣判別で押さえるべきポイント
「鳥獣に関する知識」9問では、狩猟鳥獣(鳥類26種・獣類20種、2026年4月時点)の判別が求められます。試験では図やイラストが提示され、「この鳥獣は狩猟鳥獣か非狩猟鳥獣か」を判定する問題が出ます。
特に間違えやすい組み合わせとして、以下の鳥獣が知られています。
| 狩猟鳥獣 | 間違えやすい非狩猟鳥獣 | 見分けのポイント |
|---|---|---|
| マガモ | カルガモ(狩猟鳥獣) | マガモのオスは頭部が緑色 |
| ゴイサギ | ササゴイ | 体の大きさとくちばしの長さ |
| ヤマドリ | キジ(狩猟鳥獣) | 尾羽の模様と体色 |
| タヌキ | アナグマ | 顔の模様と体型 |
| ノウサギ | — | 耳の長さと体色(季節変化) |
狩猟・ジビエ用語集では、試験に出る専門用語の基本的な定義をまとめています。用語に不安がある方は事前に目を通しておくと安心です。
適性試験の検査項目|視力・聴力・運動能力の基準
適性試験は身体能力が狩猟を行うのに支障がないかを確認するもので、以下の3項目が検査されます。
| 検査項目 | 第一種銃猟の合格基準 | 備考 |
|---|---|---|
| 視力 | 両眼で0.7以上、かつ片眼でそれぞれ0.3以上 | 矯正視力(眼鏡・コンタクト)可 |
| 聴力 | 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること | 補聴器の使用可 |
| 運動能力 | 四肢の屈伸、挙手および手指の運動が可能であること | 狩猟に支障がない程度 |
第一種銃猟の場合、視力の基準がわな猟や網猟よりも厳しく設定されています(わな猟・網猟は両眼で0.5以上)。これは銃器を使用する以上、遠方の獲物や周囲の安全を確認する能力が必要不可欠であるためです。
なお、片眼の視力が0.3に満たない場合や片眼が見えない場合でも、他眼の視野が左右150度以上で視力が0.7以上あれば合格基準を満たします。
適性試験は医師の診断書(都道府県によっては当日の検査)によって判定されるケースが多く、事前に自治体の案内を確認しておくとスムーズです。
技能試験の全手順|実技で何をするのか
技能試験は第一種銃猟免許試験の中で最も緊張する場面と言われています。模擬銃(実弾は入っていない訓練用の銃)を使い、銃の取扱い技術と狩猟に必要な判断力を実演形式で試されます。
技能試験は「銃器の操作」「距離の目測」「鳥獣の判別」の3つのパートに分かれています。
パート1: 銃器の操作(配点が最も大きい)
銃器の操作では、以下の一連の手順を試験官の前で実演します。
| 操作項目 | 実施内容 | 主な減点ポイント |
|---|---|---|
| 銃の点検 | 銃口・薬室の安全確認 | 銃口を人に向ける(即不合格レベル) |
| 分解・結合 | 銃を分解し、再び組み立てる | 手順の誤り、部品の落下 |
| 装填・射撃姿勢 | 模擬弾の装填、据銃、照準 | 引き金に指をかけるタイミングの誤り |
| 脱包 | 弾を抜く操作 | 薬室確認の省略 |
| 団体行動 | 2人以上での移動、休憩、銃の受け渡し | 銃口管理の不備、受け渡し手順の違反 |
| 空気銃の操作 | 空気銃の点検・装填・射撃姿勢 | 安全管理の不備 |
ここで特に注意すべきは「銃口管理」です。どの操作段階であっても銃口を人や自分に向けてしまうと大幅な減点、場合によっては即不合格となります。銃の操作手順そのものは覚えれば対応できますが、銃口の方向を常に意識する習慣は繰り返しの練習が必要です。
第一種銃猟では散弾銃と空気銃の両方の操作が求められます。第二種が空気銃のみの操作であるのに対し、試験時間が長くなる点も覚えておきましょう。
パート2: 距離の目測
試験官が指定する目標物までの距離を目測で答えます。第一種銃猟の場合、提示される距離は以下の4パターンです。
| 提示される距離 | 許容誤差 |
|---|---|
| 300メートル | おおむね±50メートル |
| 50メートル | おおむね±10メートル |
| 30メートル | おおむね±10メートル |
| 10メートル | おおむね±3メートル |
距離の目測は事前に練習しておかないと、意外に正確に当てるのが難しい項目です。普段から「あの電柱までは何メートルだろう」と意識して歩く癖をつけておくと、本番で役立ちます。
パート3: 鳥獣の判別
