猟師がライフルを持てるのは10年後?条件・例外・最短ルートを解説

猟師がライフルを持てるのは10年後?条件・例外・最短ルートを解説 猟の実践

最終更新: 2026-06-10

農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設に搬入される獣肉の79.3%をシカが占めています(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119971)。大型獣であるシカやクマを遠距離から正確に捕獲するうえで、ライフル銃は猟師にとって頼れる猟具です。

しかし、日本の銃刀法では「ライフル銃の所持には散弾銃を10年以上継続して所持すること」が原則として求められています。狩猟を始めたばかりの方にとって、この「10年ルール」は大きな壁に感じられるのではないでしょうか。

この記事では、ライフル銃の10年ルールの正確な内容と3つの例外規定、さらに2025年3月施行の改正銃刀法によるハーフライフルの扱い変更まで徹底解説します。まず10年ルールの基本を押さえ、次に例外で10年未満でもライフルを持てるケースを紹介し、最後に待機期間中に腕を磨くステップアップ戦略をお伝えします。

  1. ライフル銃の「10年ルール」とは?基本をわかりやすく解説
  2. なぜ10年なのか?ルールが設けられた背景
  3. 10年未満でもライフルを持てる3つの例外
    1. 例外1: 事業に対する被害防止のためのライフル所持
    2. 例外2: 認定鳥獣捕獲等事業者の従事者
    3. 例外3: 競技射撃目的
  4. 2025年改正銃刀法:ハーフライフルの扱いが変わった
    1. ハーフライフル銃とは
    2. 経過措置と特例的運用
  5. 散弾銃からライフル銃へ:所持許可の申請手順
    1. Step 1: 所持歴の確認
    2. Step 2: 猟銃等講習会の受講
    3. Step 3: 射撃教習の受講(ライフル射撃)
    4. Step 4: 警察署への申請
    5. Step 5: 身辺調査と許可
  6. 10年の待機期間にやるべきステップアップ戦略
    1. 散弾銃での猟技を磨く
    2. エアライフルを併用する
    3. わな猟との併用で捕獲実績を積む
    4. 有害鳥獣捕獲の従事者登録を目指す
    5. ライフル銃の知識を事前に蓄える
  7. 猟師がライフルを持つまでのよくある質問
    1. Q1: 散弾銃を10年持たずにライフルを取得する方法はありますか?
    2. Q2: ハーフライフル銃は今からでも購入できますか?
    3. Q3: 散弾銃の所持許可を途中で失効させたらどうなりますか?
    4. Q4: ライフル銃で狩猟できる動物は限られていますか?
    5. Q5: 10年間ずっと散弾銃を使わなくても大丈夫ですか?
    6. Q6: ライフル銃の所持許可にかかる費用の合計はどれくらいですか?
    7. Q7: 空気銃(エアライフル)の所持歴は10年ルールのカウントに含まれますか?
  8. まとめ:ライフル所持は計画的に準備しよう
  9. 参考情報
  10. 関連記事

ライフル銃の「10年ルール」とは?基本をわかりやすく解説

銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)では、猟銃の所持許可について以下のように定めています。

銃の種類 初心者が最初に所持できるか ライフル所持に必要な条件
空気銃(エアライフル) 可能 対象外(ライフルとは別区分)
散弾銃 可能 ライフル取得の前提条件
ライフル銃 不可 散弾銃の10年以上の継続所持

ライフル銃は銃身内部にらせん状の溝(旋条・ライフリング)が刻まれており、弾丸に回転を与えることで遠距離での命中精度が高くなります。その一方、散弾銃よりも威力と射程距離が大きいため、安全管理の観点から所持条件が厳格に設定されています。

具体的には、ライフル銃の所持許可を申請するには「散弾銃の所持許可を受けてから継続して10年以上」が経過していなければなりません。途中で許可が失効した場合はカウントがリセットされるため、「継続して」という点が重要です。

狩猟免許の取り方や銃砲所持許可の全体像を先に把握しておくと、10年ルールの位置づけがより理解しやすくなります。

なぜ10年なのか?ルールが設けられた背景

10年ルールが設けられた理由は、銃による事故や事件の防止です。ライフル銃は散弾銃と比べて有効射程が長く、単発弾の貫通力が高いため、誤射や違法使用のリスクが大きくなります。

