日本の狩猟者数・免許取得者数の推移グラフ【環境省データ・2024年版】

最終更新: 2026-08-06

1975年度に51万7,800人いた日本の狩猟免許所持者は、2021年度には21万3,400人まで減少しました。約50年間で約6割の急激な減少です。一方で「わな猟」や「有害鳥獣捕獲」の需要は年々高まっており、近年は新規取得者数が増加に転じています。

この記事では、環境省・農林水産省・大日本猟友会の統計データをもとに、狩猟者数の歴史的推移と都道府県別の傾向、そして担い手不足の現状と今後の展望を解説します。行政担当者・研究者・狩猟に関心のある方の参考データとしてご活用ください。毎年8月に更新します。

日本の狩猟免許所持者数の推移(1975〜2022年)

年度 狩猟免許所持者数(人) 主な出来事・特徴
昭和50年(1975年) 517,800人 歴史的最多。高度経済成長期の地方男性に普及
昭和60年(1985年) 約400,000人 都市化・過疎化で農村部の狩猟者が減少
平成5年(1993年) 約300,000人 バブル崩壊後の農村人口流出で加速
平成12年(2000年) 約250,000人 低迷期。新規参入者が極端に少ない
平成15年(2003年) 約200,000人 底打ち水準。有害捕獲需要で下げ止まり
平成22年(2010年) 約190,000人 わな猟ブームで微増の気配
令和元年(2019年) 約210,000人 わな猟・女性猟師増加で微増
令和3年(2021年) 213,400人 わな猟主導で安定化
令和5年(2023年)推計 約210,000〜220,000人 ほぼ横ばいで推移中

出典:環境省「鳥獣関係統計」、大日本猟友会「狩猟者数の推移」

1970年代から2000年代初頭にかけての急減は、農村人口の都市流出・狩猟文化の世代間断絶・銃砲所持に対する社会的ハードルの上昇が主な原因です。2003年以降は底打ち感があり、有害鳥獣対策の担い手として「わな猟」を新規取得する層が支えています。

免許種別の構成と変化

狩猟免許は「第一種銃猟(散弾銃等)」「第二種銃猟(エアライフル)」「わな猟」「網猟」の4種類があります。その構成は大きく変化しています。

免許種別 1975年頃の傾向 2021年の傾向 変化
第一種銃猟 主流。農村男性の多くが取得 大幅減少。ピーク比約1/6 減少が著しい
第二種銃猟(エアライフル) 少数 少数 横ばい
わな猟 少数 大幅増加。全体の主軸に 急増
網猟 少数 ほぼ消滅傾向 激減

銃猟は「銃砲所持許可」が別途必要で手続きが複雑なため、新規参入者が敬遠しがちです。一方わな猟は比較的取得が容易で、農家・有害鳥獣対策員として従事するケースが多いため、近年は「わな猟免許取得者が狩猟界の主力」という状況になっています。

高齢化の深刻な実態

年齢層 2021年時点のシェア 問題点
60歳以上 約65% 5年以内に大量引退が見込まれる
50〜59歳 約18% 10年以内に高齢化
40〜49歳 約8% 次世代の中核候補
39歳以下 約9% わずかに増加傾向

出典:環境省「環境白書」令和3年版

狩猟者全体の約65%が60歳以上という高齢化は、今後5〜10年以内に大量の引退者が出ることを意味します。一方で39歳以下の割合は近年微増しており、「ジビエブーム」「自給自足への関心」「農村移住×狩猟」という動機で入猟する若い世代が一定数現れています。

新規狩猟免許取得者数の推移(近年)

年度 新規取得者数(推計) 特徴
平成22年(2010年) 約7,000〜8,000人 底打ち水準
平成25年(2013年) 約9,000〜10,000人 わな猟の普及で増加
平成29年(2017年) 約12,000〜14,000人 ジビエブームで注目
令和元年(2019年) 約13,000〜15,000人 SNSでの情報拡散
令和3年(2021年) 約14,000〜16,000人 農村移住ブームと連動
令和5年(2023年)推計 約15,000〜18,000人 継続的な増加傾向

新規取得者の増加は主に「わな猟」が牽引しています。農林水産省の農村地域への移住促進施策・各都道府県の狩猟者確保支援事業も増加の後押しになっています。

都道府県別 狩猟者の分布傾向

都道府県別の狩猟免許所持者数は、鳥獣被害の深刻さや農林業従事者の多さと概ね連動しています。

狩猟者が多い都道府県の特徴

地域 代表的な都道府県 特徴
東北 北海道・岩手・青森・秋田 農林業・ヒグマ・エゾシカ対策が背景
関東甲信越 長野・群馬・栃木 山岳地帯で獣害が深刻。わな猟主流
近畿・中国 兵庫・広島・岡山 シカ・イノシシ捕獲数が全国上位
九州 鹿児島・熊本・宮崎 豊かな自然環境と農業地帯

