猟師と猟友会の違いとは?5つの比較ポイントで関係性を徹底解説

猟師と猟友会の違いとは?5つの比較ポイントで関係性を徹底解説 猟師の暮らし

最終更新: 2026-06-18

大日本猟友会の会員数は最盛期の1978年に約42万人を数えましたが、2020年時点では約10万4,000人にまで減少しています。会員の約6割が60歳以上という高齢化も進んでおり、2026年6月には長野県の林業大学校で若手ハンター育成の特別講座が開かれるなど、担い手確保が急務となっています。

「猟師になりたいけれど、猟友会には入らないといけないの?」「そもそも猟師と猟友会って何が違うの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、猟師は「狩猟を行う個人」、猟友会は「猟師たちが加入する任意団体」であり、猟友会に入らなくても法律上は狩猟が可能です。

この記事では、猟師と猟友会の違いを5つの比較ポイントで整理し、加入・非加入それぞれのメリットとデメリット、そしてタイプ別の判断基準までを解説します。まず両者の定義を押さえたうえで、具体的な比較表を見ていき、最後に「入るべきかどうか」の判断材料をお届けします。

猟師と猟友会の違い:失敗しない判断のための5つの比較ポイント

猟師と猟友会の違いを理解するうえで、最も重要なのは「猟師は人、猟友会は組織」という点です。猟師は狩猟免許を取得して野生鳥獣を捕獲する個人を指し、猟友会は各地域の猟師が集まって構成する任意加入の団体です。

以下の5つのポイントで両者を比較すると、自分が猟友会に入るべきかどうかが見えてきます。

比較ポイント 猟師(個人・非加入) 猟友会に加入した猟師
法的な位置づけ 狩猟免許保持者として個人で活動 任意団体の会員として活動
保険・共済 個人でハンター保険に加入(年間1万〜3万円) 会費に共済掛金を含む(補償額4,000万円)
有害鳥獣駆除への参加 自治体から直接依頼を受ける場合のみ 猟友会経由で優先的に依頼される
狩猟者登録の手続き すべて自分で手配 猟友会がまとめて代行してくれる
人脈・情報ネットワーク 自力で構築する必要がある 先輩猟師から猟場・技術を教わりやすい

ここで注目すべきは、猟友会への加入は法律上の義務ではないという点です。鳥獣保護管理法では狩猟免許と狩猟者登録を義務づけていますが、猟友会への加入は要件に含まれていません。

ただし、実際の狩猟活動では猟友会に所属しているかどうかで得られる機会が大きく変わります。ここからは、それぞれの詳細を見ていきましょう。

猟師(個人ハンター)とは?活動範囲と必要な資格

猟師とは、都道府県知事から狩猟免許の交付を受け、狩猟者登録を行ったうえで野生鳥獣を捕獲する人のことです。「ハンター」とも呼ばれ、趣味として週末だけ猟を行う人から、有害鳥獣駆除を生業とする専業猟師まで、その活動形態はさまざまです。

猟師として活動するために必要な資格と手続きは以下のとおりです。

必要な手続き 内容 費用目安(2026年時点)
狩猟免許の取得 4種類(網猟・わな猟・第一種銃猟・第二種銃猟)から選択 申請手数料5,200円/種類
猟銃所持許可(銃猟の場合) 公安委員会への申請、射撃教習など 約5万〜10万円
狩猟者登録 猟期前に都道府県へ登録 手数料1,800円 + 狩猟税8,200〜16,500円
ハンター保険への加入 狩猟事故に備える損害賠償保険 猟友会共済:会費込み / 個人加入:1万〜3万円

猟師として活動するには最低でも狩猟免許の取得が必須です。免許の種類ごとの費用については「狩猟免許の費用は合計いくら?」で詳しく解説しています。

ここで押さえておきたいのは、猟師はあくまで「個人」であるという点です。猟友会に入らなくても、法的に必要な手続きをすべて自分で行えば、猟期(一般的に11月15日〜翌年2月15日)に狩猟活動が可能です。

猟友会とは?3層構造の組織と4つの主な活動

猟友会は、全国の猟師が任意で加入できる団体です。正式名称は「一般社団法人 大日本猟友会」で、1929年(昭和4年)に前身が設立された歴史ある組織です。

猟友会の組織は、以下の3層構造になっています。

組織階層 概要 数(2026年時点)
大日本猟友会 全国を統括する最上位団体 1
都道府県猟友会 各都道府県に1つ設置 47
地区猟友会(支部) 市区町村単位の活動拠点 約1,200

入会する際は、自分が住んでいる地域の地区猟友会(支部)に申し込みます。支部に入ると自動的に都道府県猟友会と大日本猟友会の会員にもなる仕組みです。詳しい入会手順は「猟友会の入り方とメリット」で解説しています。