イラストや写真を見て、その鳥獣が狩猟鳥獣か非狩猟鳥獣かを回答します。さらに、狩猟鳥獣の場合はその名称も答える必要があります。
知識試験の鳥獣問題と重複する分野ですが、技能試験では「見た目での瞬時の判別」が求められます。図鑑やハンターマップで繰り返し確認しておくことが大切です。
合格率は約80~90%|不合格者の多くは技能試験で失敗
第一種銃猟免許試験の合格率は、全国平均でおおむね80~90%の水準です(2025年時点の各都道府県の公表データに基づく推計値)。事前講習会に参加した受験者に限れば合格率はさらに高くなる傾向があります。
| 区分 | 合格率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 全体平均 | 80~90% | 都道府県により差あり |
| 事前講習会参加者 | 90%前後 | 猟友会主催の予備講習が一般的 |
| 事前講習会不参加者 | 50~60% | 特に技能試験で苦戦 |
不合格になるケースで最も多いのは技能試験です。知識試験は参考書や過去問で対策できますが、技能試験は模擬銃を実際に操作する練習機会が限られるためです。
各都道府県の猟友会が主催する「狩猟免許予備講習会」では、模擬銃を使った実技練習ができるため、参加を強く推奨します。講習会の費用は都道府県により異なりますが、おおむね5,000~10,000円程度です。
狩猟免許にかかる費用の合計については別記事で受験料・講習費・狩猟者登録費まで含めた総額を解説しています。
試験当日の流れ|受付から合格発表までのタイムライン
試験当日のおおまかな流れを把握しておくと、余裕を持って臨めます。以下は一般的なスケジュール例です(都道府県により異なる場合があります)。
| 時間帯 | 内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 8:30~9:00 | 受付・本人確認 | 30分 |
| 9:00~10:30 | 知識試験 | 90分 |
| 10:30~11:00 | 適性試験 | 30分 |
| 11:00~12:00 | 昼休憩 | 60分 |
| 13:00~16:00 | 技能試験(順番待ちあり) | 3時間程度 |
| 16:00以降 | 合格発表(後日郵送の場合もあり) | — |
朝から夕方まで丸1日かかる長丁場です。昼食や飲み物は持参しておきましょう。技能試験は受験者が順番に実演するため、自分の番が来るまでに数時間待つこともあります。待ち時間に鳥獣判別の図鑑を見返す受験者も多いようです。
第一種銃猟免許を取得した後のキャリアパス
第一種銃猟免許は取得がゴールではなく、猟師としてのスタートラインです。免許取得後にどのような道が開けるのか、ここでは主なキャリアパスを紹介します。
| キャリアパス | 概要 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| 趣味の猟師(兼業) | 本業を持ちながら猟期に狩猟を楽しむ | 猟による収入は年数万~数十万円 |
| 有害鳥獣駆除員 | 自治体からの委託で年間を通じて活動 | 報奨金制度あり(1頭あたり数千~数万円) |
| 専業猟師 | 狩猟とジビエ販売を主な収入源とする | 地域差が大きいが200~400万円程度 |
| ジビエ事業者 | 解体処理施設の運営やジビエ販売 | 事業規模による |
| 地域おこし協力隊 | 自治体の鳥獣害対策を担当しながら移住 | 月額16.6~22.5万円(総務省基準) |
農林水産省の「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」によると、ジビエ食肉処理施設が野生鳥獣を処理して得た金額の合計は約54億円で、1施設あたり平均約701万円となっています(e-Stat 統計表ID: 0002119974)。ジビエ市場は拡大傾向にあり、第一種銃猟免許を持つ人材への需要は今後も高まると見込まれています。
猟師の年収のリアルでは、兼業・専業それぞれの収入モデルを詳しく紹介していますので、将来の計画に役立ててください。
なお、第一種銃猟免許を取得しただけでは実際に銃を持つことはできません。別途、猟銃所持許可の手続きを警察署で行う必要があります。この手続きには身辺調査も含まれるため、免許取得後すぐに手続きを始めることをおすすめします。
第一種銃猟免許試験に関するよくある質問
Q1: 事前講習会には必ず参加すべきですか?
