最終更新: 2026-09-30
カモ猟には大きく分けて、銃猟によるデコイ猟・忍び猟と、網猟によるむそう網・はり網猟の2系統があります。銃猟には第一種銃猟免許(またはエアライフルなら第一種・第二種銃猟免許)、網猟には網猟免許が必要で、免許ごとに使える猟具も対象の捕り方も異なります。猟期は北海道以外で11月15日から翌年2月15日まで、北海道は10月1日から翌年1月31日までです(環境省「狩猟制度の概要」、2026年9月確認)。対象となるのは環境省が指定するカモ科の狩猟鳥獣11種のみで、1人1日あたりの捕獲数は合計5羽までという制限もあります。この記事では、銃猟・網猟それぞれの実践的なやり方と装備、失敗しないためのコツ、そして誤射・水辺の事故を防ぐ安全対策までを整理します。網猟免許そのものの制度や試験内容は網猟免許とはの記事で詳しく解説しているため、本記事では実践面に絞ります。
カモ猟のやり方:始める前に知っておくこと

カモ猟は水辺で行う猟であるため、山中で行う巻き狩りや忍び猟とは装備・注意点がかなり異なります。まず全体像を押さえておきましょう。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 所要時間 | 早朝2〜4時間が中心(日の出前後が勝負) |
| 費用 | 銃猟:装備一式で5万〜20万円程度/網猟:1万〜3万円程度 |
| 難易度 | ★★☆〜★★★(水辺での安全管理と鳥類判別が必須) |
| 必要な免許 | 第一種銃猟免許・第二種銃猟免許(エアライフル)または網猟免許+狩猟者登録 |
| 必要なもの | 猟具(散弾銃・むそう網等)、デコイ(銃猟の場合)、防水装備、双眼鏡 |
| 対象種 | ヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモの11種(環境省指定) |
農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)では、シカ・イノシシ以外の「その他鳥獣」(カモ類を含む)の食肉販売金額は約1億8,900万円で、ジビエ食肉販売全体の3.5%程度にとどまります(e-Stat 統計表ID: 0002119974)。シカ・イノシシに比べると流通量の少ない対象ですが、水辺という独特のフィールドで行う猟として一定の人気があります。
カモ猟のやり方【ステップ解説】

銃猟(デコイ猟・忍び猟)を軸に、網猟との違いも交えながら6つのステップで解説します。
Step 1: 猟法を選ぶ(デコイ猟・忍び猟・網猟)
カモ猟には主に3つのアプローチがあります。
| 猟法 | 必要免許 | 進め方 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| デコイ猟 | 第一種・第二種銃猟免許 | 水面にデコイ(模型)を浮かべ、ブラインド(隠れ場所)に潜んで飛来を待つ | 開けた池・沼、広い水域 |
| 忍び猟(回し猟) | 第一種・第二種銃猟免許 | 水辺を歩いて回り、休息中や採餌中のカモに接近して撃つ | 河川・水田・小規模なため池 |
| 網猟(むそう網・はり網) | 網猟免許 | むそう網を地面に伏せてロープで反転させる、またははり網を張って捕獲する | 銃猟が制限される地域、銃を使わずに始めたい場合 |