比較項目 散弾銃 ライフル銃
有効射程 約30〜50m 約100〜300m
使用弾 散弾(複数の粒) 単弾(1発)
主な対象獣 カモ、キジ、イノシシ等 シカ、クマ、イノシシ等
命中精度 中距離まで有効 遠距離でも高い精度
所持の前提 銃砲所持許可のみ 散弾銃10年以上の継続所持

10年間の散弾銃所持実績を通じて、銃の安全な取り扱い・保管・射撃技術を十分に習熟した猟師にのみライフル銃を許可する。これが法律の趣旨です。

実際の現場では、散弾銃でも十分にシカやイノシシの捕獲は可能です。サボットスラッグ弾を使えば散弾銃でも単発射撃ができ、50m以内であれば大型獣にも対応できます。ただし100mを超える遠距離射撃が必要な山岳地帯や北海道のエゾシカ猟では、やはりライフル銃の精度が求められる場面があります。

10年未満でもライフルを持てる3つの例外

10年ルールには例外が設けられています。銃刀法第5条の2第4項に基づく3つのケースを確認しましょう。

例外区分 対象者 主な条件
事業被害防止 農林業者・捕獲従事者 獣類による事業被害の防止にライフルが必要
職業的捕獲者 認定鳥獣捕獲等事業者 鳥獣の捕獲等を職業とする者
競技射撃 射撃競技者 日本スポーツ協会の推薦あり

例外1: 事業に対する被害防止のためのライフル所持

農林業を営む方がシカやイノシシによる被害を防止するためにライフル銃が必要な場合、10年の所持歴がなくても申請が可能です。この場合、都道府県公安委員会に対して「事業被害防止のためのライフル銃所持許可」を申請します。

申請には以下の書類が必要です。

  • 猟銃等講習会の修了証明書
  • 射撃教習の修了証明書(または技能検定合格証明書)
  • 被害状況を示す資料(被害届、市町村の鳥獣被害防止計画等)
  • 医師の診断書
  • 身分証明書・住民票

例外2: 認定鳥獣捕獲等事業者の従事者

鳥獣保護管理法に基づく認定鳥獣捕獲等事業者として認定された法人の構成員は、捕獲業務に必要な場合にライフル銃の所持許可を受けられます。

例外3: 競技射撃目的

国際的な射撃大会への出場を目指す競技者で、日本スポーツ協会(JSPO)から推薦を受けた場合にライフル銃の所持が認められることがあります。ただし、この場合は狩猟目的ではなく、あくまで標的射撃用途に限定されます。

これらの例外に該当するかどうかは、住所地を管轄する警察署の生活安全課に事前相談することをおすすめします。申請に必要な書類や手続きの流れは都道府県によって若干異なるため、早めの確認が重要です。

2025年改正銃刀法:ハーフライフルの扱いが変わった

2025年3月1日に施行された改正銃刀法により、これまで「その他の猟銃」として散弾銃と同等に扱われていたハーフライフル銃が、正式にライフル銃として分類されました。

ハーフライフル銃とは

ハーフライフル銃は、銃身の一部(概ね半分程度)にのみライフリング(旋条)が刻まれた銃です。改正前は「散弾銃」の一種として扱われていたため、10年の所持歴がなくても所持できました。しかし、法改正により「銃身の5分の1以上に旋条があるものはライフル銃」と定義が変更され、ハーフライフル銃にも10年ルールが適用されるようになりました。

経過措置と特例的運用

すでにハーフライフル銃を所持している方には経過措置が設けられており、直ちに許可が取り消されるわけではありません。ただし、更新時にはライフル銃としての基準が適用されます。

さらに警察庁は、有害鳥獣捕獲を担う猟師が困らないよう、特例的運用を通達しています。

特例区分 対象者 使用できる獣類
特例1 鳥獣被害防止計画の捕獲従事者・認定鳥獣捕獲等事業者の構成員 エゾシカ・ヒグマを含む全ての獣類
特例2 国内の全狩猟者(特例1の対象者含む) エゾシカ・ヒグマのみ

特例2は全国の狩猟者が対象となる点が注目です。北海道でのエゾシカ猟やヒグマの捕獲においては、散弾銃の10年所持歴がなくてもハーフライフル銃の所持許可を受けられる可能性があります。

