最終更新: 2026-09-29
網猟免許とは、むそう網・はり網・つき網・なげ網という4種類の網を使って主にカモ類やハト類などの鳥類を捕獲するための狩猟免許です。鳥獣保護管理法が定める狩猟免許4種類(第一種銃猟・第二種銃猟・わな猟・網猟)のうちの1つで、18歳以上であれば受験できます。銃を使わないため発射音がなく、初期費用も銃猟に比べて低く抑えられる一方、免許の所持者数は4種類の中で最も少ない部類に入ります。環境省の統計では、令和3年度(2021年度)時点の全国の網猟免許所持者は約7,600人で、狩猟免許所持者全体(約21万3,400人)の3.6%程度にとどまります。この記事では、網猟免許の基本、使用できる猟具の種類、対象鳥獣、費用や試験の概要、そして他の免許との違いを整理します。
網猟免許とは?基本をわかりやすく解説

網猟免許は、鳥獣保護管理法に基づき都道府県知事が実施する狩猟免許試験に合格することで取得できる資格です。かつては「網・わな猟免許」として1つの免許でしたが、2007年度(平成19年度)に「網猟免許」と「わな猟免許」に分離され、現在の4種類体系になりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 網猟免許 |
| 根拠法令 | 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法) |
| 実施主体 | 都道府県知事(試験は都道府県ごとに実施) |
| 受験年齢 | 18歳以上 |
| 有効期間 | 3年間(更新制) |
| 主な対象 | カモ類、ハト類などの鳥類 |
| 分離の経緯 | 2007年度(平成19年度)に「網・わな猟免許」から独立 |
網猟免許を取得しただけでは狩猟はできず、取得後に狩猟を行いたい都道府県で「狩猟者登録」を済ませる必要があります。この点はほかの免許と共通で、詳しい取得手順は狩猟免許の取り方ガイドで解説しています。
網猟免許で使える4種類の猟具

