最終更新: 2026-10-02
猟犬がイノシシの反撃でケガをした、藪の中で足を切った、猟場で熱中症になった——こうした事故は、飼っている愛犬用に一般のペット保険に入っているから大丈夫、とは言い切れません。多くのペット保険は「職業犬の育成を主たる目的として飼育されている犬」や「商業目的の犬」を補償対象外としており、狩猟目的で飼育している猟犬がこの条件に当てはまると判断されれば、事故時に保険金が支払われない可能性があります(ペット保険各社の重要事項説明書・約款に記載される一般的な除外事項)。この記事では、猟犬にまつわる保険を「一般のペット保険」「猟友会の共済保険」「民間ハンター保険の猟犬特約」の3層に分けて整理し、それぞれが何をカバーし、何をカバーしないのかを解説します。
結論:猟犬自身の死亡・ケガを確実にカバーしたいなら猟犬特約つきのハンター保険を確認する
猟犬に関する保険は、目的によって入るべきものが異なります。
| 補償したい対象 | 必要な保険 |
|---|---|
| 猟犬自身の病気・ケガの治療費(狩猟に関係しない日常の通院) | 一般のペット保険(猟犬としての使用を正しく申告した上で加入) |
| 猟犬が狩猟中に死亡した場合の損害 | 民間のハンター保険に付帯される猟犬特約 |
| 猟犬が他人・他人の家畜・農作物に損害を与えた場合の賠償 | 狩猟保険の賠償責任部分(大日本猟友会の共済保険、または民間ハンター保険) |
| 狩猟者自身のケガ・死亡 | 大日本猟友会の狩猟事故共済保険、または民間ハンター保険 |
つまり「猟犬の死亡損害」を直接の保険金としてカバーする仕組みは、一般的なペット保険や猟友会の共済保険には明確に組み込まれておらず、民間のハンター保険が用意する猟犬特約が主な選択肢になります。
なぜ猟犬は一般のペット保険で問題が起きやすいのか
ペット保険の多くは、警察犬・麻薬捜査犬などの職業犬や、その他商業目的で飼育されている犬・猫を補償対象外としています。猟犬は所有者にとってはペットであっても、捕獲報奨金やジビエ販売を目的とした狩猟・有害鳥獣駆除に使役している場合、保険会社の審査でこの除外規定に該当すると判断されるリスクがあります。
ここで注意したいのは、除外されるかどうかは保険会社・契約内容ごとに異なり、一律の基準があるわけではないという点です。加入前に次の点を確認してください。
- 申込時に「狩猟・有害鳥獣駆除で使役する犬」であることを正確に申告したか
- 申告内容と契約内容に齟齬がないか(不告知のまま加入すると、事故発生時に保険金が支払われない、契約が解除されるなどのリスクがある)
- 狩猟中の事故(イノシシとの接触、猟具による負傷等)が免責事項に含まれていないか
ペット保険の対象外規定は各社の約款で確認できます。契約前に「猟犬として使用している」ことを保険会社に伝えたうえで、狩猟中の事故が補償対象かどうかを明確にしておくことが欠かせません。
大日本猟友会の狩猟事故共済保険:猟師本人の補償が中心
大日本猟友会に加入すると、狩猟登録の要件を満たす狩猟事故共済保険が自動的に付帯されます。主な補償内容は次のとおりです。
| 補償項目 | 補償内容 |
|---|---|
| 他損事故保険金 | 限度額4,000万円(鳥獣保護管理法が定める狩猟登録時の損害保険加入条件「3,000万円以上」を満たす水準) |
| 自損事故保険金(死亡) | 300万円 |
| 自損事故保険金(入通院7日以上の傷害) | 1日3,000円 |
| 狩猟行為関係疾病死亡保険金 | 狩猟行為等に起因する場合100万円、持病等に起因する場合20万円 |
この共済保険は狩猟者自身のケガ・死亡と、第三者への加害(他損事故)を中心に設計されており、猟犬自体の死亡損害を直接の保険金対象とする項目は含まれていません。猟犬が他人や他人の家畜・農作物に損害を与えた場合は、他損事故保険金の対象になり得ますが、猟犬自身がケガをした場合の治療費や死亡の補償とは別の話になる点を理解しておく必要があります。
民間ハンター保険の猟犬特約:死亡損害を時価で補償
民間の損害保険会社が提供するハンター保険は、狩猟に伴う賠償責任・狩猟者自身の傷害・猟具の損害に加えて、猟犬の死亡損害をセットで補償する商品があります。補償の考え方は「猟犬1頭について、その死亡原因が発生する直前の時価によって算出した損害の額を保険金として支払う」というもので、あらかじめ決まった固定金額を支払う仕組みではなく、死亡時点でのその犬の市場価値を基準に算出される点が特徴です。
猟犬特約を検討する際は、次の点を保険会社・代理店に確認してください。
- 補償対象になる犬種・頭数の制限があるか
- 時価算定の基準(血統・訓練歴・年齢などが影響するか)
- 狩猟中の事故に限定されるか、日常の事故も含むか
- 大日本猟友会の共済保険とセットで加入する必要があるか、単独加入できるか
猟犬の訓練や選び方そのものについては「猟犬の犬種ガイド」「猟犬の訓練方法」で詳しく解説しています。また、猟師自身の保険選びについては「狩猟保険おすすめ4選」も参考にしてください。
関連記事: イノシシ猟のやり方|巻き狩り・待ち猟・忍び猟の違いと突進への対策
まとめ:3層に分けて不足のない保険選びを
- 一般のペット保険は、猟犬としての使用を申告したうえで加入し、狩猟中の事故が免責になっていないかを必ず確認する
- 大日本猟友会の狩猟事故共済保険は、猟師本人のケガ・死亡と第三者への加害が中心で、猟犬自身の死亡は直接の対象ではない
- 猟犬の死亡損害を確実にカバーしたい場合は、民間ハンター保険の猟犬特約(時価補償)を検討する
猟犬は狩猟の相棒であると同時に、所有者にとって経済的な投資でもあります。加入中の保険がどの範囲をカバーしているかを一度棚卸しし、抜け漏れがあれば猟期が始まる前に見直しておくことをおすすめします。秋の準備については「秋の狩猟準備チェックリスト」も参考になります。
参考情報
- 一般社団法人大日本猟友会「狩猟事故共済保険」(https://j-hunters.com/about/insurance.php)— 共済保険の補償項目・限度額(確認日: 2026年10月2日)
- 日本ハンターズ「狩猟保険の”盲点”共済保険だけでは足りない理由と、猟種別・活動別の正しい保険の組み方」(https://hunterz.jp/archives/4121)— 民間ハンター保険が猟具損害・猟犬の死亡・自損傷害を上乗せ補償する仕組み(確認日: 2026年10月2日)
- ペット保険のトリセツ「ペット保険の補償対象外とは?」(https://pethoken-torisetsu.com/comparison/ineligible/)— 職業犬・商業目的の犬がペット保険の対象外となる一般的な規定(確認日: 2026年10月2日)


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