猟友会の4つの主な活動

猟友会は単なる「集まり」ではなく、狩猟に関わる幅広い活動を行っています。

1つ目は、有害鳥獣駆除の実施です。市町村からの委託を受け、イノシシやシカなどの有害鳥獣を組織的に駆除します。駆除活動に参加すると報奨金が支払われ、猟師の重要な収入源になっています。

2つ目は、狩猟事故の防止活動です。射撃練習会の開催、猟期前の安全講習、パトロールなど、事故防止に向けた取り組みを行っています。

3つ目は、狩猟者の育成・技術伝承です。ベテラン猟師が新人に猟場の選び方や獲物の解体技術を教える場として機能しています。近年は若手ハンター向けの研修プログラムを設ける支部も増えています。

4つ目は、狩猟者登録の代行手続きです。猟期前に必要な狩猟者登録を猟友会がまとめて行ってくれるため、個人で手続きする手間が省けます。

猟友会に入る場合・入らない場合の費用を徹底比較

猟師と猟友会の違いを考えるうえで、費用面の比較は欠かせません。猟友会に入るかどうかで、年間の維持費用に差が出てきます。

費用項目 猟友会に加入 猟友会に非加入
大日本猟友会費 4,800円/年 0円
県猟友会費 3,000〜6,000円/年(地域差あり) 0円
地区猟友会費(支部会費) 3,000〜8,000円/年(地域差あり) 0円
共済保険(大日本猟友会) 会費に含む(補償上限4,000万円)
ハンター保険(任意) 3,000円〜/年(追加加入も可) 10,000〜30,000円/年
合計年間維持費(目安) 約14,000〜22,000円 約10,000〜30,000円

猟友会の会費に含まれる共済保険は、第一種銃猟の場合で掛金1,500円、それ以外は750円です(2025年度時点、大日本猟友会)。この共済で他損事故保険金が最大4,000万円まで補償されるため、個別にハンター保険へ加入するよりも費用対効果が高いと言えます。

一方、猟友会に入らず個人でハンター保険に加入する場合、同等の補償を得るには年間1万〜3万円程度の保険料が必要です。費用だけを見れば、猟友会に加入したほうが保険面では有利です。保険の選び方については「狩猟保険のおすすめと選び方」で詳しく紹介しています。

猟友会に入らない猟師のリアル:現場の声から見える実態

猟師と猟友会の違いを語るうえで、実際に猟友会に入らずに活動している猟師の声は重要な判断材料です。

猟友会に入らない選択をする猟師が増えている背景には、いくつかの理由があります。「会費の負担が大きい」「活動に参加する時間がない」「人間関係のわずらわしさ」といった声が聞かれます。特にわな猟専門の猟師の場合、銃猟中心の猟友会活動に馴染みにくいと感じるケースもあるようです。

ただし、猟友会に入らないことで生じるデメリットも見逃せません。特に以下の3つは、非加入の猟師が直面しやすい壁です。

1つ目は、有害鳥獣駆除への参加機会が限られることです。多くの自治体は有害鳥獣駆除を猟友会に委託しているため、非加入の猟師には駆除の依頼が回ってきにくくなります。猟師の年収において報奨金は大きな収入源のひとつであり、この機会を失うのは経済的にも痛手です。

2つ目は、猟場の情報が得にくいことです。どの山にどの獲物がいるか、地主との交渉はどう進めるかといった情報は、猟友会の先輩猟師から口伝えで共有されることが多く、独力で入手するには時間がかかります。

3つ目は、グループ猟に参加しにくいことです。巻き狩りのような複数人で行う猟は、猟友会のネットワークを通じて参加者を募ることが一般的です。非加入の場合、個人で仲間を見つける必要があります。

一方で、SNSやオンラインコミュニティの発達により、猟友会を介さずに情報交換や仲間づくりをする猟師も増えてきました。特に20〜40代の若い世代では、猟友会に入らずともインターネットを活用して独自のネットワークを構築する動きが見られます。

タイプ別おすすめ:猟友会に入るべき人・入らなくてもいい人

猟師と猟友会の違いを踏まえたうえで、自分がどちらのタイプに当てはまるかを確認してみてください。

あなたのタイプ おすすめ 理由
狩猟未経験で銃猟を始めたい 猟友会に加入 先輩から銃の取り扱い・猟場を教わる必要がある
有害鳥獣駆除で収入を得たい 猟友会に加入 自治体からの駆除委託は猟友会経由が大半
わな猟メインで単独活動が多い どちらでも可 わな猟は個人完結しやすい。保険面を比較して判断
地方移住して猟師を目指す 猟友会に加入 地域コミュニティへの入り口として有効
副業で週末だけ狩猟したい 状況による 費用対効果と活動頻度で判断。年数回なら非加入も選択肢
すでに狩猟仲間がいる どちらでも可 情報・猟場は確保できるため、保険コストで比較

