猟師になるには?免許取得から収入源まで7ステップで徹底解説

猟師になるには?免許取得から収入源まで7ステップで徹底解説 狩猟入門

最終更新: 2026-05-25

農林水産省の「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」によると、ジビエの食肉販売金額は約44億円に達し、ペットフードや皮革を含めた総額は約54億円にのぼる(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119974)。一方で、全国の狩猟免許所持者は約15万人にまで減少し、そのうち60歳以上が65%を占める。つまり、猟師の世界は「人手が足りないのに、市場は伸びている」という状況にある。

「猟師になりたいけれど、何から始めればいいかわからない」「免許の取り方や費用が複雑そうで不安」という声は多い。しかし実際には、正しい手順を踏めば未経験者でも最短2か月で猟師デビューが可能だ。

この記事では、猟師になるために必要な免許の種類・取得手順・費用から、収入源の確保、活動を始めた後の実践ノウハウまでを7つのステップで網羅的に解説する。読み終える頃には「次にやるべきこと」が明確になっているはずだ。

猟師になるための全体像:始める前に知っておくこと

猟師として活動するためには、大きく「免許の取得」「猟具の準備」「狩猟者登録」の3つが必要になる。銃猟を選ぶ場合はこれに加えて「猟銃所持許可」の取得が求められるため、手続きが多くなる点に注意しよう。

項目 わな猟・網猟の場合 銃猟(散弾銃)の場合
必要な免許 わな猟免許 or 網猟免許 第一種 or 第二種銃猟免許
年齢要件 18歳以上 20歳以上
取得期間の目安 最短1か月 3〜6か月
費用の目安 約7万〜15万円 約30万〜50万円
難易度 比較的取りやすい 手続きが多く時間がかかる

初心者の約7割がまず「わな猟免許」から取得すると言われている。費用が安く手続きも少ないため、猟師の世界に足を踏み入れるハードルが低い。実際の現場でも、わな猟と銃猟を併用する猟師が多い。

費用の詳しい内訳については、狩猟免許の費用は合計いくら?わな猟7万〜銃猟39万円の全内訳で解説している。

猟師になるための7ステップ【手順解説】

Step 1: 猟法を選ぶ(わな猟 or 銃猟 or 網猟)

最初に決めるべきは「どの猟法で猟をするか」だ。狩猟免許は猟法ごとに4種類あり、それぞれ試験内容や必要な装備が異なる。

免許の種類 対象の猟法 主な獲物 初期費用の目安 向いている人
わな猟免許 くくり罠・箱罠 シカ、イノシシ 約7万〜15万円 初心者、体力に自信がない方
第一種銃猟免許 散弾銃・ライフル銃 シカ、イノシシ、カモ 約30万〜50万円 本格的に猟師を目指す方
第二種銃猟免許 空気銃(エアライフル) カモ、カラスなど小型鳥獣 約20万〜35万円 鳥猟中心に楽しみたい方
網猟免許 網(むそう網・はり網等) カモ、スズメなど 約5万〜10万円 取得者は少ない

迷ったら「わな猟免許」を選ぶのが堅実だ。わな猟は体力的な負担が比較的少なく、イノシシやシカといった有害鳥獣の捕獲にも直結するため、自治体からの需要が高い。わな猟免許の合格率や試験の詳細はわな猟免許の難易度は?合格率80%台でも落ちる人がいる理由と対策を参考にしてほしい。

Step 2: 狩猟免許試験に申し込む

猟法を決めたら、住所地の都道府県が実施する狩猟免許試験に申し込む。試験は年に1〜3回(都道府県により異なる)実施されている。

申し込みに必要なものは以下の通りだ。

必要書類 備考
狩猟免許申請書 都道府県の窓口またはWebサイトから入手
医師の診断書 精神疾患・てんかん等がないことの証明。費用は3,000〜5,000円程度
写真(縦3cm x 横2.4cm) 証明写真ボックスで撮影可
申請手数料 5,200円(2種同時申請の場合は合計10,400円)
返信用封筒 切手を貼付

申請から試験までは通常1〜2か月の間隔がある。その間に事前講習会を受講しておくと合格率が大幅に上がる。講習会は各都道府県の猟友会が主催しており、受講料は数千円〜1万円程度だ。

試験の具体的な流れは狩猟免許の取り方|初心者向け5ステップ・費用・合格率で詳しく解説している。

Step 3: 狩猟免許試験を受験する

狩猟免許試験は「知識試験」「適性試験」「技能試験」の3つで構成される。

知識試験は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)の知識や、鳥獣の判別に関する問題が出題される。正答率70%以上で合格だ。事前講習会のテキストをしっかり読み込めば、ほとんどの人が合格できる水準の試験だと言われている。

