最終更新: 2026-09-23
結論から言うと、猟師が狩猟で使える銃は「散弾銃」「ライフル銃(ハーフライフル銃を含む)」「空気銃」の3種類です。このうち散弾銃とライフル銃は銃刀法上「装薬銃」に分類され、空気銃とは所持許可の仕組みが一部異なります。さらに、どの銃を使えるかは取得した狩猟免許(第一種銃猟免許・第二種銃猟免許)によっても変わります。この記事では、2026年9月時点で環境省・警察庁・大日本猟友会が公表している情報をもとに、銃刀法上の位置づけ、免許との対応関係、対象鳥獣・用途別にどの銃が向くかを整理します。免許の取得手続きやおすすめの散弾銃選びは既存記事に譲り、ここでは「そもそもどんな銃があり、何が使えるのか」という土台部分に絞って解説します。
猟師が使える銃とは?銃刀法上の分類を確認

日本で銃を所持するには、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に基づく都道府県公安委員会の所持許可が必要です。警視庁の案内でも、所持許可の対象は大きく「猟銃(散弾銃・ライフル銃)」と「空気銃」に区分されており、狩猟目的で申請する場合はいずれも狩猟免状・狩猟者登録証の提示が求められます。
| 区分 | 該当する銃 | 発射の仕組み |
|---|---|---|
| 装薬銃(猟銃) | 散弾銃、ライフル銃、ハーフライフル銃(特定ライフル銃) | 火薬の爆発力で弾丸を発射する |
| 空気銃 | エアライフルなど | 圧縮空気・ガスの力で弾丸を発射する |
装薬銃と空気銃は、所持許可を申請する窓口や必要書類は共通の部分が多いものの、後述するように「狩猟でどこまで使えるか」は取得している猟銃免許の種類によって明確に分かれます。上下二連式・自動式(セミオート)といった散弾銃の機構による違いは、本記事とは別の切り口になるため「上下二連銃と自動銃の違い|狩猟での選び方を構造から解説」で詳しく扱っています。
猟師が使える銃の種類・分類

猟師が狩猟で使う銃は、発射する弾の種類によって次の3つに分類できます。
| 種類 | 発射する弾 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 散弾銃 | 散弾(複数の小さな弾)またはスラッグ弾(一粒弾) | 鳥類全般、イノシシ・シカ(スラッグ弾使用時) | 有効射程は比較的短いが、動く獲物にも当てやすい。狩猟用銃の中では最も広く使われる |
| ライフル銃(ハーフライフル銃を含む) | ライフル弾(施条により回転をかけた単発弾) | シカ・イノシシ・クマなど大型獣 | 命中精度と有効射程に優れる一方、所持のハードルが装薬銃の中で最も高い |
| 空気銃 | 圧縮空気・ガスで発射する弾 | 鳥類、小動物、大型獣のとどめ刺し(止め刺し) | 発射音・反動が小さく扱いやすいが、大型獣を仕留める用途には基本的に向かない |
大日本猟友会の案内でも、猟銃の種類は「ライフル銃」「散弾銃」「ライフル銃及び散弾銃以外の猟銃(ハーフライフル銃)」「空気銃」の4区分で整理されています。ハーフライフル銃は銃身の半分以下にライフリング(施条)を持つ銃で、以前は散弾銃に近い扱いを受けていましたが、2025年3月1日施行の改正銃刀法により、許可基準や更新時の技能講習義務がライフル銃と同様の枠組みに統合されました。ハーフライフル銃を所持している場合や、これから所持を検討している場合は、この制度変更を踏まえて確認することが重要です。
免許で使える銃はどこまで違う?第一種・第二種銃猟免許との対応

