最終更新: 2026-09-24
猟師がわな猟で使う罠は、主に「くくり罠」「箱罠」「囲い罠」の3種類です。一言で違いを言うと、くくり罠は安価で複数設置しやすいが技術が要る罠、箱罠は餌で誘って安全に捕獲できる初心者向けの罠、囲い罠は大型で一度に多頭を捕獲できる罠です。この記事では、費用・捕獲できる頭数・必要な技術・法的な規制という4つの軸で3種類を比較し、目的別にどの罠が向いているかを整理します。なお、いずれの罠を使う場合も「わな猟免許」の取得と「狩猟者登録」が必須です。免許の取得方法は「狩猟免許の取り方ガイド」で解説しています。
罠を選ぶときの3つの基準

自分に合う罠を選ぶには、次の3つを基準に考えると失敗しにくくなります。
| 選ぶ基準 | チェックポイント |
|---|---|
| 予算と可搬性 | 罠1個あたりの費用と、設置・移動にかかる手間はどのくらいか |
| 必要な技術 | 獣道を読む経験が必要か、餌付けだけで対応できるか |
| 目的の頭数 | 1頭ずつ確実に狙いたいのか、一度に複数頭を捕獲したいのか |
くくり罠・箱罠・囲い罠 徹底比較表

| 項目 | くくり罠 | 箱罠 | 囲い罠 |
|---|---|---|---|
| 仕組み | ワイヤーの輪で足をくくって捕らえる | 箱の中に入り餌を引くと扉が閉まる | 上面が開いた囲いに誘い込み扉を落とす |
| 費用の目安 | 1個数千円〜。自作すればさらに安い | 既製品で数万円。DIYなら材料費のみに抑えられる | 数十万円規模になることが多く、個人より自治体・団体での導入が中心 |
| 一度に捕獲できる頭数 | 1個につき1頭 | 基本的に1頭(構造次第で複数も可) | 100平方メートル超の大型設備では一度に10頭以上の例もある |
| 必要な技術 | 獣道や足跡を読んで設置場所を選ぶ経験が必要 | 餌付けの工夫はいるが、くくり罠より技術のハードルは低い | 設置場所の選定・維持管理に加え、広い土地の確保が必要 |
| 可搬性・設置の手間 | 軽量で複数個を持ち運びやすい | 一度設置すると移動は簡単ではない | 大型のため移動は前提とせず、基本的に据え置き |
| 主な用途 | 個人猟師が複数箇所に仕掛けて広く狙う | 個人猟師が集落周辺で安全に運用する | 自治体・事業者によるシカなどの集団捕獲対策 |
環境省の資料によると、箱わなは移動や設置の手軽さに優れる一方で1回あたりの捕獲数は基本的に1頭にとどまり、囲いわなは設置の費用・労力がかかる分、面積を活かして一度に多くの個体を捕獲できるとされています。
くくり罠:軽量で複数設置できるが技術が要る
くくり罠は、地面に仕掛けたワイヤーの輪に足を踏み入れさせて捕らえる罠です。1個あたりの価格が安く軽量なため、獣道の複数箇所に仕掛けて捕獲率を高める運用に向いています。一方で、対象動物の足の運びを予測してピンポイントで設置する必要があり、初心者がいきなり成果を出すのは簡単ではありません。設置の具体的な手順は「くくり罠の設置方法|初心者向けに手順とコツを完全解説」で詳しく解説しています。
箱罠:餌で誘って安全に捕獲できる
箱罠は、箱形の罠に餌を仕掛け、動物が中に入って餌を引くと扉が閉まる仕組みです。餌付けの工夫は必要なものの、くくり罠のように獣道を正確に読む技術は必須ではないため、わな猟を始めたばかりの人でも扱いやすい罠とされています。対象を選んで捕獲しやすく、非対象動物がかかった場合も生きたまま放獣しやすい点も安全面での利点です。自作する場合の材料・費用・手順は「箱罠の作り方|DIY初心者でもできる自作手順と費用を徹底解説」を参考にしてください。
囲い罠:多頭捕獲に強いが規模と費用が必要
囲い罠は、天井のない柵や壁で周囲を囲み、動物を中に誘い込んでから出入口を閉じる罠です。箱罠と似た構造ですが、天井がなく大型化しやすいため、シカなどを一度に複数頭捕獲する運用に向いています。林野庁や自治体の実証事業では、100平方メートルを超える大型の囲いわなで一度に10頭以上のシカを捕獲した事例も報告されています。ただし広い土地の確保と初期費用が必要になるため、個人の猟師が単独で導入するよりも、自治体や有害鳥獣対策の事業者が集団捕獲対策として運用するケースが中心です。
タイプ別おすすめ早見表
| あなたのタイプ | おすすめの罠 | 理由 |
|---|---|---|
| わな猟を始めたばかりで安全性を重視したい | 箱罠 | 餌付けだけで運用でき、対象外の動物も放獣しやすい |
| 費用を抑えて複数箇所に仕掛けたい | くくり罠 | 1個あたりの価格が安く、経験を積みながら数を増やせる |
| 地域や事業として多頭捕獲を目指したい | 囲い罠 | 広い面積を活かして一度に多くの個体を捕獲できる |
罠を設置する際の法的な注意点
どの罠を使う場合も、わな猟免許の取得と狩猟者登録なしに設置することはできません。無許可での設置は鳥獣保護管理法違反にあたります。特にくくり罠は、クマなどの錯誤捕獲(対象外の動物がかかること)を防ぐため、環境省の規制により「輪の直径12センチメートル以内」「締付け防止金具の装着」「よりもどしの装着」「ワイヤーの太さ4ミリメートル以上」といった基準を満たす製品しか使用できません。この基準を満たさない自作のくくり罠は違法となるため、購入・自作の際は必ず規格を確認してください。
わな猟専門で活動していく場合の条件や収入の作り方は「猟師から罠師になるには?わな猟専門の3つの条件と収入源を解説」で解説しています。
まとめ:猟師が使う罠の選び方
- くくり罠は安価で複数設置しやすいが、獣道を読む技術が必要
- 箱罠は餌付けで安全に運用でき、わな猟初心者に向いている
- 囲い罠は大型で多頭捕獲に強いが、広い土地と費用が必要で自治体・事業者向き
- いずれもわな猟免許・狩猟者登録が必須で、くくり罠には錯誤捕獲防止のための規格基準がある
まずは費用を抑えて始めたいならくくり罠か箱罠から検討し、実際の設置手順は上記のリンク先記事を参考にしてください。
参考情報
- 環境省「囲いワナによる集団捕獲」(https://www.env.go.jp/nature/choju/capture/pdf/capture4-02a.pdf)確認日: 2026-09-24
- 環境省「くくりわなに関する捕獲規制」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort6/effort6-R03/ref04.pdf)確認日: 2026-09-24
- 林野庁「囲いわなによる効率的なシカ捕獲試験」(https://www.rinya.maff.go.jp/j/gyoumu/gijutu/portal/f2018-2.html)確認日: 2026-09-24

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