ここでひとつ注意したいのは、猟師の高齢化問題です。大日本猟友会の公表データによると、会員の約6割が60歳以上となっています。若い世代の猟師にとっては、地域によっては年配の会員との価値観の違いに戸惑うこともあるかもしれません。しかし裏を返せば、若い会員は歓迎される傾向にあり、技術を積極的に教えてもらえる環境でもあります。

初心者に伝えたいこと:まずは入ってみるのがおすすめ

狩猟をこれから始める方には、まず猟友会に入会することをおすすめします。理由は3つあります。

1つ目は安全面です。狩猟は命に関わる活動であり、独学だけでは危険な場面に対処しきれないことがあります。猟友会の安全講習や先輩からの指導は、特に最初の1〜2年は大きな支えになります。

2つ目は費用面です。前述のとおり、猟友会の共済保険は個人加入の保険より費用対効果に優れています。

3つ目は情報面です。猟場の選定、獲物の解体、行政への届出など、独力で調べると何カ月もかかる情報が、先輩に聞けばすぐに解決することが少なくありません。

猟師と猟友会の違いに関するよくある質問

Q1: 猟友会に入らなくても狩猟はできますか?

はい、法律上は可能です。鳥獣保護管理法が求めるのは狩猟免許と狩猟者登録であり、猟友会への加入は義務ではありません。ただし、狩猟者登録の手続きや保険加入をすべて自分で行う必要があります。

Q2: 猟友会の会費は年間いくらかかりますか?

大日本猟友会費4,800円に加え、県猟友会費(3,000〜6,000円)、地区猟友会費(3,000〜8,000円)がかかります。合計で年間約1万4,000〜2万2,000円が目安です(2026年時点)。この中に共済保険の掛金が含まれています。

Q3: 猟友会に入ると有害鳥獣駆除の仕事はもらえますか?

猟友会への加入だけで自動的に仕事が来るわけではありません。有害鳥獣駆除は市町村が猟友会の支部に委託する形が一般的で、実際に参加するかどうかは支部の判断や個人の意思によります。ただし、猟友会非加入の猟師に比べると駆除依頼の機会は格段に多くなります。

Q4: 猟友会を途中で退会することはできますか?

退会は可能です。猟友会は任意団体であるため、本人の意思でいつでも退会できます。退会届を所属する地区猟友会(支部)に提出するのが一般的な手続きです。退会後も狩猟免許を保持していれば、個人で狩猟者登録を行って狩猟を続けることができます。

Q5: 猟師と猟友会員は同じ意味ですか?

同じ意味ではありません。猟師は狩猟免許を持ち狩猟活動を行う個人全般を指し、猟友会員は猟師の中でも猟友会という団体に加入している人を指します。すべての猟友会員は猟師ですが、すべての猟師が猟友会員というわけではありません。

Q6: 女性でも猟友会に入れますか?

もちろん入れます。近年は女性猟師の増加に伴い、女性会員も増えています。猟友会によっては女性向けの研修プログラムを設けている支部もあります。

Q7: 都市部に住んでいても猟友会に入会できますか?

入会できます。東京都猟友会をはじめ、都市部にも地区猟友会が設置されています。居住地の猟友会に入会したうえで、猟期には遠方の猟場へ出向いて活動するスタイルの猟師も多くいます。

まとめ:猟師と猟友会の違いを理解して最適な一歩を踏み出そう

この記事のポイントを整理します。

  • 猟師は「狩猟免許を持つ個人」、猟友会は「猟師が任意で加入する団体」であり、両者は人と組織という根本的な違いがある
  • 猟友会に入らなくても法律上は狩猟が可能だが、保険・情報・駆除参加の面で不利になりやすい
  • 費用面では猟友会加入のほうが保険コストで有利(共済4,000万円補償が会費に含まれる)
  • 有害鳥獣駆除による収入を目指すなら猟友会加入がほぼ必須
  • 初心者には安全・費用・情報の3つの理由から加入をおすすめ

狩猟を始めたい方は、まず「猟師になるには」で全体の流れを確認し、免許取得と並行して地域の猟友会を調べてみてください。会費は年間約1万4,000〜2万2,000円と決して安くはありませんが、得られる情報と安全面のサポートを考えれば、初期投資としては十分に見合う価値があります。

参考情報

  • 大日本猟友会「猟友会の組織」(http://j-hunters.com/about/organization.php)
  • 大日本猟友会「狩猟事故共済保険」(http://j-hunters.com/about/insurance.php)
  • 大日本猟友会「狩猟者数の推移」(http://j-hunters.com/info/suii.php)
  • マイナビ農業「猟友会は入るべき?費用は? 新米ハンターがぶっちゃける」(https://agri.mynavi.jp/2026_05_02_496598/)
  • SBC信越放送「【相次ぐ野生動物出没】捕獲担う猟友会の高齢化課題」(2026年6月17日報道)



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