デコイ猟と忍び猟はどちらも銃猟免許があれば行えますが、必要な技術と体力の使い方が異なります。デコイ猟は「待つ」猟、忍び猟は「歩いて詰める」猟という違いを理解した上で、自分の体力や猟場の地形に合った方法を選びましょう。網猟を選ぶ場合の免許取得や試験の詳細は、網猟免許とはの記事を参照してください。
Step 2: 猟場の下見とカモの生息確認
カモ猟の成否は、実施前の下見で大きく決まります。ため池、河川の淀み、水田の落ち穂が残る一帯など、カモが好む水域を事前に確認しておきましょう。
確認すべきポイントは次のとおりです。
- 朝夕にカモが飛来する経路(ねぐらと餌場を往復する「渡り筋」)
- 水深と底質(デコイを設置しやすい浅場かどうか)
- 民家や道路との距離(銃猟の場合、住居集合地域や道路上での発砲は禁止されています)
- 鳥獣保護区・休猟区に指定されていないか(都道府県の鳥獣保護区マップで確認)
- 特定猟具使用禁止区域(鉛散弾規制区域)に指定されていないか
環境省は水鳥の鉛中毒事故を防ぐため、都道府県に対して水辺域を対象とした鉛散弾規制区域(特定猟具使用禁止区域)の指定を求めており、指定区域内では鉛散弾の使用が禁止されています。規制区域は都道府県ごとに異なるため、出猟前に猟場を管轄する都道府県のウェブサイトで必ず確認してください(環境省「鳥類の鉛中毒事故の防止について」、2026年9月確認)。
Step 3: 装備を準備する
銃猟でデコイ猟を行う場合、水面にデコイを5〜10羽程度浮かべ、ブラインド(葦簀や迷彩ネットで作る隠れ場所)に身を潜めます。忍び猟の場合はデコイを使わず、防水性の高い胴長靴(ウェーダー)で水辺を静かに歩いて接近します。網猟の場合は、カモが着水しやすい浅場やねぐらの近くにむそう網を伏せて設置し、物陰からロープを引ける位置で待機します。
いずれの猟法でも、日の出30分〜1時間前には猟場に到着し、暗いうちに準備を終えておくことが基本です。カモは薄暗い時間帯に活発に行動するため、明るくなってから準備を始めると好機を逃します。
Step 4: 待機・呼び寄せ
デコイ猟では、カモ笛(コーラー)で鳴き声を模し、飛来中のカモをデコイの群れに引き寄せます。カモが射程内に降りてくるまでじっと待つのが基本で、焦って早撃ちすると散弾が拡散しきらず外れやすくなります。
忍び猟では、風上から音を立てずに接近し、カモが水面に浮いている、または休息している状態を狙います。カモは視覚と聴覚が鋭いため、物音や急な動きには即座に飛び立ってしまいます。
網猟の場合は、カモが網の作動範囲に入るタイミングを見極め、物陰からロープを引いて網を反転させます。銃猟のような発射音がない分、周囲のカモを驚かせにくいという特性があります。
Step 5: 発砲・回収
射程内にカモが入ったら発砲します。安全な射線(バックストップ)が水面や対岸の土手で確保できているかを必ず確認してください。仕留めたカモは水面に落ちることが多く、回収には胴長靴での接近か、水猟に対応した猟犬(ラブラドール・レトリバーなど)が使われます。猟犬の訓練方法では、水猟・回収に向く犬種についても紹介しています。
半矢(負傷して飛び去った)になった場合は、無理に深追いせず、水域の安全を優先して判断してください。
Step 6: 止め刺し・搬出
回収したカモは速やかに止め刺しを行い、鮮度を保つために早めに内臓処理へ移ります。フィールドでの処理から調理までの流れは、鴨肉ジビエの調理法で詳しく解説しているので、初めてカモを持ち帰る方は参考にしてください。止め刺しに使うナイフの選び方は狩猟ナイフのおすすめにまとめています。
銃猟と網猟、カモ猟にはどちらが向いている?