猟師が使える銃の範囲は、狩猟免許の種類(第一種銃猟免許・第二種銃猟免許)によって明確に区分されています。競合記事では免許の取得手続き自体を扱うものは多いものの、「免許ごとに実際どの銃まで使えるのか」を一覧で整理した情報は少ないため、ここで対応関係を表にまとめます。
| 免許 | 使用できる猟銃 | 対象鳥獣の目安 | 初心者の始めやすさ |
|---|---|---|---|
| 第一種銃猟免許 | 装薬銃(散弾銃・ライフル銃・ハーフライフル銃)+空気銃 | 鳥類から大型獣まで幅広く対応 | 装薬銃を扱うため講習・実技のハードルはあるが、対応できる猟具の幅が最も広い |
| 第二種銃猟免許 | 空気銃のみ | 主に鳥類・小動物 | 装薬銃を扱わない分、心理的・手続き的なハードルは低いが、大型獣の捕獲には対応できない |
ここで注意したいのは、第一種銃猟免許を取得しても、散弾銃と同じタイミングでライフル銃をすぐに所持できるわけではないという点です。大日本猟友会の案内によれば、ライフル銃(2025年3月以降はハーフライフル銃も含む)の所持許可には、原則として散弾銃を継続して10年以上所持していることが条件とされています。つまり「第一種免許=ライフル銃もすぐ使える」わけではなく、多くの猟師はまず散弾銃から所持許可を取り、実績を積んだうえでライフル銃へ移行する流れになります。なお、有害鳥獣による農林業被害の防止など事業目的でハーフライフル銃による捕獲が必要な場合には、警察庁の通達(2024年11月29日発出)に基づき、10年要件によらない特例的な運用が認められるケースもあります。個別の該当有無は所轄警察署への確認が必要です。
免許の取得手続き自体や試験の出題範囲を詳しく知りたい方は、「猟師に必要な銃の免許は2種類?所持許可と狩猟免許の違いを解説」「第一種銃猟免許の試験内容を徹底解説|出題範囲・実技・合格率」もあわせてご覧ください。
対象鳥獣・用途別にどの銃を選ぶべきか
どの銃が向いているかは、狙う鳥獣や猟のスタイルによって変わります。目安は次のとおりです。
| 対象鳥獣・用途 | 向いている銃 | 理由 |
|---|---|---|
| キジ・カモなどの鳥類 | 散弾銃(空気銃も可) | 散弾が広範囲に広がるため、飛んでいる・動いている獲物に当てやすい |
| イノシシ | 散弾銃(スラッグ弾)、ライフル銃 | 近距離での止め刺しはスラッグ弾を装填した散弾銃、見通しの良い場所での遠距離射撃はライフル銃が向く |
| シカ | 散弾銃(スラッグ弾)、ライフル銃 | イノシシと同様、距離や地形に応じて使い分けるケースが多い |
| クマ | ライフル銃(10年要件を満たした場合) | 高い制止力と精度が求められるため、装薬銃の中でもライフル銃が選ばれやすい。所持要件が厳しいため実際に使う猟師は限られる |
| 大型獣のとどめ刺し・小動物 | 空気銃 | 発射音・反動が小さく、近距離での確実な処理に向く |
ただし、実際に使用できる銃は所持許可を受けた個体(銃そのもの)に限られ、対象鳥獣や捕獲手法についても都道府県・猟区ごとのルールがあります。初心者が最初の1丁を選ぶ際の具体的な機種比較は「初心者向け散弾銃おすすめ5選|猟銃の選び方を徹底比較」で扱っていますので、種類を理解したうえで具体的な機種選びに進むとスムーズです。
猟師が使える銃を知るメリット
銃の種類と免許の対応関係を先に理解しておくと、次のようなメリットがあります。
- どの免許を取得すべきか、目指す狩猟スタイル(鳥猟中心か大型獣も狙うか)から逆算して判断できる
- 「散弾銃から始めてライフル銃を目指す」といった中長期のキャリアパスを描きやすくなる
- 銃砲店で相談する際に、自分がどの区分の銃を探しているのかを的確に伝えられる
注意点・デメリット
一方で、次の点には注意が必要です。
- ライフル銃・ハーフライフル銃は10年要件があるため、免許を取得してもすぐには所持できない場合が多い
- 装薬銃はいずれも所持許可・更新の手続きが必要で、ガンロッカー等の保管設備について法的基準を満たす必要がある
- 2025年3月1日の改正銃刀法施行により、ハーフライフル銃の扱いが変わったため、既に所持している場合は最新の許可基準を所轄警察署で確認したほうがよい
制度は改正されることがあるため、本記事の内容も含めて、実際の申請前には所轄の都道府県警察や大日本猟友会の最新情報を必ず確認してください。
よくある質問
Q1: 第二種銃猟免許だけでイノシシやシカを獲れますか?
第二種銃猟免許で使えるのは空気銃のみのため、イノシシ・シカのような大型獣の捕獲には基本的に向きません。大型獣を狙う場合は、装薬銃(散弾銃・ライフル銃)を扱える第一種銃猟免許の取得が必要です。
Q2: クロスボウは猟師が使える銃に含まれますか?
クロスボウは銃刀法上の「銃」には該当しませんが、2023年の法改正以降、狩猟用途での所持・使用には別途の許可制度が設けられています。本記事で扱う散弾銃・ライフル銃・空気銃とは所持許可の枠組みが異なるため、検討する場合は別途最新の制度を確認してください。
まとめ:猟師が使える銃のポイント
- 猟師が使える銃は「散弾銃」「ライフル銃(ハーフライフル銃を含む)」「空気銃」の3種類
- 散弾銃・ライフル銃は装薬銃、空気銃は別区分だが、いずれも所持許可が必要
- 第一種銃猟免許は装薬銃・空気銃の両方、第二種銃猟免許は空気銃のみに対応
- ライフル銃(2025年3月以降はハーフライフル銃も含む)の所持には原則10年以上の散弾銃所持経験が必要
- 対象鳥獣・猟のスタイルに応じて、まずは散弾銃から検討するのが現実的な選択肢になりやすい
まずは自分が狙いたい鳥獣・猟のスタイルを整理したうえで、どの免許を取得すべきか検討してみましょう。免許の取得手続きや所持許可の流れを具体的に知りたい方は、「猟銃の所持許可を取る流れとは?7ステップの手続きと費用を徹底解説」もあわせてご覧ください。
参考情報
- 環境省「猟具(猟銃、わな、網)を所持する」(狩猟の魅力まるわかりフォーラム)(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/tool.html)— 銃の種類(散弾銃・ライフル銃・空気銃)と免許との対応関係について参照(確認日: 2026年9月23日、2026年9月時点の掲載内容)
- 警視庁「猟銃・空気銃の所持許可申請」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/application/owner.html)— 猟銃(散弾銃・ライフル銃)と空気銃の区分、狩猟目的での申請要件について参照(確認日: 2026年9月23日)
- 大日本猟友会「狩猟者へのみち:銃砲所持許可の取得」(https://j-hunters.com/tobecome/permit.php)— 猟銃4区分(ライフル銃・散弾銃・ハーフライフル銃・空気銃)、ライフル銃所持の10年要件について参照(確認日: 2026年9月23日)
- 徳島県警察「銃刀法が改正されました(令和7年3月)」(https://www.police.pref.tokushima.jp/07tetuduki/p42843/index.html)— 2025年3月1日施行の改正銃刀法によるハーフライフル銃(特定ライフル銃)の扱い変更について参照(確認日: 2026年9月23日、令和7年3月改正内容)


コメント