最終更新: 2026-09-22
イノシシ猟師の収入は、大きく分けて「捕獲報奨金」「ジビエ肉としての販売収入」「皮革・角などの副産物収入」の3つで構成されます。報奨金だけを見ると1頭あたり数千円から2万円程度ですが、実際の収入はこれにジビエ肉の買取額が加わるかどうかで大きく変わります。副業として月数頭を捕獲する場合の年間収入は数万円から数十万円、捕獲頭数の多い地域で個体販売ルートを持つ場合はさらに上振れします。この記事では、報奨金の仕組みから農林水産省の統計データに基づく販売実態、副業・専業別の年収目安までを整理します。
イノシシ猟師の収入源|報奨金・ジビエ販売・副産物の内訳

イノシシを捕獲した際の収入は、主に次の3つのルートから発生します。
| 収入源 | 内容 | 受け取りやすさ |
|---|---|---|
| 捕獲報奨金 | 有害鳥獣捕獲事業として自治体に申請し、国・都道府県・市町村の交付金を受け取る | 捕獲すれば基本的に受給できる(要申請・要確認) |
| ジビエ肉販売収入 | 食肉処理施設に搬入し、精肉として買い取ってもらう、または自身で加工・直売する | 施設への搬入条件(止め刺しから搬入までの時間等)を満たす個体のみ |
| 副産物収入 | 皮革、角、ペットフード用の部位などを業者や加工所に販売する | 販路が限られ、金額も小さい |
このうち、猟師の収入として最も安定しているのは報奨金です。一方でジビエ肉としての販売は、鮮度管理や施設への搬入手順を満たす必要があり、すべての捕獲個体が対象になるわけではありません。
報奨金はいくら?国・都道府県・市町村の3層構造

