最終更新: 2026-10-07
北海道苫小牧市を拠点に活動する猟師・黒田未来雄さんは、三菱商事、NHKディレクターという二つのキャリアを経て、現在は狩猟と執筆を生業にしています。2026年10月には道新苫小牧政経文化懇話会で「クマが出ない地域はない」と語り、人間とクマの距離感について講演したことが報じられました。この記事では、黒田さんがどのような経緯で「脱サラ猟師」になったのかを、これまで報じられた複数のインタビュー記事に基づいて整理します。実際に本人への取材は行っておらず、各引用部分は出典元の報道をもとにしています。
三菱商事時代|アンゴラでの出張が転機に

東京外国語大学を卒業した黒田さんは、三菱商事に入社し自動車部に配属されました。主な業務はアフリカ諸国への自動車輸出営業で、入社2年目にあたる1995年、初めての出張先がアンゴラだったといいます。
当時のアンゴラは内戦下にあり、人口1人あたり2個の地雷が埋められていたとされる状況でした。黒田さんはこの出張中に、地雷で両足を失った母親が乳飲み子を背負いながら地面を這う光景を目撃したと振り返っています。この経験から、自身が携わっていた「政府への高級車輸出」という仕事が、困っている人々の支援には直結しないことに気づき、金銭的な豊かさより心の豊かさの重要性を考えるようになったといいます。
出典: Business Insider Japan「三菱商事→NHKディレクター→北海道の猟師。人生を変えたカナダ先住民の一言『人生は一度きり』」(確認日: 2026-10-07)
山での遭難経験と星野道夫の著作

20代の頃、会社の同僚とのキャンプで山中で遭難する経験もしたといいます。懐中電灯の電池が切れた中、タオルと靴下をライターで燃やして松明を作り、テントまで戻ったという体験が報じられています。この頃から、写真家・星野道夫の著作や北米先住民族の思想に触れ、命や自然への関心を深めていったとされています。
出典: Business Insider Japan「三菱商事→NHKディレクター→北海道の猟師」(確認日: 2026-10-07)
NHK入局|自然ドキュメンタリーのディレクターへ

1999年、黒田さんは第二新卒枠でNHKに入局し、ディレクター職に就きました。最初の配属は沖縄局で、報道からバラエティまで幅広いジャンルの番組制作を経験した後、自然・動物ドキュメンタリーのディレクターに転身し、『ダーウィンが来た!』などの番組に携わったと報じられています。
出典: Business Insider Japan「三菱商事→NHKディレクター→北海道の猟師」(確認日: 2026-10-07)
カナダ・ユーコンでの修行|先住民の師匠から受けた教え

2006年から、黒田さんはカナダ・ユーコン準州への訪問を重ねるようになります。師匠となったのは、タギッシュ/クリンギット族の彫刻家であるキース・ウルフ・スマーチさんです。キースさんからは猟の技術だけでなく「動物を敬う心」までも教えられたと振り返っています。また、長老のベッシーさんからは「オーロラの光が、私たちを温めてくれている」という精神世界に関するメッセージを受け取ったことも報じられています。学び方は実践重視で、スノーモービルの操作なども失敗しながら身につけたといいます。
キースさんに倣い、黒田さんはユーコンでイタチ、カワウソ、クズリ、オオヤマネコ、オオカミなどを対象にしたわな猟の技術を学んだと報じられています。
出典: BE-PAL「脱サラ猟師・黒田未来雄を導いたカナダ先住民族の教えとは?」(確認日: 2026-10-07)
2016年、北海道への転勤を機に狩猟を開始