参加を強く推奨します。特に技能試験は模擬銃を実際に操作する練習ができる唯一の機会となるケースが多いためです。講習会なしで合格する方もいますが、合格率に大きな差が出ます。費用はおおむね5,000~10,000円で、猟友会が主催している場合がほとんどです。
Q2: 第一種と第二種、どちらを受けるべきですか?
将来的に散弾銃やライフル銃を使いたい場合は第一種がおすすめです。第一種は空気銃も使用できるため、第二種の上位互換と言えます。ただし、空気銃だけで小型鳥獣を狙いたい方は第二種でも十分です。試験は第一種のほうが技能試験の項目が多く、やや難度が高い点は理解しておきましょう。
Q3: 試験に落ちたら次はいつ受けられますか?
各都道府県で年に複数回(多くは2~4回)試験が実施されています。不合格でも次の試験日にすぐ再受験が可能です。再受験の手数料は3,900円で、新規受験の5,200円よりも安くなります。
Q4: 知識試験の勉強にはどのくらいの期間が必要ですか?
一般的に2~4週間の学習期間で合格する方が多いです。大日本猟友会が発行する「狩猟読本」が公式テキストで、ここから出題されます。過去問を繰り返し解くことで出題パターンに慣れるのが効率的な学習法です。
Q5: 狩猟免許とは別に、銃を持つための手続きも必要ですか?
はい、必要です。第一種銃猟免許は「狩猟で銃を使う資格」であり、銃を所持するためには別途「猟銃所持許可」を公安委員会(警察署の窓口)で取得する必要があります。所持許可の取得には猟銃等講習会の受講、射撃教習、身辺調査などが必要で、申請から許可まで数か月かかる場合もあります。
Q6: 女性や高齢者でも合格できますか?
受験資格の年齢要件(20歳以上)を満たし、適性試験の基準をクリアできれば、性別や年齢に関係なく合格可能です。近年は女性受験者も増加傾向にあり、適性試験も矯正視力や補聴器の使用が認められているため、身体的なハードルは想像より低いと言えます。
Q7: 同日に複数の免許を同時に受験できますか?
同日に複数種類の狩猟免許試験を受験できます。例えば第一種銃猟免許とわな猟免許を同日に受験することも可能です。ただし、試験時間が長くなるため体力的な負担は大きくなります。手数料は免許種類ごとに5,200円が必要です。
まとめ:第一種銃猟免許試験は準備すれば必ず合格できる
第一種銃猟免許試験のポイントを整理します。
- 試験は「知識試験(30問・三肢択一)」「適性試験(視力0.7以上等)」「技能試験(模擬銃の操作・距離の目測・鳥獣判別)」の3つで構成される
- 合格率は全体で80~90%。事前講習会への参加で大幅に合格率が上がる
- 知識試験は法令13問・猟具6問・鳥獣9問・保護管理2問。参考書と過去問で十分対応できる
- 技能試験は銃口管理が最重要。模擬銃を使った実技練習は講習会で経験しておく
- 受験手数料は5,200円、予備講習費を含めても1~1.5万円程度
まずは猟友会の事前講習会の日程を確認し、申し込むところから始めましょう。狩猟の始め方を初心者向けにまとめた記事では、免許取得から猟場デビューまでの全体ロードマップを紹介しています。「狩猟免許は取りたいけれど、そのあと何をすればいいか不安」という方はぜひ読んでみてください。
また、狩猟に必要な装備一式やわな猟免許の難易度についても記事を公開していますので、情報収集にお役立てください。
狩猟・ジビエ業界の最新データは狩猟・ジビエ業界の統計データまとめで定期更新しています。
参考情報
- 環境省「狩猟免許を取得する|狩猟の魅力まるわかりフォーラム」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html)
- 東京都環境局「狩猟免許試験について」(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/hunting_license/test)
- 高知県「狩猟免許試験の試験内容について」(https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/sikennaiyo/)
- 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974)
- 大日本猟友会「狩猟免許の取得」(http://j-hunters.com/tobecome/license.php)

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