適性試験は視力・聴力・運動能力を確認するもので、日常生活に支障がなければまず問題ない。

技能試験は猟法ごとに実技を行う。わな猟の場合はくくり罠の設置手順、銃猟の場合は模擬銃の分解・結合・装填・射撃姿勢などが問われる。この技能試験が最も落ちやすいポイントで、事前講習会での実技練習が重要になる。

銃猟免許の試験内容については第一種銃猟免許の試験内容を徹底解説|出題範囲・実技・合格率で詳細を紹介している。

Step 4: 銃猟の場合は猟銃所持許可を取得する

わな猟・網猟であればStep 3の合格後にすぐ次へ進めるが、銃猟の場合は「猟銃等所持許可」を別途取得する必要がある。これは公安委員会(警察)が管轄する手続きで、以下のような流れになる。

1. 所轄警察署で「猟銃等講習会(初心者講習)」を受講(受講料6,900円)

2. 講習会後の考査(筆記試験)に合格すると「講習修了証明書」を取得

3. 射撃教習の申し込み(教習資格認定申請手数料8,900円)

4. 射撃場での教習射撃(費用は2万〜4万円程度)

5. 銃砲店で銃を選び、所持許可申請(手数料10,500円)

6. 許可が下りたら銃を受け取り、確認手続き

この一連の手続きには通常3〜6か月かかる。猟銃所持許可の詳しい流れは猟銃所持許可の流れ|申請から取得まで初心者向け完全ガイドを参照してほしい。

Step 5: 猟具・装備を揃える

免許を取得したら、実際に猟で使う道具を揃える。必要な装備は猟法によって大きく異なる。

わな猟の場合はくくり罠や箱罠が主な猟具だ。くくり罠は1基あたり3,000〜8,000円程度で、最低でも10基は用意したい。箱罠は1基3万〜10万円と高額だが、自作(DIY)することで費用を抑えることもできる。

銃猟の場合は散弾銃の購入費用が最も大きく、新品で15万〜40万円、中古であれば5万〜15万円程度だ。これに加えて、ガンロッカー(約2万〜5万円)、装弾ロッカー(約1万〜3万円)、狩猟ベスト、弾帯、ナイフなどが必要になる。

共通して必要な装備としては以下のものがある。

装備品 費用の目安 必要度
狩猟ベスト(オレンジ色) 5,000〜15,000円 必須
狩猟ナイフ 3,000〜20,000円 必須
長靴・トレッキングシューズ 5,000〜20,000円 必須
ヘッドライト 2,000〜5,000円 推奨
GPS・地図アプリ 0〜5,000円 推奨
応急処置キット 2,000〜5,000円 推奨

装備の選び方については狩猟の装備一式|初心者が揃えるべきアイテムと費用で詳しくまとめている。

Step 6: 狩猟者登録をして猟に出る

装備が揃ったら、猟をしたい都道府県の知事に「狩猟者登録」を行う。登録に必要な費用は以下の通りだ。

項目 金額
狩猟者登録手数料 1,800円
狩猟税 わな猟8,200円 / 銃猟16,500円(都道府県民税非課税の場合は半額)
猟友会費 年間5,000〜10,000円程度
狩猟事故共済(ハンター保険) 約5,000〜10,000円/年

狩猟者登録を完了すると「狩猟者登録証」と「狩猟者記章」が交付され、猟期(通常11月15日〜翌年2月15日、北海道は10月1日〜翌年1月31日)に猟を行えるようになる。

初めて猟に出る際は、一人で山に入るのではなく、猟友会のベテラン猟師に同行させてもらうのが安全で学びも多い。狩猟者登録の手続きの詳細は狩猟者登録の手続き完全ガイドを参照してほしい。

Step 7: 収入源を確保する

猟師として活動を始めたら、次に考えるべきは収入源の確保だ。猟師の収入は大きく4つに分けられる。

1つ目は「有害鳥獣駆除の報奨金」だ。自治体が実施する有害鳥獣捕獲事業に参加すると、1頭あたりの報奨金が支給される。国の交付金(鳥獣被害防止総合対策交付金)として1頭8,000円が基準となり、これに都道府県・市町村の上乗せが加わる。

動物 報奨金の相場(2026年時点)
イノシシ(成獣) 約16,000円/頭
シカ(成獣) 約15,000円/頭
ニホンザル(成獣) 約18,000円/頭
クマ 自治体により大きく異なる(1万〜5万円)
アライグマ 約1,000〜5,000円/頭