NHKディレクターとして北海道への転勤となった2016年、黒田さんはユーコンで学んだ経験を踏まえ、自ら狩猟を始めます。その後、NHKを早期退職して北海道・苫小牧市に移住し、現在は狩猟と執筆活動を中心にした生活を送っています。日刊ゲンダイのインタビューでは「撃つ方も死と隣り合わせ」であり、狩猟を通じて命の尊さを教えられたと語ったことが報じられています。
出典: BE-PAL「脱サラ猟師・黒田未来雄を導いたカナダ先住民族の教えとは?」、日刊ゲンダイDIGITAL「ハンター黒田未来雄氏『撃つ方』も死と隣り合わせ、狩猟を通じ命の尊さを教えられた」(確認日: 2026-10-07)
著書『獲る 食べる 生きる』とヒグマをめぐる多様な視点
黒田さんは、北海道に生きるヒグマをめぐる人々の多様な考え方を追ったノンフィクション『獲る 食べる 生きる』を発表しています。駆除を支持する現場の猟師・農家、保護を訴える研究者・活動家など、立場の異なる人々それぞれのヒグマとの関わりを描いた作品で、「異様な臨場感に満ちた一冊」と評されています。クマが「害獣」にも「自然の一部」にも見えるのは、見る人の立場や経験によって異なるという視点を提示した点が注目されています。
出典: 北海道新聞デジタル・AERA DIGITAL報道(本サイトの2026年7月26日週次ニュースまとめで紹介、確認日: 2026-10-07)
2026年10月の講演|「クマが出ない地域はない」
2026年10月、黒田さんは道新苫小牧政経文化懇話会で講演し、「クマが出ない地域はない」と述べたうえで、人間との距離感をクマに教え込む環境づくりの重要性を語ったと47NEWS・北海道新聞デジタルが報じています。単なる駆除論ではなく、人とクマの関係性そのものを捉え直す視点を示した点が特徴です。カナダ先住民族の狩猟観から受けた「動物を敬う心」という教えが、この講演内容にも通じているとみることができます。
クマの出没が増えている構造的な背景(里山の荒廃・エサ不足・個体数の増加)についてはクマ出没2026年秋の予測で解説しています。
よくある質問
Q1: 黒田未来雄さんはどんな狩猟免許を持っていますか?
報じられている記事の中に免許の種別についての明確な記載は見当たりませんでした。日刊ゲンダイのインタビューで「撃つ方」という表現が使われていることから、銃を用いた狩猟を行っていると考えられますが、正確な免許区分は本人の公表情報を確認する必要があります。
Q2: 三菱商事やNHKを辞めたのはいつですか?
2016年の北海道転勤を機に狩猟を始め、その後NHKを早期退職して北海道・苫小牧市に移住したと報じられていますが、退職の正確な年は確認できた記事の中には明記されていません。
Q3: サラリーマンから猟師に転身するには何が必要ですか?
黒田さんのケースは狩猟免許取得から独立までの一般的な道筋とは異なる個人的な経緯ですが、一般的な手順やかかる費用・収入の目安は[猟師への転職ガイド](https://kariudo.jp/hunting/hunter-career-change-guide/)や[猟師になるには?](https://kariudo.jp/hunting/how-to-become-hunter/)で解説しています。
まとめ:命と向き合う経験が今の活動につながっている
- 三菱商事時代、アンゴラでの出張中に地雷被害の現場を目撃したことが人生観の転機になった
- 20代の山での遭難経験や星野道夫の著作から、自然・命への関心を深めた
- 1999年にNHK入局、自然ドキュメンタリーのディレクターとして『ダーウィンが来た!』などに携わった
- 2006年からカナダ・ユーコンに通い、先住民の師匠キース・ウルフ・スマーチさんから狩猟技術と「動物を敬う心」を学んだ
- 2016年の北海道転勤を機に狩猟を開始し、NHK早期退職後は苫小牧で狩猟と執筆を続けている
- 著書『獲る 食べる 生きる』や2026年10月の講演でも、駆除・保護という二項対立を超えた「人と動物の関係性」を問い続けている
黒田さんのキャリアは一般的な転職ルートとは異なりますが、「命と向き合う覚悟」という点は、狩猟倫理と動物福祉で解説している考え方や、猟師の生活とは?で紹介している現役猟師の実感にも通じるテーマです。
この記事は猟人編集部が執筆しました。猟人 -KARIUDO- は猟師・ジビエ業界に特化した専門メディアです。
参考情報
- Business Insider Japan「三菱商事→NHKディレクター→北海道の猟師。人生を変えたカナダ先住民の一言『人生は一度きり』」https://www.businessinsider.jp/article/kurodamikio/(確認日: 2026-10-07)
- BE-PAL「脱サラ猟師・黒田未来雄を導いたカナダ先住民族の教えとは?」https://www.bepal.net/archives/625563(確認日: 2026-10-07)
- 日刊ゲンダイDIGITAL「ハンター黒田未来雄氏『撃つ方』も死と隣り合わせ、狩猟を通じ命の尊さを教えられた」https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/331797(確認日: 2026-10-07、有料会員限定部分あり)
- 47NEWS「『クマが出ない地域はない』狩猟家の黒田未来雄さん講演 道新苫小牧政経懇」https://news.google.com/rss/articles/CBMiS0FVX3lxTE1USkdnaGgxQk1fVlhaTTF1UXppYkdRZkVGdnFRblM1a292UlF3YU9DUWVxMFFPRG5waFVGSjJ3QnBWdDNFVEpLVWQxQQ?oc=5(2026年10月1日報道、確認日: 2026-10-07)
- 北海道新聞デジタル「クマに人間との距離教育を 苫小牧 狩猟家・黒田さん講演」(2026年10月1日報道、確認日: 2026-10-07)

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