最終更新: 2026-09-20
狩猟免許は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)第52条に基づき、違反行為の内容によって「取消」または「効力の停止」の処分を受けることがあります。懲役刑が科され得る重大な違反(密猟、銃刀法の重大違反など)は原則として免許の全部取消、罰金刑が科され得る違反は原則1年間の効力停止が基準です。免許を取り消された場合、法律上の欠格事由により原則3年間は再取得できません(2026年時点、鳥獣保護管理法に基づく)。
「うっかり違反したら一生猟師を続けられなくなるのでは」と不安に思う人もいますが、実際には違反の内容によって処分の重さが明確に区分されています。この記事では、取消・効力停止の基準、対象になりやすい違反行為、再取得までの流れを整理します。
狩猟免許の取消・効力停止とは?処分の基本を解説

狩猟免許に関する行政処分は、違反行為の重さに応じて「取消」と「効力の停止」の2段階に分かれています。
| 処分 | 対象となる違反行為の基準 | 処分の内容 |
|---|---|---|
| 免許の取消(全部・一部) | 法第83条・第84条の罰則(最高刑が懲役刑)に該当する違反 | 原則として免許の全部を取消。銃器使用に関する違反など一部の違反は種別ごとの一部取消となる場合がある |
| 効力の停止 | 法第85条・第86条の罰則(最高刑が罰金刑)に該当する違反 | 原則として1年間、免許の全部または一部の効力を停止 |
(出典: 千葉県環境生活部「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 狩猟免許の取消、効力の停止」、鳥獣保護管理法第52条第2項に基づく、確認日: 2026年9月20日)
処分を決めるのは都道府県知事であり、違反の内容・悪質性・過去の処分歴などを踏まえて個別に判断されます。同じ違反でも初回か再犯かによって処分内容が変わることがあるため、上記の表はあくまで基準の目安として捉えてください。
取消・効力停止の対象になりやすい違反行為
鳥獣保護管理法および関連法令で取消・効力停止の対象となる代表的な違反行為には、次のようなものがあります。
| 違反行為の分類 | 具体例 |
|---|---|
| 無許可・区域外での捕獲 | 鳥獣保護区での密猟、禁止猟法(かすみ網など)の使用 |
| 銃器の不適正な取り扱い | 銃刀法に基づく所持許可の重大な違反、酒気を帯びた状態での発砲 |
| 狩猟者登録・標識の違反 | 狩猟者登録をせずに狩猟を行う、狩猟者記章の不携帯を繰り返す |
| 危険な猟法・安全配慮義務違反 | 人の生命・身体に危険を及ぼす方法での発砲、住居集合地域での発砲 |
| 虚偽の届出・報告 | 捕獲報告の虚偽記載、免許申請時の虚偽申告 |
これらのうち、密猟や銃器の重大な違反は懲役刑の対象になり得るため取消のリスクが高く、狩猟者登録や届出関連の軽微な違反は罰金刑相当として効力停止にとどまるケースが多い傾向にあります。実際の処分は個別の事案ごとに都道府県が判断するため、自分の行為がどちらに該当するか不安な場合は、事前に都道府県の鳥獣保護担当窓口に確認することをおすすめします。
免許を取り消された場合、再取得できるまでの期間
狩猟免許には「欠格事由」が定められており、次のいずれかに該当する人は新たに免許を受けることができません。
| 欠格事由の分類 | 内容 |
|---|---|
| 年齢要件 | 網猟・わな猟免許は18歳未満、銃猟免許は20歳未満 |
| 心身の障害 | 狩猟を適正に行うことに支障を及ぼすおそれがある精神の機能の障害がある者 |
| 薬物・アルコール依存 | 麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者 |
| 罰金以上の刑罰歴 | 狩猟に関する法令違反により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から3年を経過しない者 |
| 免許取消歴 | 法第52条第2項第1号の規定により免許を取り消され、その取消の日から3年を経過しない者 |
(出典: 鳥獣保護管理法第11条の欠格事由規定に基づく、確認日: 2026年9月20日)