環境省の資料では、網猟免許で使用できる猟具として「むそう網」「はり網」「つき網」「なげ網」の4種類が明記されています。それぞれ仕組みと使い方が異なります。
| 猟具 | 仕組み | 主な使い方 |
|---|---|---|
| むそう網 | ロープでつながった網を地面に伏せておく | 鳥が地面に降りたタイミングでロープを引き、網を反転させて捕獲する |
| はり網 | 木などに括りつけ、空中や空間に網を張る | 飛んでいる鳥や走ってくる獲物が網にかかったところを捕獲する |
| つき網 | 柄の付いた網を手に持って使う | 潜んでいる場所から鳥に近づき、網を突き出して捕獲する |
| なげ網 | 投げて広げるタイプの網 | 獲物に向かって網を投げかけて捕獲する |
このうち特に注意が必要なのがはり網です。環境省は禁止猟法の1つとして、「ユキウサギおよびノウサギ以外の対象狩猟鳥獣を捕獲するためにはり網を使用する方法」を禁止しています。つまり、はり網を鳥類の捕獲に使うこと自体は認められていますが、常に人が操作できる状態を保つ必要があり、張りっぱなしにして放置することは、ノウサギ・ユキウサギ目的の場合を除いて違法になります。
網猟免許の対象鳥獣
網猟で捕獲対象となるのは、狩猟鳥獣のうち主に鳥類です。カモ類、ハト類(キジバトなど)が代表的な対象で、狩猟鳥獣に指定されていない保護鳥獣を捕獲することはできません。ノウサギ・ユキウサギなど一部の獣類も、はり網に限り対象となります。
銃猟やわな猟がシカ・イノシシなど大型獣も対象にできるのに対し、網猟は鳥類中心という点が大きな違いです。獣害対策として活動したい場合は、わな猟免許の難易度や第一種銃猟免許の試験内容も合わせて検討するとよいでしょう。
網猟免許のメリット・魅力
網猟免許には、銃猟やわな猟にはない独自の特徴があります。
1つ目は、銃刀法上の所持許可が不要な点です。網は銃と異なり所持許可の対象ではないため、警察への許可申請や身辺調査といった手続きが不要で、免許取得後すぐに猟具を用意できます。
2つ目は、初期費用の低さです。むそう網やはり網などの猟具自体は数千円〜1万円台で購入できるものが多く、銃猟のように数十万円単位の初期投資が必要ありません。
3つ目は、発射音や反動がないことです。住宅地に近い場所や、銃猟が制限されるエリアでも活動しやすいという利点があります。
網猟免許の注意点・デメリット
一方で、網猟には他の免許にはない制約もあります。
- 対象がほぼ鳥類に限られるため、イノシシ・シカなど大型獣を狙う猟には使えない
- 免許所持者が少なく、地域によっては網猟の指導者や仲間を見つけにくい
- はり網は「常に操作できる状態」を保つ義務があり、わな猟のように設置して離れることができない
- 捕獲できる場所や時間帯が、鳥の行動パターンに左右されやすい
免許自体の難易度は他の3種類と同程度(合格率80〜90%台)とされていますが、実際に猟を行う際の技術習得や情報収集の面では、わな猟や銃猟より苦労しやすい免許と言えます。
データで見る網猟免許の希少性
網猟免許がどれほど少数派の免許なのか、環境省の統計データで確認してみましょう。
| 免許の種類 | 所持者数(令和3年度) | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| わな猟免許 | 119,500人 | 56.0% |
| 第一種銃猟免許 | 84,400人 | 39.6% |
| 網猟免許 | 7,600人 | 3.6% |
| 第二種銃猟免許 | 1,900人 | 0.9% |
| 合計 | 213,400人 | 100% |
出典: 環境省「全国における狩猟免許所持者数(種別)の推移(1975〜2021)」(令和3年度時点、2026年9月確認)
この数字が示す通り、網猟免許は第二種銃猟免許に次いで所持者が少ない免許です。わな猟免許が2000年代以降のイノシシ・シカ対策の需要拡大で大きく増加したのに対し、網猟免許の所持者数はここ十数年ほぼ横ばいで推移しています。担い手が少ない分野だからこそ、鳥類の有害鳥獣対策や標識調査への協力といった形で、経験者が重宝される場面もあります。
網猟免許の試験・費用の概要
網猟免許の試験は、知識試験・適性試験・技能試験の3段階で構成され、他の3免許と共通の枠組みで実施されます。技能試験では、鳥獣判別に加えて、むそう網やはり網など使用可能な猟具の架設・操作が課題になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験手数料 | 5,200円 |
| 狩猟税(登録時) | 8,200円(道府県民税の所得割を納める必要がない者は5,500円) |
| 合格率の目安 | 80〜90%台(都道府県・年度により変動) |
| 難所 | 技能試験での猟具架設・操作 |
費用や試験の詳しい流れ、他の3免許との比較は猟師に必要な資格6種の比較記事、狩猟免許にかかる費用の総額でまとめて確認できます。
網猟免許に関するよくある質問
Q1: 網猟免許だけでイノシシやシカを捕まえられますか?
原則としてできません。網猟の対象はカモ類・ハト類などの鳥類が中心で、大型獣を主対象とする猟法ではありません。イノシシ・シカを狙うなら、わな猟免許または銃猟免許が必要です。
Q2: 網猟免許とわな猟免許はどちらを先に取るべきですか?
目的によります。獣害対策や大型獣の捕獲を主眼に置くならわな猟免許が実践的です。鳥類の捕獲や、銃を使わずに狩猟を始めたい場合は網猟免許が選択肢になりますが、免許所持者が少なく情報を得にくい点は考慮してください。
まとめ:網猟免許のポイント
- 網猟免許は、むそう網・はり網・つき網・なげ網の4種の網で主に鳥類を捕獲する狩猟免許
- はり網は常に操作できる状態を保つ必要があり、ノウサギ・ユキウサギ以外の目的での放置は禁止
- 銃の所持許可が不要で初期費用が低く、発射音・反動がないのが強み
- 環境省データ(令和3年度)では所持者7,600人・全体の3.6%と、4免許の中で2番目に少ない
- 対象がほぼ鳥類に限られるため、目的に応じてわな猟免許・銃猟免許との使い分けを検討する
網猟免許に興味を持ったら、まずは狩猟免許の取り方ガイドで4免許全体の取得フローを確認し、住所地の都道府県で試験日程を調べるところから始めてみましょう。免許取得後の生活や収入のイメージは猟師の年収リアル事情も参考になります。
参考情報
- 環境省「狩猟制度の概要」(https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html、確認日2026-09-29)
- 環境省「全国における狩猟免許所持者数(種別)の推移(1975〜2021)」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/syubetu.pdf、令和3年度時点、確認日2026-09-29)
- 大日本猟友会「狩猟免許交付数の推移」(https://j-hunters.com/info/pdf/suii/license01.pdf、確認日2026-09-29)
- 埼玉県「狩猟税」(https://www.pref.saitama.lg.jp/a0209/z-kurashiindex/z-2-15.html、確認日2026-09-29)


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