この法改正は、猟師を目指す方にとって重要な変更点です。第一種銃猟免許の試験内容を確認する際にも、最新の法令知識として押さえておきましょう。

散弾銃からライフル銃へ:所持許可の申請手順

10年の所持歴を満たした後、ライフル銃の所持許可を取得する流れは以下のとおりです。

Step 1: 所持歴の確認

まず、散弾銃の所持許可証を確認し、許可日から10年が経過しているかを確認します。途中で許可を失効させていないことが条件です。許可の更新を忘れると所持歴がリセットされるため、3年ごとの更新手続きは確実に行いましょう。

Step 2: 猟銃等講習会の受講

ライフル銃の所持許可申請にあたっても、猟銃等講習会(経験者講習)の修了証明書が必要です。すでに散弾銃の更新で受講している場合は、有効期限内であればそのまま使用できます。

Step 3: 射撃教習の受講(ライフル射撃)

ライフル銃での射撃教習を指定射撃場で受講し、修了証明書を取得します。散弾銃の射撃教習とは別に受ける必要があります。費用は射撃場によって異なりますが、3万〜5万円程度が目安です。

Step 4: 警察署への申請

住所地管轄の警察署・生活安全課に以下の書類を提出します。

  • 所持許可申請書
  • 猟銃等講習会修了証明書
  • 射撃教習修了証明書
  • 医師の診断書
  • 身分証明書・住民票・写真
  • 経歴書

申請手数料は10,500円(2026年時点)です。

Step 5: 身辺調査と許可

申請後、公安委員会による身辺調査が行われます。調査期間は概ね1〜2か月です。問題がなければ所持許可証が交付されます。許可証を受け取ったら、3か月以内にライフル銃を購入・届出する必要があります。

10年の待機期間にやるべきステップアップ戦略

ここからは猟人編集部が考える、10年ルールの待機期間を有効活用するための戦略を紹介します。ライフル銃を手にするまでの10年間は、決して無駄な時間ではありません。

散弾銃での猟技を磨く

まず取り組むべきは、散弾銃での射撃技術と猟場での経験の積み重ねです。10年間で散弾銃を極めた猟師は、ライフル銃に移行した後も安定した射撃ができます。定期的に射撃場に通い、スラッグ弾での精密射撃も練習しましょう。

初心者におすすめの散弾銃の選び方を参考に、最初の1丁を選ぶことが第一歩です。

エアライフルを併用する

散弾銃の所持許可とは別に、空気銃(エアライフル)の所持許可も取得できます。エアライフルはスコープを装着して精密射撃を行う銃であり、ライフル銃と共通する照準技術を養うのに最適です。

カモ・キジバト・カラスなどの鳥類を対象とした猟で活躍するほか、射撃場での練習コストが火薬銃より低いというメリットもあります。エアライフル猟の始め方で詳しく解説しています。

わな猟との併用で捕獲実績を積む

銃猟だけでなく、わな猟の免許を取得して併用する猟師も増えています。くくり罠や箱罠は銃の所持歴に関係なく使用でき、特にシカやイノシシの捕獲実績を積むのに有効です。捕獲実績が増えることで、有害鳥獣駆除の捕獲従事者として認定される可能性も広がります。

有害鳥獣捕獲の従事者登録を目指す

自治体の鳥獣被害防止計画に基づく捕獲従事者として登録されると、前述の例外規定やハーフライフルの特例的運用の対象になりえます。まずは地元の猟友会に加入し、有害鳥獣駆除の活動に参加することが第一歩です。

ライフル銃の知識を事前に蓄える

10年後にスムーズにライフル銃へ移行できるよう、事前に銃の知識を身につけておきましょう。

ライフル銃の種類 特徴 価格帯(新銃の目安)
ボルトアクション 手動装填。精度が高く狩猟の主力 20万〜50万円
レバーアクション 素早い連射が可能。近〜中距離向き 15万〜40万円
半自動(セミオート) 反動が少なく連射しやすい 25万〜60万円

価格は銃砲店や為替レートによって変動します。中古銃であれば10万円台から入手可能なケースもあるため、信頼できる銃砲店に相談してみてください(2026年時点)。

猟師がライフルを持つまでのよくある質問

Q1: 散弾銃を10年持たずにライフルを取得する方法はありますか?

農林業の事業被害防止、認定鳥獣捕獲等事業者の従事者、競技射撃(日本スポーツ協会推薦)の3つの例外があります。特に2025年の改正銃刀法により、エゾシカ・ヒグマの捕獲目的ではハーフライフル銃の特例的運用も認められています。

Q2: ハーフライフル銃は今からでも購入できますか?