つまり、免許を取り消された場合は取消の日から3年間、新たな狩猟免許を取得することができません。3年が経過すれば、通常の狩猟免許試験(知識試験・適性試験・技能試験)を改めて受験することで再取得の道は開かれています。狩猟免許の取り方の全体像は「狩猟免許の取り方ガイド|4種類の違い・費用・試験内容を徹底解説」で確認できます。
違反しないために気をつけたいポイント
取消・効力停止のリスクを避けるために、日頃から意識しておきたいポイントを整理しました。
- 狩猟者登録を毎年忘れずに行い、猟期中は狩猟者記章を必ず携帯する
- 鳥獣保護区・休猟区・猟具の禁止区域を毎年最新の地図で確認する
- 銃猟を行う場合は、銃の保管・保守を含めた銃刀法の基準を守る。保管方法の詳細は「猟銃の保管方法【完全ガイド】ガンロッカーの法的基準と設置7ルール」で解説している
- 銃を譲渡・相続する際は、法定の手続き期限を守る。詳しくは「猟銃の譲渡手続きを完全解説|個人間譲渡・相続時の50日ルール」を参照
- 酒気を帯びた状態での発砲や、住居集合地域・人の多い場所での発砲は絶対に行わない
- 捕獲報告・狩猟者登録の内容は正確に記載し、虚偽申告をしない
これらの多くは、狩猟免許取得時や猟友会での講習で説明される基本的なルールです。免許取得までの流れを含めて基礎から確認したい人は「猟師になるには?免許取得から収入源まで7ステップで徹底解説」も参考にしてください。
よくある質問
Q1: 軽微な違反でもすぐに免許が取り消されますか?
いいえ。取消の対象になるのは、罰則の最高刑が懲役刑に該当する重大な違反が中心です。狩猟者登録の記章不携帯といった軽微な違反は、罰金刑相当として1年間の効力停止にとどまるケースが一般的です。ただし最終的な処分は都道府県知事が個別に判断します。
Q2: 効力停止中に狩猟をするとどうなりますか?
効力停止は免許の効力そのものが一時的に失われる処分のため、停止期間中に狩猟を行うと無免許狩猟として新たな違反に問われる可能性があります。停止期間が明けるまでは狩猟を控える必要があります。
Q3: 免許取消後、3年経てば必ず再取得できますか?
3年が経過すれば欠格事由には該当しなくなりますが、再取得には改めて狩猟免許試験(知識試験・適性試験・技能試験)に合格する必要があります。自動的に免許が復活するわけではない点に注意してください。
関連記事: 狩猟免許の視力基準|わな猟0.5・銃猟0.7の違いと片眼が悪い場合
関連記事: 猟師のダニ対策完全ガイド|刺されない服装・付いた時の対処法・感染症リスクを解説
まとめ:狩猟免許の取消・停止事由のポイント
- 懲役刑相当の重大な違反は免許取消、罰金刑相当の違反は原則1年間の効力停止が基準(鳥獣保護管理法第52条第2項)
- 密猟や銃器の重大な違反は取消リスクが高く、届出関連の軽微な違反は効力停止にとどまる傾向
- 免許取消後は、取消の日から3年間は再取得できない(欠格事由、法第11条)
- 狩猟者登録・記章携帯・銃の適正管理など基本ルールの徹底が最大の予防策
狩猟を長く続けるためには、免許取得後も日々の基本ルールを守り続けることが欠かせません。免許取得までの流れをあらためて確認したい人は「猟師に必要な資格6種|費用・難易度・取得順を一覧表で徹底比較」もあわせてご覧ください。
参考情報
- 千葉県環境生活部自然保護課「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 狩猟免許の取消、効力の停止」(https://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/tetsuzuki/shobun/650/14040-058.html)— 取消・効力停止の基準を確認(確認日: 2026年9月20日)
- 農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル」(https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/manyuaru/attach/pdf/manual-28.pdf)— 鳥獣保護管理法の関連制度を確認(確認日: 2026年9月20日)
- e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000088)


コメント