同じカモ猟でも、銃猟と網猟では必要な免許・初期費用・猟のスタイルが大きく異なります。
| 比較項目 | 銃猟(デコイ猟・忍び猟) | 網猟(むそう網・はり網) |
|---|---|---|
| 必要免許 | 第一種・第二種銃猟免許+銃砲所持許可 | 網猟免許(銃刀法上の所持許可は不要) |
| 初期費用の目安 | 5万〜20万円程度(銃・デコイ・防水装備) | 1万〜3万円程度(網・防水装備) |
| 手続きの手間 | 警察への所持許可申請・身辺調査が必要 | 免許取得後すぐに猟具を用意できる |
| 発射音・反動 | あり(住宅地に近い場所では使いにくい) | なし |
| 捕獲できる範囲 | 射程内であれば広範囲を狙える | 網を設置した範囲に限られる |
| 1日の捕獲数制限 | カモ類合計5羽まで | 狩猟期間を通じて200羽まで(1日5羽以上可) |
銃猟は射程の自由度が高く、初心者でも比較的技術を習得しやすい一方、所持許可の手続きに数か月かかります。網猟は手続きが軽い分、猟具の設置場所や操作のタイミングにより多くの経験が求められます。銃を持たずに狩猟を始めたい方や、住宅地に近いエリアで活動したい方は網猟、射程の自由度や機動力を重視するなら銃猟が向いています。免許ごとの費用・試験内容の詳細は網猟免許とは、エアライフルでの狩猟の始め方も参考にしてください。
対象鳥獣の判別:間違えやすい保護鳥に注意
カモ猟で最も重要な注意点の1つが、対象鳥獣の正確な判別です。環境省が狩猟鳥獣として指定するカモ科の鳥類は、ヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモの11種のみです(環境省「狩猟鳥獣の見分け方」、大日本猟友会「狩猟鳥獣」、2026年9月確認)。この11種以外の鳥類は、カモの仲間に見えても狩猟対象ではなく、捕獲すれば鳥獣保護管理法違反になります。
特に誤認されやすいのが、オシドリです。オシドリはカモ科の水鳥ですが、環境省の狩猟鳥獣11種には含まれておらず、保護対象の鳥類です。繁殖期のオスは特徴的な色鮮やかな羽を持ちますが、非繁殖期はメスと同様に地味な色合いになり、遠目や薄暗い時間帯には他のカモ類と見分けにくくなります。このほか、オオバンやカイツブリのようにカモに似た水鳥も非狩猟鳥です。
判別に少しでも迷う個体は撃たない、網にかけないことが原則です。環境省は誤認捕獲を防ぐための識別資料「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜」を公表しているので、初めてカモ猟に出る前に必ず目を通しておきましょう。
誤射・水辺の事故を防ぐ安全対策
カモ猟は水辺という特殊な環境で行うため、山中の猟とは異なるリスクへの備えが必要です。
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 誤射 | 複数人での猟場や、葦・葭で視界が悪い場所での射線誤認 | 発砲前に人影の有無を必ず確認し、水平方向への発砲を避ける |
| 水難事故 | 胴長靴(ウェーダー)への浸水、ぬかるみでの転倒 | ウェーダーのベルトを締めすぎない、単独での深追いを避ける |
| 低体温症 | 早朝の水辺は気温が低く、濡れた状態が長時間続く | 防水・防寒性の高いウェア、着替えの携行 |
| 跳弾・流れ弾 | 水面での発砲は跳弾のリスクがある | 対岸に人がいないことを確認し、水面への低い角度での発砲を避ける |
誤射事故は狩猟全般に共通するリスクですが、カモ猟では葦原など視界の悪い環境で複数人が行動することが多いため、特に注意が必要です。誤射・誤認事故の具体的な事例と対策は猟師の誤射事故・安全対策の記事にまとめているので、水辺特有のリスクと合わせて確認しておいてください。
費用・コストの目安
カモ猟にかかる初期費用を、銃猟・網猟それぞれでまとめました。
| 項目 | 費用相場(2026年時点) | 備考 |
|---|---|---|
| 散弾銃(中古、銃猟の場合) | 10万〜30万円 | 上下二連銃が使われることが多い |
| デコイ(5〜10羽セット) | 5,000〜2万円 | 素材・可動タイプで価格差が大きい |
| むそう網・はり網(網猟の場合) | 数千円〜1万円台 | 網猟免許取得後すぐに揃えられる |
| ウェーダー(胴長靴) | 1万〜3万円 | 防水性・保温性を重視して選ぶ |
| カモ笛(コーラー) | 2,000〜1万円 | デコイ猟で使用 |
| 双眼鏡 | 5,000〜3万円 | 対象鳥獣の判別に必須 |
| 猟銃所持許可・狩猟者登録費用 | 銃猟免許費用に加え数万円 | [狩猟免許にかかる費用の総額](https://kariudo.jp/hunting/hunting-license-total-cost/)を参照 |
銃を持たない網猟であれば、免許取得後に1万〜3万円程度の初期投資でカモ猟を始められます。銃猟の場合は所持許可の手続きも含めて数か月・数十万円規模の準備が必要になる点を踏まえて計画してください。
カモ猟のやり方に関するよくある質問
Q1: カモ猟にベストな時間帯はいつですか?