報奨金の詳しい仕組みは有害鳥獣駆除の報奨金はいくら?動物別の金額一覧と申請手順で解説している。

2つ目は「ジビエ肉の販売」だ。農林水産省の調査(令和5年度)によると、ジビエの食肉販売金額は約44億円で、販売先の内訳は卸売業者が31.4%、外食産業が27.7%、消費者への直接販売が13.1%となっている(出典: e-Stat 統計表ID: 0002119996)。特にインターネットを通じた消費者直販は7.7%を占め、個人の猟師でもECサイトを活用した販売が可能だ。ただし食肉として販売するには、食肉処理業の許可を取得した施設での解体が必要となる。

3つ目は「自治体の鳥獣被害対策実施隊への参加」だ。常勤・非常勤の形で自治体に雇用され、月給または日当が支給される。地域おこし協力隊として猟師活動をしながら給与を得るケースも増えている。

4つ目は「猟師×副業の組み合わせ」だ。農業・林業・観光業など、猟師の生活と相性の良い仕事を組み合わせることで、年間を通じた安定収入を確保する。猟期以外の時期に農業に従事する「半農半猟」スタイルは、古くから日本の山間地域で実践されてきた。

猟師の年収事情については猟師の年収リアル事情|収入源・働き方別の具体的な金額でさらに詳しく紹介している。

失敗しないためのコツ・注意点

猟師を目指す際に、多くの人がつまずきやすいポイントを整理した。

よくある失敗 原因 対策
技能試験で不合格 実技練習不足 事前講習会は必ず受講する。罠の組み立てや銃の操作を繰り返し練習
銃の所持許可が下りない 同居家族の同意が得られない 家族への丁寧な説明と、保管設備の安全性をアピール
猟に出ても獲物が獲れない 猟場の知識不足 ベテラン猟師に同行し、動物の痕跡(足跡・糞・食痕)の読み方を学ぶ
解体処理に困る 処理施設が近くにない 事前に最寄りの食肉処理施設を調べておく。自家消費なら自分で解体も可
費用が予想以上にかかる 装備を一気に揃えすぎ まずはわな猟から始め、必要な装備を段階的に買い足す

特に「いきなり銃猟から始めようとする」のは初心者によくある失敗パターンだ。銃猟は手続きが複雑で費用も高いため、まずわな猟で実猟経験を積み、猟の基本を身につけてから銃猟に挑戦する方が無理なくステップアップできる。

費用・コストの総まとめ

猟師デビューにかかる費用を、猟法別に一覧にした。

費目 わな猟の場合 銃猟(第一種)の場合
狩猟免許申請手数料 5,200円 5,200円
事前講習会受講料 約5,000〜10,000円 約5,000〜10,000円
医師の診断書 約3,000〜5,000円 約3,000〜5,000円
猟銃等講習会(初心者) 不要 6,900円
教習射撃 不要 約20,000〜40,000円
猟銃所持許可申請 不要 10,500円
猟具購入費 約30,000〜80,000円 約150,000〜400,000円(銃本体)
装備品(ベスト・ナイフ等) 約15,000〜40,000円 約30,000〜80,000円
ガンロッカー・装弾ロッカー 不要 約30,000〜80,000円
狩猟者登録費 約15,000〜30,000円 約23,000〜40,000円
合計 約7万〜17万円 約30万〜65万円

なお、多くの自治体で狩猟免許取得にかかる費用の補助金制度を設けている。補助金の金額は自治体によって異なるが、免許取得費用のほぼ全額が補助されるケースもある。お住まいの地域の補助金制度は事前に確認しておこう。

狩猟・ジビエ業界の市場規模や捕獲数の最新データは狩猟・ジビエ業界の統計まとめで定期更新している。

実際に猟師になった人のリアルな声

現場の声として、猟師デビューした人からよく聞かれる感想を紹介する。

「免許取得自体は思ったより簡単だった。大変なのはその後。猟場を見つけること、地元の猟友会に馴染むこと、獲物を解体する技術を身につけること。この3つが最初の壁になる」という声は非常に多い。

特に猟友会との関係づくりは重要だ。猟友会に入会することで、ベテラン猟師から直接技術を学べるだけでなく、猟場の情報共有や巻き狩りへの参加機会が得られる。猟友会費は年間5,000〜10,000円程度で、この費用以上の価値があると言える。

また、「最初の1年は獲れなくて当たり前」という先輩猟師のアドバイスも覚えておきたい。わな猟であれば動物の通り道を読む力、銃猟であれば射撃の精度と判断力が求められる。これらは実際に山に入り、経験を重ねることでしか身につかないスキルだ。