イノシシの捕獲報奨金は、国の交付金に都道府県・市町村の上乗せが加わる3層構造になっています。
| 区分 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 国(鳥獣被害防止総合対策交付金) | 成獣1頭あたり8,000円(2025年度時点) | 全国共通の基礎額。都道府県・市町村の予算状況により変動あり |
| 都道府県の上乗せ | 自治体により数千円〜1万円台 | 被害の深刻度に応じて設定される地域が多い |
| 市町村独自の報奨金 | 自治体により数千円〜2万円程度 | 狩猟による捕獲か、有害鳥獣捕獲等の許可捕獲かで金額が分かれるケースが多い |
自治体ごとの実例としては、いわき市(2026年度)が「鳥獣捕獲等許可」による捕獲で成獣最大8,000円・幼獣最大1,000円(別途1頭あたり12,000円)、「狩猟」による捕獲で成獣20,000円・幼獣13,000円としているほか、生駒市(2026年3月時点)では幼獣捕獲1頭あたり1,000円に国の交付金が別途加算される仕組みです。同じイノシシでも、狩猟期間中の捕獲か、有害鳥獣としての許可捕獲かで金額体系が異なる自治体が多いため、活動する市町村の要綱を事前に確認する必要があります。報奨金全体の動物別・都道府県別の相場は「有害鳥獣駆除の報奨金はいくら?都道府県別の金額と申請方法」で詳しく比較しています。
ジビエ肉としての販売収入はどれくらい見込めるか
農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)によると、ジビエ食肉処理施設で販売された食肉のうち、イノシシは金額ベースで30.4%、シカは47.6%を占めています。搬入頭数ベースで見るとイノシシの構成割合は20.7%とシカ(79.3%)より少ないものの、1頭あたりの体重はイノシシが平均37キログラム、シカが平均46キログラムとなっており、体格の割に販売金額の構成比が高い傾向がうかがえます。これは、イノシシ肉(ぼたん肉)が鍋料理などで一定の需要があり、シカ肉より買取単価が高めに設定される傾向があることが背景にあると考えられます。詳しい数値は狩猟・ジビエ業界の統計まとめページでも確認できます。
ただし、ジビエ肉として販売するには、止め刺しから食肉処理施設への搬入までの時間や温度管理など、各施設が定める衛生基準を満たす必要があります。搬入条件を満たせない個体は報奨金のみの収入となるため、販売収入を安定させたい場合は、近隣の食肉処理施設の受け入れ基準をあらかじめ確認しておくことが重要です。販売先の探し方は「ジビエの肉を購入できる販売店ガイド」で扱う販路の考え方も参考になります。
副業・専業別の年収シミュレーション
捕獲頭数と収入の関係を、副業と専業のケースで試算すると次のようになります(報奨金は1頭あたり1万5,000円、ジビエ販売は搬入できた個体のみ1頭あたり1万円の買取と仮定した場合の目安)。
| 区分 | 年間捕獲頭数の目安 | 報奨金収入 | ジビエ販売収入 | 年間収入の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 副業(週末中心) | 10〜20頭 | 15万〜30万円 | 搬入できた分のみ数万〜10万円程度 | 20万〜40万円程度 |
| 専業に近い活動量 | 50頭以上 | 75万円以上 | 販路が確保できれば数十万円上乗せ | 100万円を超えるケースもある |
この試算はあくまで目安であり、実際の金額は自治体の報奨金額、捕獲できる個体数、ジビエ肉の搬入条件によって大きく変動します。イノシシ猟師としての収入だけで生計を立てているケースは少なく、多くは有害鳥獣駆除の担い手としての活動と、猟師以外の仕事や他の獣種の捕獲を組み合わせています。猟師全体の年収の全体像は「猟師の年収はいくら?収入源の内訳とリアルな実態」、副業として取り組む場合のシミュレーションは「猟師の副業年収はいくら?3年目までのシミュレーションを徹底解説」、獣種による収入の違いは「猟師の年収|熊猟で稼ぐ5つの収入源と報奨金の実態」で解説しています。
イノシシ猟師が収入を増やすためのポイント
報奨金とジビエ肉販売を単純に足し合わせるだけでなく、次のような工夫で収入を底上げしている猟師もいます。
- 近隣の食肉処理施設と事前に連携し、搬入可能な時間帯・条件を把握しておく
- 精肉だけでなく、皮革やペットフード用部位の買取業者も確保し、1頭あたりの収益機会を増やす
- 単独猟だけでなくわな猟と組み合わせ、捕獲機会そのものを増やす
これらは報奨金額そのものを変える工夫ではなく、捕獲した個体をどれだけ収入化できるかという「歩留まり」を高める考え方です。競合の報奨金比較記事の多くは自治体ごとの金額一覧にとどまりますが、実際の手取り収入は搬入条件や販路の有無によって大きく変わる点が見落とされがちです。
よくある質問
Q1: イノシシ猟の収入は確定申告が必要ですか?
報奨金・ジビエ販売収入とも、年間の所得金額によっては確定申告が必要になる場合があります。個人でジビエを販売する際の許可や税務上の扱いは、活動する自治体の税務窓口に確認してください。
Q2: わな猟と銃猟でイノシシの収入に違いはありますか?
報奨金額は捕獲方法よりも「狩猟による捕獲か、有害鳥獣としての許可捕獲か」で自治体の金額区分が分かれるケースが多く、必ずしも猟法自体が収入額を直接左右するわけではありません。ただし、わな猟は仕掛けの数だけ捕獲機会を増やせる一方、銃猟は個体を選んで仕留めやすいという違いがあります。
まとめ:イノシシ猟師の収入のポイント
- 収入は「報奨金」「ジビエ肉販売」「副産物」の3本柱で構成される
- 報奨金は国・都道府県・市町村の3層構造で、自治体ごとに金額差が大きい
- ジビエ肉としての販売は搬入条件を満たせるかどうかが収入を左右する
- 副業なら年間20万〜40万円程度、捕獲量が多く販路がある場合はそれ以上も見込める
まずは活動予定の自治体の報奨金要綱と、近隣の食肉処理施設の受け入れ条件を確認することから始めましょう。猟師としての収入全体をより詳しく知りたい方は、上記の関連記事もあわせてご覧ください。
参考情報
- 農林水産省「野生鳥獣資源利用実態調査(令和5年度)」(e-Stat 統計表ID: 0002119971、0002119974、政府統計の総合窓口 https://www.e-stat.go.jp/ )— ジビエ食肉処理施設の搬入重量・体重、販売金額の構成比について参照(確認日: 2026年9月22日)
- 生駒市公式ホームページ「有害鳥獣捕獲事業奨励金(イノシシ捕獲)」(https://www.city.ikoma.lg.jp/0000028490.html)— 幼獣捕獲報奨金の金額について参照。2026年3月時点の掲載内容(確認日: 2026年9月22日)
- いわき市役所「令和7年度 いわき市イノシシ捕獲報償金交付制度について」(https://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1711024657252/index.html)— 狩猟・許可捕獲別の報奨金額について参照。2026年度の掲載内容(確認日: 2026年9月22日)
- 白河市公式ホームページ「狩猟期間におけるイノシシ捕獲に対する捕獲報奨金について」(https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page003871.html)— 国の交付金基礎額(成獣1頭8,000円、2025年度時点)の言及について参照(確認日: 2026年9月22日)


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