2025年3月の法改正後、ハーフライフル銃はライフル銃として分類されています。原則として散弾銃10年以上の所持歴が必要ですが、有害鳥獣捕獲の従事者や北海道でのエゾシカ・ヒグマ猟では特例が適用される場合があります。詳細は管轄の警察署に相談してください。

Q3: 散弾銃の所持許可を途中で失効させたらどうなりますか?

10年のカウントがリセットされます。ライフル銃の所持条件は「継続して10年以上」ですので、途中で許可が切れた場合は再度散弾銃の許可を取得してからカウントが再スタートします。3年ごとの更新手続きは忘れずに行いましょう。

Q4: ライフル銃で狩猟できる動物は限られていますか?

ライフル銃で狩猟できるのはシカ、イノシシ、クマなどの獣類です。鳥類にはライフル銃を使用できません。鳥猟には散弾銃またはエアライフルを使います。ジビエ食肉処理の販売金額でもシカ肉が全体の47.6%を占めており(農林水産省 令和5年度調査、e-Stat 統計表ID: 0002119974)、ライフル猟の主力ターゲットであることがわかります。

Q5: 10年間ずっと散弾銃を使わなくても大丈夫ですか?

所持許可を維持するだけなら射撃実績は問われませんが、注意すべき点があります。改正銃刀法により「眠り銃」(長期間使用していない銃)の取り消し期間が3年から2年に短縮されました。定期的に射撃場での練習や実猟を行い、銃を適切に使用していることを示しましょう。

Q6: ライフル銃の所持許可にかかる費用の合計はどれくらいですか?

主な費用は以下のとおりです。猟銃等講習会(経験者)が約3,000円、射撃教習が3万〜5万円、申請手数料が10,500円、医師の診断書が3,000〜5,000円です。銃本体の購入費(20万〜50万円程度)を含めると、合計で25万〜60万円程度が目安になります(2026年時点)。

Q7: 空気銃(エアライフル)の所持歴は10年ルールのカウントに含まれますか?

含まれません。ライフル銃の所持条件は「散弾銃の継続所持10年以上」であり、空気銃の所持歴はカウント対象外です。ただし、エアライフルで精密射撃の技術を磨くことはライフル猟への準備として有効です。

関連記事: 狩猟用ライフル銃の種類一覧|口径・機構別の特徴と選び方を徹底解説

関連記事: 猟師が猟犬を捨てる問題とは?原因・法律・保護活動と責任ある飼い方を解説

まとめ:ライフル所持は計画的に準備しよう

猟師がライフル銃を所持するための要点を整理します。

  • 原則として散弾銃を10年以上継続して所持することが必要
  • 事業被害防止・認定捕獲事業者・競技射撃の3つの例外がある
  • 2025年改正銃刀法でハーフライフル銃がライフル扱いに変更された
  • エゾシカ・ヒグマの捕獲目的では特例的運用が認められている
  • 10年の待機期間は散弾銃の技術向上やエアライフル併用で有効活用できる
  • 有害鳥獣捕獲の従事者登録を目指すことで例外規定の対象になりうる

ライフル銃の10年ルールは一見すると長い道のりですが、散弾銃やエアライフルでの実猟経験を積みながら着実にステップアップしていけば、ライフルを手にしたときの猟技は格段に高まっているはずです。

まずは猟銃の所持許可取得の流れを確認し、第一歩を踏み出してみてください。すでに散弾銃を所持している方は、狩猟装備の一式リストで猟具全体の見直しをしてみるのもおすすめです。

参考情報

  • 環境省「猟具(猟銃、わな、網)を所持する」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/tool.html)
  • 農林水産省 野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)(e-Stat 統計表ID: 0002119971、0002119974)
  • 警察庁「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律(概要)」(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/r6jutohokaisei/01_gaiyou_0614_sekobi.pdf)
  • 石川県「特定ライフル銃(ハーフライフル銃等)所持許可の特例的運用について」(https://www.pref.ishikawa.lg.jp/sizen/hogokanri/zyutohokaisei.html)
  • 長崎県警察「事業に対する被害を防止するためのライフル銃の所持許可」(https://www.police.pref.nagasaki.jp/police/shinsei/juuhoutouken/rifle/)




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