日の出前後1〜2時間が最も活発に動く時間帯です。カモはねぐらから餌場へ移動する習性があり、この移動時間帯を狙うのが基本です。日中は物陰で休んでいることが多く、発見・接近が難しくなります。
Q2: エアライフルでもカモ猟はできますか?
第二種銃猟免許を取得すればエアライフルでのカモ猟も可能です。ただし散弾銃に比べて有効射程が短いため、忍び猟でより近距離まで接近する技術が求められます。詳しくは[エアライフルでの狩猟の始め方](https://kariudo.jp/hunting/air-rifle-hunting-beginner/)を参照してください。
Q3: 網猟とはり網は同じものですか?
はり網は網猟免許で使える4種類の猟具(むそう網・はり網・つき網・なげ網)の1つです。はり網は木などに括りつけて空間に網を張る猟具で、常に人が操作できる状態を保つ必要があり、放置は禁止されています。網猟免許全体の制度は[網猟免許とは](https://kariudo.jp/hunting/ami-ryo-menkyo-towa-guide/)で解説しています。
Q4: 初心者が最初に揃えるべき装備は何ですか?
銃猟であれば散弾銃・デコイ・ウェーダー、網猟であればむそう網・ウェーダーが最低限の装備です。加えて対象鳥獣を正確に判別するための双眼鏡と、環境省の識別資料は猟法にかかわらず必須と考えてください。
まとめ:カモ猟のやり方のポイント
- カモ猟には銃猟(デコイ猟・忍び猟)と網猟(むそう網・はり網)の2系統があり、必要な免許と初期費用が異なる
- 猟期は北海道以外で11月15日〜翌年2月15日、対象は環境省指定のカモ科11種のみ
- 1日の捕獲数はカモ類合計5羽まで、網猟は狩猟期間を通じて200羽までの制限がある
- オシドリなど狩猟鳥獣に指定されていない水鳥との誤認は法律違反になるため、判別に迷ったら捕獲しない
- 水辺特有の誤射・水難事故・低体温症のリスクを踏まえた安全対策が欠かせない
カモ猟に挑戦したい方は、まず自分に合う猟法(銃猟か網猟か)を決め、網猟免許とはや狩猟免許の取り方で必要な免許の取得フローを確認するところから始めてみましょう。仕留めたカモの美味しい食べ方は鴨肉ジビエの調理法で詳しく紹介しています。
参考情報
- 環境省「狩猟制度の概要」(https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html、2026年9月確認)
- 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5/docs5-hanbetu.pdf、2026年9月確認)
- 環境省「鳥類の鉛中毒事故の防止について」(http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=1759、2026年9月確認)
- 環境省「全国における狩猟免許所持者数(種別)の推移(1975〜2021)」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/syubetu.pdf、令和3年度時点、2026年9月確認)
- 大日本猟友会「狩猟鳥獣」(http://j-hunters.com/intro/target.php、2026年9月確認)
- 宮城県「狩猟におけるルール」(https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/sizenhogo/syuryourule.html、2026年9月確認、捕獲数制限の運用例として参照)
- 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974、https://www.e-stat.go.jp/、2026年9月確認)


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