最近は20〜30代の若い世代が猟師を目指すケースも増えている。「地方移住×猟師」というライフスタイルに関心が高まっていることが背景にあり、地域おこし協力隊の制度を活用して猟師修業をする人も少なくない。移住と猟師を両立させる方法は猟師になるために移住したい!自治体の支援制度と手順を完全ガイドで詳しく紹介している。

なお、猟師以外の一次産業に関心がある方は、漁業の世界にも免許制度や資格がある。同じ自然の中で働くキャリアとして、漁業の資格一覧|種類別に必要な免許・取得費用・難易度を解説(水産ナビ)も参考になるだろう。

よくある質問

Q1: 猟師になるのに年齢制限はありますか?

わな猟免許・網猟免許は18歳以上、銃猟免許は20歳以上から取得できる。上限年齢の定めはなく、70代以上で現役の猟師も多い。ただし、適性試験で視力や聴力の基準を満たす必要がある。

Q2: 女性でも猟師になれますか?

もちろん可能だ。近年は女性猟師の数が増加傾向にあり、特にわな猟は体力差の影響が比較的少ないため、女性にも取り組みやすい。女性猟師コミュニティも各地で形成されている。

Q3: 猟師だけで生活できますか?

猟師だけで年間の生活費を賄うのは容易ではない。猟期は地域にもよるが年間約3か月程度(有害鳥獣駆除は通年可能)で、収入が安定しにくい。農業・林業などとの兼業や、自治体の鳥獣被害対策実施隊への参加で安定収入を確保する猟師が多い。詳しくは[狩猟は副業としてできる?兼業猟師のリアルと始め方](https://kariudo.jp/hunter-life/hunting-side-job-possible/)を参照してほしい。

Q4: 都市部に住んでいても猟師になれますか?

狩猟免許は住所地の都道府県で取得でき、東京都でも試験が実施されている。ただし実際の猟は山間部で行うため、猟場までのアクセスを確保する必要がある。週末に猟場へ通う「週末ハンター」として活動する人も少なくない。

Q5: 猟師になるまでに最短でどのくらいかかりますか?

わな猟であれば、試験申し込みから狩猟者登録完了まで最短約1〜2か月。銃猟の場合は猟銃所持許可の手続きを含めて3〜6か月が一般的だ。猟期に間に合わせるなら、春〜夏のうちに免許試験を受けておくのがベストだ。

Q6: 猟友会には入らないといけませんか?

法律上は入会義務はない。しかし、猟場の情報共有・保険の加入・有害鳥獣駆除への参加機会など、猟友会のメリットは非常に大きい。特に初心者のうちはベテラン猟師から学ぶ機会が得られるため、入会を強く推奨する。

Q7: 捕った獲物はどうすればいいですか?

自家消費する場合は自分で解体して食べることができる。ただし、食肉として販売する場合は、食品衛生法に基づく食肉処理業の許可を受けた施設で処理する必要がある。最寄りの食肉処理施設は、都道府県の鳥獣行政担当窓口に問い合わせると教えてもらえる。

まとめ:猟師になるための7ステップ

猟師になるためのポイントを改めて整理する。

  • 最初の一歩は猟法の選択。初心者にはわな猟免許がおすすめ
  • 狩猟免許試験は「知識・適性・技能」の3本立て。事前講習会の受講が合格への近道
  • 銃猟を選ぶ場合は猟銃所持許可の手続きが別途必要(3〜6か月)
  • 費用はわな猟で約7万〜17万円、銃猟で約30万〜65万円。自治体の補助金制度を活用しよう
  • 収入源は報奨金・ジビエ販売・自治体雇用・副業の4本柱
  • 猟友会への入会で、技術の習得と情報共有の両面でメリットが大きい
  • ジビエ市場は拡大中。食肉販売金額は約44億円に達し、需要は今後も伸びる見込み

猟師の世界は、高齢化による担い手不足と、ジビエ市場や鳥獣害対策の需要拡大が同時に進んでいる。新規参入にとっては追い風の環境と言えるだろう。

まずは狩猟の始め方を初心者向けに解説した記事を読み、自分に合った猟法を見つけるところから始めてみてほしい。

参考情報

  • 環境省「狩猟免許を取得する」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html)
  • 大日本猟友会「狩猟者へのみち」(http://j-hunters.com/tobecome/license.php)
  • 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119974、0002119996)
  • 環境省「鳥獣関係統計」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs2.html)
  • マイナビ農業「狩猟免許の取り方・費用」(https://agri.mynavi.jp/2026_04_29_493636/)



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