狩猟者が相対的に少ない都道府県の特徴

都市部(東京・大阪・愛知中心部)は可猟区が少なく、狩猟者が少ない傾向があります。ただし近年は都市部でも「狩猟免許を取得して週末猟師をする」社会人が増えており、単純な都市=少ないとは言えなくなっています。

狩猟者数と農作物被害の関係

年度 農作物被害額 狩猟者数 関係性
平成15年(2003年) 約185億円 減少期 担い手不足→被害拡大
平成25年(2013年) 約200億円(ピーク付近) 底打ち 被害最大化
令和元年(2019年) 約158億円 微増期 わな猟増加→捕獲効率化
令和6年(2024年) 約188億円 安定 高齢化で捕獲能力に限界

狩猟者が最低水準だった2010年代前半に農作物被害が最大化しており、担い手不足と被害拡大の相関が確認されます。令和元年に一時158億円まで減少したのは、わな猟の効率化と有害捕獲の強化によるものとされています。しかし令和6年度に188億円と再拡大したのは、高齢者の引退による実働人員の減少が影響していると見られます。

今後の担い手確保に向けた施策

主体 施策内容
農林水産省 「鳥獣被害防止総合対策交付金」でわな猟スクール費用を補助
環境省 「認定鳥獣捕獲等事業者制度」で捕獲専門組織の育成
各都道府県 狩猟免許取得費用の補助(試験手数料・猟友会入会費など)
市町村 「鳥獣被害対策実施隊」への任命(特別職公務員として従事)
猟友会 無料講習・体験狩猟の実施で新規参入者の門戸を開放

環境省の「認定鳥獣捕獲等事業者制度」は2015年施行で、プロの捕獲チームとして事業者が参入できる仕組みです。現在全国で100社以上が認定を受けており、有害捕獲の「プロ化・組織化」が進んでいます。

よくある質問

Q. 狩猟免許所持者数はピーク時の何割ですか?

1975年度のピーク51万7,800人に対して2021年度は21万3,400人で、約41%(約59%減)です。

Q. 近年増えているのはどんな人ですか?

「わな猟免許を取得した農家・農村移住者」「自給自足・ジビエに関心のある20〜40代の若者」「女性猟師」の3グループが増加しています。

Q. 銃猟が減っている理由は?

銃砲所持許可申請の手続きの複雑さ・警察との折衝・保管管理コスト・社会的偏見などが参入障壁となっています。わな猟と比べて負担が大きく、新規参入者から敬遠されています。

Q. 狩猟者数データはどこで確認できますか?

環境省「鳥獣関係統計」(https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs2.html)および大日本猟友会のウェブサイト(http://j-hunters.com/info/suii.php)で年度別データが公開されています。

Q. 「実猟人口」と「免許所持者数」は違いますか?

大きく異なります。「ペーパー免許(免許を持っているが実際には猟をしない)」が相当数含まれており、実際に年間1回以上狩猟を行う「実猟者」は免許所持者の半分以下とも言われています。

まとめ

日本の狩猟免許所持者は1975年の51万7,800人(ピーク)から2021年の21万3,400人(約60%減)まで減少しましたが、2003年以降は底打ちしほぼ横ばいで推移しています。60歳以上が65%を占める高齢化が課題で、5〜10年後に大量引退者が出ると推定されます。

一方でわな猟・ジビエブーム・農村移住トレンドにより新規取得者が増加しており、「旧世代の銃猟→新世代のわな猟」という世代交代が進んでいます。今後は農林水産省・環境省の担い手支援施策が、狩猟界の人口動態を左右する重要な変数となります。

データは毎年8月に更新します。

参考情報

  • 環境省「鳥獣関係統計」https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs2.html
  • 農林水産省「狩猟免許の新規取得者数の推移」各年版
  • 大日本猟友会「狩猟者数の推移」http://j-hunters.com/info/suii.php
  • 猟人 関連記事:[猟師の高齢化問題とは](https://kariudo.jp/hunter-life/hunter-aging-problem/)
  • 猟人 関連記事:[都道府県別有害鳥獣の報奨金一覧](https://kariudo.jp/wildlife-damage-control/wildlife-bounty-prefecture-list/)

引用・転載について: 本記事のデータを引用・転載する場合は、出典として「猟人 -KARIUDO-(https://kariudo.jp)」を明記の上、リンクをお願いします。データは毎年更新予定です。



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